• タグ別アーカイブ: 桂枝湯
  • 電車は何で動いてる?

     腰痛で塗り薬を買いに来た患者さんに、麻杏よく甘湯(まきょうよくかんとう)を勧めたのだけれど、飲み薬は飲み忘れるからと断られた。
     http://www.kitazono.jp/syoho/makyouyokukantou.htm
     それでいて、塗り薬は「これ効きそうね」と外箱のデザインだけ見て選んだ。
     塗り薬は忘れないのかというのも疑問だけれど、成分を見るでなしに、いったいどういう基準で選んでいるのか謎。
     乳酸菌を買いにお客さんが来店。
     頼まれ物との事で、特に銘柄は指定されていないそうなので、証陽散(しょうようさん)を紹介した。
     http://www.kitazono.jp/kenkou/syouyousan.htm
     乳酸菌は生きたまま腸に届かなければ意味が無いと云われていたのは今は昔。
     現在では死んだ乳酸菌を、量を多く摂る方が効果的とされている。
     ただ問題は、この証陽散、1日に1兆個の乳酸菌を摂取できるのだが、値段がやや高い。60包(30日分)で1万円。
     ところがそのお客さん、
    「お金はあるんだから、言ってみますね」と仰る。
     それはぜひ(⌒▽⌒)
     風邪に備えて、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)と地竜(ぢりゅう)を買い込んでいく人が増えた。
     http://www.kitazono.jp/syoho/saikokeshitou.htm
     http://www.kitazono.jp/syoho/ziryuu.htm
     地道に説明してきた効果が、ジワリと現れてきたという事か。
     この調子で、風邪の季節の間に売り上げを伸ばしたいところ。
     目薬を買われた患者さんが、この場で点すという事でティッシュを求められたので渡したら、目薬を点した直後にティッシュを目元に当てがって拭ってしまった。
     今まで、そうやって点してたんですか(^_^;)?
     それでは薬が目に入りませんよと教えると、一緒にいたらした患者さんの友人が、「そうよ、目をパチパチやらないと」と言った。
     それも間違いです~(^-^;;;
     目薬を点して瞬きをすると、目薬の大半が睫毛に持ってかれてしまう。
     目薬を点して、ゆっくりと「1・2・3」と数えて滲み込むようにしなければ、無駄になってしまうのだ。
     その通りにやった患者さん、「目に沁(し)みる~」と言っていた。
     それが、薬が目の隅々にまで行き渡っている証拠です(・v<)
     受験生を連れて、その両親が来店。
     良く夜眠れないそうで、不安感が強いというお話を聞き、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を案内した。
     http://www.kitazono.jp/syoho/hangekoubokutou.htm
     お店を閉めて帰ろうとした頃に、雪がチラチラ。
     どうりで寒いと思ったら。
     明日は晴れるそうですが。
     シャッターを下ろす時に、いちいち柱を立てなければならず、手が悴(かじか)む。
     家に帰って、夕飯の前に風呂で温まる事にした。
     夜に某チャットで、知り合いの女性に成人するまで電車が何で動いているかを知らず、友達から「電車って、なんで電車って言うか分かってる?」と聞き返されたというのを笑い話のつもりで話した。
     すると、女子大生のRちゃんが「ガソリンで動いてるんだよねえ?」と訊いてきた。
     なんですと(^_^;)?
     まぁ、Rちゃんが知らない分には驚かない。
     すると、めでたく就職も内定が決まって大学を卒業する女子大生のSちゃんまでもが、「…電気ですよね……?」と自信無さげに聞き返してきた。
     しまった! そっちの方が常識なのか(笑)!?
     鉄ちゃん(鉄道マニア)でもあるI氏が「電車は、電気で動いてるから電車だろ」と答えた。
     私は、「やたっ、メールマガジンのネタになる」と喜んだ(苦笑)
    「電気で動いてるってどういうこと??」とRちゃんが聞き返してくる。
     今まで、電車の上にある架線をなんだと思っていたんだろう。
     私が、「雨の日には、架線に火花が散ったりしてるでしょ」と教えると、Sちゃんは「火花散ったりしてるんですか!? それは見たことない」と言う。
     ただし、よくよく聞いてみたらSちゃんの住んでいる所の主要鉄道は地下鉄だそうで、それならば架線を見た事が無いのは仕方が無いかもと思った。
    「痴漢鉄道、略してチカテツ」という駄洒落をI氏に先に言われたのが悔しい。←オイ
     そしてRちゃんにはI氏が、「電気の力でモーターを廻して、動いてんだよ」と説明した。
     すると、そこでようやくRちゃんの疑問の論点が分かった。
    「もしや、部屋や道を明るくする電気以外にもデンキという総称があるの??」
     あるんですよ(笑)
     どうも、電気をエネルギーの一種という事を理解していないらしい。
     でも面白そうなんで、「一輌につき、単一電池100個積んでるんだよ(o ̄∇ ̄)o」
    と嘘を教えた。
     しかし、残念ながらコレには騙されなかった模様。
     それでも、話はどんどん訳の分からない方向へ。
    「運転手が乗っていない電車ってのもやっぱり電気なんですか??」とSちゃんが訊いてくるもんだから。
     無人でも電気で動力を動かしていたら、電気で走行していると考えてさしつかえないです。
     そんなSちゃんは、自転車のライトの付け方が分からなくて自転車屋さんに訊きに行った事があるそうだ。高校1年生の頃に。
     まぁ、分からない事は人に尋ねるのが良いからね(・u・;
     話してるうちに、『ケロロ軍曹』で、“電気式発電機”ってのが出てきたのを思い出した。
     電気扇風機で風力発電、電動ポンプで水力発電、電気ストーブで火力発電という、環境にまったく優しくない発明(笑)
     http://www.sunrise-inc.co.jp/keroro/
     自転車のライトの話から、Rちゃんが今度は「自転車についてるライトっていうのは、暗いときに走ると感知してつくんじゃないの??」と言った。
     さらに自転車から自動車の話になり、昨年免許を取ったばかりのSちゃんが、卒業検定の時はワイパーの出し方が分からなくて検定前に教えてもらったという話をした。
     なにしろSちゃんは、教官が左折を指示したのに右のウインカーを出して右折しようとして止められたのだそうな。
     危ない、危なすぎる。
     それに対してRちゃん、「ウィンカーって、曲がりたいって思った方のが自動で点灯するんじゃないの?」とスゴイ事を言う。
     そこまで技術が進んでたら、驚いちゃうよ(笑)
     障害者向けに、視線入力で操作できる自動車の研究なんかもされているけれど。
     そんなRちゃんが、Sちゃんでも車の免許を取れたんだから、自分も取ってみようかなと言い出した。
     正しい勉強を進めるべきか、やめた方が良いと止めるべきか(笑)
     そこで、さっきの話を混ぜっ返した。
    「電車というのは、雷獣が発する“気”で動いてるんだ。だから、電車の運転士は祈祷師の免許を取らなきゃならないんだ」
     残念ながら、これにも騙されてくれなかった。
     ところで、Sちゃんはこれから免許を取得する人の、希望の星かな、それとも死神かな(笑)
     なんにしても、いろいろと勉強になったチャットだった。
    「ゆとり教育の弊害がこんなところにも!!」
     ……と言うよりも、単なる興味の問題なんだろうな、やっぱ。

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  • <<通巻122号>>
    『正義の人々』/普通でいる事も難しい/避難勧告して下さい

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      ★彡☆-=★彡  それさえもおそらくは平凡な薬局  ★彡☆-=★彡
                     <<通巻122号>>
      提供 : まぐまぐ http://www.mag2.com/
      発行 : 北園薬局 http://www.kitazono.jp/
      編集 : 北村俊純
      窓口 : info@kitazono.jp
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    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※9月4日(土)……『正義の人々』
    ※9月5日(日)……普通でいる事も難しい
    ※9月6日(月)……避難勧告して下さい
    ********************* 先週の平凡な日記 ********************
    ◆9月4日(土)/2004年◆
     奥さんから携帯に電話。
     来週の水曜日に帰ってくるという。
     えー? 帰ってくるの~?
     まだ、デートの予約が2件未消化なんだけどな( ̄▽ ̄)
     それと、市の離乳食の講習会は何時かと訊かれた。市の広報に載ってるはずではあるが、わざわざ講習会に行かんでも。
     このあいだ初めて林檎を絞って飲ませてみたら飲まなかったので心配なのだとか。
    「どうせお腹が空けば食べないなんてこと無いんだから心配ないわよ」とお母ん。
     浅間山の噴火による降灰被害のニュース頻々。
     中でも被害農家には悪いが笑ってしまったのが、群馬県のキャベツ事情。
     今年は豊作だったそうで、市価の下落を避けるために、噴火の前日に大量のキャベツを廃棄していたという。
     降灰を受けたキャベツの市価の下落は必至で、おそらく売れない分は廃棄せざるをえず、結果として被害が拡大する模様。
     価格調整のためとはいえ、なんで先に捨てるのかね。
     良く知らないけれど、後からできる分を廃棄するんじゃ駄目なの?
     しかも、地元の農協の指導らしい。
     噴火は予測できないとはいえ、ただでさえ例年よりも多く台風が来ていて、これからまだ農作物の被害が懸念されるというのに何をやっているのか。
     中学生の子供の咳の相談でお客さんが来店。
     今は、家に置いてあった地竜(ぢりゅう)麻黄湯(まおうとう)を飲ませているとの事。まずは、順当な用法だろう。
     ただ、風邪をひいたのは合宿先で、すでに4日ほど経過しているという。
     それに食欲が落ちているそうなので、そろそろ柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)に替えた方が良いだろうと案内した。
     ロシア南部・北オセチア共和国の学校占拠事件は、今日の未明に治安部隊が突入して解決したらしい。
     人質の死者は250人に上ったそうだから、これを解決と言っていいものかは分からんが。
     病院に収容された負傷者も700人を越えているそうで、だとすると当初にロシア政府から発表されていた人質の人数よりもかなり多かった事になる。
     突入後の発表で「1200人いた」という情報もあり、その場合は人質のうち約8割が死傷した事になる。
     2002年の10月に起きたモスクワの劇場占拠事件での強攻な姿勢からして、今回も突入作戦で悲惨な結果になるだろうとは思っていたが、これほど意外な展開になるとは思わなかった。
     何が意外って、現場に多数の民間人が入り込んでいて、治安部隊までもが混乱している様子がテレビの映像に映っていた事。
     少なくとも劇場占拠事件の時には夜間だった事もあり、当初は犯人の完全制圧に成功と報道されて、後から人質ごと殲滅していた事が明るみに出つつも、なんとか有耶無耶にしてしまった。
     それが今回は、救出作戦らしい事を何もできないうちに事態が急変し、明らかに政府側の失態を赤裸々に見せてしまった。
     しかも報道によれば、数人の犯人が人質に紛れて逃走しているそうで、ベスラン市内は今も厳戒態勢だという。
     これは首都で任務に当たる軍と、地方の軍との練度の違いなのだろうか。
     犯人の方も、いっさい交渉に応じないという違った面を見せていたけれど。 
     なにしろ脱出に成功した人たちの証言によると、犯人である武装集団は「我々は弾が無くなるまで撃ち、続いて建物ごと爆破する」と宣言していたという。
     かつてはテロリストも、子供を巻き込むのは避けたらしいんだがなぁ。
     戯曲だけれど、歴史上の出来事を題材にしたにカミユの『正義の人々』という作品で、この“子供を巻き込んでいいのか”という話が出てきた。
     帝政ロシア期の革命家で作家であり詩人でもあったロープシン(作中ではサヴィンコフ)が同志のカリャーエフに、ニコライ皇帝の叔父であるセルゲイ大公の暗殺を命じるのだが、カリャーエフが爆弾を投げつけようとしたその時に傍らに大公の2人の子供がいる事で躊躇してしまい、暗殺に失敗。
     そして再び、今度は1人で馬車に乗ったセルゲイ大公に爆弾を投げつけて暗殺に成功する。
     その後での獄中における警視総監や、大公夫人との対話が秀逸で、特に子供がいるからと一度目には躊躇した優しさを持つカリャーエフに何故夫を殺したのかと問いかける大公夫人と、自分に憐れみをかける婦人に対して、すばらしい人だと認めつつも権力者を倒さなければならないと語るカリャーエフとの対比、さらには革命のためには子供さえも犠牲にするべきだとカリャーエフを非難した同志のステバンとの絡みもあって、まさにタイル通り、自らの“正義”を信じる人々が“相容れない”というテーマを現していた。
     ところで、未確定ながら、犯人の半分以上がアラブ人だったという情報がある。
     それってもしかして、チェチェンの武装勢力がアルカイダ系のテロ組織に頼り過ぎ、逆に乗っ取られてしまったという構図なのかな。
     それならそれで、目的が摩り替えられては独立もできないという事を気づかせないと駄目だよねぇ。
     まぁ、ロシアがバルト三国には独立を認めたのにチェチェンの独立を認めないのは、石油のパイプラインがあるためだとも云われているから、実のところイラクと同じように、民族紛争に見せかけた単なる利益確保の争いなのかもしれん。実行犯は、指導者にいいように利用されてるだけ。
    「憎しみの連鎖を断ち切らなければ」と識者は言うが、実行犯たちの憎しみの感情を利用している指導者の説得についてはどう考えてるのか。指導者は自分たちの利益を確保したいだけなのだとしら、“憎しみの連鎖を断つ”なんてのは何の解決にもならない。
     『華氏911』は未見だけれど(公開前にあれだけ内容を暴露されてしまっては観る必要も無い)、あの作品で突いていたのが、まさにその点だったはず。
     ブッシュは石油の利権を確保して、ビン=ラディンはテロに対する多額の支援金を得て、双方が得をしているという話なんだから。
    ≪育児日記≫
     次郎に、またベビーフードのジュースを飲ませたんだけど、飲まなかった。
     ゴホゴホむせちゃって。
     でも1日大人しくて、夜は珍しく寝てくれた。
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    ◆9月5日(日)/2004年◆
     今日は、『スネークアイズ』の定例会。
     パーティーの開催はお休み中ではあるが、会員同士で小ぢんまりとゲームを楽しもうという事で行われた。
     私は先月の定例会は子どもキャンプで欠席していたため、『幻想時間』の収録で会っている武井くん以外のメンバーと逢うのは久しぶり。
     しばし病欠となっていたK氏も今日は久しぶりに出席。その後、お加減はいかがですか。
     武井くんには私がAIBOを購入した事を話してあったのだが、その武井くんは『TAKARA』のチョロモードペットという物を買ったそうで、見せてくれた。
     http://www.takaratoys.co.jp/cmode-pet/index.html
     武井くんが買ったのはオレンジネコで、携帯電話の番号キーで操作する仕様になっているという。
     しかも、操作するだけではラジコンでしかないが、ペットと銘打ってあるように操作しなくても勝手に動き出すらしく、また操作に従わない事もあるそうな。
     実際に動かしてみると、基本的に武井くんの操作に“まったく”従わなかった(笑)
     今度の『幻想時間』では、このチョロモードペットとAIBOを対面させてみようという話になった。
     その他に、雑談では球団参入を表明しているライブドアの話など。
    「どうせなら球団を4つ作って新しくリーグを立ち上げれば良いんじゃないですか」
    「そうしたら、ライブドアリーグに入りたいという球団も現れるかもねぇ」
    「でも、4球団の本拠地はどこにしましょうか」
    「四国はどうかな。4県それぞれに球団を置いて戦うの」
    「えらく狭い範囲ですねぇ」
    「観光客を呼んで地域の活性化を図るという事で」
    「ああ、鳴門大橋の他に作られた名前も知らない橋を活用するのにはいいかもしれません」
     やったゲームは、『セイギレンジャー』。
     過去にも日記で取り上げたので、ゲームの詳細は過去のメールマガジンを見て下さい。
     (4月18日の日記参照)
     http://backno.mag2.com/reader/BackBody?id=200405020600000000109927000
     今回私がプレイしたのは、極めて普通(?)の女性キャラ。
     いつもは“女好きな男”か“男狂いの女”という役柄が多いので(どっちも変わらんな)、ちょっと新しい性格に挑戦したのだが、これが見事に大失敗。
     強いモチベーションを持たない性格は、現実世界ならば控えめで大人しく周囲との調和も取れて悪くないのだろうけれど、ゲームの中では自らなんの指針も持たず状況に流されるだけというのは、周りのキャラ(プレイヤー)もどう付き合って良いか分からず困ったであろう。
     翻って、よくよく考えてみれば現実世界でも、当たり障りの無い人物というのは、接点が掴みにくく困るかもしれん。
     そうそう、今回の舞台設定は学校で私などは生徒という位置づけだったのだが、先生役をやったOくんはスゴかった。
     野球だのサッカーだのスキーだのというネタが出てくると、どんなスポーツでも「やった事がある」と胸を張り、しかし結局のところ下手という特色を出して、ちゃんとそれを場面場面で活かした活躍をしていた。
     ゲームとしても味のあるキャラに仕上がってるし、実際に絡みやすい。
     うう~む、TRPGは勝ち負けのゲームじゃないけれど、今日はOくんにしてやられましたなぁ。 
     
     ゲーム中に、なにやら体が揺れているような気がした。
     その時にはたいして気にしなかったのだが、帰ってからテレビのニュースを観たら、日本以西では各地に津波警報が出ており、結構大きな地震だった事が分かった。 
     どうやら震源地は、心配されている南海沖地震に近いらしい。
     
