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  • 日焼けした肌の痛みを治す飲み薬って!?

     小学生の子供の引っ掻き傷に使いたいとのことで、お客様から『キズパワーパッド』の種別と使い方について質問された。
     ところが、製品の説明をしつつ傷の状態を確認したら、虫刺されで患部を掻き崩しているというのが分かった。
     そこで、虫刺されの痒み止めよりもステロイド剤をと案内すると、以前に子供に病院で処方されたステロイド剤が未開封で残っているそうな。
     それでしたら、ステロイド剤を普通の絆創膏に塗って使い、痒みが落ち着いてから傷口の回復に『キズパワーパッド』を使う方が良いですよと提案した。
     ちなみに、『キズパワーパッド』は湿潤療法で患部を治すため、傷薬のたぐいは併用してはいけない。
     それと、虫刺されで怖いのは痒みとかより何より、虫が運んでくる病原菌の感染なので、虫除けが重要ですとお話した。
     すると、子供はアトピー性皮膚炎だとのこと。
     必ずしもディードを避けなければならない訳ではないけれど(私自身アレルギー性皮膚炎を患っていたが、ディードを使っていて問題は無かった)、心配な気持ちは分かるので、『ユーカノン虫除けウェットティッシュ』を案内して、それのみをお買い上げ頂いた。

     日焼けケアのローションをと来店した女性のお客様、見るからに顔も二の腕も真っ赤で、それはもはやヤケドの域だった。
     日焼けをヤケドと認識していない人は、結構いる。
     お客様は、『SEABREEZE(シーブリーズ)』のような物を考えていたみたいだけど、これはもうヤケドと同じですから炎症を抑えないと駄目ですとお話した。
     昨年はこれで、「薬が欲しいわけじゃない!!」と怒って帰られてしまうケースもあり、私としては「ドラッグストアーに来ておいて、薬が欲しいわけじゃない」というのが理解できなかった。
     後で、登録販売者のSNSで質問したら、「ボディローションが欲しかったんじゃないですか?」と諭されて、やっと理解した次第。
     世の中には、「薬以外で症状を治したい人がいるんだ」という新鮮な驚きと共に、そういうリクエストにも応えなきゃならないんだなぁと、この仕事の難しさを痛感したもんである。
     しかし同時に、「自分の方針というものも持たなければ駄目だ」と思うようにもなってきた。
     それはつまり、「お客様の要望に応えることだけが、お客様のためになる訳でもない」ということ。
     だって、この仕事のお客様は同時に患者さんでもあるので。
     まぁ、こちらも人間なので、怒られるのは嫌だし、怒鳴られるのは小心者で苦手だから、そういうお客様には要望の物を案内して放置したいところ(o ̄∇ ̄)o
     とはいえ、職務を全く果たさない訳にもいかないため、一応は説明したり提案はする。
     ただ、引き際はだいぶ早くなったと思う(笑)
    「この人は話を聞が気が無いな」と悟ったら、怒られる前にサッと引くε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
     で、今回のお客様は実際に肌がピリピリ痛むそうで、「日焼け=ヤケド」と理解して頂けて、抗炎症成分の入っている『桃の葉ローション』を案内すると、そのまま購入された。
     それと内服薬として、『黄連解毒湯』という体の中も外も炎症を抑える漢方薬を紹介した。
     興味は持ってもらえたようだけど、本日のところは『桃の葉ローション』のみをお使い頂くことに。
     まぁ、これは仕方がない。
     そもそも日焼けをヤケドと思わない人が多いのだから、日焼けを飲み薬で治すなんて、それこそ「知らない世界」であろう。
     外でのスポーツなどをする人は、暑気あたりを防ぐ『五苓散』と一緒に、『黄連解毒湯』も常備しておくと夏を乗り切るのに良いと思われます。
     注意点としては、『黄連解毒湯』の生薬構成は極めてシンプルで、冷やす物に冷やす物と冷やす物が三重に入っているため、ものすごく虚弱体質であるとか、胃腸が弱い人や痩せ型の人は、お腹を下す可能性があること。
     一応は、下痢を抑制する黄柏(オウバク)も入っているから、そこまで心配はいらないはずだけど、そういう人が初めて服用する時には、規定の容量より少なめから服用した方が良いかも。
     心配な場合は、『七物降下湯』で代用して下さい。
     使用目標に「高血圧」とありますが、日焼けでの熱を下げるのが目的なため、その点は気にせず。
     虚弱な人の、のぼせ症状を下ろすのが効能だから、それを転じて日焼けの熱を下ろすのに使おうという事なので。

