• タグ別アーカイブ: 桂枝加芍薬湯
  • 患者さんが目の前にいないと分からないことがあります

     『セイロガン糖衣錠』の携帯用をレジに持ってきたお客様に、普通の『正露丸』と違い炎症を抑えるカンゾウとチンピが入っていないことを伝えたところ、一旦はそのまま購入されようとしたものの、よく食中りを起こすと言われた。
     詳しく話を訊いてみると、普段は『ビオフェルミン』を飲んでいて、『ザ・ガード』を試してみたものの合わなかったという。
     よく食中りになるというのが、どのような状況でどんな症状になるのかまで踏み込めなかったけど、神経質そうにみえたため便秘と下痢の両方を整える『桂枝加芍薬湯』と、胃腸炎を起こしやすい場合の『柴胡桂枝湯』を紹介した。
     本日のところは、普通の『正露丸』の携帯用に変更して購入された。
     過敏性大腸症候群とかも考えられるから、受診勧奨しておくべきだったかなぁ……。
     お客様が自分から相談したいそぶりが無いと、なかなか店頭で踏み込めない。

     夫婦で訪れたお客様、最初はご主人から『ユーグレナ』(ミドリムシ)の取り扱いがあるか尋ねられて、扱っていないことをお話した。
     個人的には興味あるけど、仕入れルートが無いんだよね。
     そして、奥さんの方が常連で、以前に乾燥の咳に『麦門冬湯』を使って頂き、その後に『ダスモック』(清肺湯)に乗り換えてもらい、当時より症状は軽減したものの、まだ咳が続いていると相談された。
     ありゃん、それは申し訳ない。
     もちろん、長く続く咳は他の病気の可能性もあるから受診勧奨が視野に入るんだけど、咳は常時ではなく、たまに咳き込み、強く出るときのキッカケは分らないということで、快方に向かってはいるみたい。
     そして最近、手首をひねってしまい病院で鎮痛剤が処方される際に担当医から、風邪薬を使うようであれば漢方薬をと云われたそうな。
     うへぇ、責任重大だわ(;´Д`)
     目の前で咳が出ていれば咳の音で分かることもあるんだけど、あいにくと今は咳が出ないらしく、鼻水もあることからすると『小青龍湯』が考えられるものの、痰が喉に引っ掛かって出そうで出ないという話からすると、気道が狭くなっているのを痰の引っ掛かりと錯覚する梅核気(ばいかくき)かもしれず、それなら『半夏厚朴湯』の出番だしと迷いに迷った。
     すると、ちょうど咳をされて、ガラガラと喉に掛かる音がした。
     やぁ、これは『カンポアズマ』の適応ですね(゚∀゚)
     いや、患者さんを前に喜んじゃいけない。
     もし『カンポアズマ』が効くようであれば、冷えと疲労が原因と考えられるので対策を講じてくださいとお話をしたうえで、お買い上げいただいた。
     もし病院で処方をしてもらうのなら、『神秘湯』『柴朴湯』を担当医に相談してみてくださいませ。

     

  • ストレス社会での喉の痛みは胃が原因かも

     『新ビオフェルミンS』が便秘に効かなかったという相談を受け、まずは同系統で『ザ・ガード』を案内した。
     乳酸菌は腸に届くまでに多くが死滅すると云われ、それを納豆菌で繁殖させようというのが『ザ・ガード』というのは、説明としては端折り過ぎだけど、まぁ分かりやすいだろう。
     ただ、今回のお客様は声がか細く弱々しかったのが気になり、便の状態を尋ねるとコロコロ便であるらしい。
     コロコロ便は腸がストレスにより弛緩していると考えられ、そういう事なら整腸剤より『桂枝加芍薬湯』の方が向いている。
     これが子供なら、水飴を加えた『小建中湯』である。
     また、腸内の水分を集めて便を柔らかくするとともに嵩を増やす『サトラックス』を使うという手もある。
     お客様も迷われたが、ストレスは思い当たるらしく今回は『桂枝加芍薬湯』を試して頂くことになった。
     それと、右の脇腹から大腸を温めるようお話したところ、カイロも一緒に購入された。

