• タグ別アーカイブ: 柴胡桂枝湯
  • 薬を売ることに絶望し役割を再認識

     やや高齢のお客様が『葛根湯』を購入されるさいに、発熱してからでは遅いことを伝えると、具体的に何度くらいか質問された。
     その疑問は、当然だろう。
     でも人間の体は機械ではないので、単純に体温を基準にするのは適切ではない。
     とはいえ、目安としては38度くらいか。
     そのうえで、本人の体感として悪寒を感じず、歩くのがツライくらい頭が熱感でボウッとするようなら、『葛根湯』ではなく『麻黄湯』に乗り換えるタイミングである。
     そして、発熱により汗をかくようになったら『麻黄湯』も終わり、回復期を助ける『柴胡桂枝湯』にバトンタッチとなる。
     そうお話して、詳しく症状を確認すると、今回は常備薬としての購入で、喉から風邪になりやすいというお話だったため、鼻水が無ければ上半身を温める『葛根湯』より適応する『銀翹散』を紹介した。

     『桔梗湯』をレジに持ってきたお客様から、授乳中に使えるか質問され、大丈夫ですとお答えしたうえで、お腹が弱くないかを確認した。
     主訴は喉の痛みだそうで、熱を発散して炎症を取り除く『甘草湯』と違い、『桔梗湯』は冷やして炎症を抑えるため、お腹の弱い人はまれに下痢してしまう事があることをお話した。
     まぁ、滅多にありませんが、私は駄目(;´∀`)
     特にお腹が弱いことは無いそうなので、そのままお買い上げ頂いた。
     それから、頭重感や熱感がある場合には、風邪への進行に備えて『葛根湯』を併用するように伝えた。

     『麦門冬湯』などの咳関連の薬を手にして迷っている様子のお客様に声を掛けてみたけど、案内は断られた。
     その後に風邪の棚に移り、『パイロンS』を選んでレジに持ってきたため、喉の痛みや発熱があるのかを尋ねると、どちらの症状も無いという。
     えっ、じゃあなんで(^_^;)?
     主訴を詳しく訊いてみると、咳と鼻水だそう。
     そして咳は、夜に激しくなるということから『五虎湯』を考えたけど、鼻水の状態を確認してみたら透明だそうだから、やはり向かないかもしれない。
     お客様の唇を観察すると、表面は荒れているものの、歯に近い濡れてる部分は歯型がついていた。
     これは胃を悪くして、水分代謝の異常が起きている証拠である。
     となると、胃の働きを改善して咳を止める『麦門冬湯』が適応しそう。
     透明な鼻水は、内臓の冷えが関係するから、放っておくと垂れてくるほどでなければ、『麦門冬湯』で胃が改善すれば咳と一緒に治まるはずだ。
     お客様には、解熱剤の入った総合風邪を、発熱していない時に使うと疲労に繋がることを説明し、『麦門冬湯』を案内すると変更してお買い上げ頂いた。
     あと、夏野菜を避けて冬のメニューを意識した食事を摂り、長めの入浴で下半身を温めるよう勧めた。
     それにしても、最初は咳止めの棚を見ていたはずなのに、どうして総合の風邪薬の方に行ってしまったのだろうか。
     たとえ起きていない症状でも、効能範囲が広い薬の方に安心感を覚えてしまったのかもしれない。
     以前に某製薬メーカーの人から、ドラッグストアーでお客様が薬を選ぶ場合の動向調査の結果を見せてもらったことがある。
     アンケート調査というものは、設問の仕方で結果が変わってしまうから、本来はその辺りも詳細に確認しないと鵜呑みには出来ないのだけど、それを措いておいても興味深い結果だった。
     まず、回答者の約6割以上が「有名メーカー・有名ブランド」で選択しているという。
     そして、約2割が「効能・効果」で選んでおり、残りの1割が「店員に相談」して、残りの1割が「その他」だった。
     まぁ、ここまでは自分の実感とも変わらない。
     問題なのは、「効能・効果」で選んでいるという約2割のうち、本当に「成分と効能・効果を理解していた」のは、さらに1割程度だったという事。
     ええと……割り算が苦手なんだけど、全体の2割のうちの1割って全体から見たら何%(^_^;)?
     そんな訳で、調査をしたメーカーの人からは、薬が上手く適応しなかった場合、患者さんからしたら「効かなかった」と認識されてしまい(自分で選んだのに)、それが長期的には売上やブランドイメージにも影響するため、「患者さんへのコーディネートをお願いします」という主旨で話をされた。
     でも、これは商売を抜きにしても大問題だろう。
     なにしろ、成分と効果を結びつけて適応しそうな薬を選んでも、実のところ効くか効かないかは、体質と症状と環境など複合的な要素が絡み合っているギャンブルみたいなもん。
     なのに、薬を選ぶ段階で当たる確率を上げるための方法であるはずの、「店員に相談」が1割しか無いってんだもの。
     ある意味絶望して、同時に薬を売る役割を再認識させられた。