     『カコナール』を購入されるお客様に、発熱後は他の漢方薬への乗り換えを検討することと、夏風邪には向かないことを伝えた。
     余計なことかもしれないけど、「風邪には葛根湯」が世間に浸透しすぎて、特に胃腸に来る夏風邪にも使うようなことがあると不都合があるので。
     昨日今日と『葛根湯』を求めるお客様が続いてるのは、先日の雨で冷えたからだろうけど。
     それだけに、梅雨が明けて一気に暑くなると今度は暑気あたりで食欲を落とし、夏風邪の人が増えるはず。
     その時にまた、何も確認せずに『葛根湯』を夏風邪にと買われると困る。
     もちろん患者さんも困るだろうけど、せっかく夏風邪向けに『柴胡桂枝湯』『かっ香正気散』を多めに発注した私が困るヽ( ´ー`)ノ

     

  • 夏の風邪に葛根湯を使うのは気をつけて

     疲れ目の相談で、お客様が来店。
     疲れ目の目薬は、何しろ商品点数が多いので、まず価格と効き目に直接的な関係は無いことを説明した。
     例えば、安い物は処方が古くて開発費を回収済みなのに対して、新製品は成分的には珍しくなくても新しい組み合わせの場合だと改めて治験をしなければならず、それだけで数十億円が掛かったりする。
     だから選ぶ際の考え方として、古い処方のほうが安全性が高いと考えて安い物から試して段階的に高い物へ乗り換えていくとか、反対に最初に新開発の物を体感してみるというのは、好みみたいなもんである。
     原因として思い当たることがあるか尋ねたら、スマホの見過ぎとのことから、『サンテPC』と『ロートデジアイ』を案内した。
     どちらも、デジタル系の目の疲労という顔をしたパッケージだけど、中身はなんのことはない、ごく標準的な疲れ目対策の内容。
     でもまぁ、種類を絞ったほうが選びやすいかなと(笑)
     一応は、同じような角膜の保護と細胞の修復の成分に、『サンテPC』の方が炎症を抑える処方を加えてあるかなくらいの違いはあるけど。
     以前に「シンプルな処方を」とリクエストされたお客様は『ロートデジアイ』を選んだけど、今回のお客様は『サンテPC』を購入された。
     いずれにしても、成分表示は取っておくように伝えた。
     よくあるパターンが、「今度はコッチを試してみよう」と選んだ物が、実は同じ処方内容です、なので。

     『カコナールはちみつジンジャー』を購入されたお客様に、『葛根湯』は発熱したら他の物への乗り換えを検討するよう伝えたところ、他の物を知らなかった模様。
     そうだよねぇ、「風邪には葛根湯」のフレーズが突出して有名になってしまったもんねぇ。
     発熱したら『麻黄湯』に乗り換えて熱を発散して、発熱で汗をかき始めたら『柴胡桂枝湯』に乗り換えて体力の低下を防ぐことで、風邪を比較的短期間に済ませて、なおかつぶり返しを回避することができる。
     よくあるのが、発熱から解熱まで『葛根湯』で通して、『葛根湯』は上半身を温めるから体内が乾燥してしまい咳となり、咳が出ているのを「まだ風邪が治っていない」と思って、なお『葛根湯』を飲み続けるというパターン。
     そういう時には、上半身を潤す咳止めの『麦門冬湯』に乗り換えると良いんだけど、これもあまり知られていない。
     あと、これからの季節、『葛根湯』は胃腸を悪くする夏風邪には向かないので、その点にも注意が必要。
     先にも書いたように、上半身を温めるのが『葛根湯』の働きのため、気温が高い季節には余計に頭が痛くなったりボウッとしてしまうし、なにより胃を傷めてしまい、夏バテや暑気あたりを起こしていたりすると、なおさら風邪を悪化させてしまう。
     使うとすれば、雨に濡れて体が冷えたとか、冷房の効いた屋内で過ごしていて鼻風邪をひいたというような時だろう。
     夏場の風邪には、胃と肝臓の働きを助ける『柴胡桂枝湯』か、胃腸の風邪に使う『かっ香正気散』が最適なのでお忘れなく(・o・)

    【第2類医薬品】カッ香正気散料エキス顆粒クラシエ 45包
     

  • 患者さんの気持ちに近づけなくて失敗

     お客様から、風邪の相談を受けた。
     熱は無いものの、咳のし過ぎで肺が痛いとのこと。
     まぁ、肺が痛くなるはずは無いんですが、咳のし過ぎで肋骨の辺りが痛くなることはありますしね。
     私なんか咳のし過ぎで、腹筋や背筋が筋肉痛になった事もあるし(^_^;)
     そして今回のお客様は、数日前にはティッシュを鼻に詰めていないと垂れてくるくらいだったらしいのだけれど、今は落ち着いているそう。
     『小青龍湯』を候補に考えたものの、鼻汁に色が付いている様子だったため、『麻黄湯』と『ベンザブロックS』を案内した。
     また、鼻水よりも咳を止めたいというお話だったため『新ブロン錠』を紹介した。
     しかし、ハッと予算について確認しなきゃと思いつき尋ねてみたら、購入を見送られた。
     あ、あれ……?
     気分を害しちゃった!?
     あうっ、いつも予算のことを忘れがちだったのが珍しく思いだしたのに、訊き方がマズかったかしらん(;´・ω・)
     そういえば、主訴に咳と聞いていたんだから、最初から咳止めの方を考えるべきだったかも。
     色のついた鼻水が見えてたから、そっちに意識を引っ張られてしまった。