     『のどスプレー』と『新コルゲントローチ』をレジに持ってきたお客様に、選ばれた物はどちらも消毒系であることを伝えて症状を尋ねると、喉が痛いというよりも違和感があるというお話だった。
     そして、病院で何か喉の薬を処方されたというのだけれど、内容は分からないという。
     レジの近くに、「お薬手帳をご持参ください」とでも書いたポップを貼っておこうかしらん。
     そこまでやると、お客様に引かれるかな(^_^;)?
     薬の名前は分からなくても何か説明を受けたかもしれないので、抗生剤と説明されたか訊いてみると、今回は覚えていないが以前に喉の痛みで受診した時に、逆流性食道炎と診断されたことがあるという。
     なるほど、そうでしたか。
     この日記でも繰り返し書いているように、喉の痛みというと「風邪のひき始め」と考える人が多いけど、他に頭重感や肩の張りといった風邪の兆候が無い場合は、胃炎や逆流性食道炎が「喉の痛み」として現れることがあるのだ。
     というか、ストレス社会と云われる現代の日本においては、喉の痛みの原因は、むしろ胃の方が多んじゃないかと思う。
     まぁ、正確な統計データが存在しませんが。
     ただ、そういう喉の痛みには、消毒系の『のどスプレー』やトローチなんかは適応しない。
     抗炎症系のアズレン製剤の『のどスプレー』や、『パブロントローチAZ』といった物の出番となる。
     または、胃を癒やして炎症による体内の乾燥を防ぐ『麦門冬湯』か、喉の冷やして不快感を取り除く『響声破笛丸』が適応する。
     お客様の話では、飴を舐めていると良い感じというから、やはり患部が乾燥していて、唾液が集まると癒やされるんだろう。
     そうなると、はやりお客様がチョイスした消毒系は、かえって粘膜を荒らしてしまい宜しくない。
     むしろ、普通ののど飴のほうが害が少ないくらいだと思われる。
     というお話をしたところ、『響声破笛丸』と『龍角散のどすっきり飴』に変更して購入された。

     

  • 隠し事はナシでお願いします

     お客様から、目薬で刺激の強い物をと希望され、ひとまず『ロートCキューブアイスクール』を案内してみたけど、症状を詳しく訊くと涙が出にくい体質のため、刺激して出すという。
     職業ドライバーだそうで、ドライアイなのかなと思ったら、眼科を受診しており、涙が出にくいのは確認されたものの涙腺が詰まっている訳でもなく、担当医からは「歳だから」と説明されたとか。
     ふむぅ、涙腺が詰まってないとすると、刺激して涙を出すのを繰り返していると、かえって慣れてしまい涙を出す機能が余計に低下してしまうんじゃあるまいか。
     人間の体って、サボるの得意だから。
     冬場に、寒いからと寝る時に靴下を履いたりすると体の方は自分で体温を上げる力を失い、ますます足先が冷えてしまうというように。
     ドライアイが気になるということであれば、『新ロートドライエイドEX』で目に膜を張って保水するか、人工涙滴の『ソフトサンティア』を使ってみてはと提案したが、当初の希望通り刺激の強い物をとのことで『ロートCキューブアイスクール』を購入されることに。
     そしてお会計後に、歳によるものだとするのなら、『牛車腎気丸』という内服薬を使う方法もありますよと紹介すると、実は夜はトイレが近いというので適応しそう。
     ところが、そこから話が飛び、実は心臓弁膜症と診断され、降圧剤を飲んでからトイレに行く回数は減ったという。
     ってか、どうしてそういう重要な情報を後出し( ̄▽ ̄|||
     いや、既往症や使ってる薬が他に無いか確認しなかった私が悪いんですが。
     関連して、利尿作用のある降圧剤を飲んでるのに、調剤した薬剤師からは水分を摂り過ぎないように説明され、それがどうも納得できていないみたいだった。
     そういう疑問は、遠慮無く担当医に訊いたほうが良いです。
     心臓弁膜症といっても、心臓の弁が充分に開かなくて狭くなってるのと、ちゃんと弁が閉じなくて逆流してしまうとか、細菌感染で炎症を起こしているのとでは状況が違い、正確なことが分からないと説明もできない。
     おそらく薬剤師さんは、血圧の上昇が心臓に負担がかかるため利尿作用による降圧剤を使う一方、水分が滞留することによる心臓への負担についても心配なため、そういう指導をしたのだろう。
     要するに、人間は自分の意志で水分の摂取はできても排泄はコントロールできず、また摂取した水分を適材適所に適量を運ぶというのも自分の意志ではどうにもならないから、薬でバランスを取るのを手伝うということ。
     だから、一応は矛盾は無いのである。
     とはいえ確かに分かりにくいだろうから、疑問に思ったら質問してみること。
     あと、目についての話を担当医に伝えていないというので、それも話してみるよう勧めた。
     どんな症状が、病気と関連するかは伝えないことには分からないので。
     それから、お薬手帳は持ち歩いてくださいな。
     今回の目薬についても、成分表示をお薬手帳に貼って処方薬と一元管理してくださいませ。
     少なくとも、ドラッグストアーで薬を買う時には、まず治療中の病名と使用している薬の話からお願いします、いやホント(´・ω・`;)