     ゲームが終わって、夕飯を食べに『牛角』へ
     http://www.gyukaku.ne.jp/
     H嬢が『特捜戦隊デカレンジャー』のカードが欲しいという事で、そのオマケがつくファミリーセットだかを注文した。
     食べながら、K氏に対して皆から苦言を少々。いや、かなりか。
     気分が塞ぎ込んでいて、それを本人も苦しんでいるというのは分かるのだが、それならそれでもう少し良い方向に現していかねばと。
     今日のゲームでのプレイスタイルで云うのなら、今回の舞台が学園と決まった段階で皆は同校の教師であるとか生徒であるとかという設定に落ち着けた中で、K氏は一人孤高のキャラに設定した。
     私も人と同じ事を嫌う性癖なので、その気持ちは良く分かる。
     しかし、人と違う事をする時には2つの覚悟が必要だ。
     1つは、無視される事を恐れない。
     もう1つは、接点は自分で作る。
     ハッキリ云って、これを気分が落ち込んでる時にするというのは無理があったのではないか。
     それで途中で不貞腐れてしまうのは、やはり良ろしくないだろう。
     神妙に話を聞いていたせいなのか、K氏が自分の目の前の肉ばかりではなく、他の人の前の肉まで食べてしまい、武井くんが注意した。
    「Kさん、人の前にある肉を食べるのはやめようよ」
     私は基本的に肉を食べない人なので(野菜焼きばかり食べていた)、あまり気にしてなかったよ(苦笑)
     野菜を食べてもあまり恨まれる事は無いから。
     私も気をつけよう。 
     夜遅くになって再び同じ地域で地震。
     関東でも電車が一時止まったらしいが、その前に家に帰れて良かった。
     気象庁からは津波警報が出されて、珍しく解除まで長引いている模様。
     ニュースから流れてくる緊迫した雰囲気に少しドキドキ。
     テレビの向こうの出来事だと、ドキドキに加えてワクワクしてしまうのだが。
     某サイトでチャットをしていたら、女子大生のSちゃんが海の近くではないものの、揺れも大きく阪神大震災を経験していたため、ものすごく怖かったとの事。
    「こわいです~(>_<)」
    ≪育児日記≫
     近畿で地震あり。
     1度めの20:00頃揺れに驚き、次郎が寝ていたのに泣きながら起きる。
     2度目の夜中には、ぜんぜん動じず、眠っていた。
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    ◆9月6日(月)/2004年◆
     お店のプリンターが紙詰まりで故障した。
     ローラーを緩める事ができず、詰まった紙が前にも後ろにも出ない。
     引っ張り過ぎて紙がちぎれ、紙片が中に残ってしまった。
     うう~、パソコンに続いてプリンタまで壊れるんじゃあるまいな。
     ちょっとイライラとしながら、慎重に紙片を取り出した。
     なんとか正常に稼動。良かった。
     歯の痛みで患者さんが来店。
     排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)を勧めたのだが、漢方薬は嫌だと強い口調で断られた。
     まぁ、好き嫌いは仕方がない。
     代わりに痛み止めをくれというのでお出しして、飲み方を説明。
     ところが、こんな事を言う。
    「一回飲めば治るだろ」
     痛み止めじゃ治りません。
     そう説明するのだけれど、「治ればいいんだ」と話を聞いてくれない。
     痛みが治まる=歯茎の腫れが治るという勘違いだろうとは予想できるのだが、どう言えば理解してくれるのか。
     痛み止めは、痛みを感じなくさせるだけなんですと説明しても、「だから治るんだろ」と堂々巡りとなり、結局は「治ればいいんだよ」とお金を置いて買われてしまった。
     むー(-_-;)
     ロサンゼルス国際空港で4日朝(日本時間5日未明)に小規模な爆発があったというニュース。
     当初はテロの疑いもあり、約4時間ほど空港が閉鎖されたという。
     実際にはテロではなく、日本人乗客のカバンの中にあった懐中電灯の電池2本が破裂して起きた事が分かったそうな。
     このニュースで私が驚いたのは、その“電池が破裂した”という事の方。
     電池が劣化していたからとか、空港職員が危険物でないか検査する時にプラスマイナスの向きを間違えて挿入したからとか、それはハッキリしないらしい。
     そっちの方をハッキリして欲しいなぁ。
     電池の注意書きでは、どちらも破裂する可能性を書いてあるけれど、本当に破裂する事があるのか前々から気にはなっていたんで。
     懐中電灯というから、使用していたのは家庭用の乾電池のはず。それが、破裂するってのは重要なニュースだと思うんですが。
     昨日の深夜に起きた2回目の地震で、津波警報が発令された和歌山県の太平洋沿岸21市町のうち、避難勧告を出したのが鳥羽、尾鷲市など計10市町だけだったというニュース。
     実際に県沿岸部には最大90cmの津波が到達し、避難勧告が出された自治体では5400人が公民館などに避難して、他の地域でも1575人が自主避難したとの事。
     勧告を出さなかった自治体の理由としては、海南市では「海は干潮に向かっていたし、津波による被害も無いと判断」したとコメントし、串本町は「東南海・南海地震ではない」事を理由としてあげているそうな。
     避難ってのは、難事を避けるためにするんだよ?
    「被害が出るほどの波の高さではなかった」とコメントしていた自治体職員もいたけれど、難事が起きて被害が出てからでは意味が無いって分かってるのか。
     避難勧告を出さなかった自治体の一つ新宮市なんかは「津波の到達が非常に早いという事がよく分かった。警報ならすぐ避難勧告を出すよう、地域防災計画の見直しなどを急いで検討する」と反省しているという。
     良かったね、被害者が出ないうちに反省できて。
     津波の速度って速いんですけど。それに威力も凄い。
     私も知識として知っているだけで、実際の感覚としては「50cmの津波が観測されました」とかニュースで聞いてもピンと来ないのだが、津波は水深が浅い所では急激に高くなり、50cmの津波の場合は岸壁で3m以上に達する事もあるらしい。岸壁にいれば波にさらわれるのには充分な高さで、海岸沿いの道路を車で走っていれば、車ごと飲み込まれる可能性もある。
     そして今回の地震で津波が心配されたのは、震源地が海底だから。
     津波の速度は水深と比例しており、深ければ早く浅くなると遅くなる。一般的には、水深が500mで時速200km程度、水深100mで時速110kmで、海岸近くの水深10mで時速36km程度だそうだ。
     これだけを見ると海岸近くに来る頃には遅いようにも思えるが、水深の深い場所からの初速は速く、また遅くなってきても人間の走る速さは時速15km程度(それも全力疾走で1分も走れまい)だから、「来た!」と言ってから逃げ切れるものではない。 
     海沿いに住んでいて、住民の生活の安定や安全を図るべき自治体職員が、津波の認識を甘く見ているというのは恐い話である。
     尾鷲市などは、山が海まで迫る地形のため津波の危険性を的確に認識しており、市内のビジネスホテルとマンションの計2棟が“津波避難協力ビル”に指定されていて、今回の地震でも同市のマンションに6人が一時避難したという。
     住むなら、こういう自治体に住みたいものですな。
     一部には、「避難勧告が相次ぐと住民への指示徹底が図られない恐れもある」という意見もあるようだが、個人的にはそれで避難する事を控えるような人は助けなくてもいいんじゃないかね。
     とにかく、情報を出すところまではキッチリやってもらいたい。 
    ≪育児日記≫
     夜、少なからず台風18号の影響を受けて雨。
     しかし明け方、次郎はすっきりとした顔で起きた。
     ……スッキリした文章過ぎて、育児日記になってないやん(^_^;)
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     卓上ゲームが好きな人や、興味のある方は覗いてみて下さい。
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  • ≪第4回≫補中益気湯

    漢方薬症例クイズ≪第4回≫

     実際の症例を元に、患者さんの症例データーを提示します。
     “書いてある内容”から推理して、適応すると考えられる漢方薬の名前を当てて下さい。
     基本的に当店で扱っている漢方薬としますが、解答としては必ずしも限定しません。「なるほど、その方法もあるか」と思われる解答であれば、正解とする事があります。(生薬のみや民間療法などは除外します。)
     正解者の中から、抽選で2名様に『竹久夢二・藍染トートバッグ』を進呈いたします。
     絶対の正解というものはありませんのであくまで、“あそび”として楽しんでいただければと思います。
     皆様の参加をお待ちしています。(終了しました)

    竹久夢二
    藍染トートバッグ

     yumeji.jpg (426717 バイト)  

     大正時代の詩人であり画人であった竹久夢二の絵を用いた、藍染のトートバッグです。
     染物ですので洗濯したり水に濡れると色落ちする事があります。
     あらかじめご了承下さい。

    募集期間:~5月17日(月)
    正解発表予定:6月1日(火)

    問題
     女性・38歳。
     主訴は、体がだるい事と食欲不振。
     体格は痩せ型。
     2週間前に子供の看病によって大変疲れた。それ以来、頭が重くスッキリしない。続いて悪寒、微熱、発汗、全身がだるい。食欲不振、頻繁なあくび。
     新薬の風邪薬を服用して悪寒は消えたが、発熱、発汗、時々ゲップ。舌の色は赤く、舌の苔は無し。

    正解
     
    正解補中益気湯です。
     当選したのは、以下の2名の方です。おめでとうございます。PzGr様は、2回目の正解です(⌒▽⌒)
      ※PzGr様…選んだ理由:大変疲れてだるい、食欲不振、微熱等。     正解者が1名でしたので次選の漢方薬としては柴胡桂枝湯も使えるものと判断して、当選とさせていただきました。えむし様も2回目の当選です(・v<)   えむし様…選んだ理由:お勉強会のサイトを参考として、本件は、風邪と判断、時期的には、初期段階を過ぎ、中期段階以降と考え、症状の適応薬である本品とした次第です。

    解説
     今回の患者さんは、悪寒に関しては他の風邪薬を服用して消えたという事で、現在の症状から風邪の後期の治療、あるいは病後の体力回復が目標となります。
     その場合、やはり重要になるのは主訴で、顕著な風邪の症状よりも疲労と食欲不振を訴えている事から、選択する漢方薬は体力回復のための物を選びます。
     問題の中で注目すべき点は、「時々げっぷ」と「頻繁なあくび」です。げっぷが出るという事は胃腸に障害が現れている証拠で、頻繁なあくびは“気”(エネルギーのようなもの)の巡りが悪くなっている事を示唆しています。
     胃腸に障害がある場合の食欲不振においては、いくら栄養のある物を摂取しても、それを消化吸収できなければ意味がありません。つまり、食欲不振を解消するためにはまず胃腸の働きを回復させる必要があります。
     そして、回復させるためには疲労によって滞っている“気”を巡らせるのが先決となります。
     補中益気湯の名前を、「気を益して中(胃腸)を補う」と憶えておくと良いでしょう。

    補足
     実は今回、十全大補湯人参養栄湯という解答が一番多くを占めました。おそらく、“倦怠感”と“食欲不振”で検索したのでしょう。しかし、同じ症状に適応するようでいて、補中益気湯と比較するとかなり傾向が違います。
     3種類の漢方薬の効能書きを比較してみると全てに“食欲不振”とあるものの、「消化機能が衰え」を明示してあるのは補中益気湯だけなのが分かります。ここが、難しいところなのですが十全大補湯は他の効能に「顔色不良、皮膚枯燥、貧血などを伴う」と添えてあるように、完全に物質的な栄養不足による場合に適応するため、まず候補から外れます。そして、人参養栄湯はというと効能に「寝汗、手足の冷え、貧血」が併記されている点からすると、体を温める傾向があるのが分かります。今回の患者さんは、悪寒に関しては解消しており、舌の色が赤いという事は上半身に風邪の後の熱が篭っている可能性を示しているので、ここで温める必要はありません。
     また、お店のページの中では生薬の解説はしていないので余談になりますが、補中益気湯に入っていなくて十全大補湯人参養栄湯に共通で入っている物として、『地黄(じおう)』があります。この地黄に温める作用があり、さらに胃腸障害がある場合には下痢を起したりするので、今回の患者さんには避けた方が良いと考えられます。
     それならば、十全大補湯人参養栄湯が適応する“食欲不振”の患者さんはどんな体質かというと、普段は体力が充実している人が一時的に体力を低下させた場合です。今回の問題においては、「体格は痩せ型」なので補中益気湯の方が向いています。
     次選として柴胡桂枝湯としたのは、桂枝湯小柴胡湯を合わせたものと考えられ、桂枝湯は胃の働きを良くして小柴胡湯は“気”の流れを制御する肝に作用して働きを助けられるという点と、風邪の後期に用いるのがスタンダードな用い方である事を考慮しました。
     四逆湯(四逆散)という解答もありましたが、比較的体力がある事を条件とした上での胃炎などを改善する漢方薬であり、なおかつ痛みなどの症状を取り除くものの補う力は弱いため適応外とさせていただきました。
     他にあった解答の中で、排膿散及湯は上半身の熱を取り除き炎症を抑え、竜胆瀉肝湯は下半身を冷やす作用がありますので、熱を発散するのには適していますが、より体力を消耗する可能性があるため、やはり今回の場合には避けたいところです。
     前回は正解者が多かったので、やや難しくしてみたところ今度は正解者が1人しかいませんでした。絶対の正解という物が無いだけに、設問の難しさを痛感しました。高校時代の先生が、「平均点90点以上じゃ優しすぎるし、平均点50点以下じゃ難しすぎて意味が無いから、平均点80点の問題を考えるのは大変」と洩らしていたのを思い出しました。
     ホームページの方の参考資料も充実していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
     また、この『漢方薬の症例クイズ』は皆さん自身が選んだり相談するさいに、効能以外にどんな点に着目する必要があるかを知ってもらうためであるのと同時に、皆さんがどんな視点で選ぶものなのかを私が知りたいという目的もありますので、“選んだ理由”は是非とも書き添えていただきたいと思います。参加していただき、ありがとうございました。

    解説:北村俊純

    参加者コメントより
     keikoko:症例でいろいろ、飲むべき薬はかわてくるんですね。ここで勉強して詳しくなりたいです。
     今のところ、よそのサイトの方が詳しいんですよねぇ(^_^;) 基礎理論を知りたいというリクエストもありますので、準備中です。お楽しみに(・v<)  えむし:二回目の問題で当選させていただき、有難う御座いました。今回も難しいですね、症例サイトの5の柴胡桂枝乾姜湯と迷いましたが、景品につられ、無難な方に回答させていただます。
     一番難しいのは、最初にエイヤッと強めのもので症状を抑えてから穏やかな物に変えていくと考えるか、初めは効き目の優しい物を試してみてから強い物に変えていくかですかね。(北村)  ちほりん:漢方以外に、看病して治った子供の笑顔が特効薬でしょうかね?
     そうですね。今回の場合は、子供が治ってホッと“気”を緩めたところで疲労が出てしまったのかもしれません。

     

  • ≪第1回≫麻黄附子細辛湯

    漢方薬症例クイズ≪第1回≫

     実際の症例を元に、患者さんの症例データーを提示します。
     “書いてある内容”から推理して、適応すると考えられる漢方薬の名前を当てて下さい。
     基本的に当店で扱っている漢方薬としますが、解答としては必ずしも限定しません。「なるほど、その方法もあるか」と思われる解答であれば、正解とする事があります。(生薬のみや民間療法などは除外します。)
     正解者の中から、抽選で2名様に『サトちゃんチョークバック』を進呈いたします。
     絶対の正解というものはありませんのであくまで、“あそび”として楽しんでいただければと思います。
     皆様の参加をお待ちしています。(終了しました)

    サトちゃんチョークバック

    porch01.jpg (79273 バイト) porch02.jpg (81108 バイト)
    表側       裏側

     ベルトなどに取り付けるチョークバックです。
     写真では、350mlのペットボトルを入れてみました。
     結構便利に使えます(⌒▽⌒)

    募集期間:2月14日(土)~29日(日)
    正解発表:3月3日(水)

    問題
     65歳、女性。身長150cm、体重50kg。
     主訴は、クシャミ、鼻水、鼻づまり、悪寒。
     顔色は蒼白く、舌はやや白い程度。悪寒が背中から全体にかけてするという。
     咽喉(のど)の痛みは無く、食欲は少ないが、熱はあまり高くないとの事。
     季節は冬。関東地方の平野部に住んでいるが、雪が降った日の翌日から症状が始まった。


    正解
     
    正解麻黄附子細辛湯です。
     正解者の中から抽選でという事でしたが、単品で正解した方が2名のみでしたので、そのまま当選者といたします。
     当選したのは、以下の2名の方です。おめでとうございます。
    PzGr様…選んだ理由:悪寒、鼻水、顔色悪いかな?
    アヤ様…選んだ理由:悪寒がひどく風邪に似た症状もあるので。

    解説
     通常、上半身が冷えるとクシャミや鼻水となり、上半身に熱が篭ると鼻づまりとなります。
     この時点で主に候補となる物としては、クシャミや鼻水には葛根湯小青龍湯、鼻づまりには葛根湯加川きゅう辛夷辛夷清肺湯などがあるでしょう。実際、解答の中では葛根湯が一番多く、次いで小青龍湯となっていました。
     ここで迷うのは、患者さんは鼻水と鼻づまりの両方の症状がある事です。対処療法としては、それぞれの症状ごとに小青龍湯葛根湯加川きゅう辛夷を交互に飲むという方法もあります。
     しかし、問題の中ではさらに悪寒があり、雪が降った翌日からという注目するべき点があります。つまり、“冷え”が強いという事です。
     もう1つ気になる事としては、熱はあまり高くないという点です。葛根湯を推す人の中には「風邪の初期のようだ」と予想した人もいましたが、すでに鼻に症状が出ており、食欲が少ない事、年齢が年寄りという程ではないものの中年以降である事から体力的な衰えを考慮すると、これから熱が出る初期というよりは、体力的に“熱を出す事ができない”と考えられます。
     以上の事から、この患者さんには麻黄附子細辛湯を用いました。

    補足
     温めるという目的で麻黄附子細辛湯小青龍湯を併用するという解答もありましたが、今度は温まり過ぎて気分が悪くなるかもしれません。まずは、どちらか一方で様子を見るというのが良いでしょう。
     また、風邪の中期から後期ととらえて柴胡桂枝湯小青龍湯を併用するという解答もありました。胃腸や肝臓を養いつつ温めて体力をつけさせるという着眼点は良いと思います。
     今回のクイズでは生薬の成分には触れませんでしたが、麻黄附子細辛湯小青龍湯の組み合わせでは麻黄(まおう)という生薬が、柴胡桂枝湯小青龍湯の組み合わせでは柴胡(さいこ)が重複してしまい、あまり好ましくありません。漢方薬を複数用いる場合には、この生薬の“重複”に気をつける必要があります。逆に生薬を重複させて特定の効果が高まる事を期待するという使い方もあるので、その辺りはお店で相談するようにしましょう。
     真武湯柴胡桂枝乾姜湯という解答もありましたが、今回の場合は問題の中でそこまでの衰弱や胃腸虚弱である事を示すものはありませんので、残念ながら除外となります。
     それと、解答で多かった葛根湯は「風邪の初期には葛根湯」というイメージが定着しており、それ自体は確かなものの、この“風邪の初期”というのがなかなか曲者です。ウチのお店にも「風邪のひき初めで」と言う患者さんが来るのですが、大抵は鼻に症状が現れていたり咳が出ていたりして、すでに初期を過ぎているという事が多くあります。
     定まった説がある訳ではありませんが、葛根湯の効力から考えると「頭が痛い……ような気がする」とか「寒気がする……かな?」という状態を初期と考えて、その段階で服用する方が効果的です。風邪の治療として使う場合は、症状が出てからでは葛根湯は遅いと思っておいて、風邪をひいた気がする段階で服用ようできるように普段から持ち歩いておくのが良いでしょう。