     

  • 「喉が弱い」は弱くない

     咳止めを買いにいらしたお客様、発症したのは一週間ほど前からで、喉がヒューヒューと笛のように鳴る感じがするというから喘息かなと思ったんだけど、「違う」というお返事。
     そして『ルル』を飲んでいたというのだけれど、『ルル』シリーズのどれかは覚えていないそう。
     ブランド名だけでは内容が分からないものの、咳以外に風邪と思われる症状は無いようなので、総合風邪薬より咳止めにしたほうが良いですよとお話して、まずは『麦門冬湯』を候補にしてみた。
     すると、痰が絡んでいて、普段は煙草を吸っていることが分かった。
     と言っても、今は煙草を吸っても不味いから直近は吸っていないそう。
     でもまぁ、煙草によって肺から気管支にかけての血管が収縮して患部が栄養不足に陥ってるとは考えられるため、上半身の血管掃除にも使える『清肺湯』の『ダスモック』の方を勧めて、お買い上げ頂いた。
     それから、咳を誘発するトマトやキュウリといった夏野菜を避けることと、入浴して体を良く温めるよう伝えた。

     高校生の子供が喉の痛みを訴えているとのことで、お客様から『のどスプレー』を希望され、消毒系のポピドンヨードと抗炎症系のアズレンの二種類を案内した。
     本人は喉が弱いというお話だったけど、それが喉が腫れやすいという事であれば、ウイルスなどの外敵の侵入を喉で阻んでるので弱いというのは当てはまらない。
     弱いというのは私みたいに、鼻も喉も反応せずに気がついた時には胃腸までやられてしまう虚弱体質です(ノД`)
     ちゃんと喉で外敵と戦える人、すなわち「喉から風邪になる」という人は『葛根湯』で上半身を温めるか、逆に『銀翹散』で冷やしてやるというように、初期の段階で支援してあげれば早く回復する。
     風邪をひいても微熱しか出せない、体力不足で防衛機構の働かない私のような人は、最初から『柴胡桂枝湯』を使わなければ戦えないのだ。
     まぁ、外敵に対して過剰に反応してしまうのも、病気っちゃ病気なんですが。
     そんな話も交えつつ、希望が『のどスプレー』なことから、抗炎症系のアズレンを勧めてお買い上げ頂いた。
     雑談を交えたのは、さっき挙げた漢方薬を提示しつつ反応を見るため。
     目的の剤形(今回ならスプレー式)以外全く眼中に無いのか、思いつかなかっただけなのか、他の薬にも興味が有るのか、養生などの情報も提供できそうかとか、そういう判断をする参考に。
     今回は、お客様は関心を示されたけど、本人から『のどスプレー』を頼まれたということで、他の選択肢が入り込む余地が無かった。
     喉の痛みだけで風邪の兆候が無ければ、『駆風解毒湯』や『ペラックT』という候補もあったんだけどねぇ。
     やっぱり、患者さん本人とやり取りできないと、どうしようもないε-(´・_・`)

     