     やや高齢のお客様から、『百草丸』の小瓶を希望されたけど、うちのお店には常備していないため取り寄せになることを伝えると、海外に行くのに持って行きたいというお話だった。
     日が迫っているようだから、今から発注だと間に合わない。
     ただ、病院で精神不安に『加味帰脾湯』が処方されているというので、直接的な効能に胃腸薬としての働きは無いものの、生薬構成からすると『百草丸』のように健胃薬としての応用が可能なことを説明した。
     生薬構成は違うとはいえ、どちらも気持ちを整えてストレス性の不調に対処する物なので。
     心配なようであれば、ストレス性の便秘にも下痢にも使える『桂枝加芍薬湯』も候補になりますと紹介した。
     そんなこんなで、今回はお買い上げは無し。
     お客様によると、『百草丸』は人から勧められた物で使ったことは無く、健康情報が多くてどれを信じたら良いか分からなくて大変というお話をされた。
     そうですねぇ、確かに情報が多いですよねぇ。
     すぐに飛びつかずに、いったん忘れてから調べ直すというのが良いのではないでしょうか。
     あと、「バランスの良い食事」というのも難しいと話されたので、毎日ではなく1週間単位で考えてみてはと提案した。
     実際、毎日の食材に根菜だ葉物だ肉だ魚だのとバランスを考えてなんて無理な話で、それなら「今週は魚介類重視」とか「今週は根菜で調理法を変えてみよう」とかの方がやりやすいと思う。

     お客様が『ポリベビー』を求めて来店したため、幼児に使うのかと思ったら、高1の息子さんの肌の痒みにとの事だった。
     もちろん、名前からして赤ちゃん向けのイメージがあるけど、別に大人が使って悪いことも無い。
     ただ、油分が多くてベトつくから、患部の場所によっては使いにくいのではないかと。
     お客様の話では、寒暖差アレルギーかもという。
     そして、痒みが強ければステロイド剤はどうかと案内したら、ステロイド剤は病院から処方されていて、3日以上は使わないようにと説明されたらしい。
     強めの物が処方されたのかな。
     何を処方されたのか、名前を覚えておらず現物も持ってきていないため内容は不明。
     でも、あまり効かなかったらしく、担当医からは使い終わった頃にまた来るようにと言われたそう。
     だけど、使ってないかから減らない。
     ……ええと、再訪して担当医に効かなかったことを伝えたほうが良いのでは(^_^;)?
     そう勧めつつ、痒くなる場所は決まっていないそうなので、やはりベトつく『ポリベビー』だけでなく、『ムヒ・ベビー』も検討してみてはとお話したら、『ムヒ・ベビー』は家にあるものの、使ったことは無いという。
     それなら使ってみるのも手ですが、痒くなる範囲は広いらしいため、『桃の葉ローション』と『ユースキンA』を紹介したら、両方を購入された。
     あうっ、なんと極端な。
     これじゃ、迂闊に薬の候補を挙げられないなσ(^◇^;)。
     と思いつつ、寒暖差アレルギーなら内服薬で『十味敗毒湯』を使ってみるのも良いのではないかと紹介してみると、そちらには興味を示されなかった。
     ありゃん。
     何か基準があるんだろうなぁ。
     この時には、もう自分でも方向性が見えなくなってしまった。
     大いに反省(´・ω・`)
     あと、本人は太っているらしく、ダイエットしたら治るかと尋ねられた。
     それはなんとも言えませんが、食事療法は体質改善でもあるので、遠回りながら有効な可能性はありますと伝えた。
     聞けば食べ物の好き嫌いは無いそうだから、手を付けやすいんじゃないと。

     

  • 人間は経験でしか認識できない

     旦那さんから咳止めを頼まれたというお客様に症状を詳しく訊くと、決まった時に咳き込むというより、常時咳をしていて痰が出にくいようだというお話だったため、体内の乾燥に適応する『麦門冬湯』を案内した。
     しかし、念のため喫煙の有無を確認するとタバコを吸うそうなので、『ダスモック』(辛夷清肺湯)の方を勧めて、お買い上げ頂いた。

     鼻炎薬の棚を見ていたお客様から、血圧や糖尿病の薬を服用していて併用は大丈夫かと質問された。
     でも、そういう質問をする人でさえ、お薬手帳は持ってきていないという不思議。
     質問されるだけでもマシと言うべきなのか、どうなのか……(^_^;)
     今回のお客様は、いつもは持ち歩いてるそうなんだけど。
     いずれにしても、現物も持参しておらず薬の名前を思い出せないようでは、適切な案内ができないことを伝えた。
     処方されている薬の中には、漢方薬もあるらしく、利尿作用か説明されたというのだけれど、『五苓散』などではない模様。
     漢方薬には水分代謝を改善する処方が多く、利尿作用のあるというだけでは範囲が広すぎて絞り込めない。
     主訴は鼻づまりで、肺に痰が張り付いてるかのような感じがするそうなので、『チクナイン』(辛夷清肺湯)を紹介したうえで、保険の適用薬でもあるため担当医に相談するよう勧めた。