    解説:北村俊純


    参加者コメントより
     犬山しんのすけ:どうしても小青龍湯に目が行ってしまいまし。また、紫胡桂枝湯には、悪寒を抑える働きがあるとの事ゆえ、併用で。うぅん、やっぱりお薬の道は深い(^^;
     一度目につくと、ついつい捕らわれてしまうんですよね。私も「コレにはコレ」という癖がつかないように気をつけたいと思っています。(北村)

     morikawa:漢方薬の名前を漢字で入力しようとしたが挫折しました。ひらがなで入れるのもひと苦労。このHPを作った人はすごい! どう入力すればみたことない漢字をあんなに並べられるのだろう。
     日本語入力のユーザー辞書に地道に登録していきました(^_^;)(北村)

     

  • ≪通巻38号≫
    漢方薬の講習会『理気剤(りきざい)』/ニキビの相談/“怒り”の醜さ/政府の初動、現場の初動

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      ★彡☆-=★彡  それさえもおそらくは平凡な薬局  ★彡☆-=★彡
                      ≪通巻38号≫
      提供 : まぐまぐ http://www.mag2.com/
      発行 : 北園薬局 http://www111.sakura.ne.jp/~kitazono/
      編集 : 北村俊純
      窓口 : kitazono@a1.mbn.or.jp
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    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※11月18日(火)……漢方薬の講習会『理気剤(りきざい)』
        
    ※11月19日(水)……ニキビの相談
    ※11月20日(木)……“怒り”の醜さ
    ※11月21日(金)……政府の初動、現場の初動
    ************************* 先週の平凡な日記 ***************************
    ◆11月18日(火)/2003年◆
     今日は、月に一度の漢方薬の講習会。
     テーマは、『理気剤(りきざい)』である。
     『理気剤』とは、“気滞”を治療する薬の事で、“気滞”とは「気の停滞」、すなわち“気”が阻滞された状態に相当する。
     この“気”というのは、西洋医学には無い概念で、漢方薬を胡散臭いものにしている。なにしろ、血液などのように実体の無いモノだからだ。
     しかし例えば、目には見えなくとも“ストレス”というものは存在する。そして、ストレスが原因の病気があるのも事実である。
     気滞が発生する原因は非常に多いが、気滞だけが独立して現れる事は無い。
     最も気滞に関連が深いのは、やはり精神的ストレスで、漢方では“内傷七情(ないしょうしちじょう)”と言う。“内傷七情”とは、怒・喜・憂・驚・恐・悲・思の七つの心の動きが体をも痛めるという意味だ。
     情緒系・自律神経系に影響して肝気鬱結(かんきうっけつ)と呼ばれる抑うつ・緊張の状態を生じ、これにともなって全身の各部位の気滞を容易に引き起こす。
     気滞は発生する部位によって、1)胸部気滞、2)胃気滞、3)腸気滞、4)肝気滞などに分類される。
     気滞が関連する症状としては、以下のようなものがある。
    1.膨満感=胸・脇・腹などの張り・苦しい・痞(つか)える感じがするなど。
    2.遊走性の疼痛=異所性で時間的に増減する疼痛。
    3.渋滞性の症状=排尿や排便がスムーズではない・呼吸が苦しい・嚥下困難。
    4.気逆の症状=咳・胸が苦しい・悪心・嘔吐・吃逆(しゃっくり)・曖気(げっぷ)。
     理気剤の分類は、気滞の影響を受ける部位と、その症状で整理すると分かりやすい。
    ※『肝気鬱結(かんきうっけつ)』
     別名『肝気滞(かんきたい)』とも呼ばれ、肝臓がストレスを受けた場合を指す。
     症状としては、憂鬱感・怒りやすい・胸脇部の張った痛み・月経痛・月経周期が安定しないなどである。良く耳にする自律神経失調症も、ここに当てはまる。
     治法としては、“疏肝理気解鬱(そかんりきげうつ)”と言われる方法を用いる。
     代表的な漢方薬には、『小柴胡湯(しょうさいことう)』『柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)』『加味逍遥散(かみしょうようさん)』『柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)』がある。
     小柴胡湯は肝機能障害に用いられ、B型肝炎やC型肝炎などの治療薬として医療現場では重宝されている。また、応用範囲が広く、神経性の胃炎や過敏性腸症候群にも使われる。特に腹痛によって登校拒否を訴える子供や、出社の途中で下痢をしてしまうサラリーマンなどには良いだろう。
     余談だが、神経性胃炎が進んだ場合には、もちろん胃炎により特化した漢方薬を用いる。その時には、胃が熱を持っているか、胃が冷えているかの見極めが大事である。胃炎だからといって、胃が熱を持っているとは限らないのだ。
     胃が熱を持っている時には『黄連解毒湯(おうれんげどくとう)』を用いる。
     冷たい水を飲むと症状が軽くなり、温かいお茶を飲むと気分が悪くなるというのが見分け方になる。
     逆に胃が冷えている時には『安中散(あんちゅうさん)』を用いる。冷たい水を飲むと胃が重くなり、温かいお茶を飲むと落ち着く時が適応する。
     一般的に漢方胃腸薬といった場合には、この安中散である事が多いのだが、パッケージで内容を確認して服用しないと、症状に合わないというケースもあるので気をつけてもらいたい。
     柴胡桂枝湯小柴胡湯『桂枝湯(けいしとう)』を合わせた物で、胸脇部の張った痛みが強い場合に対応する。メールマガジンでは風邪の後期に用いる漢方薬として紹介しているが、より実際的には風邪の進行具合が不明な場合など、いつでも用いる事ができるので、覚えておくと便利だろう。
     加味逍遥散は特に女性に用いられるのだが、これは血を補う作用があるからで、生理になるとイライラする場合に特に効果がある。
     柴胡加竜骨牡蠣湯は、高血圧の症状があって不眠などを伴う場合に用いる事が多い。
    ※『胸部気滞(きょうぶきたい)』
     症状としては、胸が苦しい・胸が痞える・呼吸が早く荒い・胸痛・咳などがある。
     この場合の治法では、“理気散寒(りきさんかん)”・“理気活血(りきかっけつ)”・“理気化痰(りきけたん)”という方法を用いる。漢字を見れば、この治法の考え方は分かると思う。
     代表的な漢方薬としては『柴朴湯(さいぼくとう)』なのだが、ウチには置いていない。小柴胡湯『半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)』を合わせた物で、胸部気滞は次の“胃気滞(いきたい)”と一緒に扱えるからだ。
    ※『胃気滞(いきたい)』
     この症状には、上腹部の膨満感や痛み・食欲不振・曖気・吃逆・悪心・嘔吐などの強いものなどが該当する。
     治法は“理気化湿”・“理気化痰”を用いる。
     代表的な漢方薬としては、胸部気滞の方が強い場合には半夏厚朴湯を、胃気滞が強い場合には『かっ香正気散(かっこうしょうきさん)』を用いる事になる。
     胃気滞の場合には、時として気が滞るだけではなくて、気が上部に逆流してくる“胃気上逆(いきじょうぎゃく)”という事が起こる場合がある。これが曖気・吃逆・嘔吐などで、半夏厚朴湯を用いると良い。妊婦の場合には妊娠嘔吐(つわり)に使うことが多い。
     また、胃気上逆までいかなくても咽喉に異物感がある人や、緊張すると胸が苦しくなる場合、例えば大事な試験が控えているとか人前に立たなければならない時に症状を緩和する事ができる。ドラマなどで人前で挨拶するシーンに「ん、んん」とか咳払いするシーンがあるが、あの状態の事である。
     精神的な咳にも使え、特にストレスを感じると症状が出る喘息の場合に重宝する。と言うか、自分が重宝しています(^_^;
     そうそう、緊張を軽減するという事で、ウチのお店では受験期に良く売れる。受験生はお試しあれ。また、講師のお話によれば、子供の緊張感が親にも伝播して、親もイライラ感が高まり、それがまた子供に跳ね返って親子間のコミュニケーションがギクシャクしてしまうという場合には、親子で服用するのも良いとの事。
     『かっ香正気散(かっこうしょうきさん)』は、主に胃腸方の風邪(夏風邪)に用いる事が多いので、胃気滞として使うケースは少ない。ただ、胃腸を助ける生薬が入っているので胃腸虚弱だという自覚がある場合は、使ってみると良いだろう。
     この『かっ香正気散(かっこうしょうきさん)』は純粋に日本で近年になって開発された物で、中医学(中国漢方)至上主義の流派からは忌み嫌われている。近年と言ったって千年以上前の事だし、日本の気候風土に合ってるんだから、いいと思うのだけれど、
    ※『腸気滞(ちょうきたい)』
     症状には、腹部膨満感・腹痛・腹鳴・排ガス・排便困難・裏急後重(りきゅうごじゅう)などが強いなどがある。裏急後重というのは聞きなれない言葉だが、下痢の場合はトイレに行って戻ってきてもまだお腹がしぶったり、便秘の場合には便意はあるのに出ない場合の事をいう。つまり、何度もトイレに行きたくなる状態だと思ってもらって良いだろう。
     実は、この腸気滞には「コレだ!」という漢方薬は無い。あえて挙げるとすれば、便秘薬という事になる。
     漢方薬では、『半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)』が最初の選択といったところか。
     講師も、便秘の状態に合わせて臨機応変にと言っていた。まぁ、便秘になると気滞になるから、イライラしやすくなるのは当然と言えば当然。
     講習会の帰りに秋葉原の『LaOX』に立ち寄った。
     http://www.laox.co.jp/laox/index_tone.jsp
     日記には特に面白い事もないので書いていないのだが、今のところ毎日奥さんのお見舞いには行っている。
     ミカン持ってきて、チョコレート持ってきて、漫画を持ってきてと、まぁ贅沢な暮らしをしている(笑)のだが、ビデオを観たいとまで言い出したのだ。贅沢に磨きがかかって困る(・_・)ノ
     で、病室にはビデオデッキを持ち込んだりする訳にもいかないので、何か代わりの物を捜しにきたのだ。
     ポケットPCにビデオを取り込んでとも思ったが、画面が小さいわりに3万円以上もして、目的からするとコストパフォーマンスが悪い。手帳代わりに使えばいいのだろうが、奥さんの事だから絶対にそんな風には使わない。
     持っているノートパソコンにビデオを取り込んでダウンスキャンコンバーターでテレビに出力する方法もあるが、電源コードが必要で、これまた病室には持ち込めない。
     しかし、捜してはみるものでカノープス社から出ている『SSC120EX』という製品を発見した。
     http://www.laox.co.jp/laox/index_tone.jsp
     USBケーブルを用いて、パソコンから電源を得るというダウンスキャンコンバーターだ。
     ノートパソコンだと電力消費が激しそうだが、それでも映画の一本くらいは観られるだろう。
     新製品なのか値引率は低かったが、1万3千円ならば悪くない。速攻で購入を決めた。
     また、レジの店員がものすごく丁寧で人当たりが良く、ごく自然に気配りの行き届いた人で、たった1つの商品を買うだけなのに心地良くなってしまった。
     帰りに夕飯代わりにマクドナルドに入ったのだけれど、良く考えたら昼食はロッテリアであった。
     1日に2度もファーストフードで食事を済ますというのは、かなり体に悪いのではないかと思うものの、奥さんの料理もほとんど冷凍食品だから変わらんなと酷いことを思う(笑)
     明日は、もう少しまともな食事をしよう。
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    ◆11月19日(水)/2003年◆
     商店街の同じ並びにあった『ニシワキ薬局』が閉店してからというもの、製薬メーカーや健康食品メーカーの営業マンが入れ替わり立ち代わりやって来る。
     『ニシワキ薬局』に置いていた商品を取り扱ってくれという訳である。
     まぁ、それは当たり前だし、商品を勧める資料に「いい事ばかり」が書いてあるのも当然ではあるけれど、リスクも分からないとなんとも扱いにくい。
     とりあえず資料は預かったが、ウチは漢方薬が主力だから、あまり他の商品を扱う予定は無い。お店も小さくて置き場所が無いし(苦笑)。
     病院からの処方箋を持ってくる患者さんで、毎回次の診察日を教えてくれる人がいて助かる。
     必ずしも同じ薬が出るとは限らないが、事前に薬の注文をしておいて備えておく事ができるので。
     これから風邪が流行るという事で、あらかじめ常備しておくためにと柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)桔梗湯(ききょうとう)をお買い上げいただいたお客さん、お話をしてみたら旦那さんは今咳が出ているとの事。
     熱や鼻などの症状は出ていないようなので、麦門冬湯(ばくもんどうとう)で様子をみてもらう事にした。
     ニキビの相談に患者さんが来店。
     ニキビと言って真っ先に思いつく漢方薬は清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)ではあるが、適応するのは赤ら顔の、いわゆる熱証タイプの人。
     しかし、今回の患者さんは痩せていて、冷え症もあるという。
     また、ニキビだけではなく、たまに首の後ろなどにオデキができるとの事。
     だとすると、血液の循環が悪くて、ところどころで血が滞っているのかもしれない。
     力の弱いニキビには当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を用いる場合もあるものの、そこまでは虚弱な体質でもない様子。
     そこで、普通は湿疹や蕁麻疹に用いる事が多い十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)を試してもらう事にした。名前の通り、十種類の生薬で体内の毒素を敗(やぶ)るための漢方薬である。
     また、もしニキビが化膿した場合には、排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)を使うように勧めた。これもまた名前が効能を示していて、膿を排出する事のできる漢方薬である。虫歯などの歯茎の化膿にも使えるので常備しておくと役に立つだろう。
     前回のメールマガジンで書いた、未承認抗がん剤での治療に保険を適用することについて、『中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)』の『基本問題小委員会』が年内にも正式決定する運びとなった模様。
     (11月17日の日記を参照)
     保険を適用することを正式決定しても、承認されるのはさらにその後なので、実際に使えるのはまだ先のこととなるが、保険適用の承認を迅速化するために、審査期間を4ケ月~半年程度に短縮するとの事なので、通常だと1~3年かかる事を考えれば期待してもよいかもしれない。
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    ◆11月20日(木)/2003年◆
     今日は朝から雨。
     気温はそれほど低くはないが、やはり雨が冷たくて寒く感じる。
     ホカロンを欲しいというお客さん、少しお話をしたら旦那さんが寒気がするというのでホカロンを買いに来たとか。
     風邪薬は飲んでいるのかも尋ねたところ、眠くなると仕事に差し支えるので飲んでいないとの事。
     それならば、漢方薬で眠くならない風邪薬がありますよと麻黄湯(まおうとう)を勧めた。
     それと、すでに寒気がしているという事は熱が出てくる可能性がある。仕事を休めそうもないのであれば、地竜(ぢりゅう)を合わせて飲むように勧めた。
     病院からの患者さんに出す薬で500錠仕入れてしまった物があり、その患者さんが1回限りで来なかったためどうしようかと思っていたところ、同じ薬を処方された患者さんが来た。
     なにしろ1錠で200円くらいする薬なので、在庫を抱えると痛い。それが今回は360錠が一気に掃ける。ヤレ助かった。
     風邪をひいたという患者さんが来店。
    「パブロンを下さい」と言われて、つい「効きますか?」と訊いてしまった。
     売る方が「効きますか?」って尋ねてどーする(笑)
     ウチでは、余り効かない事になっているので(・_・)ノ
     そこへ、いつも漢方薬を使っていただいている患者さんが来店。大きな声で「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)麦門冬湯(ばくもんどうとう)をくれ!」と注文された。
     そして、「あれだよな。風邪が進んじゃったら、柴胡桂枝湯でいいんだったよな? 麦門冬湯は痰のからむ咳でいいんだっけ?」と確認された。
     はい、間違いございませんm(_ _)m
     それを聞いた最初の患者さん、「俺もそうするかなぁ」と乗ってきた。説明の手間が省けちゃった(⌒▽⌒)←省くな。
     買う物が決まっている後からの患者さんのお会計を先にさせてもらい、改めて最初の患者さんの症状を詳しく尋ねた。
     風邪の症状はすでに進んでいるようなので、葛根湯(かっこんとう)では間に合わない。まずは、先ほどの患者さんと同じ柴胡桂枝湯を勧めた。
     その上で、咳は酷くなくて疲れの方が溜まっているようなので、地竜(ぢりゅう)を合わせて服用するように伝えた。
     ハンセン病を理由に『アイレディース宮殿黒川温泉ホテル』が国立ハンセン病療養所『菊池恵楓園』(同県合志町)の入所者らの宿泊を拒否した問題で、同ホテルの前田篤子総支配人らが謝罪のため同園を訪れたとのニュース。
     しかし、入所者自治会は「ホテル経営や自分の地位を守るための謝罪で誠意が感じられない」と謝罪文の受け取りを拒否したとの事。
     また、法務省人権擁護局は、旅館業法(宿泊をさせる義務)違反での捜査当局への刑事告発も検討しているとか。
     私も怒りやすい性格だが、それだけに怒っている人々というのはテレビで見るとその“醜さ”にゾッとさせられる。
     なにより、人には“受け入れられないモノ”があるという事が、差別を解消しようという意識の高まりに反比例するように忘れられているのが私には気になる。
     以前に差別について書いたように、現在の日本の環境であれば差別しない相手を探す事もできるはずで、差別したい人にはさせておけばいいではないかと私などは思ってしまう。
     (10月12日の日記参照)
     人が理性のみで物事を割り切り、論理的に判断するだけであったなら、それは血の通わない機械と同じである。(科学が進歩したら、いずれこの言葉も機械に対する“差別的発言”となるかもしれない。)
     人間には心がある。心があるから、根拠が曖昧でも人を信じ愛す事ができる。それは、正しい知識も無しに差別する心と表裏一体であろう。
     入所者らが不当に扱われ人権侵害をされてきた事には同情するが、まさに、その“心の狭さ”によって誤解され、迫害されてきたはずではなかったのか。
     許す心を持てない人は、受け入れる心を持たない人と同じに私には思える。
     熊本県の方も問題で、ホテル側が宿泊を断った時、社会的に不利になるというような話で再考を促したという報道がある。ようは、脅迫だ。
     正しいデータを示すのでもなく、情に訴えるのでもなく、脅しにかかったのでは説得も何もあったもんじゃない。
     それで、「人権侵害にあたり、旅館業法違反の疑いがある」として法務局に通報するというのは、“正しい知識の普及”に務めていないのではないか?
     ホテル側は当初、宿泊拒否の理由について「ハンセン病をすべての宿泊客が理解しているわけではない。他の客に迷惑が掛かる」と説明していたそうで、残念ながらこれは“正しい”認識なのではないだろうか。
     他の宿泊客から苦情が出た場合、あるいはキャンセルされた場合の事を考慮すれば、宿泊を断るというのは経営判断として間違っているとは思えない。何故なら、まさかハンセン病患者が宿泊する事を理由に他の客がキャンセルをした場合、その損失をハンセン病患者に請求する訳にはいかないではないか。
     『全国ハンセン病療養所入所者協議会』の中央執行委員である平野昭氏は「理解が進んでいると思っていただけに残念。県が事前にホテル側を説得しておくべきだったとも思う」と話している。
     もし県が本当に、ホテルを始めとする事業主にハンセン病患者への差別を無くすための働きかけを積極的に進める気があるのなら、まずは受け入れる事が商売として“美味しい”と認識させるべきだと私は思う。
     先の県がホテルを説得する時にも、損失が出ない事を保証して、受け入れた場合のイメージのアップなどを提示するべきだったのではないか。
     こう言うと、営利優先でケシカランと思うむきもあるかもしれないが、企業の利益によって多くの国民が生活できている事実も忘れてはいけない。
     むしろ、営利を優先しなければならないという資本主義に基づく営利活動の原則を利用して、弱者をいたわる社会作りに活用した方が良いだろう。
     差別する心には根拠は無い。根拠が無いのに、論理的に説得したってすれ違うだけで相互理解はとてつもなく難しい。
     それならば、互いに理解し合う事は難しい事こそを認識し、“折り合える”点を接点として互いに“利益”を得る方が、平和的だと思う。
     繰り返すが、怒っている人々というのは醜いものだ。(自戒を込めて)
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    ◆11月21日(金)/2003年◆
     今日は大快晴。
     日中の気温は25度にまで上がるらしい。
     それでいて、明日は12月の気温になるという予報。まったく、ふざけた気候である。
     サトウ製薬の営業マンが来店。
     風邪をひいて、しばらくお休みしていたらしい。風邪の猛威が始まっているようである。
     何かサトちゃんグッズなどを貰おうと、しばし仕入れの交渉。
     1万円分仕入れると○○が付くなどの条件を提示されたので、○○よりも△△が欲しいというような次第。
     ウチに来るお客さんや患者さんは、時として「あっ、お財布忘れちゃった」とか、「後でまとめて払うから」という事がある。と言うか、多い(^_^;)
     まぁ、それで渡しちゃう方もなんなのだが、特に風邪薬とかを買いに来た人に、またお金を取りに戻って出てきてもらうのでは本末転倒なので。
     かと思うと中には、たまたまお金を多く持っているからという事で、「後で貰いに来るから」とお金だけ先に払っていく人もいる。
     そうすると、ツケだの先払いだの、だんだん分からなくなってくるため、レジにはそのメモがどんどん増えて少々汚らしい(苦笑)。
     政府が21日の閣議で、大災害や大事故が発生した場合の基本的な初動体制を定めた危機管理マニュアル“緊急事態に対する政府の初動対処体制について”を決定したとのニュース。
     地震や噴火などの自然災害や大量殺傷事件が発生した場合を想定しているそうで、基本的な初動体制を統一して、徹底した方が臨機応変に対応できると判断し、従来のマニュアルは廃止したとの事。
     それにしては、「<1>危機管理監が事態に応じて緊急参集チームを集める<2>官邸対策室、関係閣僚協議、安全保障会議、対策本部を設置する<3>官房副長官は官房長官を補佐し、事態に応じて政府の対応に関して総合調整を行う。」というのは、“初動対処体制”と“臨機応変に対応”というのに反しているように思えるのだが。
     アメリカの場合、その現場に公務員がいれば役職上の上司が現場指揮を執る権限を持つように定められている。また、国の軍隊が動けない場合には、自治能力のある集団が武器を持って行動する事を認めている。(州によって違うかもしれないが)
     緊急事態の時に、チームを集めるとか対策室を設置するという発想が悠長だという事になぜ気がつかないんだ(^_^;)
     確かに今回の危機管理マニュアルは、“政府の”対応策として作成したものだろうが、1~3のいずれも当たり前すぎてわざわざ決める必要があったのかという気がしてならない。
     むしろ阪神淡路大震災を教訓にするのであれば、知事に近隣の自衛隊基地に出動を要請ではなく命令できる権限を与えるとか、負傷者の手当てで医療過誤があったとしても罪を問わないとか、本当の初期の初期、政府が本格的な介入を始めるまでの対策を決めてもらいたい。
     森元総理は、えひめ丸が米原潜と衝突して沈没した時、自分が官邸に駆けつけても仕方がないとしてゴルフを続けていために非難されたけれど、現場からすれば政府の初動体制なんて確かに「どーでもいい」事なのだ。
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    ~~~~~~~~~~~~~~ ≪読者より一言≫ ~~~~~~~~~~~~
    (通巻37号はコチラ)
    ☆共感する事もあった
     抗がん剤の保険適応について。全く、何とかして負担を減らして欲しいものです。モルモットにされた挙句、毎月何万円も負担なんて、踏んだり蹴ったりですからね。
     あと<X’mas>の話、確かに間違いが横行してますねー(笑)。(MIKA)
    ★抗がん剤の保険適応については、ちゃんと動き始めたようです。患者さんの期待を裏切らない運用をしてもらいたいですね。
     クリスマスの表記に関しては、グーグルで検索してみたところ、『X’mas』が約1,540,000件、『Xmas』が約2,890,000件ヒットしました。一瞬、ずいぶんと間違いがあるんだなーと思ったのですが、『X-mas』という表記もあって、それが『X’mas』の類似としてヒットしたようです。でもって、『X’mas』の表記をしているのはほとんど日本語ページばかりでした。ちょっと恥ずかしいかも(^_^;)
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  • ≪通巻37号≫
    クリスマスカードを作る前に綴りをチェック/漢方薬のお店に来て漢方薬は嫌だとはこれいかに?/アミノ酸再び、いやテレビでは三度目か