     常連のお客様が、ご主人の風邪の相談で来店。
     主訴は喉の痛みと疲労だそうで、『葛根湯』が喉の痛みに効くか尋ねられたため発症した時期を確認すると、一昨日からとのことだった。
     むー、それは微妙だなぁ。
     『葛根湯』も熱を発散させるから、喉の炎症を軽減できない訳ではないけれど、それはごく初期の話で2日目や3日目となると期待できないかも。
     そこで、『駆風解毒湯』を案内して、お買い上げ頂いた。
     現代薬の風邪薬についても尋ねられたので、複数の症状に対応するために処方されている風邪薬は、発熱していない時に服用すると疲労してしまう事があるため、お勧めできませんと答えた。
     今回は、すでに疲労感があるというお話だし。
     疲労感については、『柴胡桂枝湯』を紹介しておいた。

     やや高齢のお客様が、魚の目かイボということで薬を求めて来店された。
     実のところ、魚の目でもイボでも、やることは同じ。
     表面を腐らせて、早く下から新しい皮膚ができるようにする。
     今回は、患部が足の小指の横ということだったため、テープタイプより液剤タイプを普通の絆創膏に塗って使うよう提案して、『イボコロリ』の液体タイプをお買い上げ頂いた。
     そうそう、先にも書いた通り、この薬は皮膚を腐らせる物だから、作業後にはよく手を洗って下さいね。
     うっかり目をこすったりすると、痛いことになります(・o・)

     

  • 冷えの咳、乾燥の咳、ストレスの咳

     ご主人が鼻水と咳に悩まされていて、病院で処方されていた『小青龍湯』を使い切ってしまったとのことで、お客様が来店。
     ただ、現在は鼻水は垂れてくるほどではなくなり、痰が喉に張りつくような感じがするというお話だった。
     患者さん本人ではないので、どこまで実際の症状なのかは分からないけど、痰が喉に張りつくのは起動の水分が不足している、つまりは乾燥していると考えられる。
     『小青龍湯』は、上半身を温めることで鼻水を抑えて、寒冷的な刺激による咳を鎮めるのが主作用であり、それはつまり時として体内を乾燥させてしまう。
     まだ鼻水が垂れてくるほどならばともかく、主訴が痰の絡んだ咳に移行しているようならば、『小青龍湯』を継続するより『麦門冬湯』に乗り換えることを提案した。
     もとより、胃から鼻へは繋がっているので、胃薬としても働く『麦門冬湯』で上半身の水分代謝が改善されれば、鼻水の原料となる水分も調整されて、ついでに鼻水が改善することが期待できる。
     そう説明して、『麦門冬湯』をお買い上げ頂いた。
     あと、ご主人は風呂に入らずシャワー派だそうなので、下半身を温めるために湯船に入ることと、温かい飲み物を飲んで、内臓を温めるよう勧めた。
     体内を温めるという点では『小青龍湯』と変わらないように思われるかもしれないけど、直火で温めるのと湯煎で温めるのとでは、料理の具が焦げるほど熱せられるのと、穏やかに温めるのと同じように違いがある。