     やや高齢のお客様から、頭痛に『バファリンルナi』は『バファリンA』より効くか質問された。
     主成分の作用機序からすると「効く」とは言えるものの、同じブランド名を冠していても、そもそも内容が全く違い、効くかどうかは体との相性もあるため一概には言えないことを説明した。
     でも、こういう説明がかえって患者さんを迷わせてしまうのかなぁとも思ったり。
     患者さんが訊きたいのは、そういうことではなくスバッと一刀両断するような回答を期待してるんだろうし。
     あと、薬において「効く」というのは「苦痛を緩和する」ことと「原因を取り除いて治癒する」は別物だけど、患者さんがどちらを望んでいるのかは、話し込んでみないと分らない。
     いや、私だって喘息の発作なんかで苦しい時には、「今さえ楽になれば後のことは考えない」と思いがちなんだけど、その安易な選択は薬物の乱用を招き、命だって落としかねない訳で。
     症状が現れていない時にする判断と、実際に症状が現れている時の判断を同列に扱うことはできないだろう。
     だから、鎮痛剤が欲しいその時には痛みを緩和するのが主目的だとして、落ち着いたら改めて原因の探求や次に起きた時の対処を考えてもらいたいところ。
     頭痛一つとっても、血圧や筋肉の緊張、胃の不具合、水分代謝の異常と原因が色々とあり、関係の無さそうな体の部位での問題を頭痛と感じている可能性があるので。
     どうしてそうなるかというと、人間は経験でしか認識できないから。
     例えるなら、「リンゴを知らない人に、どうやってリンゴのことを説明するか」というのに似ている。
     形は梨に似ていると言えば、教えられた人はリンゴの味も梨と同じと想像するかもしれない。
     色はトマトの味に似ていると言えば、教えられた人はリンゴの味もトマトと同じと想像するかもしれない。
     同様に、内臓に異常があったとしても内蔵には痛覚神経が無く、周囲の神経が代わりに脳に異常を知らせるのだが、脳からは内臓の様子が見えないため受け取った信号のみで状況を判別し、とりあえず本人が過去に経験したことに近い反応として頭痛と表現したりするのだ。
     というところにまでは今回は踏み込まなかったけど、お客様には今まで効いていた実感がある薬を、あえて変更しなくても良いのではとお話して、『バファリンA』をお買い上げ頂いた。
     もちろん、ちゃんと服用した薬を記録しておくのであれば、別な薬を試してみるというのは有用である。

     ご夫婦のお客様がいらして、胃腸薬の棚を眺めながら『ワカ末止瀉薬』や『正露丸』に『ビオフェルミン』と『桂枝加芍薬湯』など、つながりが良く分からない物を次々と手にしていたため、気になって声を掛けてみたけど案内は断られた。
     もしかして、逆に薬に詳しい人なのかなとも思った。
     たまに薬剤師さんだったりして、「しまった! 声を掛けるんじゃなかった(;´∀`)」ということもあるので(笑)
     その後も、『リフレライフ』(安中散加茯苓)や『第一三共胃腸プラス』なども見ていて、最終的に『リフレライフ』と『正露丸糖衣錠』を購入され、つい好奇心に負けて用途を尋ねた。
     すると、夫婦それぞれで自分の薬を選んでいたそう。
     家族で同じ薬を使おうと考える人か少なくなく、いつも家族でも別々な薬を選択して方が良いことをお話していたもんだから、逆に珍しいと思って行動を理解できなかったんだな私は。
     人間は経験でしか認識できないから。

     

  • お薬手帳をクラウド化

     お客様が足を引きずって来店し外用消炎剤の棚に向かわれたので声を掛けると、足を捻ったばかりだとのこと。
     急性なので浸透性に優れたフェルビナク製剤か、鎮痛効果の強いインドメタシン製剤をと案内したところ、前者を購入された。
     そして、今日のところは水枕に足を乗せて冷やし、明日からは、ぬるめのお風呂に入るなどして温めるよう勧めた。
     損傷箇所の修復のための材料は血で運ばれるので、血流が大事。