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      編集 : 北村俊純
      窓口 : kitazono@a1.mbn.or.jp
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    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※11月15日(土)……クリスマスカードを作る前に綴りをチェック
    ※11月16日(日)……漢方薬のお店に来て漢方薬は嫌だとはこれいかに?
    ※11月17日(月)……アミノ酸再び、いやテレビでは三度目か
    ************************* 今回の平凡な日記 ***************************
    ◆11月15日(土)/2003年◆
     胃薬を飲んでいるのに、朝食の後にみぞおちが痞(つか)えるような感じがするという患者さんが来店。
     飲んでいる胃薬が何か尋ねると、『ガスター10』との事。
     『ガスター10』は効能書きに「胃痛、胸やけ、もたれ、むかつき」となっているが、使用目標は“胃酸過多”である。つまり、胃酸の出を抑える作用があるわけで、胃酸過多による症状でなければ胃酸の出が悪くなって胃痛や胃もたれになってしまう。
     適しているかどうかの目安としては、症状が“空腹時”に現れるのか“満腹時”に現れるかだろう。
     今回の患者さんの場合は、食後という事なので適応外となる。
     そこで、舌の状態を見せてもらうと、舌の白い苔が左右に割れていた。これは、神経的な緊張(心配事)などが原因で胃が水を上手くさばけていないと考えられる。
     その事を尋ねてみると、どうやら当たったようで悩み事がある様子。となると、治療するための漢方薬としては、2種類が候補に上がる。
     みぞおちが痞えるような感じがするというのに相違が無ければ、胃が痙攣しているという事なので半夏写心湯(はんげしゃしんとう)が適応する。
     もう少し上の部分、咽喉の下の方が痞えるようであれば、食道が狭窄しているということであるから半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)が適当だろう。
     また、胃潰瘍の予防には柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)も使える。胃潰瘍を治すほどではないが、消化器と肝臓を助ける働きがあるので、症状が激しくなければ使ってみるのも良い。
     今回の患者さんは、まず半夏写心湯を試してみて、合えば服用を続け、合わなければ半夏厚朴湯を試してみるという事にした。
     眩暈(めまい)と吐き気に葛根湯(かっこんとう)を求めて患者さんが来店。
     風邪の初期であれば、そういう選択もあるとは思うが、お話を訊いてみると、わりと頻繁に起こってる症状らしい。
     吐き気が強いようであれば、二陳湯(にちんとう)を服用すればだいぶ楽になるはず。
     しかし、食欲が落ちているわけでもないのに眩暈とともによく起こるのだとすれば神経的な要因も考えられる。
     今回は、神経的な眩暈に重点を置いて苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)を勧めた。
     そろそろクリスマスのイルミネーションが飾られたり、クリスマス商戦に向けた企業やお店の宣伝活動が始まった。
     それらのチラシやポスターを見て気になるのは、『X’mas』という表記。
     最近では『Xmas』という表記が増えたのに、未だに『’(シングルクォーテーション)』を見かけることがある。近所のスーパーのチラシに書いてあった時には、前のめりにズッコケてしまった。(人生いつでも前のめり。)
     英語表記では、『’』は何らかの文字を省略した場合に用いる。「I am」を「I’m」とか、「can not」を「can’t」というように。
     では、『X’mas』というのは、何を省略しているというのか。
     そもそも、あの『X』は、アルファベットの『X(エックス)』ではなく、ギリシャ文字の『X(カイ)』である。『X(カイ)』は、それ一文字で『キリスト』を意味する。
     そして、『mas』は英語では『お祭り』の意味で、その語源はラテン語の『missa(ミサ)』に由来し、本来の意味はカトリックの事を指して、そこから転じて、ローマカトリック教会で神を讃え、賛美と感謝を捧げる聖体拝領を行う典礼の事を意味するようになった。
     だから『クリスマス』とは、“キリストを讃えるお祭り”という意味で、『Xmas』という1つの単語なのだから、何も略してはいないのだ。
     『キリスト』を英語で表記すると『Christ』だから、『Christmas』というのを省略するとすれば『C’mas』という表記が正しいかもしれない。見たこと無いけど。
     ちなみに、『キリスト』というのは名前ではなくて、油を塗られた者という意味で、王に与えられた称号だったのが転じて救世主の意味となり、『イエス』の敬称として使われるようになった。
     もしこれからクリスマスカードを自分で作ろうという人がいたら、『’』を付けないように気をつけましょう。
    //////////////////////////////////////////////////////////////////////

    ◆11月16日(日)/2003年◆
     以前に腰の神経痛で麻杏よく甘湯(まきょうよくかんとう)を渡した患者さんが来店。
     神経痛の方は治まったのだが、肩こりが残っているとの事。
     しかし、仕事で良く手を使うという話を以前に聞いているので、腱鞘炎と同じ症状が肩に出ているのではないかと推測した。
     詳しく訊いてみると、やはり“こり”というよりも“痛み”の方が強いらしい。
     胃腸は丈夫そうなので、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)を勧めた。
     効能は腰痛や関節痛だが、腕を良く使う人の疲労による痛みにも効果がある。
     咳止めの薬が欲しいという患者さんが来店。
    「早く治るヤツをくれ」との事だったので、まずは咳の種類を確認するために症状を尋ねてみた。早く治すには、ピンポイントで狙い撃ちするのが大事である。
     ところが、「そんなのいいから、効くヤツくれよ」という。
     ええと、教えてもらわないと手も足も出ないんですけど。
     とりあえず重ねて、痰のからむようなゴホンゴホンという咳か、乾いたようなコンコンという咳かを質問すると「両方だ」との答え。
     両方? うーん、まぁそういう事もある。
     そこで、寒くなると酷くなるか暖かくなると酷くなるかを尋ねてみた。すると、寒くなると酷くなるという答えだった。
     寒くなると咳が酷くなる場合には、温めながら咳を止める小青龍湯(しょうせいりゅうとう)が適応するだろう。
     そう思って勧めてみたのだが、「漢方薬は長く飲まなきゃ効かないんだろう」と断られた。
     “また”である。漢方薬は長く飲まなければ効かないという誤解は、どこから出てくるのか私としては理解に苦しむ。
     しかし、患者さんの要望は「早く治す」という事だったので、まずは効き目が早い事を説明した。私自身も冬場の喘息には小青龍湯を服用しており、飲むとすぐに体が火照ってきて咳が楽になるのを体感しているし、単に咳を止めるというのではなく治すという観点から言えば、かなり効果が期待できる。
     だが今回の患者さんは、「そんなの3日ぐらい飲まないと効かないんだろ?」と、こちらの説明がまったく耳に入らなかった模様。
     漢方薬を毛嫌いしている人がいるのも確かだし、以前に何らかの治療で漢方薬を用いて期待した効果が得られなかった人などは特にそうだ。中には、“漢方薬”と言っておきながら、服用した物がなんだったのかを尋ねてみると、漢方薬ではなくて単なる生薬だったり、民間療法を試しただけという事もあるのだけれど。
     とにかく、それほど漢方薬を信用できないようならば仕方が無い。一般の市販薬の中から咳止めを選ぶ事にした。
     ところが、咳がどれくらい続いているのかを尋ねたら、かれこれ1週間近く続いているらしい。それも、日が暮れてきてから酷くなるという。
     となると、一般の咳止めでは一時的に神経を麻痺させて咳を止めても、薬が切れればまたぶり返すのは目に見えている。
     漢方薬の方が早く治すことができると、再度勧めてみた。
     それでもやっぱり、「漢方薬ってのは、3日くらい飲まなきゃ効かないんだろ?」と言う。
     そんなに嫌がるほど何かあったのかというのが気になり、以前に漢方薬を使った事があるのかを尋ねてみたのだが、使った事は無いとの答え。
     ううん、使った事が無くて「3日くらい飲まなきゃ」というのは、いったいどういう根拠なのか。
     だいたい現在では、一般の市販薬の中にも漢方薬の葛根湯(かっこんとう)を処方した『カコナール』という製品や、桂枝湯(けいしとう)を処方した『コルゼシロップ』などの製品もある。効き目が遅かったら、風邪薬として役に立たないと思うのだが。どちらにしろ、残念ながら今回のように咳が主訴の場合には効果を発揮しない。
     良くない事だけれど、なんだか相手をするのもバカバカしくなってしまった。
     何故なら、ウチの周辺は複数のドラッグストアーが犇(ひし)めき合っている激戦区である。
     その中で、どうして『漢方相談』の看板を出しているウチに来て、漢方薬は嫌だと言うのか分からない(^_^;)
     ウチの近くに“にんにくラーメン”という看板を出している『げんこつラーメン』というラーメン屋があるが、その店に入って「にんにくは嫌いなんだ」
    と言われてもねぇ………。
     結局その患者さんは、目に付いた(まさにパッケージを見ただけ)咳止めのシロップを買っていった。
     漢方薬の効果に疑問を持っていながら、成分も詳しい効能も確認せずに薬を買っていくとは不可解な(?_?)
     説明しないで適当に選んで買ってくれるなら、こんな楽な商売は無いのだけれど。
     民主党になった小沢一郎氏が、テレビ朝日の番組に出演し、同党が議席を伸ばした衆院選について「負けは負けだ。率直に認めて今後の対応を考えなければならない」と発言したというニュース。
     カッコ良すぎるぞ(笑)
     菅直人氏が精一杯負け惜しみを言って、みっともなさを倍掛けでさらしているのに対して、小沢氏の発言は民主党を頼りないと思っている人を振り向かせるのではないだろうか。
     うかうかしていると、本当に民主党は小沢氏に乗っ取られてしまう予感がする。
     私は小沢氏も菅氏も嫌いだけど、小沢氏の持っている“悪の魅力”は依然として「何かを壊してくれる」期待感を抱かせる。首相になる前の小泉氏と同じではあるな。
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    ◆11月17日(月)/2003年◆
     『ハルンケア内服液』を求めて患者さんが来店。
     http://www.nccpromo.net/harncare/
     頻尿で、夜中に何度もトイレに起きてしまうとの事。
     しかし『ハルンケア内服液』は、1日分で千円もする。
     この『ハルンケア内服液』、内容成分は漢方薬の八味地黄丸(はちみじおうがん)と同じである。それでいて、ウチでの価格は1週間分で1千4百70円。八味地黄丸の方が断然お得である。
     そこで、その患者さんも八味地黄丸に決めて1ヶ月分購入するという。
     ヤタッ(⌒▽⌒)♪
     ところが、一度お会計を済ませたところで、ふと気になった。目の前の患者さんは恰幅(かっぷく)もいいし、50代そこそこに見える。八味地黄丸が合うようには見えない。
     のぼせが無いか尋ねたところ、少し顔が火照ったりするという。しかも、体力自体はある様子。
     それならば、八味地黄丸よりも六味丸(ろくみがん)の方が良いかもしれない。
    加齢による機能面の低下であれば八味地黄丸だが、季節の変わり目などによる疲労から来る物質面の低下には六味丸を使う方が合う。
     その事を説明し、六味丸を1週間分だけ試してもらう事にした。もし合えば、買い足すとの事。
     お会計を計算し直して、差額をお返しした。
     イカンイカン、目の前の売り上げに釣られたらイカンよ。>俺
     乙字湯(おつじとう)の液剤が順調な滑り出し。
     痔の薬というと、どうしても塗り薬の方を選ぶ患者さんが多いが、繰り返しなるようならば、やはり体の中にこそ原因がある。
     痔の症状は、あくまで体の不調が特定の部位に現れただけで、塗り薬だけでは対症療法にしかならない。
     店頭では、その事を説明するとほとんどの患者さんが塗り薬と合わせて購入してくれる。
     でも、それで治ってしまうと、もう塗り薬の方も買わなくなるので、実は乙字湯を売れば売るほど収入減になるような気もするな(苦笑)。
    「アミノ酸を下さい」というお客さんが来店。
     またですか(笑)。
     (10月10日の日記を参照)
     なんでも、昨日の『発掘! あるある大辞典』でアミノ酸の事をやっていたらしい。
     調べたら、この番組ではアミノ酸を取り上げるのは3回目。
     そろそろアミノ酸ブームも下火になってきたから、スポンサーのテコ入れか。
     http://www.ktv.co.jp/ARUARU/
     番組中では肝臓にいいと放送していたとかで、お客さんは肝臓に効くアミノ酸が欲しいという。
    「効く」と言われると、「無い」としか言いようが無いぞσ(^◇^;)。
     どうやら、お酒を飲む前に摂取すると悪酔いを防ぎ、お酒を飲んだ後に摂取すれば二日酔いにならないという事だったらしいのだが、そもそもアミノ酸はタンパク質を構成するものである。それなら豆腐を食べて油揚げの入った味噌汁を飲めば充分。
     どうして、わざわざ高いお金を出して、アミノ酸を購入する必要があるのか。どう考えても、スポンサーの意向が反映されているようにしか思えない。
     しかも、番組では「アミノ酸は薬局・ドラックストアなどで取り扱っています。」と言ったとか。
     ウチには置いてませんよー( ̄^ ̄)
     今回のお客さんは、アミノ酸の種類も確認していなかったようなので、もし肝臓が心配ならばとネオレバルミンを勧めてみた。
     360粒入りの瓶を買っていかれたが、たぶんアミノ酸を服用するよりも効果があります。
     抗がん剤の使用を、保険適用で使いやすくするための抗がん剤の『併用療法検討委員会』を厚生労働省に設置するとのニュース。
     現在日本では、複数の抗がん剤を組み合わせる併用療法で未承認薬を1つでも使うと、治療費が全額患者負担となる。
     そのため患者団体は製薬会社に効能拡大の申請をするよう求めているが、製薬会社側は臨床試験に時間と経費がかかることなどから申請に消極的だという。
     確かに製薬会社も企業である以上は、数十億円の投資をするというのはリスクが大きすぎて難しいのは理解できる。
     また、未承認の薬を信じて使用するのは患者の自己責任においてという事で保険を適応できないという考え方も間違っているとは思わない。
     しかし、こう言ってはなんだが、使用する患者さんは、いわば自ら人体実験をするようなものなのだから、そのデータを買い上げるという形で企業や国で補助してもいいと思うのだけれど。
     同省は委員会が選んだ抗がん剤による治療を特定療養費制度の中で保険適用し、申請の「呼び水」としたい考えのようだが、果たして上手く活用できるのだろうか。
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    て、当方では責任がとれませんのでご了承ください。
     また、筆者が思った事や感じた事を率直に書いている事柄に関しましては、反証可能な事実誤認以外の訂正には応じられません。
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  • ≪通巻36号≫
    “手続き”と“緊急”のバランス/客には客の物語がある/奥さんを病院に放り込むまで/子供の風邪