  • 何年も前に受けた診断は再受診してみよう

     風邪薬の棚で迷っている様子のお客様がいたので声を掛けてみたけど、「大丈夫です」と断られた。
     でも『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきたさいに改めて、痰や咳があるのか尋ねたら、主訴は発熱と節々の痛みだという。
     そして、痰は絡んでるそうなので色を訊いてみたら、確認していないそう。
     ふむぅ、痰に色が付いていればウイルスなどの死骸で風邪と戦ってる最中、透明なら戦いは終わって体内が乾燥していると見立てることができるんだけどな。
     それによって、まだ発熱を支援するべきか、もう解熱して良いかが決まる。
     いずれにしても、咳が無いのであれば発熱に的を絞って『ルルアタックFX』をと提案すると、変更して購入された。
     あと、栄養ドリンクについて質問されたけど、すでに食欲が落ちているという事から、体には風邪を治すことに専念してもらい、解熱後の回復期に使うよう勧め、『柴胡桂枝湯』を紹介した。
     風邪をひいて慌てて栄養ドリンクを摂取するというのは、まだ残弾があるところに弾込めをさせるようなもので、そこに人員を割いてしまうと、かえって戦いを中断させてしまう。

     やや高齢のお客様がいらして、膝痛の相談を受けた。
     暑さ寒さは関係無く、たまになるというお話だったので、ひとまずフェルビナク製剤とインドメタシン製剤を案内した。
     そして詳しくお話を訊くと、整形外科でヒアルロン酸の注射を3回ほど受けたものの効果は感じられなかったそうな。
     インドメタシン製剤の『ハリックス55IDプラス』を使って頂くことになり、さらにお話を訊くとウォーキングをしているというのだけれど、それが毎日少しとか定期的ではなく、長距離をたまにやるらしく、そのうえ靴の外側が擦り減るというお話。
     たまに運動をまとめてやるのは、体の負担が大きくて駄目ですよぅ(^_^;)
     そうお話したら、さらに昔には腰椎に異常があると診断され、当時は治療できないと言われて放置しているとか。
     異常の内容は分かりませんが、無意識に庇って歩き方が偏っていて靴の減りや膝痛にも影響してるんじゃないでしょうか。
     『疎経活血湯』を紹介しつつ、20年以上も前の話であれば治療法が出来ているかもしれず、改めて受診してみるように勧めた。
     私も歯列矯正から始まって、矯正だけでは治らないからと大学病院を紹介されたら顎関節異常症と診断され、そのうえ珍しい症例なので研究させてくれたら手術代を大学病院で出しますという事になった。
     入院してる時に、カーテンの向こう側で担当医と偉い先生が話し合ってる声が聞こえ、「学会で発表した、あの方法を試してみたら?」とか言ってたのが、軽くガクブルだったけど。
     何年も前に受けた診断をそのまま放置しているのであれば、受診してみるのも良いかと思われ(・o・)ノ
     ああ、自分の乱視も20年前に診察してもらった時には、手術をしたうえでメガネを使って補正するのがやっとと言われたけど、今なら少しは改善策があるのかなぁ?
     縦書きの本なら同じ行が二行続くだけなんだけど、横書きだと字が重なって読みにくいんだよねぇ(;´Д`)

     

  • 「この料理人は駄目だな」と勝手に認定

     お客様から『トラフルBBチャージ』が口内炎に適応するか質問され、『チョコラBB』と同じで抗炎症よりも患部の回復に主眼を置いた薬であることを説明した。
     使うのは中学生の子供だそうで、痛みが強ければ『トラフル錠』や『黄連解毒湯』をと案内すると、痛みはそれほどではなく、原因も頬を噛んでしまったせいらしいことから、『トラフルBBチャージ』をそのまま購入して頂いた。
     ただ、もし頬を噛みやすいようだと噛み合わせに問題がある可能性もあるためその点を尋ねたところ、歯列矯正を予定しているそう。
     自身も歯列矯正をしたことがあるそうで、私は歯列矯正どころか顎の骨の手術まで必要になってしまったため、食事か大変だったというお話をお互いにした。
     普通に食事ができない間は、一度調理した物をミキサーにかけてペースト状にして飲んでいたんだけど、醤油ベースの味付けがしてある日本料理って、ミキサーでペースト状にすると似た味になっちゃうんだよねぇ。
     それをミキサーを使わずに、すり鉢で潰し裏ごししてペースト状にすると微妙な味付けが残ることが分かり、手間をかけて加工していた。
     たぶん、高速回転による遠心力が関係してると思うんたけど詳しくは知らない。
     でも、テレビの料理番組なんかでミキサーを使ってるのを見ると、「この料理人は駄目だな」と勝手に認定してる( ̄▽ ̄)
     おっと、話が逸れた。
     やはり歯列矯正中は、口の中が荒れがちになるので、皮膚の再生を目的とした食事での養生が必要なことを伝えた。