     常連のお客様が、ご主人の風邪の相談で来店。
     以前に、鼻水のある風邪と疲労感ということで、『葛根湯加川きゅう辛夷』『柴胡桂枝湯』を案内してお買い上げ頂いたのだが、その後に病院に行ったところ『小柴胡湯』を処方されたという。
     なるほど、疲労感のある風邪には当然のように候補になりますね。
     うちのお店には無いので、『柴胡桂枝湯』を案内した次第で。
     ところが、喉に痰がつかえている感じがするのに出ないらしいということと、季節の変わり目に同じようになるというお話が。
     それは、『半夏厚朴湯』が適応するかもしれません。
     ストレスになって発症する咳で、「梅の種が喉に詰まったような感じがする」ことから漢方用語で「梅核気」と呼ばれる症状である。
     現代では、梅の種なんて口にする機会が無いから通じない表現だけど、「痰は出ないのに喉に張り付くような感じがする」と言われることがある。
     それだけだと、先の『小青龍湯』から『麦門冬湯』に乗り換えて頂いたお客様と同じようであるけど、見分け方としては「んんっ、んんっ」と咳払いはしても、実際の咳はそれほど出なかったりするのが「梅核気」であり、その場合は乾燥ではなくストレスによる神経の緊張を取り除き、気道の閉塞を改善するのが有効策だ。
     季節の変わり目に現れるとなると、気温の変化や天候の変化がストレスになっているのだろう。
     もしかすると『小柴胡湯』が処方されたのは、そのためかもしれない。
     柴胡剤は、肝臓に働きかけて神経の緊張を解くので。
     『半夏厚朴湯』の方は、肝臓ではなく肺や胃といった上半身の緊張を解くように作用するので、同じ緊張を解くのには『小柴胡湯』とは違うアプローチとなる。
     そして実は、『小柴胡湯』『半夏厚朴湯』を合方した『柴朴湯』という、両方からストレス性の咳を改善する処方がある。
     『小柴胡湯』が処方されているのであれば、『半夏厚朴湯』を一緒に服用してしまえば、同じ処方になるという訳。
     う~ん、店頭で『半夏厚朴湯』を買って頂いて使う方法もありますが、担当医に相談してみてはいかがでしょう。
     『小柴胡湯』を処方してくれる医師でしたら、『柴朴湯』も出してくれると思います。
     そう提案したため、今日のところはお買い上げは無し。

     

  • 治りかけの風邪に使える風邪薬は無い!?

     ご主人が風邪とのことで、お客様が来店。
     『パブロンSゴールド』と『ルルアタックEX』を使ったが、改善しないという。
     しかし症状の経過を確認すると、そもそもの主訴は喉の痛みだけだと分かった。
     となれば、解熱だの鼻炎だのの成分は余計な物で、しかも神経を抑えてしまうから、患部の炎症を長引かせてしまう。
     風邪薬よりも、主訴にターゲットを絞ったほうが効果的なことを説明して、『駆風解毒湯』と『ペラックT』を紹介してみた。
     すると、以前に病院で処方されたトローチを今日になって使ってみたと言われた。
     なんで、後出し……。
     話してるうちに、思い出したのかもしれないけど。
     ただ、そのトローチの内容は不明で、効果があったのかは本人から聞いていないので分からないという。
     代理で薬を買いに来る時には、せめて使った薬を確認して、現在の症状を確認してきて下さいな(;´・ω・)
     いや、いつものお客様に比べたら、使った市販の薬銘柄を覚えていただけでも、「スゴ━━━(*゚∀゚*)━━━イ」と思っちゃうのは、毒されてきてるのか。
     でもそこまでで、病院で処方される薬と市販薬をリンクさせて考えてもらえるところまでの道のりの、なんと遠いことか………。
     今回のお客様は、『ペラックT』を選ばれてお買い上げ。
     本当は、喉の痛みが手前なのか、奥の方なのかも確認したかったんだけどね。
     奥の方なら、健康な人でも1日に50回くらいは胃液が逆流していて、いわゆる逆流性食道炎を「喉の痛み」と認識しているケースがあるから。
     そんな訳で、念のため食事は消化の良い物にして量を控えるようにとお話した。

     またご主人が風邪で治りが悪いと、別なお客様から相談された。
     こちらは、一時は38度まで発熱して汗をかき、3日ほど経過しているというから風邪だったのは間違い無さそう。
     そして今は、昼は平熱なものの夜に微熱になるというお話から、風邪は後期に差しかかっていると思われることを説明して、『柴胡桂枝湯』を勧めた。
     風邪の後期での市販薬選びの難しいところは、実質的に『柴胡桂枝湯』しか選択肢が無いこと。
     現代薬の風邪薬は、「症状の緩和」を目的とした処方で、いわば「熱が出るのを抑える」とか「咳が出るのを抑える」とか「鼻炎などの炎症を抑える」とか、とにかく「症状を抑える」のが主目的。
     ところが、風邪の治りかけとなれば、それらの症状はすでに弱まっている訳で、今さら抑えることに意味は無く、微熱を抑えるのなんか、這いつくばってヨロヨロと前進しようとしている背中を踏みつけるようなもんである。
     つまり、杖となり、土台となり、「体を起こす」働きが、現代薬の風邪薬には無い。
     あるとすれば、せいぜいが栄養ドリンクくらいか。
     そして、栄養ドリンクがガソリンだとすれば、風邪で弱ってるのはホディでありエンジンであり各部の部品だから、ガソリンを入れたところで車体のメンテナンスがされなければ、やっぱり車は正常に走れない。
     その点『柴胡桂枝湯』は、効果範囲が名前に現れており、柴胡は肝臓を助け、桂枝は胃腸を助ける。
     暑さ寒さの温度変化に弱い肝臓は、もちろん発熱によってもダメージを受け、風邪薬などを服用したとすれば、その代謝と解毒のために過労状態になっている。
     胃にしても、発熱で消化力は衰え、風邪のウイルスが内蔵に及んでいれば、胃腸炎を引き起こしているかもしれず、腸の機能の低下は栄養の吸収を悪くする。
     だから、風邪の後期には『柴胡桂枝湯』が適応するのだけれど、患者さんが「漢方薬は嫌い」という事になると、もう選択肢が無い。
     漢方薬が嫌で、どうしても薬をと言われたら、生薬配合の栄養ドリンクを候補に挙げて、「ゆっくり休んで下さい」としか……。
     でも今回は、そのまま『柴胡桂枝湯』で承知して頂けて、正直ホッ(*´∀`)=3