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      編集 : 北村俊純
      窓口 : kitazono@a1.mbn.or.jp
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    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※11月11日(火)……“手続き”と“緊急”のバランス
        
    ※11月12日(水)……客には客の物語がある
    ※11月13日(木)……奥さんを病院に放り込むまで
    ※11月14日(金)……子供の風邪
    ************************* 先週の平凡な日記 *************************
    ◆11月11日(火)/2003年◆
     冷え症の相談に患者さんが来店。
     しかしお話しているうちに、あれやこれやとかなりの心配性な印象を持った。
     印象だけでは判断できないので、夜はよく眠れているかを尋ねたところ、やはり寝つきが良くない模様。
     そこで、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)を勧めてみた。
     循環器疾患に用いる漢方薬で、冷え症のある人で神経質な人の不眠に効果がある。
     神経質な人は血管が収縮したりして血の流れが悪くなり、それが冷え症に結びつく事がある。
     その場合は、体を温めたりする漢方薬よりも、まずは鎮静作用のある方が合うだろう。
      
     病院で貰っている薬の相談に患者さんが来店。
     高脂血症の薬を飲むとだるくなるとの事。
     それならば、まずは医師に相談をしてもらう方が早いのだけれど。
     ウチでは、薬の説明をしたりするのは可能だが、服用をやめましょうとまでは言えない。(もちろん急な症状の悪化などがあれば服用を中止した方が良いが。)
     なにより、ウチで処方した訳ではないので、ウチから病院に連絡するという訳にもいかない。
     とにかく、やめるにしてもまずは担当の医師に連絡するように伝えた。
     どうも、医師に対して相談するのを臆する人がいるが、医師もまた客商売である。そして、扱っているのは患者さん自身の健康である。客商売は、「お客様は神様です」が基本。健康をお金を出して“買う”以上は、どんどん相談した方が良い。
     とはいえ、ケンカごしに質問して、肝心な事はなんにも耳に入らない患者さんもいるんだよなぁ(苦笑)。
     癲癇(てんかん)の予防になるような漢方薬はありませんかと、相談に患者さんがみえた。
     一口に癲癇と言っても、原因が様々なので難しい。脳の障害が原因の場合には、さすがに漢方薬ではどうにもならない。
     子供の癲癇には、小柴胡湯(しょうさいことう)を用いるのが基本。
     今回の患者さんの場合は、症状そのものは重くなく、頻繁になる訳ではないとの事。ただ、季節的なものが関係していて、寒くなってくると自覚症状が現れるらしい。
     そこで、軽度の癲癇の予防として、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)を勧めた。
     効能書きには“しぶり腹”や“腹痛”としか書いてないのだが、芍薬(しゃくやく)には緊張を解いたり痙攣を抑える作用があり、癲癇にも効果があると考えられる。
     また、便秘を伴う場合には柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を用いると良いようだ。
     柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)桔梗湯(ききょうとう)を求めて患者さんが来店。
     以前から漢方薬を使っていただいている患者さんなので、風邪の時に使う漢方薬を覚えていた模様。
     ところが商品の会計をする段になって、患者さんの職業が咽喉を使う職種だという事を知らされた。
     となると、扁桃腺炎に使う桔梗湯よりも、肺から咽喉にかけて潤いを与える麦門冬湯(ばくもんどうとう)の方が合うと思い勧めた。
     職業の事を訊かれるのを嫌がる人もいるので、なかなかキッカケが掴めないと難しいのだが、もう少し早く尋ねておけば良かった。
     漢方薬に限った事ではないが、職業上の環境なども治療のための大事な情報となる。こちらとしてもイキナリは訊きにくいので、できれば相談する際には教えてもらいたい。
     明日には奥さんを入院させる予定なので、医療センターへ入院手続きに行った。
     受付で入院手続きについて尋ねると、入院受付窓口に行くように教えられたのでそちらに向かう。
     医師からはすぐにでも入院をと言われていたので手続きは事務上の事だけだと思っていたら、事務員には「医師の指示書が無いと入院手続きはできません」と言われてしまった。
     医師からは口頭で入院を勧められた事、昨日電話で問い合わせた時には今日にでも来て下さいといわれた事を話したが、「まず医師の診察を受けて下さい」と言って譲らない。
     実は、こういう医師と事務方の対応の違いというケースはかなりある。
     女友達のAさんなどは妊娠8ヶ月目で陣痛が起きてしまい自力で病院に行ったところ、待合室で破水してしまった。
     医師は急いでベッドの用意を看護士に指示したものの空きベッドが無く、やむなく癌などの重病患者の病棟に運び入れた。
     ところが、事務方が「入院手続きをしていない」という事で医師に抗議したという。
     そのやり取りをベッドで横になっているAさんのそばでするもんだから、なんだか自分が悪い事でもしたかのようで不安になってしまったとか。
     ちなみに、Aさんは無事に出産する事ができた。
     ただし、この“手続き”に拘(こだわ)るというのは、ミスや事故を防ぐためには大事な事でもある。予定の無い病棟に患者を入れて、後で患者の取り違えでも起こったら、それこそ大変である。
     人間なんて勝手なもので、“自分の都合が優先”されないと腹が立つクセに、後でそれがどんな結果を招くかまでは考えずに「お役所仕事するんだから」と怒る。
     一方で、手続きに拘るあまり、緊急時の対応ができなくて手遅れになるケースもある。臨機応変にと言うのは容易(たやす)いが、難しい問題だ。
     一応今回は、緊急性はあるものの、これから世話になるのに最初からケンカしても不都合なので、とりあえず事務方の顔を立てて、「では診察を受けてから入院するという事でどうでしょう。ただし最短の日程で」と提案した。
     事務員が産婦人科病棟に連絡をして、明後日の診察の予約が取れたので、ひとまず解決。
     でもまぁ、本来なら医師と事務方の間のスリ合わせは、患者が考える事じゃなくて、病院側でやる事だよなぁ(・_・)

    ◆11月12日(水)/2003年◆
     アレルギー性の皮膚炎の相談で患者さんが来店。
     以前からピアスをしていたのに、最近になってピアスの周りが赤味を帯びて痒くなってきたという。
     この、“今まではなんともなかった”というのは花粉症と一緒で、ある日突然症状が現れるのがアレルギー性疾患においては珍しい事ではない。
     イメージとしては、コップに少しずつ水滴を垂らしていく様子を想像してもらうといい。コップのサイズは人それぞれである。
     少しずつアレルギー物質が体内に蓄積されて(より正確には物質に対する抗体が蓄積されて)、コップが一杯になるまではなんの反応も出ないが、やがて満杯になり、ある日突然水が溢れてこぼれ出す───。
     だから今は大丈夫でも、誰がいつ発症するかは分からないのだ。
     アレルギー性の皮膚炎の場合、まず最初に選ぶ漢方薬としては、ウチの場合は十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)となる。
     または、冷え症な人の慢性湿疹には当帰飲子(とうきいんし)を用いる。
     しかし、今回の患者さんの場合は、見た目では色白く、やや水太りの傾向がある。本人にじかに「水太り体質ですね」とは言えないから、「もしかしてダイエットなどはした事ありますか?」と尋ねてみた。
     ダイエットをすると栄養が偏って皮膚に異常が出ることもある、という嘘ではないがちょっと横道から話をもっていく。
     水太りの人は水の代謝が悪いからであって、それがアレルギー症状を激しくしている事がある。その場合、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)を使うという方法がある。
     以前に水太りの傾向があって金属アレルギーの患者さんがおり、その患者さんは防已黄耆湯を1ヶ月ほど続けたところ、今ではネックレスやイヤリングを装着しても大丈夫になったのだ。
     今回の患者さんは、痒み止めの軟膏をすでに使っているという事だったので、その軟膏を使いつつ防已黄耆湯の服用を勧めてみた。
     また、ピアスをしばらく付けていないと穴が塞がってしまう事を心配されていたので、行き付けのアクセサリーのお店があるようだったら、そのお店で材質の相談をするように勧めた。
     一口に金属アレルギーと言っても、特定の素材にだけ反応するのであれば、別な素材の物を見立ててもらう事で軽減する事もできる。
     
     胃が痛むという患者さんが来店。
     胃薬をとの事だったが、念のために“痛くなる時の条件”を尋ねてみた。
     お腹が空くと痛くなるのと、食べて痛くなるのとでは、用いる薬はおのずと変わる。
     初めは空腹や満腹とは関係無さそうという事だったが、お話をしているうちに、「疲れると胃が痛くなるようだ」と言われた。
     疲労から来る胃腸障害という事は、体が栄養不足で悲鳴をあげているのだろう。普通は風邪などに使うのだが、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)を勧めてみた。
     胃腸が疲れた時に胃薬を使えば、その成分を分解するのに肝臓が余計に働かないとならなくなって、ますます体が栄養不足になってしまう事がある。胃痛がするからと、簡単に胃薬を使うよりは“養う”方が良い事もあるのだ。
     奥さんに入院前の夕食に何を食べたいかメールで訊いたら、ピザという答えが返ってきた。
     それも『ピザハット』である。入院前の最後の食事が宅配ピザかい(笑)
     http://www.pizzahut.jp/
     家のすぐ近くに店舗があり、直接取りに行くと割引になるので、電話で注文してから受け取りに行った。
     実のところ私もピザは好きで、奥さんが「疲れた~。今日は夕飯作りたくない~」と月に1~2度は言うので、その時に利用してきた。
     で、今日は商品を受け取る時に、ウチの奥さんが入院するのでしばらく来れないかもしれません、とアルバイトの店員に挨拶した。
     こんな挨拶、余計な事でしかないのだが、このお店、マニュアルがどうなっているのか、店員の質の落差が激しい。そのうえアルバイトの入れ替わりが激しいため、ものすごく良い店員さんに出会った後に、客を客とも思っていないような店員に当たる事もしばしばであった。
     でも、知っておいてもらいたいのだ。余計なお世話だけれども、“客には客の物語がある”のだよと。
     例えば、医師や看護婦などは“患者(お客)と死に別れ”という事は当然のように珍しくない。
     薬局だって、“お得意様”がお店に来なくなった時、元気になったか、他のお店に行くようになったかの他に、「このあいだ亡くなったのよ」という話が伝わってくる。
     ウチの奥さんは、入院の準備のために日用雑貨をコンビニで買ってきた。
     今回の入院は、本人自体はそれほど重篤な訳ではないけれど、もしかしたらコンビニで歯ブラシを買ったその人は、自分のためではなく誰か入院した家族のためかもしれない。
     ファーストフードでハンバーガーを買ったその人は、事故で亡くなってそれが最後の食事となるかもしれない。
     そんなお客の物語や運命などは、売る側からはなんの関係も無い事だ。しかし、想像はして欲しい。
     マニュアルさえあれば誰にでもできる仕事だったとしても、自分にしかできない最高のサービスを目指して欲しい。
     そんな思いから出た言葉だった。
     今日のアルバイトの人にどう受け止められたかは分からないが、少なくとも自分もまたそうあらねばと、思いを新(あら)たにした。
     思い出したので、補足トリビア。
    「新しい」は……、「あらたしい」と読むのが正しい。「あたらしい」は、間違った読み方が広まったもの。

    ◆11月13日(木)/2003年◆
     今日は奥さんを病院に放り込む予定で、叔父に車を出してもらった。すでに入院に必要な着替えなどの荷物をまとめておいたので。
     10時の予約時間前に病院に到着して待合室で待っていると、前回と同じように担当のT医師の名前が、患者の順番を表示してあるモニターから消えてしまった。
     またも、緊急手術が入った模様。
     (11月10日の日記参照)
     このまま叔父に待ってもらうのも悪いので、順番が回ってきて入院手続きが済んだらまた来てもらう事にした。
     そのまま、お昼近くまで待ってみたものの、一向にT医師は診察に戻ってきそうもない。
     私は私で、正午からサトウ製薬の新製品の説明会に出席しなければならないため、奥さんを残して一度お店に戻る事にした。
     お店に戻ってメールチェックをすると、数件の健康相談と漢方薬の注文が入っていた。
     説明会が何時に終了するのか分からないので、処理してから出かける事に。
     やや焦っているので、メールを返信する前にいつもより念入りにチェック。
     思ったより時間がかかってしまい、30分以上遅刻して会場のワシントンホテルに到着した。道に迷ったのも痛かった。何度も来た事のあるホテルなのに。
     ホテルの出入りの業者による弁当が昼食としてテーブルに用意されていたが、ほとんどの人がすでに食べ終えていて、説明会が始まるところだったので、終わってから食べる事にした。
     ああ、お茶くらいは欲しかったな。
     サトウ製薬の新商品に関しては、サトウ製薬のホームページに記載してあるので、そちらを参照されたい。
     http://www.sato-seiyaku.co.jp/
     いずれにしろ、ウチでは店頭売りだけで、基本的には通信販売では扱わない予定。どうせ、ドラッグストアーで取り扱いを始めたら値崩れするのは必至。
     情報としては、沖縄県と長崎県では、9月にインフルエンザの患者を確認したそうである。これは例年よりも早く、おそらく今後急速に広まるであろう。なので、風邪関連の商品を充実しておきましょうという話。
     みなさん、風邪の漢方薬セットをよろしく(笑)(現在は中止)
     説明会が終わって、他の参加者たちが営業マンから実際の商品を前に説明を受けているうちに、出された弁当をかき込む。あいかわらず、このホテルに出入りしている業者の弁当はセンスが悪い。焼き魚を2種類も入れて、なんの意味があるのか。せめて美味しければいいが、身はパサパサでタレはまったく魚自身の味を引き立てていない。
     ホテルなんて費用のかかる会場を借りて、高い弁当を用意して、本当に営業費として採算が合うのだろうか。ねぇ、サトウ製薬さん?
     ただし、先に載せたサトウ製薬のホームページを見ると分かるが、お金をかけるべきところにはしっかりかけているのも確か。製薬会社の中では、一般の患者さんにとっても販売店にとっても、使いやすくて役に立ち、それでいてセンスの良いホームページを作っている。
     ウチの、ショボイホームページもなんとかしないとなぁ。
     15時頃には説明会も終わって、すぐにお店に戻った。
     さすがに奥さんの方も診察を終えて入院手続きを終えているかと思いきや、お店に電話してきて、お母んに「帰ります」と言ったらしい。おいおい(^_^; 
     なんでも、T医師からは切迫流産の可能性があると言われ、すぐにお腹の張りを緩める点滴をするように勧められたのだが、入院費込みで月に20万円くらいの費用がかかるとも知らされて、断ってしまたのだとか。
     アホーーーーーーーーー!!!
     切迫流産といったら、まさに流産しかかっている緊急状態である。
     普通、切迫流産の可能性アリと診断されたら、「妊娠を継続“できる可能性”もあります」という、マイナスの方に大きく傾いているという事だ。
     私は自分の子供なんて欲しくないけど、欲しがっていたお前がそんな事で迷ってどーする。
     まぁ、お金の心配をさせてしまう私の甲斐性ナシも悪いのだけれど_(._.)_
     とにかく、「金で命が買えるなら買っとけ」というのが我が家の家訓である。(今できた。)
     ちょうどまた奥さんから電話が今度は私の携帯にかかってきたので、病院で待っているように言い聞かせて駆けつける事に。
     スクーターを飛ばして(交通法規は守りましょう)病院に到着すると、呆れた事に奥さんは待合室で待っていた。
     点滴だけでも受けとけよぉ(^-^;;;
     私が到着した事で看護婦さんがT医師を呼びに行った。すると、T医師はなんと手術着で現れた。帽子も被り、両手には手術用の手袋をはめている。
     これから手術をするところだったらしい。午前中にも手術をして診察もしていたはずである。いったい、いつ休んでいるのか。こんな労働環境じゃ、そりゃ医療ミスも起こるよな、と別な事を思ってしまった。
     そして、T医師が「どうなさいますか?」と訊いてきたので、「入院させます」と即答した。
     一応T医師は「奥さんの意思の方は?」と尋ねてきて、奥さんが何か言おうとしたのを見て私は、余計な事は言うなよーと心の中で思ったのだが、今度はアッサリと「入院します」と答えた。
     ズコーーーッ(・_゚)!!!
     だったら、早く決めとけよー。なにも私が来るのを待つこと無い。
     T医師の方は、なんでもこれから、子宮筋腫が10個もある患者さんの手術をするのだとか。手術前に煩わせて申し訳ない。
    「それじゃ、ベッドの方は用意できていますので」とT医師は手術室の方へと消えていった。
     代わって看護婦さんが病室の方に案内してくれた。
     本当に点滴が用意してあって、完全に病院の方は入院の準備を整えていてくれたようである。それを直前に断りやがって( ̄▽ ̄)
     ベッドに横になるように指示された奥さんは、先に点滴を始めてから、入院にあたっての書類に看護婦さんが口頭で質問しながら記入していく。
     何か質問はありますかと訊かれて、奥さんはテレビの事やお風呂の事などを質問した。そりゃまあ日常生活に関する事を訊きたくなるのは分かるけど、手を焼かせた上に恥をかかさんでくれーσ(^◇^;)。
     入院のために用意した荷物の他に、いろいろと必要な物を思い出したので、叔父に電話して私が足りない荷物を用意してから改めて一緒に病院に運んでもらう事にした。
     しかしなんだな、病院の中は携帯電話の使用は禁止だから、そのたびに外に出るのは面倒臭い。
     病院の壁には、「医療スタッフが使用しているのは医療用のコードレスホンです」という張り紙があるが、何の事はない、ようはPHSだ。
     よく携帯電話とPHSは一緒くたに扱われるが、実はまったく別な技術と思想によって生まれた物である。
     携帯電話は、初めから個人用途の携帯電話として開発されたが、PHSの方は家庭電話を“外に持ち出す”ために開発された。だからPHSは電波の到達距離が短く、発売当初は通話圏内が限定され、携帯電話にシェアを大きく引き離されてしまった。
     その後、PHS会社は至る所にアンテナを設置して、通話圏内を広げていく過程において、“携帯電話と同じ”というコンセプトで販売台数を伸ばしていった。
     ところがである。携帯電話が医療機器に障害を及ぼす事があるという情報が世間に広まった時に、逆にPHSの優位性をアピールしずらくなってしまった。
     その優位性とは、医療機器に影響を及ぼさないという事である。5年ほど前の実験データによると、携帯電話の電波の影響距離が半径3mなのに対して、PHSはわずか20cmだったという。
     だから、鉄道などの車内放送では「心臓ぺースメーカ等に影響があるので」とアナウンスしているが、実は心臓ぺースメーカーなどの医療機器を体内に入れている人たちは、以前からPHSを使用しており、なんら問題は無いのだ。
     さらに、最近では携帯電話の機能が飛躍的に向上して、ネット機能やカメラ機能が搭載されるようになっただけではなく、電波の影響距離も今や20cm以下となっているのだ。
     病院では万全を期すために携帯電話を使用禁止にするのは当然かもしれないが、そろそろ全面的な使用禁止以外の対応を検討する時期に来ているのではないだろうか。
     例えば、家のセキュリティや子供の安全のために携帯電話を利用するサービスがすでに始まっている。病院で診察を待っている間、入院している間、お見舞いに来ている間、それらの機能を利用できなかったら、せっかくの安全対策が活かされない事になる。
     