     『冷えピタ』の売場を訊かれ、お客様を案内しつつ症状を尋ねると、ご主人が微熱だとのこと。
     微熱のうちは『冷えピタ』や『熱さまシート』でも良いですが、熱が高くなってきたら太い血管の通った首の後ろを冷やすために、水枕を使ったほうが良いことをお話した。
     それから、微熱を風邪の初期とか「たいしたことない」と思って油断しないようにとも。
     脅す訳じゃないけど、疲労していると熱が出せないという事も考えられ、しかも風邪をひくという段階で体の抵抗力が落ちているから、微熱のまま風邪が進行して肺炎だの胃腸炎だのになってしまうという事もありえる。
     なので、微熱の時には『葛根湯』じゃなくて『柴胡桂枝湯』で下支えをした方が良いんだけど、今回は薬の話までには行かなかったため、食事をして消化吸収によりエネルギーをロスしないように、食欲があっても食事を控えさせてくださいという話に留めた。

     

  • 病は胃から

     『葛根湯』を購入されたお客様に、発熱してからでは遅いことを伝えると興味を示されたため、発熱期には『麻黄湯』を、解熱後には『柴胡桂枝湯』をと案内した。
     そして、風邪の初期から消化の良い食事に切り替えて、消化吸収に掛かるエネルギーのロスを防ぎ、風邪を治すことにエネルギーを傾けるようにとお話した。
     多分この話は、年が明けてインフルエンザのシーズンを抜けるまで繰り返し書くと思います。
     大事なことなので、何度でも書きます(・o・)ノ

     やや高齢のお客様がいらして、主訴は鼻水で他に風邪の兆候となるような症状は無いそうなので、急激な気温の低下と相まって内臓まで冷えていると判断し、『小青龍湯』を案内した。
     本当は、店頭に『麻黄附子細辛湯』があれば、そっちを勧めたいんだけどね。
     いかんせん、入荷ルートが無い。
     しかし、点鼻薬を希望されたため、『スットノーズα』を案内して、お買い上げ頂いた。
     ただ、やはり内臓の冷えは気になるので、温かい物を積極的に飲食するよう勧めたら、氷まで食べちゃうとのお答え。
     ううん、胃炎を起こしてるんじゃないかなぁ。
     テレビの健康情報番組なんかじゃ、ミネラル不足、特に亜鉛不足だと氷を食べたがるって解説してるけど、あれはどうなんだろうね。
     実際には、顎関節の異常で氷を噛じる感触が気持ちいいとか、いろんな理由があるとは思うけど。
     胃炎起こしている可能性も、あくまで推測の一つな訳ですが。
     一般的に、胃の不調は自覚できるという誤解があるからなぁ。
     胃の周囲には痛覚神経は無いし、当然のごとく胃熱も知覚はまずできない。
     それこそ胃痛なんかは、胃の近くを通っている神経が「たまたま」感じて脳に知らせているに過ぎない。
     だから、胃炎が喉の痛みを引き起こしていても、喉の痛み=風邪の初期と考える人が多く、消毒系の『のどスプレー』を買われることが多い。
     胃は、けっこう多くの病気と関わりがあるから、気をつけてもらいたいところ。
    「病は気から」という言葉と同様に、「病は胃から」という言葉も広く知られると良いなと思う。
     なにしろ、体の中心に位置するので。