     やや高齢のお客様が、湿布を求めて来店。
     ご主人が手の神経痛に病院から湿布を処方されており、同じ物をと注文されたものの、お薬手帳や説明書のたぐいを持ってきていないため不明。
     しかも、今回買いに来た目的はその、手の神経痛のためではなく膝の痛みのためだという。
     どうやら、膝の痛みに同じ湿布を使っているもんだから、次の診察までに使い切ってしまったらしい。
     そして何故か、膝の痛みについては担当医に話していないそうな。
     整形外科に通ってる患者さんが、胃の不具合とかは科が違うからという理由で相談しないケースにはよく遭遇するけど、同じ科目と考えられるのに相談しない理由がよく分からない。
     次の通院までの期間に膝が急に痛くなったのではなく、前から痛がってたみたいなのに。
     とりあえず湿布をとの注文に、『フェルビナク』を案内してお買い上げいただくことになった。
     膝の方は、冷えると痛むようだというお話もあったため、『桂枝加苓朮附湯』を紹介してみたけど、興味は持ってもらえなかった。
     まぁ、それは仕方無いとして、通院先の病院の担当医には、今回購入した湿布を使ったことを報告して、膝についても相談するよう勧めた。

     
     

     

  • 薬は季節や環境での使い分けということもあります

     常連のお客様から受けた相談は、ご主人が初期は鼻水とクシャミで『小青龍湯』を用いて治まったものの、出張してからぶり返し、今は鼻づまりになっているとのことだった。
     暖かくなってきたから、上半身を温める『小青龍湯』が合わなくなってきていると考えられるため、『葛根湯加川きゅう辛夷』への乗り換えを案内したところ、家に以前に病院で処方されてた物が残っているそうなので、使うよう勧めた。
     また、出張以来、疲れが抜けないみたいというお話があり、『柴胡桂枝湯』を案内すると、お買い上げ頂けた。
     漢方薬に限った話じゃないけど、薬は体質や症状だけじゃなくて、季節や環境での使い分けということもある。
     特に「風邪には葛根湯」と思い込んでいると、夏場の風邪には対応できないケースが有る。
     『葛根湯』は上半身を温めるから、夏場に使うと胃が温まって気持ち悪くなったりしてしまうのだ。
     そして夏場の風邪というのは、夏バテと同じように胃腸の調子が悪くなって、抵抗力が落ちたところでということが多いため、通常は風邪の後期や胃腸炎に用いる『柴胡桂枝湯』を最初から使ったり、胃腸の風邪に特化した『かっ香正気散』の出番となる。
     もっとも、夏場でもエアコン冷えや雨に濡れてといったような場合の風邪には、『葛根湯』が適応する。
     そんな訳で、夏場の風邪の対処は案外と難しいので、「前に効いたから」と思い込まずに、店頭で相談して下さいな。

     お客様から、日光皮膚炎の相談を受けた。
     顔だけが赤味を帯びて痒くなり、昨年も同様だったという。
     今回訪れたのは、病院で処方されていた塗り薬を使い切ったからというのだけれど、肝心の処方されていた薬の内容が不明。
    「白くて、チューブに入っていたんだけど」と言われても、たいていの塗り薬は白くてチューブに入っていると思います(^_^;)
     一方、そもそもの原因としてはピーリングの化粧品を使っていたのが思い当たるそう。
     そして、その化粧品の内容も不明。
     ……名探偵でも、手掛かりが無いと解決できないと思う。
     顔に塗れる皮膚炎の薬として『コートf ATクリーム』と、内服に上半身の炎症を抑える『黄連解毒湯』『消風散』を紹介したけど、受診勧奨した。
     使ってる薬が分からない段階で、店頭ではお手上げなので┐(´~`;)┌