     やや高齢のお客様がいらして、手術を受けてから流動食が続き、便意があるのに出ないと相談を受けた。
     通院しているのであれば処方されている他の薬との兼ね合いもあるから、担当医に相談するのが一番ではあるのだけれど、行ったばかりで次に行くまで日があるので市販薬をと要望された。
     でも、お薬手帳を持ってきていないため、下手な物は選べない。
     ひとまず、流動食が続いていたとなると便の量が少ないのがけ原因とかんがえられるので、腸内の水分を吸って便の量を増やす『サトラックス』を案内し、試していただく事になった。
     そして会計の段になって、ガンの治療中だということが分かった。
     ありゃん(;・∀・)
     言い出しにくかったのかもしれないけど、やはり早めに欲しい情報でした。
     となると、投薬による便秘も考えられるため、ストレス性の便秘や下痢に使う『桂枝加芍薬湯』と、老人性の腸の乾燥による便秘に適応する『潤腸湯』を紹介し、担当医に相談するよう勧めた。
     それと、お薬手帳は家に置いておかず、持ち歩くようにとお話した。
     この間の水害でも出先で避難所に行くことになり、家に帰れなくなったという人がいるそうなので。
     避難所に派遣されてきた医師に使っている薬を知らせたり、救援物資で要請するにしても、お薬手帳が無ければ分からないから。
     あと、災害に遭うことを考えたら、お薬手帳に薬の情報を貼ったらスマホで写真を撮っておくのも良いように思う。
     スマホの設定によってはクラウドで情報が保管され、万一紙の手帳が汚損したりスマホが故障しても、クラウドに接続するIDとパスワードを覚えておけば、他の機器でアクセスして確認できるかと(・o・)

     

  • 何事も、トレーニングや反復練習は必要

     お客様から、高齢の母親のために「お腹の痛くならない便秘薬を」と注文された。
     まったく出ない訳ではなく、コロコロ便の後には普通に排便できるというから、腸管が乾いて潤いを失っている標準的な老人性の便秘だろう。
     これが子供や若い人だと、コロコロ便はストレスによる腸の弛緩で『小建中湯』『桂枝加芍薬湯』を用いるところ。
     今回のように老人性の場合は、『潤腸湯』が適応するのだけれど市販薬には無く、病院で処方してもらわないと。
     すると、血圧に関する薬を処方されていると分かり、お薬手帳を持参していないため、迂闊な物は案内できない。
     ここは考え方を変えて、『潤腸湯』が腸を潤すのと反対に、腸内の水分を吸って便の方を潤し嵩を増やす『サトラックス』の方が安全か。
     ただなぁ、ますます腸管を乾燥させてしまう可能性もあるんだよなぁ。
     なので、担当医には『潤腸湯』『桂枝加芍薬湯』を処方してもらえないか相談するよう勧めて、今回は『サトラックス』を試して頂くことになった。

     水虫の薬を買いにいらしたお客様に、菌の検査をしたことがあるかを尋ねると、患者は成人の息子さんで、おそらく病院に行ったことは無いだろうとのお話。
     毎年この時期に、足の親指の付け根が白っぽくなるようだというお話なれど、時期的に湿気が多く、汗疹などとも判別しにくいことを説明した。
     息子さんは一人暮らしをしていて、帰ってきたところなため渡したいとのことで、あまり殺菌作用が強くない(つまり水虫じゃない場合のダメージが少ない)『ダマリンL』を案内してお買い上げ頂いた。
     でも、一人暮らしであれば、なおさら病院に行くことに慣れさせた方が良いのではと提案した。
     以前に、119番に通報したのに救急車出動を断られた大学生が死亡した事件かあったが、通報した時点で大学生の会話が明瞭ではなく、すでに意識が混乱していた様子が窺える。
     https://youtu.be/m_mMczrpHNE
     このケースでは、近くの病院で風邪と診断された後に重症化したらしい。
     私自身も風邪と診断されて帰された後で肺炎になって、救急車で逆戻りとなったけど、救急車を呼ぶ段階で声が出せなくなっていた。
     振り返れば、風邪と診断された時に医師への症状の伝え方が適切だったか、帰ってからの体調の変化に対する判断が甘くはなかったかと、「患者視点」で反省した。
     肺炎になる予兆を見逃した医師に対して腹立たしい気持ちは当然あるものの、自身の危機意識が低かったのも事実。
     『化物語』の忍野メメのセリフに「助けないよ、力を貸すだけ。君が一人で勝手に助かるだけだよ」とあるように、医師を頼るときに受け身では駄目なのだ。
     そして何事も、トレーニングや反復練習は必要。
     必要なんだけど、病気の練習なんてやりようが無い。
     あるとすれば闘病記を読んだり見たりくらいだけど、商業誌だと必ず家族との絆だの夢への挑戦の途中だの無用の感動話が洩れなくついてくるし、同人誌やネットでの書き込みでも、わざわざ書き残すくらいの大病が多いから、今度は参考にするには特殊な事例すぎて参考にならない。
     となると実用的なのは、とりもなおさず医師などの医療関係者との対話ではないかと私は思う。
     何を伝え、どんな質問をして、示された情報をどう処理するか。
     それを、機会を見つけては(具合が悪くなって時がチャンス)練習を積み重ねておけば、「患者の達人」となる事であろう。
     なにしろ、何も調べず、分からなければ店員に尋ねることもしないで薬を買う人が多いことからすると、病気になった時の「練習不足」は切実な問題なんである。