     若いお客様から、『マグネループ』の効果について質問された。
     ええと、効くとも効かないとも言えない難しい質問です(^_^;)
     血液に鉄分が含まれてるから磁石の影響を受けるのでは、という考えの延長線上にある物なので、まったく関係無くもない。
     詳しい症状を尋ねたら、肩こりと頭痛が連動しているようなので熱を下ろす『釣藤散』と、反対に上半身を温めて血流を改善する『独活葛根湯』を案内してみた。
     とりあえず、『マグネループ』を試してみると購入された。
     実感は、ぜひ教えて頂きたいところ。

     

  • 吐き気があったり腹痛を伴う風邪には

     やや高齢のお客様より、筋肉痛の相談を受けた。
     原因が山登りとハッキリしているので、急性症状向けのインドメタシン製剤を勧めて購入を決めて頂いた。
     そして、予め分かっているようであれば内服もご検討くださいと『コレムケア』(芍薬甘草)を紹介したところ、一緒に購入された。
     そしてお会計時に、良く足が攣るという話があったため、足が攣る原因は疲労や血行不良だけではなく、心臓機能の低下の可能性があるので油断しないように伝えた。
     足の脹脛は、下半身に降りた血液を心臓に戻すポンプの役割をしていることから「第二の心臓」とも云われていて、そこが過剰に疲労するということは、本物の心臓の機能を補おうとしているから、と考えられるのだ。
     実際、足が攣りやすい人の心臓の血管が詰まっているのが分かり、手術を受けることになった事例もある。
     あと、『芍薬甘草湯』はあくまで頓服的に使う物なので、よく足が攣るようであれば『疎経活血湯』も候補になることを伝えた。

     汗疹の薬を求めて来店したお客様に『アセモア』と『あせもクリーム』を紹介し、痒みが強いことと範囲が広いとのことから、局所麻酔のリドカインの入っている前者を勧めた。
     そして、落ち着いてきたら、菌の繁殖を防いで血行促進の面倒を見てくれる『あせもクリーム』に乗り換える運用方法を提案した。
     反対に、より痒みが強い場合にはステロイド剤で痒みを抑えるのを優先するようお話して、今回は『アセモア』を購入して頂いた。
     そうそう、養生にはお風呂にしっかり入って、汗管を開くことで汗を出し詰まりを解消するのが良いですよん。

     お客様が『ルキノンエース』をレジに持ってきて、腹痛のある風邪に使えるか尋ねられた。
     患者さんはご主人で、微熱と頭痛のうえ腹痛も訴えているという。
     腹痛のある風邪に使える市販薬は、現代薬の中には存在しない。
     胃腸薬で考えても、甘草といった生薬か、甘草の有効成分であるグリチルリチン酸を加えた物となり、胃腸薬では微熱や頭痛の面倒までは見てくれない。
     そのため実質的に選択肢は、『柴胡桂枝湯』の一択となる。
     ただ、メーカーによってはパッケージに「吐き気」とあり、今回のお客様からも「吐き気は無い」と言われた。
     でも、効能書きにある症状というのは、あくまでメーカーが申請した症状であり、効果を確認できた症状を並べていることもあるし、反対に効果がある可能性は高いが治験で有効性を証明するデータを揃えるのに費用がかかるため、あえて申請しなかった症状は書いていなかったりする。
     もちろん販売時に、書いていない効能に対して「効く」とは言えないけど、少なくとも書かれいている効能の症状が必ず現れていなければならないということも無い。
     ちなみに医療用と市販用とでは効能で示されている症状が違い(申請内容が違うから)、医療用の『柴胡桂枝湯』の効能範囲はメチャクチャ広く、全てを発症するのは大変そうである(笑)
     店頭では市販薬として認められている症状以外には販売できないけど、下記は参考までに医療用での効能。
    「感冒・流感・肺炎・肺結核などの熱性疾患、感冒・風邪の後期、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆のう炎・胆石・肝機能障害・膵臓炎などの心下部緊張疼痛」
     お客様には、名前が効能を表しており、柴胡が肝臓を助けて抵抗力を高め、桂枝が胃の働きを補助することで疲労を防ぐことを説明して、お買い上げ頂いた。
     このことは、ぜひご主人にも伝えて下さい。
     効くと思って飲むほうが、より効きますので(*´∀`*)