     高齢の母親の肘の痛みについて、お客様から相談を受けた。
     病院を受診していないそうで、お客様は「年だから、軟骨でしょ」と言われる。
     ひとまずお話を聞いてもらうために、要望に沿って『コンドロイチン』や『キューピーコーワコンドロイザー』や『アクテージ』などを紹介。
     そのうえで、軟骨ばかりでなく血行不良などでも痛みがあることを説明した。
     例えば、栄養は血液で運ばれるけど、血行不良で局所的に栄養不足に陥ると、その部分から「栄養が来てないよー」ということを痛みとして脳に信号を送って、救援要請をしてくるのだ。
     そして詳しくお話を訊いてみたら、本人は動かなくてもジンジン痛むと訴えているとうお話。
     それは、やっぱり血流不足が起きてるんじゃないですかねとお話してみたけど、関節のイラストの入っているパッケージの物の話以外については聞いてもらえず、『キューピーコーワコンドロイザー』を買っていかれた。
     う~む、お金を出して買うのはお客様だけど、患者さんのことを考えると、これで良いのかどうか……(´ヘ`;)
     『疎経活血湯』も、紹介したかったんだけどなぁ。

     

  • 薬を乗り換える時には合理的な判断を

     やや高齢のお客様が『ユンケルL』を購入され、会計時の雑談で、肘に痛みがあるという話が出た。
     3週間ほど前かららしく、原因として思い当たるのは、仕事で重い物を持ったことと、大きくなってきた孫を抱いてからだという。
     今は、引戸を開けるために腕をひねるのも痛いらしく、最初は肘だけだったのが最近は腕全体に広がり、痺れ感もあるそうな。
     それは、やはり病院に行った方が良いでしょ。
     酷くなってから病院に行こうと思うより、現状を知るために受診することを勧めたうえで、『疎経活血湯』を勧めた。
     ただ、以前に市販の『防風通聖散』を服用して肝臓の値が悪くなったことがあるという話もされた。
     そうであれば、それこそ病院での指導の元で治療をしてみるのが良いかと思い、近所の漢方薬に詳しい医院を紹介した。

     微熱と鼻水で『ストナデイタイム』を繰り返し使用しているお客様が、再訪。
     その後の経過を聞いているうちに、初めて『ワグラスD』(抗炎症剤)と『ジョッキ』(肝臓疾患改善薬)を常用していることが分かった。
     初めてお客様とお逢いしてから、もうかれこれ半年以上経ってから知るとは……。
     他の漢方薬専門の薬局に通い、購入しているらしい。
     ……どうして、うちのようなドラッグストアーに来てくださっているのかという、新たな謎が生まれてしまった。
     私としては『ストナデイタイム』の常用は避けてもらいたいので、前回と同じく『柴胡桂枝湯』を勧めてお買い上げ頂いた。

     『エスタック総合感冒薬』を選ばれたお客様に用途を尋ねると、置き薬にという事だった。
     今までは、喉の風邪になることが多く、『パブロンSゴールド』を常備していて、使い切ったため購入しにいらしたところで、オレンジのパッケージが目についたらしい。
     でも、『パブロンSゴールド』が効いていたというので、そうであれば同じ物のほうが良いのではと話し、『パブロンSゴールド』を購入することになった。
     別に変えても、不具合は無いかもしれないけど、薬というのは相性もある。
     食べ飽きたお菓子を乗り換えるみたいに変更するより、効いていた物をあえて気分転換のように変える必要があるとも思えない。
     それこそ、前と違って効かないなと感じてから変更する方が、合理的なはずである。

     今日は、エイプリルフール。
     気の利いた嘘の一つも言えなかったのが、なんとも残念。
     一番のエイプリルフールは、今日が結婚記念日だという事なんだけどね。
     婚約自体はしていたけど、いつ結婚するかは決めないまま同棲していて、何気なくカレンダーを見たら、その年の四月一日が仏滅だったんで、「これは面白い」と思って結婚を決めた。
     奥さんは嫌がったけど、「こんな面白い日を逃したら、次に結婚するのは、いつになるか分らない」と脅して(笑)
     そもそも、婚約は私が知らないうちに決まったし。
     奥さんと奥さんの両親と、私のお母んとの間で話が進んでてて、私だけが蚊帳の外。
     婚約式の前日に、母親から「明日、アンタ婚約だからね」と言われて、「誰と(;・∀・)!?」ってなった。
     お母ん曰く、「先に言ったら、アンタ逃げ出すでしょ」だと。
     そして、婚約してから双方の親の合意のもと、同棲するようになった。
     モテてた訳じゃないけど、いやむしろモテなかったから知り合う女性に次から次へと交際を申し込んでたため、奥さんが危機感を募らせて裏で話を進めたらしい。
     まぁ、そのおかげで奥さんの許可のもと、浮気デートは今も許されてる訳ですが。
     うーむ、エイプリルフールに結婚したのは、「* ゚・*:.。.:*・゜+ d(*´∀`)b うそです +.:*・゜゚・*:. *」ってやるはずだったんだがなぁ。
     浮気デートまで管理されてるというのは、自由なんだか不自由なんだか……。