     

  • その薬、心配です

     ご夫婦で来店したお客様から『正露丸』の場所を訊かれて案内したところ、大幸薬品とイヅミ薬品の違いを質問されたので、イヅミ薬品のにはロートエキスとケイヒ末が足されていることを説明した。
     旦那さんが、下痢しがちらしい。
     これ、私には不思議なんだよねぇ。
     『正露丸』の基本処方の目的は、汚染された飲食物による下痢において木クレオソートの働きにより「飲む消毒薬」として解毒しつつ、甘草や陳皮で腸の炎症を抑えることのはず。
     ケイヒ末は健胃剤だから分かるとして、ロートエキスは抗コリン作用によって胃腸の痙攣を抑えて下痢を止めるんだけど、汚染による下痢、すなわち食中りにおいては下痢を止めずに原因菌を排泄することが大事。
     下痢止めとして考えればアリなのかもしれないが、それじゃなんのための「飲む消毒薬」なのかと。
     以前に、イヅミ薬品の『正露丸』のパッケージデザインが大幸薬品の物に似ているということで裁判があったけど、大幸薬品としては「効き方が違うじゃねーか!!」という理由が訴訟の理由だったんじゃないかね。
     あくまで、処方から考えた想像ですが。
     あと、イヅミ薬品の『正露丸』は抗コリン作用があるので、緑内障の人はご注意を(・o・)
     
     
     ロートエキスについて、うっかり「腸の痙攣を止めます」と説明してしまったため、奥さんがイヅミ製薬の方が良いのではないかと旦那さんに言い、念の為に症状を尋ねたら、食べたものに関係無く下痢をしてしまうそう。
     ふむぅ、食中りじゃないと分かっていれば、イヅミ製薬の方という選択はアリか。
     でも、それなら『ストッパ下痢止め』でも構わないしなぁ。
     効くの早いし。
     ただ、詳しく訊くと腹痛も伴うというから、冷え腹になりやすくて水分代謝の異常を起こすのを改善する『胃苓湯』や、ストレスが関係する場合で痛み止めが入っている『桂枝加芍薬湯』も候補になる。
     とはいえ、下痢しがちというのは安倍首相がそうだったように、難病の可能性だってあるから、安易に店頭で薬を勧めるのも好ましくないと思い、受診勧奨した。
     酷くなったら病院へと考えるより、現状を知るためには、まず病院で検査をという方が良い。
     それで、なんでもないから市販薬をと云われれば、それに越したことは無いので。
     という訳で、本日のところは購入は取りやめ。

     親子が来店し、小学校高学年くらいの子供に外用消炎剤を選ばせていたため、心配して見守っていたところ、『サロンパス』を選んだんでホッとした。
     フェルビナク製剤やインドメタシン製剤は、年齢制限があるからねぇ。
     ホッとしたところで、お客様と目が合い、シミの相談を受けたので、皮膚の材料になる『ハイチオールホワイティア』と、材料を運ぶ血流改善を行なう『桂枝茯苓丸』を案内すると、前者の購入を決められた。
     それではお会計をと思ったら、どうやら『サロンパス』は自身が使うようだったため、痛み止めとしては弱い方であることを伝えると、今度は私の説明を聞かずにサッと外用消炎剤の棚に走り、フェルビナク製剤を持ってきた。
     成分を確かめずに、どういう根拠で『サロンパス』より強いと判断したのだろうか。
     と疑問に思ったら、今度は子供と一緒に使うと言われたので、15歳未満は使えない年齢制限があることを伝えると、驚かれた。
     こっちが、さっきから驚きっぱなしです(^_^;)
     インドメタシン製剤であれば、11歳から使える製品があることを説明したら、ローションタイプを購入された。
     家族で同じ薬を使おうとするのは、年令や性別や体質などの違いがあるので、分けた方が良いことをお話したけど、全身で「アーアー聞こえな~い(∩゚д゚)」というオーラを発して帰られた。
     ううん、あの子供が心配……。

     

