『ヒルドイド』を求めて、お客様が来店。
とりあえず、処方箋が必要な薬である事を説明して、店頭での取り扱いはありませんとお詫びしたのだけど、用途を尋ねて溜め息( ´Д`)=3
高齢の母親に、湿疹の治療薬として病院から処方されていて、シワが伸びたように見えるから自分も使いたいと思ったらしい。
確かに、保湿性に優れ、血行を良くする作用があるから、一部では小ジワが失くなるとも云われているし、正規の効能ではないけれど、その効果自体は否定しません。
が、人が使っている薬を、専門家に相談しないで自分も使おうという考え方は、あまりにも危険。
今回だって、用途を尋ねなかったら言わなかっただろうし。
目的からして医師に相談するのは恥ずかしいと考えるというのもあるかもしれないとはいえ、本当に明確な意志で使ってみたいと思うのなら、それくらい恥ずかしいと思わずに、ちゃんと相談して欲しい。
たまたま『ヒルドイド』は、重大な副作用の報告が稀だから安全性が高いというだけで、自分の体を大切に思うのなら、薬を使うリスクというものは考えて欲しい。
高校生の息子さんの、腹痛と下痢の相談を受けた。
いや、この書き方は嘘だな。
正しくない。
レジに『ビオフェルミン』と『正露丸』を持ってこられたので、整腸作用を期待する『ビオフェルミン』と、汚染による食中りに効果を発揮する『正露丸』を同時に購入しようというのは、いかなる目的があっての事か気になったから、尋ねたんである。
お話によると、息子さんはスポーツをしていて、たびたび腹痛と下痢を訴えるのだという。
それで、『ビオフェルミン』と『正露丸』を以前から服用させているそうなのだが、それで効果を感じられているのかと、実のところそうでもないらしい。
下痢の方は激しくないというので、『桂枝加芍薬湯』を紹介した。
芍薬は、痛み止めとしても働く。
そして、食事は多く食べるらしいのだけれど、どうも痩せ型らしく、胃腸がその食事に対処しきれていないのではと思った。
足の早い人がいれば遅い人もいて、じゃあその人は足が悪いのかというとそんな事は無いというのと同じで、他人に比べて消化力が弱いのではないかと。
筋力を使うスポーツと比べて、内臓の能力というのは別物だから、スポーツによってエネルギーの消費が激しいため食欲はあったとしても、脳が思っている程には食べられない、なのに食欲のままに食べてしまうのが原因かもしれない。
消化を助けるという事では、『安中散』の『大正漢方胃腸薬』が使えると思い紹介した。
一方、スポーツで失われる水分に対して水分補給をしても、それが上手く吸収されていなくて下痢を起こすというケースも考えられる。
その場合は、水分代謝を改善する『五苓散』か、胃と肝臓を助ける『柴胡桂枝湯』が適応するだろう。
と、ここまで話を進めたところで、実は用事があって急いでいると言われた。
あうっ、またお客様の状況と要望を見誤ったか……。
若いお母さんが、2歳児の風邪薬にと『葛根湯』を買いに来たけど、すでに発熱して汗をかいているそうなので、適応時期を過ぎていると考え、『柴胡桂枝湯』を案内した。
そもそも2歳児は、体力を消耗しがちだから、『葛根湯』のように急激な効果をもたらす薬は、漢方薬とはいえ怖いと思う。
ちなみに、お客様自身は以前に『柴胡桂枝湯』を服用した事があり、気持ち悪くなってしまったという。
うちの奥さんも、そんな事を言っていたんだよねぇ。
ふむぅ、個人的には応用範囲が広くて、『柴胡桂枝湯』は便利な処方だと思うんだけど、どういう体質に合わないんだろう(・_・?
いまいち、良く分からない。
これは、研究課題ですな。