     とりあえず奥さんの方は、これから数日の間は、毎日16時間ほど点滴を続けて様子を見る模様。
     なんとか病院に放り込んで、ヤレヤレである。
     帰りぎわに、自分が入院している間に浮気をしてもいいけど家には連れ込まないように釘を刺された。うう、読まれてる(苦笑)。
     家に連れ込んだ方がホテル代が浮くという私の提案は却下された(・_・)ノ

    ◆11月14日(金)/2003年◆
     子供が風邪をひいたという事でお客さんが来店。
     いつもならば、子供の風邪には麻黄湯(まおうとう)を勧めているのだが、症状を詳しく尋ねると吐き気がしているらしい。吐き気があるのでは、麻黄湯は使えない。何故ならば、麻黄湯は熱を出すことで体が風邪と戦うのを支援する漢方薬である。それゆえに自身のエネルギーを必要とし、胃にも負担がかかる。
     吐き気がするという事は、すでに風邪が胃腸に影響を与えている訳で、次の選択としては柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)が候補に上がる。
     しかし、普段から体が弱くて風邪をひきやすい方だという話も伺ったので、小柴胡湯(しょうさいことう)の方を勧めた。小柴胡湯は、胃と肝臓に栄養を与えて、体の土台を整える。子供の風邪の予防としても使えるので、冬場には1日の回数を減らして服用するのも良い。
     また、もしも吐いた時には二陳湯(にちんとう)を合わせて服用するように勧めた。乗り物酔いなど、吐き気や嘔吐一般に用いる漢方薬である。
     午後になって、奥さんから頼まれていた着替えなどを病院に届けた。
     ベッドが硬くて寝にくいだの、食事が不味いだのと愚痴をこぼす。
     自覚症状が無いだけ、まだマシなもんである。私が顎の手術を受けた時には、流動食用の管を胃に入れたままでそれが胃壁に当って痛くて夜も寝られなかった。そのうえ、食事は流動食だったから、注射器のような道具で胃に流し込んでハイおしまいという味気無さ。
     まぁ逆に言えば、流動食だったから味は関係なかったけれど、食べれるのに美味しくないのは、それはそれで苦しいか。
     確かに医療センターの食事は美味しくないという評判が高い(低いのか)。
     JR西川口駅の方にある埼玉県済生会川口総合病院の方などは、入院していた患者さんが「食事が美味しくてねぇ、退院するのが残念だったわ」と言うくらい美味しいらしい。
     http://www.saiseikai.gr.jp/
     しかし、奥さんが入った部屋は2人部屋である。ここしか空いていなかったのだ。そのうえ、今は片方のベッドは空いているので、実質個室である。贅沢なのよ、分かってる?
     4人部屋は、テレピがプリペイドカード方式で見放題という訳にはいかないし、他の患者さんのお見舞いの人が出入りして落ち着かない。
     ところが、奥さんはそっちの方がいいと言う。1人で部屋にいるのは嫌だとの事。
     私なんか、1人の方がいいけどなぁ。
     まぁ、そう言うのならば差額ベッド代が馬鹿にならないので、看護婦さんの方に4人部屋に空きができたら回して下さいと伝えた。
     社民党の土井党首が辞任というニュース。
     先の衆議院選挙の敗北の責任と、自身の小選挙区での落選を踏まえてのものだとの事。
     マスコミの方は、土井氏の軌跡を辿って“栄光と挫折”というように扱っていた。それも、かなり意地悪な編集で。
     しかし、私は平和を声高に叫びながら一切の具体策を提示しない、それこそ流行語(?)にもなった「ダメなものはダメ」という思考停止のような土井氏は大嫌いだが、全盛期の旧社会党と現在の社民党を比較して、土井氏を責めるのも少し酷ではないかとも思う。
     そもそも社会党は労働者のための政党として活動してきて、主に労働組合などの組織票に支えられてきた。
     そこに市民運動家などが流れ込んできて、“庶民の味方”という政党イメージをアピールして政界の中で一大勢力となっていった。
     ところが、時代の流れで「搾取する経営側と、搾取される社員」という対立構造は崩れ、バブル崩壊後の平成大不況においては経営者と社員は協力関係を築くようになり、社民党の中で労働組合派と市民運動派が対立。そしてついに社会党は分裂し、労働組合派は民主党に合流し、市民運動派が社民党になって残った。
     つまり、現在の社民党は実質的には旧社会党の支持基盤であった労働組合ではなく、市民運動家を中心とした別な政党であり、本来の旧社会党の労働組合派は民主党と合流する事で、すでに旧社会党は消滅しているのだ。
     市民派の政党として2大政党制を目指す民主党の方が、組織票に頼る旧社会党の労働組合系の議員を取り込んだというのは、なんとも皮肉な成り行きである。
     昨年の2月に、交差点を乗用車で右折中、直進してきた原付きバイクの男性をはねて重傷を負わせたとして、業務上過失傷害罪に問われた都内に住む主婦に対し、無罪(求刑・罰金20万円)判決が出たというニュース。
     略式起訴を退けられた末に無罪となるのは極めて異例だとの事なのだが、事故の概要からすると、なんで起訴されたのかの方が不思議。
     当時、主婦の対面信号は赤に変わっており、右折しようとしたところ、原付バイクが直進してきたという。それならば、赤信号で交差点に侵入してきた原付バイクの方に過失があるのは明らかなはず。
     ところが担当した検事は主婦に対して、「赤信号を無視する車両があることはよく経験することで、この交差点でも十分予想できた。」として供述調書に署名させて略式起訴したのだとか。
     そりゃ、確かに赤信号を無視して直進してくる車やバイクはあるけれど、違反している方の過失を問わないってのは、どういう事なのか。単に自分が仕事を楽したかったからとしか思えない。
     今回の判決で、裁判官が「当時、主婦の対面信号は赤だった。『赤信号を無視して新たに進入する車両はない』と判断して右折を開始したのはごく自然であり、犯罪の証明はない」と述べたというのは当たり前に過ぎるだろう。
     ところが呆れた事に、東京簡裁が略式不相当として裁判を始めると、検察の方は信号に関する目撃証言を「事故当時の信号は黄色だった」と変更したのだそうだ。
     さすがに裁判官の方は、「信用性に重大な疑問がある」として退けた。そりゃそうだろう。人を馬鹿にするのにもほどがある。
     とかく事故を起した時には頭が混乱してしまい、警官や検事に言われるままに書類に署名してしまう事があるというから、自分が冷静になるまで、あるいは弁護士が決まるまでは気をつけなければならないだろう。
     ちなみに、逮捕拘留されると基本的に私物は取り上げられ、自分の手帳なども見せてもらえないそうである。つまり、家族と連絡がつかない場合、他に連絡をしようとしても電話番号を確認する事もできないのだ。
     最近では携帯電話などに電話番号を入力しているため、電話番号を記憶しているという人は少ないそうだから(私もそうだし)、いざという時に連絡しようと思う人の電話番号は暗記しておいた方が良い。
     と、以前に逮捕拘留された知人が申しておりました(苦笑)。

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  • ≪通巻35号≫
    体験! ジェットコースタードラマ/選挙があると薬屋は儲かる?/子宮筋腫のCT画像

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      ★彡☆-=★彡  それさえもおそらくは平凡な薬局  ★彡☆-=★彡
                       ≪通巻35号≫
      提供 : まぐまぐ http://www.mag2.com/
      発行 : 北園薬局 http://plaza2.mbn.or.jp/~kitazono/
      編集 : 北村俊純
      窓口 : kitazono@a1.mbn.or.jp
      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ◆お詫び
     諸般の事情により、メールマガジンの発行が大幅に遅れて申し訳ありません。
     10日(月)の日記で一部触れていますが、詳しくは次号の日記に書く予定です。
     健康相談と商品の注文には遅滞の無いようにいたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。
    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※11月8日(土)……体験! ジェットコースタードラマ
    ※11月9日(日)……選挙があると薬屋は儲かる?
    ※11月10日(月)……子宮筋腫のCT画像
    ************************* 今回の平凡な日記 ***************************
    ◆11月8日(土)/2003年◆
     今日は、毎月開催しているSNAKE-EYESのTRPGコンベンションである。
     私もスタッフとして関わってから5年ほど経つが、土曜日の開催というのは初めて。
     以前から参加者から土曜日開催の希望があった事、学校の週休2日制が定着した事、会場の予約が完全抽選になり土曜日の方が倍率が低い事など条件が揃い、実際にどの程度の参加者数があるのかを確かめてみたいという算段もあって今回の日程に決めた。
     会場に到着すると、入りは定員の半分程度。こりゃまた少ない。
     一方で、いつもは半分しかいないスタッフが、珍しく勢揃いした。一般参加者2人に対して、スタッフが1人という構成である。
     それならばと、今回はスタッフ全員が各ゲーム卓に入ってゲームに参加する事にした。通常は受付に事務スタッフを2名は残すのだが、まぁ今回は目が届くだろうという事で。
     TRPGについては、8月3日の日記を参照。
     今回私が入った卓のゲームのタイトルは、『もう誰も横浜の果てで涙と言う名の同窓会だけ見えないRPG』。
     ピンと来た人は、90年代にトレンディドラマならぬジェットコースタードラマを観ていた人だろう。
     念のために書いておくと、ジェットコースタードラマとは、10分でも見逃したらストーリーが分からなくなる程の急展開があり、なんの脈絡も無く殺人事件が起きたり、伏線も無くドンデン返しがあったり、重要だと思っていた登場人物がいつの間にか出なくなったりという、そういう事が“許された”時代の仇花のようなドラマの事である。
     いや、最近もそんなドラマがあるらしいけど、とんと見ていないので知らない。
     
     で、まずプレイヤーはゲームの中で使う登場人物=キャラクターの設定を決める。自分で考えても良いのだが、キャラクターを作るための表があるので、それを使う事にした。6面体ダイス(サイコロ)を振って、その出目に対応した事柄をキャラクターの設定として使うのだ。
     例えば私のキャラクターは、表の顔として“普通”の“飲食店経営”で“お金に困っていない”となった。もちろん、これだけでは面白くないので、裏の顔もダイスを振って、表を当てはめる。すると裏の顔は、“悪徳”の“医師”で、“誰かの財産を狙っている”し、“逮捕歴がある”し、“隠し子がいる”となった。
     何故みんな、(゚゚)(。。)(゚゚)(。。)ウンウンと頷くんだ。特に、“隠し子がいる”というところで(笑)
     このままだと整合性がまったく無くなってしまうので、細かい設定の調整は自分でやる。今回は、どういう偶然か他のプレイヤーさんたちのキャラクターが高校生や高校の教師などに偏り、舞台設定を高校にしようという事になったので、私は高校の近くの喫茶店のマスターという事にした。ただし、裏の顔が悪徳医師という事なので、ヤクザなどの裏家業の人たちを相手に治療したり、時には暗殺を請け負う闇医者という事にした。
     ちなみに、他のプレイヤーさんたちのキャラクターは以下の通り。
     最初の、手塚真というキャラクターが私のキャラである。
    『手塚 真』……喫茶店『マンハッタン』経営。裏の顔は闇医者。隠し子がいる。
    『手塚恭平』……真の養子で男子高校生。裏の顔は番長で、実は真の実子。
    『山中裕季』……ミュージシャンで恭平の先輩。『マンハッタン』に居候しており、実は恭平とは異母姉弟。
    『安斉和也』……高校の養護教諭。裏の顔は、研究者でバイセクシャル。
    『石川 均』……高校の事務員。裏の顔は、プレイボーイで恭平を狙っている。
    『針谷響子』……高校教師で和也にぞっこん。裏の顔は風俗嬢のバイトをしている。
     そして、さらに関係が複雑な事に、真と響子と均の3人は某金持ちが愛人に産ませた異母兄弟で、真と均だけがその事を知っている。
     だって、ダイスを振ったらそうなっちゃったんだもの(^_^;
     しかも、どう見ても生徒も教師もまともじゃないため、ゲームのタイトルに合わせて学校名を『横浜第二高校』とした。なんとなく、頭悪そうな学校だよねって事で。ホントにあったらゴメンなさい(苦笑)。
     さて、物語の進行だが、これは“運命濁流表”というもので決まる。キャラクターを作った時と同じようにダイスを振ることによって、その出目と対応した表があり、それによって状況が決定付けられるのだ。
     そして、その状況にキャラクターがどういう行動を起こすかをプレイヤーはアドリブで演じていく。
     例えば、響子は上司に呼び出されることになった。高校の上司であるから、校長か教頭という事になる。響子の裏の顔は風俗嬢であるから、もしかするとその事かもしれない。さて、どうするか?
     今回はプレイヤーが素直に従う事を選択した。すると、呼び出された理由は担当しているクラスの宿題の提出率が悪いという事で注意を受けたのだ。下手に何か別な行動を起さなくて正解だった訳だ。
     そんな調子で、ドラマの第1話にあたる最初の30分は、登場人物の紹介という感じになった。
     これがまぁ、ロクな登場人物がいない(笑)
     養護教諭の和也がいる保健室には、常時生徒が寝に来ていて、ベッドの予約まで入っている始末。
     私のキャラクター、真が経営している喫茶『マンハッタン』には昼間っから生徒がダベッているは、居候の裕季は後輩に学校をサボらせてバンド活動をしているは、その高校の事務員は教師も生徒も関係無くたらしこんでるは、ひどいもんである。校内暴力で荒れてる高校の方がマシじゃあないのか(笑)?
     30分で、だいたいドラマの1話という事で区切りをつけて第2話目に入る前に、再び“運命濁流表”に基づいてダイスを振った。
     ここで決まった事が、いわば第2話の予告となる。
     すると、私のキャラクターである真が“子供を殺す”という事になった。早くも第2話でそんな展開かい(^_^;
     同じように、他のキャラクターたちも“見せ場”となる展開が決まった。第2話目では、どんな形でもいいからアドリブでそのシーンを演じなければならないのだ。
     そして、第2話目を開始。コーヒーの出前の注文を受けた真は、車で配達に向かう途中で子供を跳ねてしまう。すぐに飛び出して子供の状態を確認し、病院へ連れて行ったが死亡。これにより、とりあえず“予告”の内容はこなした事になる。
     しかし、それではドラマは面白くならない。闇医者である真は知り合いの武井代議士に事件の揉み消しを依頼した。唐突に悪徳代議士が出てきて事件を揉み消すのは、この手の安っぽいドラマの常套手段だろう(笑)。
     そうやって物語が転がり始めたら、他のプレイヤーも乗らなければ物語の蚊帳(かや)の外に置かれてしまう。
     そこで、実は死んだ子供はプレイボーイの事務員である均の1人息子という事にして、武井代議士から遣わされた秘書から多額の見舞金を受け取り、均はその金を自らの借金の返済に充ててしまう。だが妻はそんな事では納得できずに警察の捜査に不審な点があるとして真相究明のための市民活動を始める。
     そうしてまた一区切りついたところでダイスを振り“運命濁流表”で次の話の“予告”を決めていった。
     このまま全編を書くと本当にドラマが1本できてしまうので(しかも支離滅裂な)割愛するが、一応この後の荒筋はこんな感じである。
     