     

  • トイレに行きたい時には本当に困るσ(^◇^;)。

     未就学の子供が鼻水と咳とのことで、お客様から薬を求められた。
     発熱は無いそうだから咳止めをメインに考えたけど、お客様の風邪が移ったかもしれないというお話と、鼻水に色があったというので『ハブロンS小児液』を案内した。
     お客様自身も風邪薬を希望され、鼻炎主体の『ルルアタックNX』と喉の痛み主体の『ルルアタックEX』を案内したところ、喉の痛みが主訴ということで、後者を購入された。
     そして、子供がスポイトが無いと液剤を飲めないと言われ、化粧水を移すスポイトと書道で使うスポイトを案内して、書道に使うスポイトをお買い上げ頂いた。

     風邪薬の棚を行ったり来たりしているお客様に声を掛けてみたけれど、案内を断られたため選ぶのをレジに待機して待つ。
     正直、品出しのためにバックヤードに行きたいなぁとか、トイレに行きたいとかいう時もあるから、早く解決させてください(笑)
     そして、ようやく『パブロンL』をレジに持ってこられたので症状は鼻炎や発熱で良いのか尋ねてみたら、患者さんは旦那さんで、主訴は吐き気だという。
     2日ほど前には微熱があり、疲れた感じがあったそう。
     それは、風邪の初期というよりも、疲労のせいで発熱する体力が無かったのではないかと説明。
     そのうえで胃腸炎になっている可能性もお話して『柴胡桂枝湯』を勧めると、変更して購入された。
     この後、食欲が戻ったように思えても、すぐには普通の食事に戻さずに消化の良い食事で量を控えさせるよう伝えた。

     

  • 育児疲れにも栄養ドリンクより強い味方

     やや高齢のお客様から、鎮痛座薬の『アデフロニック』を処方されていて使ったものの、お腹の調子が悪く漏れてしまったようだから飲み薬をと求められた。
     でも、脊柱狭窄症と診断されていて他にも内服薬が処方されているというのに、お薬手帳を持っておらず、「なんでもいいのよ」と言われても、そういう訳にはいきませぬ(・_・;)
     しかも、今まで市販の薬は風邪薬さえ使ったことが無いそうなんで、処方薬との飲み合わせを無視したとしても、何を候補にするか手掛かりが全く無いの、無い無い尽くし。
     ううん、普通ならお帰りいただき病院へと強く勧めるところなんだけど、とにかく何か痛み止めをと食い下がられて困った。
     『アデフロニック』はジクロフェナクナトリウムだから、『ロキソニン』を置いていないうちの店じゃ、どれを選んでも弱いしなぁ。
     近いのはイブプロフェンの『イブA』くらい?
     根負けして『イブA』を購入して頂くことになったけど、担当医に使ったことを報告することと、お薬手帳は持ち歩くようお願いした。
     それと、根負けするくらい痛みの度合いを話されている中で、「痛み」より「しびれ感」を繰り返し言われたため、『疎経活血湯』を紹介し、担当医に相談してみるよう勧めたところ、通っている病院はリハビリ時間が自由に選べる点が気に入ってるものの、担当医が説明が少なく突慳貪(つっけんどん)な人らしく苦手だという話を今度は延々とされるハメに(;´Д`)
     あくまでお客様視点の話だからどこまで本当かは分からないが、何か質問しても「気にしなくていいから」と返されて、それ以上訊けなくなってしまうんだそうな。
     でも、検査のための他の大きな病院への紹介状は書いてくれたらしい。
     ふむぅ、リハビリの件は重要だとしても、他の病院も検討してみたほうが良いんじゃないですかねぇ。