  • 小学校の保健体育から教えるべき

     奥さんが風邪をひいたとのことで旦那さんが来店したんだけど、発熱しているというのに熱を計ってないそうな。
     どうして(;´・ω・)?
     他には、喉の痛みと咳があるというお話なものの、喉の痛み方は分からず、食欲の有無も聞いてきていないそう。
     ううん、これは仕方無いのかなぁ……。
     政府も医療費負担軽減のためにセルフメディケーションを推し進めるなら、基本的な“薬の買い方”を、小学校の保健体育から教えるべきだと思う。
     奥さんは子供の面倒を見なければならないため休んでもいられないというお話だったから、総合の風邪薬よりも症状に合わせた方が疲労を抑えられることを説明したけど、そのための情報が無いんだよねぇ。
     とりあえず発熱があるのと喉の痛みは確実なうえ、鼻水は出ていなかったというお話から、『銀翹散』と『パブロンエースAX』を案内してみたところ、家にあった『葛根湯』を服用したと分かった。
     それを、先に言ってください……orz
     いや、服用した薬を確認するのが、こっちの仕事なんですけどね。
     なんか度々、この日記でヒアリング不足を露呈していて恥ずかしい(´・ω・`)
     とにかく、初期に『葛根湯』を服用した事自体は悪くないとはいえ、喉の痛みが主訴で発熱してるとなると、もう『麻黄湯』『柴胡桂枝湯』への乗り換えも検討したほうが良いかもしれない。
     でも今回は、お客様の判断で『パブロンエースAX』を使って頂くことになった。

     最初はお客様から整腸剤について尋ねられたため、『新ビオフェルミンS』と『ザ・ガード』を紹介したところ、9歳の男の子が軟便と軽い腹痛だとのこと。
     って、またヒアリングしてないですね私( ̄▽ ̄|||
     薬を使う人の確認は、重要な質問の一つなのに……。
     軟便なだけでなく腹痛もあるようだと、痛み止めの芍薬が入った『桂枝加芍薬湯』か、腸内細菌の生育を助ける乳糖水和物を加えた『小建中湯』が適応すると考えられることをお話した。
     どちらもストレス性の場合に用いるもので、お客様はストレスについては考えていなかった模様。
     ただそれは、一般的にストレスというのは思い悩んだり緊張といったマイナスのことを考えているからで、楽しいことも興奮により体に負担がかかるストレスなんである。
     旅行に連れて行った子供が便秘になっちゃうのも、そういう種類のストレスが原因だったり。
     また、合宿に持って行かせたいというお話があり、詳しく訊いてみると音楽関係だと分かった。
     そういう事でしたら、どちらも発表会等の緊張緩和に使えますと説明すると、『桂枝加芍薬湯』を購入された。
     うーむ、これは迷うところなんだよねぇ。
     ストレスの軽減という観点で言うと、甘い物がよりストレスの軽減に働くから、『小建中湯』の方が向いてるとも云えるので。
     ちなみに、今回は腸ということで下半身だから『桂枝加芍薬湯』『小建中湯』を候補にしたけど、緊張が喉のつかえ感とか咳払いのように上半身に現れる場合には『半夏厚朴湯』の方が適応する。
     受験生は、ぜひ覚えておいてくださいな(`・∀・´)

     

  • 患者さん本人と話せないのがモドカシイ

     『ベンザブロックL』を購入するお客様に用途を尋ねると、常備薬にというお話だった。
     ただ、「いつも喉からくる」というのは、ある意味誤解で、風邪の原因となるウイルスだけでも200種類以上あり、体のどの部位に異常を起こすかは、そのウイルスの種類と体質と、その時の体の免疫力といった多種多様の要因が複雑に関係する。
     だから、「いつも喉からくる」のが、喉が弱いからとは限らず(むしろ抵抗力が強いとも云える)、しかも発熱や頭重感といった他の症状が無い場合には、胃炎や逆流性食道炎を喉の痛みとして感じていたり、体内が乾燥しているというケースもある。
     胃炎や逆流性食道炎による喉の痛みなら『半夏瀉心湯』といった胃薬の出番だし、体内の乾燥には咳が出ていなくても保水して咳を止める『麦門冬湯』が適応し、判別しにくくて発熱などの風邪の兆候が無ければ『駆風解毒湯』が候補となる。
     なので、『ベンザブロックL』を風邪の常備薬にするのであれば、発熱向けの『ベンザブロックIP』と、鼻風邪向けの『ベンザブロックS』というように、他の症状の物を揃えておいたほうが良いことを説明した。
     いや、ホント商売抜きで。
     それと、喉の痛みが風邪と見分けがつかない時には、いずれにしろ消化に良い食事をするように勧めた。
     胃が原因にしろ、体内の乾燥にしろ、本当の風邪にしろ、胃腸をいたわっておけば体力の低下を防いで、症状の緩和につながるので。
     ……ああ、我ながら面倒な店員だと、読み返して思った(;´Д`)