     高校教師の響子は恋人の和也に風俗嬢のバイトをしている事を知られ、寝ている和也の部屋に火を点けて心中を計ろうとしたものの気づかれて失敗してしまう。そして数日後に学校に行くと、風俗でバイトをしているという事で退職を迫られた。後任には、なんと和也の大学時代の“彼氏”が赴任する事が決まっていた。傷心の響子は高校を退職し、風俗嬢として生きる事を選択した。
     そんな響子に、武井代議士の息のかかったスナックのママをやらないかという話が持ち込まれる。いわば、政治家が表立っては取引のできない事をやるための場所だ。自ら堕ちていく事を選んだ響子は、その話を受ける。
     一方、私のキャラクターである真は、武井代議士の依頼により、広瀬という女性ジャーナリストの暗殺を依頼される。しかし、広瀬は真の旧来の友人の1人であった。なんとか広瀬を殺さずに、しかし武井代議士に任務を遂行したと思わせる方法は無いかと思案したが……。
     残念ながらゲームが時間切れで、この件に関しては未解決となってしまった。
    まぁ、ジェットコースタードラマには、そんなふうに張られた伏線が解決しないまま最終回を迎えて、「そういやアレはどうなったんだ?」という事が多かったから、これはこれで良し(笑)
     響子を裏切った和也は、かつての“彼氏”と再び恋仲にとなるはずが、その彼氏が麻薬の密売をしている事を知り愕然とする。麻薬で頭のおかしくなった彼氏に警察に自首するように勧めた和也は、結局は響子を失い、元恋人の彼氏も失ってしまった。いと哀れ。
     子供を交通事故で失った均は、お金を受け取っておいて真が起した交通事故の真相追究を妻がしようとするのを抑えられないのは裏切り行為だとして、武井代議士が雇った刺客に刺されてしまう。その時に、自分の子供を殺したのは異母兄弟である真だという事を知り、瀕死の状態になりながら真のいる喫茶店に向かった。
     喫茶店に入り、実の兄である真を殺そうとナイフを握り締めてカウンターに近づき、悟られないようにコーヒーを注文する均。真の方も均が自分に復讐をしようとしている事に気がつき包丁を手にしながらコーヒーを差し出す。
     お互いが相手を殺そうとしたその瞬間、均の方が先に椅子に座ったまま絶命した。真は、周りの客に気づかれないように「お客さん、具合でも悪いんですか」と声をかけて、均の遺体を運び出した。
     裏で番長をしている恭平は、バンド仲間の少年がやはり同級生の少女を妊娠させてしまいバンドも学校も辞めて働く姿に感動(?)して、自分も愛に生きてみたいと思うようになっていた。そんな恭平の前に、キャピキャピした(死語)女子生徒が転向してきて(苦しい時の転校生頼み)、一目ぼれされた恭平は追い回されることになった。今回のドラマ中、唯一救いのあるオチのような気がする(笑)。
     バンドをやっている、ミュージシャンで真の喫茶店に居候をしている裕季は、1人カウンターで新しい曲を完成させた喜びに浸っていた。
     ドラマの重要な位置にいながら、ちっとも本編に関わってこないヒロイン(笑)
     なんだか打ち切りドラマのようになってしまったが、久しぶりにバカなゲームをやってかなりリフレッシュした気がする。
     本当はそのまま撤収作業をして反省会までいたかったのだが、今日は別な用事があり、早めに辞去した。手伝いをせずに申し訳ない。
     別な用事とは、地元で某同窓会があるのだ。
     メンバーが一同に介するのは約10年ぶりくらいになる。
     ほぼ全員が出席するという連絡をもらっていたので、行かない訳にはいかない。
     会場には、1時間遅れで到着。
     まだ食べ物が残っていた。良かった(⌒▽⌒)
     SちゃんやMちゃんやKちゃんなどが、飲み物と食べ物を揃えてくれる。
     みんな、少女からイイ女になったねぇ。
     まずは一杯飲んでから、少し食べ物をお腹に入れて、他のメンバーに挨拶回り。
     誰だか思い出せないカッコイイ男がいて、さりとて本人には訊きにくいので、同じくメンバーの1人であるT姉に尋ねたら、なんとTくんだとの事。私の記憶の中では、チョロチョロと落ち着きの無い男の子だったのだが、女性陣と同じく、少年からイイ男になったようである。
     最後に会ったのが確か中学生くらいだったKくんが「ボクの事分かります?」
    と尋ねてきたが、こちらは成長しても昔と印象が変わらない。昔から落ち着きのある男の子だったからか。
     Kくんに名刺を渡すと、「自分、こういうのもらった事ないんですよ。どうしたらいいんですか?」と訊いてきた。
     なんでも就職の内定が決まったらしい。それはメデタイ。
     まぁ、ビジネス書にも書いてある事だが、受け取る時には両手で受け取る事、必ず名前と役職を声に出すなど確認をして相手の事を覚えようとしている姿勢を示して、目の前で名刺入れなどに仕舞う事で大切に扱うという態度を見せるように言った。
     そして、自分も名刺を渡す時には必ず相手が出した時よりも低い位置から差し出し、関係者間ならばお辞儀の角度は30度、お得意先ならば45度と伝えた。
     もっとも、最近ではそんな“シキタリ”を守る人の方が少ないかもしれないが。
     しかし驚いた事に、Kくんはすぐさま言われた通りにやってみせて、「どうですか?」と確認してきた。ううむ、立派なヤツ。もとより誠実な人柄だから、先輩や上司に可愛がってもらえるだろう。いや、できすぎてかえってイジメられるか(苦笑)?
     Fくんからは、「結婚したなんて知らなかったよー」と言われた。私が結婚した事が不思議で仕方ないらしい。私も同感(笑)。
     結婚前に付き合ってた女性たちはどう整理したのかと聞かれたので、「まったく整理しなかった」と答えたら、「ええー!?」とまた驚かれた。
     するとそこへT姉が割り込んできて、「Fくんは純粋なんだから汚れた大人の恋愛なんか教えちゃダメ」と言う。
     私よりも輪をかけて汚れてる人がナニを言う(笑)
     そう言えば、今日のメンバーの中の男性陣をつまみ食いしていたT姉も、このFくんにだけは手を出さなかったな。純朴すぎて少ない理性が働いたか。
     そのFくんは今は、大手パソコンメーカーに就職していると聞いて、今度はこっちがビックリ。私の弟と同じ会社である。大きいから顔を合わせる事は無いだろうが。
     1次会がお開きになって、2次会のカラオケ屋に向かう途中で帰るメンバーがいるという事で揃っているうちに記念撮影をしようという話になった。
     それはいいのだが、全員が写真に入るために、なんとゲームセンターの店員にシャッターを切るのを頼んでしまった。そのゲームセンターで遊ぶ訳でもないのに。これだから、酔っ払いは(苦笑)
     そしてカラオケ屋では、最初は普通にJ-POPなどを歌っていたのだが、誰が始めたのか(私もその1人なのだが)、途中からアニソン・特撮ソングが混じりだしてしまった。女性陣が引くんじゃないかと心配したけれど、まぁ女性陣は女性陣で会話が盛り上がっていた模様。
     私としては、心の師匠である山本正之御大の歌を一緒に歌えるメンバーだったのが良かった。なにしろマイナーな歌手なので滅多に歌う機会が無い。
     http://www.bellabeaux.co.jp/yamamoto/
     1次会ではもっぱら男性陣と話をしていたのだが、ここでは歌っていない時に女性陣ともお話をした。
     K子ちゃんから、結婚したと聞いてビックリ。
     いやぁ、中学時代のツライ恋愛を経て結婚しましたか。おめでとう。
     と思ったら、すっかりヤサグレていた(笑)
    「ねーねー、男を紹介してよ~」などと言う。あんなに一途な女の子だったのに(p_;)
     なんでも旦那さんはものすごい心配性で、今日の飲み会に参加するのも10年ぶりの友達と会うからという事で許してもらったらしい。
     で、旦那は旦那として愛しているけど、男遊びをしたいと。
    「浮気を許してる奥さんなんてできすぎー。バチ当るよ」と言われた。
     そうでした、コチラがK子ちゃんの過去の恋愛遍歴を知っているように、K子ちゃんも私の恋愛遍歴を知っているんでした(^_^;;;
    「小学生から女子大生まで揃えてるなんて贅沢よ」と言われたので、それには反論。「今はフラれ続けて1人しか残ってない」と。ん? 反論になってないか?
     逆に「それは、釣った魚に餌をあげないアンタが悪い」とお説教された。やっぱり強くなったなぁ(笑)
     カラオケの方は延長に次ぐ延長で、終電はとっくに過ぎて始発を待った方が早いくらいの時間になってしまった。
     私を含めて明日も仕事があって近場のメンバーは、始発待ちの3次会には出ずに帰る事にした。と言っても、私はちっとも近場じゃないのだけれど、始発まで待っているよりは歩いて帰った方が早く寝られる。
     そう判断して歩き始めたものの、さすがに4駅分は遠くて60分ばかりで着くと思ったのに90分もかかってしまった。やや、足が痛い。
     しかし、歩こうと思えば歩けるもんだなとも自分で感心。
     中学校時代に学校行事で『夜行軍』があったせいかもしれない。
     『夜行軍』というのは、22時から翌日の6時までの間に山を歩いて越えるという“遠足”みたいなもので、登山を趣味にしていた担任教師の発案で行われた。なにしろ、「登山するため」という理由で有給休暇で学校を休むような人だった(笑)。
     あまりにも過酷ということでPTAから反対の声が出て1回限りの行事のはずだったのだが、生徒の間からはまたやりたいという声が上がって翌年も、その次の年も行われた。
     しかし、私たちが卒業した後はやらなかったそうだから、後輩たちには不評だったのかね。不評だろうなぁ、夜通し歩き続けるんだから(笑)。
     とにもかくにも明け方近くに家に着いて、お風呂に入ってグー( -.-)zzzZZZ。
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    ◆11月9日(日)/2003年◆
     昨日の無理が祟って、体調は極めて不良。
     地竜(ぢりゅう)を飲んでみたがどうか。
     風邪をひいたまま長引いているという患者さんが来店。
     咳も出ているようなので、体力をこれ以上消耗させないために柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)と、咳を抑えるために麦門冬湯(ばくもんどうとう)を勧めた。
     替わって、鼻風邪をひいたという患者さんが来店。
     鼻水が出るという事で、ひとまず小青龍湯(しょうせいりゅうとう)を飲んで様子を見てもらう事に。夜になって寝る頃になると鼻が詰まるという人もいるので。その場合は、葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)を併用する事になる。
     
     咳が止まらないという患者さんが来店。
     痰のからむような「ゴホンゴホン」という咳なのか、それとも「コンコン」というような乾いた咳なのかを尋ねてみたが、こちらの説明が悪いのか良く分からないという。
     それでは咳が出るのは体が冷えた時か、それとも温まった時なのかも尋ねてみたが、やはり良く分からない模様。
     さてどうしたものかと思ったら、目の前で患者さんが激しく咳き込んだ。
     お店の中は外よりも暖かい。そして咳の方は咽喉に痞(つか)えるような咳だった。
     となると、肺の潤い不足が原因だろう。例によって、体内の水分が上手く体を巡っていないという事だ。こういう時には麦門冬湯(ばくもんどうとう)が適応するはず。
     こうやって目の前で咳をしてもらえると一番良く分かる。
     簡単なメモでも良いから、症状がひどくなる時の条件、気温の変化や時間帯などを記録しておくと、お店で相談する時の重要な情報となるので、ぜひやって欲しい。
     子供が風邪をひいたという事で葛根湯(かっこんとう)を求めにお客さんが来店。
     葛根湯は風邪の初期に用いると効果的だが、よほど虚弱な子供でなければ、早々に体温を上げて熱を出させてしまった方が早く治ってしまう。見分け方としては、食欲があるか、目に元気があるかなどが指標となる。
     その辺りを尋ねてみたところ、本人は元気に遊んでいるそうなので、麻黄湯(まおうとう)を勧めた。
     今日は日曜日の割りには、よくお客さんが来てくれた。珍しい事もあるもんだと思ってハッと思い出した。衆院選の投票日である。どうりで、人通りがあるはずだ。
     慌てて公民館に投票に出向いた。
     19時の時点で投票率は40%を越えたところだった。いいのかね、こんな事で。
     投票に行かなかった人は、次の選挙まで政治に愚痴をこぼす資格を失う事になると私は思うのだけれど。
     友人たちとは、昔から選挙には行こうと約束していたものである。
     前回の衆院選の時だったか、遊びに行く約束をしていて、選挙に行ってから集合という事にしていたのに(しかも、選挙に行くのならば遅刻可)1人が投票に行かずに来た事が判明。
     車で、彼の選挙区の投票所まで乗り付けて投票させた。
     悪口を言うためには義務を果たさんと(笑)
     
     テレビで選挙速報を見てみると、戦後2番目に低い投票率だったらしい。
     確かに今回は、党のマニフェストと候補者の公約が一致していないなど“ネジレ選挙”と言われているが、それならそれで白票を投じてくれば良いのに。
     妙に冷めて「どうせ誰がなっても同じ」と言い訳する前に、自分の意思を示しておくべきじゃないのかね。
     それこそ、投票率が90%を越えて白票(無効票)が半数を占めたりすれば、政治への関心が高いのに信頼できる政治家がいないという事を突きつける事になると思うのだが。
     選挙速報、自民党の圧勝とならず面白い感じではあったが、昨日の不摂生を引きずった体力では眠気に勝てず没落、もとい脱落して就寝。
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    ◆11月10日(月)/2003年◆
     小雨が降っている中、市の医療センターへバスで奥さんと向かった。
     子宮筋腫の件で、担当のT医師から夫婦で出頭するように言われたのだ。
     産婦人科の待合室で待っているのは女性ばかりで、さすがに居心地が悪い。
     しかも、予約時間を過ぎてもなかなか呼ばれない。モニターには受付番号が表示されていて、そこに自分の番号が出たら、さらに奥の待合室に移動する事になっているのだが、肝心の担当のT医師の名前がモニターから消えてしまった。
     受付の人に尋ねてみると、緊急手術が入ったそうな。
     ううむ、それは大変だなぁ、待つ方の患者も、診察をしながら緊急手術をしなければならない医者も。
     午後にズレ込むかとも思ったが、しばらく待っていると手術が終わったのかT医師が戻ってきた。
     そして、お昼になる前に順番が回ってきた。
     基本的に産婦人科の診察室には男性は立ち入らないように注意書きがあり、まず奥さんが入っていった。しばらく待っていると、奥さんが出てきて手招きしたので私も中へ。
     回りくどい尋ね方をしても時間の無駄なので、単刀直入に現在の状況を尋ねると、CTスキャンの画像を見せられた。
     明らかに筋腫が大きくて、胎児がスミの方に追いやられている。
     そしてT医師の話では、「ひっそりと生きています」との事。
     普通ならば、「元気に」とか「スクスク」というところだが、「ひっそり」とはまた文学的な表現をするものである。
     などと感心している場合ではない。
     思っていた以上に深刻だ。
     T医師がすぐにでも入院をと勧めるのに、ウチの奥さんの方は今まで入院した経験が無いせいか、入院期間や入院すれば大丈夫なのかなどとあれやこれやと質問をして入院を回避しようと抵抗。
     T医師の方は、「強制はできませんから」とあくまで患者の自己選択に委ねる。それはそうだろう、医師は神様ではない。治療の結果を断定する事などできない。特に医療ミスが大きな問題としてマスコミに取り上げられる昨今の状況では、なおさら慎重な発言となるのも無理は無い。
     こういう時、本当は医師がビシッと「入院するべきです」と言ってくれた方が、逆に逡巡している患者にとっては良い事もあるのだが、そういう事は残念ながらマスコミや、純粋真っ直ぐな正義を振り回す輩は省(かえり)みない。
     奥さんの質問の仕方では埒が明かないので、現状から考えられる今後の状況を尋ねると、良くて流産か早産。また、筋腫が動脈と接していれば、今回流産したら次の妊娠は無いという事だった。
     事態は深刻どころではない。最悪である。入院を迷う選択など無い。
     しかし、奥さんの方は余計に動揺してしまい、ますます判断力を喪失してしまったようだった。
     しょうがない、このまま病院に放り込んでやりたいが、とにかく本人が入院する意思を固めない限りはそうもいかない。
     もう一度良く考えてみますとT医師に答えて、来週の月曜日に予約を入れて胎児の状態を詳細に検査してから入院するか決める事にした。
     結局帰ってきてしまったため、お母んには怒られてしまった。
    「医者が入院を勧めてるならアンタが入れてこなきゃダメでしょう」
     まぁ、そりゃそうなんですが、落ち込んだまま入院させると余計に気が滅入ってしまうだろうから、ちょっと元気づけてからという事で。
     お昼になったので、奥さんが以前から一度行ってみたいと言っていたレストラン『サザンクロス』に連れて行った。
     場所はJR東浦和駅を出て右に曲がり、さらに右に曲がってゆるい坂道を下ってイタリアレストランの『サイゼリヤ』を通り過ぎた先にある。
     お店の売りは、南欧の家庭料理のようである。
     家庭料理としては、やや値段が高い印象。
     私は上海蟹のパスタを食べたのだが、味と比べると特にそう思った。美味しいけれど、値段とは比例していない感じ。
     しかし、奥さんの方は満足したようで、やや気持ちも持ち直した模様。入院する事に決めた。
     となると、来週に診察の予約を入れたけれど、先に入院する手続きを取らなければ。
     私はお店に戻り、午前中に来ていた健康相談に返信したり、注文を順次処理していった。
     手が離せないので、奥さんに病院に問い合わせるようにメールで連絡。
     