     

  • 危険回避とは面倒なモノなのです

     やや高齢のお客様が『アトリックスハンドクリーム』をレジに持ってきて、『アトリックスメディケイティッドA』が無いか尋ねられて調べてみたところ、在庫切れだった。
     奥さんに頼まれたらしいのだけれど、「メーカーが同じだから、大丈夫でしょ?」と『アトリックスハンドクリーム』をそのまま購入されようとして困った(^_^;)
     「メーカーが同じだから物も変わらない」という発想が、私には分からない……。
     今手にされている方は「潤いと保湿」の効果を期待して使う物で、奥様が頼まれた物は「抗炎症と血行促進」を目的に使う物で別物ですと説明した。
     そして詳しく症状を尋ねると、奥様は痒みが強いようなお話だったため『メンソレータムAD』を案内し、『アトリックスハンドクリーム』と一緒に購入された。
     やっぱり買うんだ……、と困惑。

     湿布を求めて来店したお客様に用途を尋ねると、骨折の治療中で病院から処方されていた湿布を使いきってしまったから同じ物が欲しいと注文された。
     でも、湿布の内容は不明。
    「白くて四角かった」と言うのだけれど、ベージュやピンクの湿布も有るとはいえ、ちっともヒントにならない……。
     調剤したのは院外の薬局だそうなので、薬局に問い合わせてみるよう勧めると、「そうします」と返事していたものの、目が面倒くさそうに見えたから、もしかすると他の店で、今度は何も言わずに自分で選んで買うかもと不安になった。

     子供のために『葛根湯』を選んでいるらしいお客様がいらしたので、熱が出てからの『麻黄湯』と、熱が下がってからの『柴胡桂枝湯』を紹介してみたら、海外に行くのに備えてとの事だった。
     そして、子供向けの総合のかぜシロップの方が良いか相談された。
     ううん、飛行機に乗るのであれば液剤は避けたほうが無難かと。
     持ち込みできないかもしれないですから。
     風邪の初期に使う『葛根湯』と、食べ物に当たった時や疲労のことも考えて『柴胡桂枝湯』を持っていれば、ひとまず安心ではないでしょうかと勧めて、お買い上げ頂いた。

     

  • 患者さんは原因を隠すもの

     3日ほど前に発熱し、別なお店で薬剤師さんに『カコナール』を勧められて服用したというお客様が来店。
     熱は下がったものの、寒気が続いていて頭が重く、ぶり返しそうでどうしたら良いかと相談された。
     発熱は39度ほどにまでなったそうで、今は喉の痛みもあるというお話からすると、その喉の痛みは風邪が胃腸炎に進行してしまってるせいかも。
     お客様自身は「発熱」とパッケージ書いてある『ベンザブロックIPプラス』に興味を示していたけど、鼻炎は無く、咳も出ていないうえ、発熱ですでに汗をかいたという点から、すでに適応する状況を過ぎていると考えられることを説明した。
     体は風邪で疲労しているだろうから『柴胡桂枝湯』を案内してみたが、お客様の中では『葛根湯』の『カコナール』が「効かなかった」と思われているようで、現代薬を希望された。
     ううん、発熱した段階で『麻黄湯』に乗り換えていれば良かったと思うんだけどねぇ。
     薬剤師さんは、症状が変わってきたら乗り換えていく方法を教えなかったのかな。
     実のところ、解熱した後の疲労に使える現代薬は市販薬に存在しないから選択に悩む。
     もちろん、解熱後のぶり返しに使える現代薬の市販薬も事実上存在しない。
     消去法として、疲労する成分が少ない『ルルアタックFX』を紹介して、お買い上げ頂くことになった。
     胃の負担を考えると、麻黄の入っている『ルルアタックFX』も避けたいところだったんだけど、鼻炎を抑えたり咳を止めたりといった疲労に繋がる余計な成分が入っている風邪薬を選択肢から外していくと、うちのお店ではこれくらいしか残らなくて……。
     そのため胃の負担を軽減する対策として、食事を消化の良い物にするよう勧めたところ、具体的なアドバイスを求められ、レトルトの介護食を案内した。
     うちのお店の場合、介護食は介護コーナーに置いてあるけど(まぁ、当然とはいえ)、病人食として使える。
     ローカロリーのダイエット食と違って、味付けは必ずしも薄くなく、必要十分な栄養が摂れるのが良い点。
     まぁ、味は期待できませんが(^_^;)
     一人暮らしだそうだから、消化に悪いお弁当を買うよりはマシなはず。
     実際に、食欲は落ちているそうだし。
     ただ、現状であれば水分と塩分と糖分だけを補給して、丸一日は食事そのものをしないという選択もあり得ますと説明したとら、メイバランスだけを購入された。
     そのほうが良いかもしれませんね(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。)
     そしていったん帰られたものの、しばらくしたら戻ってこられて『柴胡桂枝湯』をお買い上げとなった。
     胃の具合が悪いことを、やはり気にされた模様。