     風邪をひいた奥さんに頼まれたとのことで、『葛根湯』を授乳中に使えるかお客様から質問された。
     病院でも処方されますし使えますが、すでに発熱しているようですと使うタイミング過ぎていますとお話したら、とっくに熱は峠を越しているという。
     奥さんは『葛根湯』しか考えていなかったみたいだけど、熱が下がってきているのであれば、発熱による体力の消耗から回復するために『柴胡桂枝湯』をと案内し、お買い上げ頂いた。
     『柴胡桂枝湯』は、肝臓と胃を助けて風邪のぶり返しを防ぐし、それこそ育児疲れにも栄養ドリンクより強い味方になってくれます。
     なにしろストレスは、肝臓と胃に現れやすいから。

     

  • 「普段どうだったか?」というのは薬を選定するうえで重要な情報

     『爽和』と『太田漢方胃腸薬2』を見比べて迷っているお客様がいたので声を掛けてみたけど、案内は断られた。
     どちらもストレス性の胃の不調を謳っているから、分かりづらいかと思ったんだけどな。
     『爽和』は『安中散』に手足の冷えを改善する『四逆散』を加えたもので、仕事が変わったとか誰かに怒られるとか外部から受けるストレスに対応する。
     一方、『太田漢方胃腸薬2』は『安中散』に水分代謝を改善する茯苓を加えた『安中散加茯苓』という処方で、起きてもいないことを心配したりといった内面的なストレスに向いている。
     ただ、どちらにも痛み止めは入っていないので、胃が不調で胃痛があるようなら、『安中散』と痛み止めの『芍薬甘草湯』を合わせた『大正漢方胃腸薬』の方が良い。
     今回は『太田漢方胃腸薬2』を選ばれ、お会計をしながら症状を尋ねるとゲップが出るというお話があったため、『半夏瀉心湯』も紹介してみたけど、パッケージに「胸やけ」とあるのを見て「違う」とのことで、そのまま購入となった。
     まぁ確かに『安中散加茯苓』もゲップには対応しているものの、それだと『六君子湯』も候補になるから実に難しいところ。
     本当は、鳩尾(みぞおち)に指を入れようとして痛むかどうかを確認したいところだったけど、そこまで踏み込める雰囲気ではなかったから訊けなかった。
     人差し指と中指と薬指の3本を揃えて鳩尾に少し食い込ませてみて痛むようなら、神経性胃炎の『半夏瀉心湯』が適応するのに対して、元から胃弱で基本機能が低い場合は『六君子湯』が使える。
     ここで問題になるのは、胃の基本機能と症状が相対的だということ。
     例えば、走るのが遅いからといってそれは足が悪いということにはならないが、無理に早く走ろうとすればその疲労の度合は大きくなるだろう。
     その場合は元々の足の機能に対して無理をしたことを考慮した、中長期的なケアが必要となる。
     でも、元が頑健な足であるのなら一時的な疲労などものともしないだろうから、下支えのようなケアは不要。
     それは胃腸薬の使い方にも云えて、「普段どうだったか?」というのは使用する薬を選定するうえで重要な情報なのだ。
     先のように鳩尾に指を入れてみて痛むようなら胃酸過多が考えられるが、それは同時に元々の胃の機能は低くないと考えられる。
     また、普段から水や氷といった冷たい飲み物を好むのなら、胃の機能が高い一方で胃炎を起こしやすいと推測でき、お湯や温かいお茶を好むのは胃の機能が低下していて内臓が冷えやすいことを示している。
     お年寄りが温かいお茶を好むのは、なんとなく落ち着くというよりも加齢により胃の機能が衰えているからとなる。
     今回のお客様はストレスの表記があるパッケージの『爽和』と『太田漢方胃腸薬2』から選んだのだから、ストレスが思い当たるのは間違いないのだろうけど、ストレスに対する体への負担も元々の機能と相対的だから、果たしてどうだったのかは分らない。
     実のところ、それを知りたい欲もあるんだよねぇ。
     ぶっちゃけ適応するかどうかを知識として覚えても、実際に運用しての効果は患者さんから教えてもらわないと分からない。
     でも、ドラッグストアーじゃ薬を売った後に患者さんが報告に来てくれることは滅多に無く、その積み重ねは難しい。
     なので、たまに「良くなったよ」と言ってもらえると、気持ち的に「☆⌒ヾ(*゚∀゚)ヒャッホゥ♪」と嬉しいだけでなく、勉強になるから有り難いです。
     もちろん、「効かなかったねぇ」と言われて落ち込むこともある訳ですが(´・ω・`)