     男性のお客様が来店し、奥さんの腹痛と下痢の相談を受けた。
     症状が朝からということ以外は、詳細不明。
     仕方ないとはいえ、痛む場所がヘソの上なのか下なのか、それとも周囲なのかとか、水様便になっているのか、喉は渇くかなどは重要な情報なので、分からないのは困る。
     お客様の携帯電話で本人に連絡させてもらえると良いんだけど、なかなかこちらからは言い出せないし……。
     お客様からは整腸剤を尋ねられたため『ザ・ガード』を案内はしたけど、腹痛には痛み止めの入った『桂枝加芍薬湯』と、冷たい物を飲み過ぎたのなら『胃苓湯』をと紹介してみた。
     しかし、あまり反応を示されないので、普段から偏食をしていなければ、経口補水塩で水分補給をしつつ、丸一日絶食する方法を提案してみた。
     すると、奥さんに電話したらしく、『ビオフェルミンS』を購入して帰っていかれた。
     えっ……、それ腹痛にも下痢にも効かない………。
     その電話で、本人と話をさせてェ~(*」>д<)」!!

     

  • スポーツをするさいには事前に手当の勉強を

     湿布を求めて来店したお客様に症状を尋ねると、テニスで腰を捻ってしまったという。
     普段は痛くないものの、やはりテニスなどで運動をすると痛むそう。
     だけど、病院には行っておらず、腰を痛めてから1週間以上経っているんだとか。
     ううん、最初の段階で病院で状態を調べてもらいたかったし、せめて運動は控えて欲しい(;´・ω・)
     症状は急性である一方、日が経っているため、冷やすも温めるも関係無ことを説明して、皮膚への浸透力のあるフェルビナク製剤と、鎮痛効果の高いインドメタシン製剤を案内した。
     それらの中で、腰骨の周囲の筋肉を傷めている可能性もあるので、修復するのには血流促進が有効なことをお話したところ、『ほぐリラ 冷感』を購入された。
     お会計時に改めて、酷くなってから病院に行こうと思うより状態を把握するために早期に受診することと、怪我などをした際には回復するまですぐに運動を再開するのは避けるように伝えた。
     趣味の範囲でも、運動をするのであれば基本的な手当ての知識は持ってもらいたいところ。
     絵描きとか模型作成とか文化系の趣味をする人は「まず調べる」ことから始めるもんだけど、登山とかテニスとか運動系の趣味をする人にはスポーツ医学とか応急手当とか基本的なことを何故か知らない人が多いと思うのは、私の気のせい?
     まぁ、店頭では文化系の趣味の人からは肩こりくらいしか相談されることが無いから正確には分からないけど、運動で怪我をしたりして相談してくる人はどういう訳か、所属するクラブや団体での指導者には相談してないみたいなんだよねぇ。
     もしかして、そういうクラブの指導者も勉強してないとか?
     私が以前に所属していた教育文化団体では、子供たちをキャンプに連れて行く時とか、指導に当たる大人や高校生は応急手当の講習会に参加して勉強しておいたもんだけど。
     趣味レベルでも運動をする人は、せめて関連書籍の一冊、専門サイトをパソコンやスマホに登録しておくのが良いと思いますよ(・o・)ノ

     やや高齢のお客様が胃腸薬の棚を眺めていて声を掛けたところ、食事をすると頻繁にお腹が張って時に下痢してしまうという。
     『ビオフェルミン』などが必要か尋ねられたけど、乳酸菌は腸に届くまでに大半が死滅してしまうという説があり、納豆菌で乳酸菌を育て直す『ザ・ガード』の方が有効かもしれませんと説明したうえで、『桂枝加芍薬湯』を紹介してみた。
     整腸薬というのは、下痢にしても便秘にしても真ん中の正常な状態に整えるのが目的で、『桂枝加芍薬湯』も同じ効果を桂枝で胃の働きを助け大棗で血行を良くし、生姜で温めつつ芍薬で神経の緊張緩和をおこなう事でもたらす。
     お客様は、下痢止めはかえって良くないことを理解されていたけど、他の胃腸薬にも興味を示されていたので、適応しそうな物として『スクラート胃腸薬S』も案内した。
     それと、お話を聞いているうちに、病院で『ビオフェルミン』が処方されたものの効いた気がしないということが分かった。
     なるほど、それで最初の質問につながる訳ですね。
     となると、何かを使った時にはメモを残したほうが良いでしょう。
     感覚だけでは記憶が曖昧になったりして、薬の乗り換えが無駄になるかもしれませんので。
     あと、腸内の状態を良くするのには温めることが重要だから、入浴時間を長くしてみるよう提案した。
     本日のところは、相談のみ。