     小学生くらいの男児を連れたお客様が来店し『トクホン』を選ばれたのだけれど、用途を尋ねると、子供が足を捻ったか成長痛のようだとハッキリしない模様。
     フェルビナクもインドメタシンも年齢制限があるため『トクホン』をそのまま買っていただいたものの、やはり原因が判然としないまま痛み止めだけを使うというのは心配なため、病院を受診するよう勧めた。
     こう言っちゃなんだけど、子供の症状の訴えというのはアテにならない。
     例えば、階段や高い所から飛び降りて遊んだ時とか、肝心なその事実を親に言わないなんてのは普通にありえる話。
     親の方が捻挫程度に考えていたら、実は剥離骨折してましたなんてケースも想定しておいた方が良い。
     そんな話を、もう少しソフトにお客様に伝えた。
     本人も目の前にいるんで。
     まぁ、原因となっていそうなことを隠すのは、大人の患者さんでもあるけどね(笑)

     

  • 毎日同じクオリティーを保てるのがプロ

     成人の息子さんが2日ほど前に風邪をひき、『パブロンSゴールド』を服用したものの改善しないと相談された。
     主訴は、咳と熱の他に、だるさも感じている模様。
     『葛根湯』も服用したらしいんだけど、すでにタイミングが外れていることを説明した。
     風邪としては中期も過ぎていると考えられるため『柴胡桂枝湯』を紹介しつつ、主訴の咳を考え『パブロンエースAX』を勧めてお買い上げ頂いた。
     患者さんは本人は若いので、普段よほど偏食していなければ食事を控え、とにかく体を横にして風邪を治すためのエネルギーを消費しないよう伝えて下さいとお話した。
     風邪を治そうと思って食事をすると、その消化吸収にエネルギーを持ってかれて、風邪の治りが遅くなるので。

     花粉症で喉が痒くなるということで、お客様から「医薬品じゃないトローチを」と求められた。
     一応は、のど飴のコーナーを案内したけど、「痒み」というものは「弱い痛み」で患部は炎症していると考えられるため、アズレン系のトローチや、のどスプレーも紹介した。
     また、喉が敏感に反応するのは気管支が乾燥していると考えられるため、『麦門冬湯』で保水する方法も提案した。
     最終的に、本日はマスクのみを購入することになった。
     うーむ、失敗したか……(´ヘ`;)

     花粉症で、「効きめが強くて眠くなりにくい物を」と求められ、まずは今までに使ったことのある薬を尋ねた。
     『ザジテンAL鼻炎カプセル』『アネトンアメルディ鼻炎薬』『パブロン鼻炎薬S』を使った事があるというので、メキタジンが主成分の『ロートアルガード鼻炎内服薬Z2』を紹介した。
     ただ、眠くなりにくいというのは、あくまで比較の話なんだけどね。
     『ザジテンAL鼻炎カプセル』のケトチフェンフマル酸塩だって、眠くなりにくい方だし。
     お客様にも、薬は狙ったところに望む効果だけというように都合良くはいかず、効果が適応するかは成分との相性も関係することを説明した。
     『小青龍湯』も紹介したかったんだけど、『アネトンアメルディ鼻炎薬』のように現代薬と生薬を合わせたタイプですら好まない口ぶりだったため、今回は案内しなかった。
     本当は言ってみなくちゃ分からないんだろうけど、元が小心者なので拒否されそうな態度を示されると避けちゃうんだよねぇ……。
     でも、お話をしているうちに、前回使って眠くなった記憶は無いという事で、『ザジテンAL鼻炎カプセル』を購入された。
     そういや最初に尋ねた時に、「効かなかった」とは言っていなかったですね。
     どうも今日は、ヒアリングが不調気味だった気がする。
     毎日同じクオリティーを保てるのがプロなんだろうけど、現実は厳しいなぁ。
     あれは、なんの漫画作品だったか。
     主人公が「今日は最高のサービスが出来ました」と上司に報告したら、「今日が最高なら、昨日の客にはなんと詫びるつもりだ!? 明日の客にはなんて言い訳するんだ!!」と叱られるシーンが記憶にあるんだけど、タイトルが思い出せない。
     こういう時に、読み返したいのに……(ノД`)