     お客様から「胃腸炎の薬を」と頼まれ症状を尋ねると、食べると胃痛がするとのこと。
     ひとまずお客様の意を汲んでパッケージに「胃腸炎」と書いてある『柴胡桂枝湯』を紹介しつつ、痛み止めの入っている『大正漢方胃腸薬』を案内してみた。
     しかし、詳しく話を訊いてみると疲労もあるようだった。
     そうであれば、『桂枝湯』で胃の機能を補強して柴胡剤で疲労を緩和したほうが良さそうなので、『柴胡桂枝湯』を使って頂くことにした。

     

  • 手軽なのは自分で判断することか人に訊くことか

     『小柴胡湯』を求めて、お客様が来店。
     入荷ルートはあるものの、市販品は価格が高いうえ、必要な病態の患者さんは病院に行くのを優先したほうが良いため、お店に置いておけないんですよ(^_^;)
     用途を尋ねてみると、成人の息子さんが風邪で微熱があるという話なのだけれど、その風邪に対しては病院から薬が処方されているらしく、それでいてお薬手帳を持参していないので内容が不明。
     そして『小柴胡湯』は以前に処方されたことがあり、今回は出されなかったため買い求めにいらしたそう。
     ふむぅ、同じ医師のもとでなら今回は不要と診断されたんじゃないかなぁ。
     とにかく発熱があることから、お客様自身はパッケージを見て『麻黄湯』に興味を持ったけど、息子さんは胃が弱いらしい事と、今回の微熱は風邪の初期症状というより、体力が無くて熱を出せないと考えられるので、『小柴胡湯』の変方の『柴胡桂枝湯』を案内した。
     病気に抵抗する肝臓を助ける『小柴胡湯』に、胃の働きを補助する『桂枝湯』を加えた『柴胡桂枝湯』の方は、風邪にも胃腸炎にも疲労回復にも適応するから、使い勝手が良い。
     息子さんはアレルギーなどでも受診していると分かり、ようやく『小柴胡湯』が処方された理由に合点がいった。
     そういうことでしたら、やはり『柴胡桂枝湯』が現状に適していると思われますと勧めて、お買い上げ頂いた。
     ただ、『柴胡桂枝湯』の成分表示はお薬手帳に貼って、担当医にも使ったことを報告するようお願いした。

     胃腸薬の棚で、相互に関連の無い物を次々と手にして迷っている様子のお客様がいたため声を掛けてみたけど、案内は断られた。
     一口に「胃腸薬」と云っても、胃が働き過ぎるいわゆる胃酸過多を抑える薬と、胃の働きが悪くて胃酸を出させる薬は真逆だし、そのバランスを取る健胃剤もまた別なため、同じ働きをする薬同士を見比べて迷っているのならともかく、バラバラな物同士で迷っているようなら、やはり助け舟が必要だろうと思った次第。
     ただまぁ、パッケージの表記は法律による制限もあり、あまり明確なことを書けないという事情もある。
     そのため、成分や組み合わせで処方の意図を推理することが必要で、それを本当にしようとすると、それは多分「胃腸薬マニア」にでもならなきゃならないんじゃないかと(笑)
     だから、マニアを目指していないのであれば、店員に訊いていただいたほうが手軽です(´∀`)
     お客様が最終的に購入された『第一三共胃腸薬プラス』は、消化剤と健胃剤の兼用を目指したと思われる現代薬と生薬のハイブリット。
     胃腸の働きが弱っていると、感じているのかな?
     とりあえず、自身の今後の胃腸薬選びの参考になるかもしれないので、成分表示を取っておくよう勧めた。