     先日、咳止めに麦門冬湯を渡した患者さんが来店。
     麦門冬湯だけでは咳が止まらなかったようなので、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)を足すことにした。
     服用しすぎると体を冷やしすぎてしまうが、夜になると、つまり体が温まると咳がひどくなる場合に有効である。
     病院からFAXで入った処方箋に、在庫の無い薬があった。
     問屋さんに頼めば、夜までには届けてもらえると思って値段を確認したら、1錠で360円もする薬だと判明。
     100錠単位で注文するとなると、ちょっと在庫を抱えるのは怖い。
     なので、必要な分だけ備蓄センターに貰いに行くことにした。その備蓄センターは医療センターの隣にある。
     もっと早くFAXが入っていれば、奥さんの診察の時についでに貰ってきたのに(苦笑)。
     家に帰って病院に電話したか奥さんに尋ねたら、明日にでもどうぞと言われたのに断ってしまったらしい。
     入院するための準備が必要だからと答えたのだとか。
     準備なんて、いらんわ(^_^;)
     どうもまだ、自分の状況が分かっていないようである。それとも、無意識に理解するのを拒否しているのか。マッタク=3 
     テレビでは、昨日の選挙結果について特集を組んで放送していた。
     ウチの方の地元では、自民党の新藤義孝氏が落選したようだ。比例名簿に載せていなかったらしい。絶対に受かると思っていたのか、名簿に載せてもらえなかったのか。
     だいたい新藤氏の場合、地元に後援会を持っておらず、複数の団体の組織票に頼っていた。それでいて地元には1回も挨拶に来なかったのだから、落ちて当然という気もする。
     マスコミはやたらと自民党の辛い勝利、民主党の躍進という捉え方をしているが、それを小泉首相の選挙に強いという神話が崩れたという方向に持っていこうとするのは、やや違和感を感じる。
     確かに小泉首相の盟友である山崎氏は落選したが、どちらかというと本人の責任で、地方の当落結果を見てみると郵政民営化を反対している人など反小泉といえる人たちがかなり落選している。
     これは、小泉首相があえて応援に行かなかったからだとも言えるが、代わりに安倍幹事長が駆けつけたりしているのだから、投票には直接は関係無いだろう。
     自民党は議席を減らしたが、小泉首相自身は改革をやりやすくなった訳で、下手に改革の足を引っぱるような事をしたら、次の参院選でさらに民主党の支持を得るというのは難しいのではないか。
     小泉首相の改革が上手くいけば自民党の株が上がり、邪魔をすれば改革が遅いのは民主党のせいという事になって、どっちに転んでも苦しい事になるように思える。
     一方、社民党と共産党は、自民党vs民主党の対決のあおりを食って大幅に議席を減らした模様。特に社民党は土井たか子氏が小選挙区で落選し、比例区でなんとか生き残るという散々たる結果だった。
     私はマニフェストなんて、現実路線で考えれば確約できるはずもないと思っていたから投票の参考にはしなかったが、社民党と共産党が共に議席を減らしたのは、戦後50年を過ぎて変わらず掲げている“護憲”と“平和”に関してマニフェストを示す事をしなかったからではないか。
     連立政権がイラク特措法に基づいて自衛隊を派遣するのはアメリカに恩を売っておくためだし、多額の援助金を出すのは日本の安全を金で買うためである。
    自衛隊の派遣時期については未だに決まっていないが、アメリカに擦り寄る事で安全を確保しようという姿勢はハッキリしている。
     だが、社民党も共産党も日本の平和を守るためにどんな手段を講じるのかは今まで一切語っていない。
     敵が攻めてきたら、両手を挙げて降伏しますと言うのであれば、それこそ国民の合意が必要だろう。
     それに憲法9条については、重大な見落としがある。
     http://www.9joren.net/
     条文によると、「国権の発動たる戦争」と明記してある。そして、「国の交戦権は、これを認めない」とある。
     つまり、あくまで第2次世界大戦当時の“国同士が戦う”という戦闘を想定しており、現在の“国ではない相手”、すなわちテロリストやゲリラとの戦闘をまったく考慮していないのだ。こと国家が相手ではない現状では、それこそ自衛隊は合憲ということになる。現在の9条の規定では、相手が国家でなければ武器を持って戦っても憲法に違反しないのだ。
     平和憲法の理念を尊守し、より恒久的かつ崇高な人類史上の理想となるものにするのであれば、“護憲”はむしろ共産党や社民党の掲げる“平和”の実現を阻むモノでしかない。
     ああ、難しい事を考えたら知恵熱が………(#-_-#)
     奥さんの入院までの顛末は、次号に続く。(←日記で「つづく」ってなんだよ。)
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  • ≪通巻34号≫
    浮浪者も大事/国政選挙で地元から推す意味/子宮筋腫発見!/風邪の患者さんが次々と

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                       ≪通巻34号≫
      提供 : まぐまぐ http://www.mag2.com/
      発行 : 北園薬局 http://plaza2.mbn.or.jp/~kitazono/
      編集 : 北村俊純
      窓口 : kitazono@a1.mbn.or.jp
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    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※11月4日(火)……浮浪者も大事
        
    ※11月5日(水)……国政選挙で地元から推す意味
    ※11月6日(木)……子宮筋腫発見!
    ※11月7日(金)……風邪の患者さんが次々と
    ************************* 先週の平凡な日記 ***************************
    ◆11月4日(火)/2003年◆
     病院からの処方箋を持ってきた患者さんの薬で在庫に無い物があったので備蓄センターまで取りに行く事に。
     注文してお店を出ようとしたら、お母んに「たまには運動しなさい」と言われて、自転車で行くことにした。確かに。
     天気も良くて、土手沿いに行くと風が気持ち良く、土手の斜面に咲いている花も綺麗で心が和む。
     ………って、これってマズイんじゃ(^_^;
     花粉症になるぞ俺(苦笑)
     
     原沢製薬の営業マンが来店。
     たまたま近くに来たので立ち寄ったとの事。
     『アスタロン』を立て続けに発注しているので、どうしたんですかと尋ねられる。
     どうしてなのかは、コチラも謎(笑)
     あ、いやいや、固定客がついてくれたお陰で入荷をすると右から左へと売れていくのだ。
     医薬品ではなくあくまで健康食品なのだが、飛蚊症(ひぶんしょう)が軽減したり、目の疲れが改善したりと結果を実感できるらしく、試した人がほとんど継続してくれるうえ、どうやら人にも勧めてくれているようなのだ。
     一方で、なかなか売れないのが『ネオレバルミン』
     国内の薬局で販売できる肝臓疾患の薬としては効果も相当に期待できるものの、いかんせん肝臓疾患はちょっとやそっと改善しても自覚できない。なにしろ、自覚するくらい症状が悪化していたら入院しなきゃならないくらいだし、血圧のように日常的に肝臓の働きを測定できる訳ではないから、客観的な判断ができないのが、今ひとつ購買につながらない要因だろう。
     “肝臓病を治す奇跡の薬!!”とか宣伝したら売れるのだろうか(^^ゞ
     お店に近所の人から電話が入った。
     商店街のシャッターの下りたお店の前に浮浪者がいるという。浮浪者がいるのが不安なのだろうとは思うが、なんでわざわざウチに電話してくるのか。
     しばらくすると、やはり近所のお店の主人がウチに来て、浮浪者がいて不安だと漏らす。さらに、警察を呼ぼうかとまで言い出した。
     何をそんなに騒いでいるのかと思って、その浮浪者を見に行ってみたら、なんの事はない。以前から、この辺りで寝泊りしている人だ。
     近所の人たちも知っているはずである。商店街の方に来るのは珍しいが、夕方から雨になったから、雨をしのぐために軒先に屋根があるお店の前に来たのだろう。
     誰かが本当に警察に連絡したらしく、パトカーが来て、浮浪者はどこかへ行ってしまった。
     呼んだ当人かどうかは分からないが、警官に「来るのが遅い」と文句を言っていた。
     しかし、浮浪者がいて何が悪いのかね。
     そりゃあ確かに気味悪いとか不潔そうだとかは思うが、別に実害がある訳でもなし。
     それどころか、実は浮浪者は大事な存在なのだ。
     例えば空き巣や泥棒が入るのは、“人目(ひとめ)”が届かない所だろう。閑静な住宅街が狙われるのは周知の通り。
     浮浪者がいるという事は、人目がある訳だから空き巣や泥棒はまず避ける。
     また、警察官の友人に聞いた話だと、事件や事故の目撃者捜しの時に、浮浪者は重要な情報源になるのだとか。
     実際、深夜など人通りが少ない時間帯の場合には、屋外で寝泊りしている浮浪者ならば見ている場合があるし、毎日同じ時間帯に通りがかる人の顔を覚えていたりするため、見知らぬ人がいたり、いつも見かける人が違う時間帯に通ったりすると良く覚えているのだとか。
     いわば、浮浪者が監視カメラと同じ役割を果たす事があるのだ。
     だいたい、日々の事件のニュースを見れば、浮浪者が被害にあったり、浮浪者同士の喧嘩などはあっても、浮浪者による凶悪犯罪というのはあまり無いはず。それなのに、どうしてそんなに警戒するのか。
     私はまだ浮浪者になった事はないけれど、浮浪者の側からしてみれば居場所を転々とするよりは、落ち着ける場所は大事にしたいと思うのではないだろうか。初めて見る顔ならば警戒する必要もあるだろうが、いつも見かけるのならば気にする必要は無いようにも思う。
     奥さんが珍しくお寿司を食べたいと言うので、JR東浦和駅の近くの『赤坂』に行く事にした。
     場所は、JR東浦和駅を出て左に曲がってまっすぐ行くと、ゆるい下り坂の左側にある。
     一応ここは回転寿司なのだが、いわゆるチェーン店の回転寿司とは違い、日本料理屋の隣、と言うより一部のようなお店で、ネタの味がかなり良い。
     行った時間が21時を回っていて遅いためかコンベアーには何も乗っておらず、食べたい物を順次注文していく。
     まぁ、この方が握りたてを食べられるので不都合も無い。
     笑ったのが、イクラやウニなどの高めのものを注文すると職人さんが「少々お待ち下さい」と言って姿を消し、隣の日本料理屋から運んで来た事。
     ネタを日本料理屋と一緒に仕入れているのだろう。ウニは、たまたま一切れ分が余るという事で、通常は2個のところを3個にオマケしてくれた。
     そして、甘エビを尾頭付きで出されて、身の部分を寿司として食べた後に、頭を食べたそうにしているのを見て取ったのか(どんな顔をしていたのかは謎だが)、「頭を焼きましょうか」と言ってくれたので、お言葉に甘えて焼いてもらった。
     家でも甘エビの刺身を焼いてお酒のオツマミにしたりしているが、さすがにネタの鮮度が違うのと、プロの職人さんが焼いてくれただけあって抜群に美味しい。
     奥さんは「いらな~い」と言っていたけれど、こんな美味しい物お前にはもったいなくてあげられんわ(笑)。
     美味い美味いと、ずいぶんと食べたつもりだったが、2人合わせて5千円に収まったのは安かったからなのか、私たち夫婦が小食だったからなのか。
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    ◆11月5日(水)/2003年◆
     目薬を欲しいというお客さんが来店。
     製品名を指名されたもののウチには置いていないので問屋さんに注文が必要。
     指名された目薬が抗菌目薬なため症状を尋ねたところ、人に頼まれて買いに来た模様。
     抗菌目薬ならば、特に使用感が変わるわけでもなく同じような成分の別製品がある。すぐに必要ならば、その方が良い。
     そうお話をすると、携帯電話で依頼主に電話してみたようだが、無ければいらないとの事。
     何故に製品を限定しなければならないのかコチラとしては謎だが、好みだかなんだか拘る事柄があるのだろう。
     とりあえず買いに来たお客さんには、症状に合わせて選ばないと、目薬のように数社から何種類も同じような商品が出ているのを指名で捜すのは難しいと伝えておいた。
     風邪が治らないという患者さんが来店。
     何か薬を飲んでいるのかを尋ねたら、葛根湯(かっこんとう)を飲んでいるとの事。
     しかし、風邪の方はもう一週間ほど経っていて、咳も続いているらしい。
     それならば、もう葛根湯の適応ではない。激しい咳や咽喉の痛みは引いて、最後の後押しが必要な感じだったので、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)の方を勧めてみた。
     今日はお店を早くあがって出かけなければならない。
     行きたくはないのだが、選挙の応援である。
     川口市には医師会・歯科医師会・薬剤師会からなる『川口三師連盟』というのがあり、今回の選挙では自民党の新藤義孝氏を推すと言う事で、その集会があるのだ。ヤレヤレ=3
     http://www.sainet.or.jp/~shindo/
     集会の便宜上のタイトルは『より良い医療を求めて! 川口市民の医政を語る会』となっていた。
    「なっていた」というのは、全然そんな話など無かったから(笑)
     開会の挨拶を歯科医師会会長が、主催者挨拶を医師会会長が、〆の挨拶を薬剤師会会長が行ったのだが、それぞれ挨拶と共に“自分の主張”を唱えていた。肝心の新藤氏は、それらに「必ずやります」と言っていたが、どれを実行するんだよ(笑)
     しかも、新藤氏は堂々と小泉首相の改革に反対する姿勢を示している。
     以前から私は、「反対するなら力の無い野党より政権政党の中でやるべき」と思っているので、それ自体は良い。
     しかし、自分たちの既得権益しか考えていないように思える集会を票集めのために利用するという姿勢はどうか。
     今日の集会にしても集まり具合は7割以下で、とても組織票は望めない。小泉改革の是非は別にして、小泉首相が言ったように特定の組織に頼らずに選挙運動をするべきではないのか。
     そして、そのような特定の組織における集会だからなのかもしれないが、やたら川口市のためという利益誘導の発言も、私は国政選挙という事を考えれば納得できない。
     企業誘致や、今回の集会で言えば川口市の医療行政に関して何かをやるのは地方選挙で選ばれた議員たちがやる事で、国会議員がやる事ではない。
     川口市民の国政への意見を国会に“持っていく”のが国会議員の仕事であって、別に国から地元に“持ってくる”必要は無い。
     いくら良い事だとしても、国から何かを地元に持ってくるというのは、とかく悪く言われる建設業や道路行政と根っこが同じで、私は推す気になれない。
     国会議員に地元への利益を期待する有権者の方も問題かもしれないが、だからこそ特定の組織の票に頼る事を新藤氏にはやめてもらいたい。
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    ◆11月6日(木)/2003年◆
     朝早くに病院の検診に出かけた奥さんから電話。どうやら、子宮筋腫が見つかったらしい。それも、かなり大きいようである。
     お店に来たので詳しく訊くと、妊娠できたのが不思議なくらいの状態らしい。
     しかし、半分は自業自得である。実は以前から奥さんは生理の時の出血が多く周期も安定していないため、体質的に子宮筋腫になる確率は高いと思っていた。そこで予防のために当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を渡しておいた。
     ところが、3日も飲まずにそのまま服用をやめてしまったのだ。
     他にも、病気をした時にはすぐに薬をあげるのに、大抵は勝手に使うのをやめて、症状が重くなってから大騒ぎする“常習犯”なのだ。悪い患者の見本である。
     言うこと聞かない患者さんの事なんて知りません(・_・)
     そして医療関係者は、身内には冷たい(笑)
     赤の他人である患者さんには親身になって治してあげなければと使命感に燃えるが、身内だとよほどの大病でもなければ「まぁ、大丈夫でしょ」となる。
     なので、お母んも「大騒ぎするんじゃないの」と、奥さんを嗜(たしな)めた。
     私は私で、「これはメールマガジンのネタになるかも」とヒドイ事を思う。
     とはいえ診察した医師からは、出産するまでの入院を勧められたというから楽観はできないようだ。
     もとより、通常は流産の確率というのは一般に思われているよりも高い。一説には、3割近いという。
     それが現在、一般的に「妊娠したら生まれて当たり前」というように考えられるようになったのは、医療技術の発達と日本の生活水準が向上したからにほかならない。
     国生さゆりが離婚した原因の1つとして、2度の流産の事が報道されているが、本来ならば2度の流産も珍しい事ではないのだ。
     同じく子宮筋腫も珍しい病気ではない。子宮筋腫自体は多くの女性がなる病気であり、そのほとんどは小さくて検査でも分からないか、出産後の子宮の収縮と共に筋腫も小さくなって治癒してしまう。
     だから、子宮筋腫ができている事を医師から告げられたとしても、そう驚くことはない。まずは落ち着いて、冷静に医師の話を聞く事が大事だ。
     奥さんの方は、来週の月曜日にもう一度診察をするという事で、「旦那さんも連れてくるように」と言われたらい。
     ガーン!!Σ( ̄□ ̄;)
     いや、癌だったら来週なんて悠長な事は言わんか。
     しかし、メンドクサイな。 
     病院でもらっている薬が無くなったから分けてくれという患者さんが来店。
     しかし、処方箋の無い患者さんに薬を渡す訳にはいかない。
     本人は薬をもらうだけで診察を受けるのは面倒だと言う。診察に行っても、特に調べられたりする訳でもなく、二言三言話すだけで意味が無いと思っている模様。
     確かにそう思うのは仕方の無い事かもしれないが、お医者さんとは顔を合わせるだけでも大事なのだ。
     診察に来た患者さんと挨拶するだけで、医師は患者さんの肌の状態や目の色などを観察していたりする。それで症状が安定していると判断できれば、とりあえず症状に変化は無いものとして患者さんを帰す。
     中には、本当に“なんにも診ない”医師もいるようだが、それはまた患者さんの方で医師を観察して、信頼できないと思えば病院を変えれば良いだろう。
     診察はメンドクサイと言わずに、まずは病院で医者と顔を合わせるように伝えた。
     私も、奥さんからの又聞きでは良く分からないから、行かねばならんか。
     大阪府河内長野市で起きた男子大学生と女子高生による家族殺傷事件に絡んで、またぞろマスコミでは“心の闇”という言葉を使い始めた。
     この“心の闇”という言葉は、私には言外に「端(はな)から理解するつもりはない」というニュアンスを含んでいる気がして嫌いである。
     女子高生が公開していたというホームページの日記を取り上げて、「親がうざい」と書く一方で親と旅行をして楽しかったと書いていた事に対して、“複雑な心境を覗かせている云々”と論じていたが、そんなに奇異な事だろうか。
     時に親に殺意にも似た感情を抱き、同時に親愛の情を抱くというのは、それこそ多くの人が思春期に通る道ではないのか?
     それが本当に殺人に結びつく事は稀だろうが、自分を振り返ってみれば、絶妙のバランスで自分はやらずに済んだというだけだと安堵するのは私だけではないと思うのだが。
     それとも、“複雑”とか“心の闇”としてこの事件を捉えようという人たちは、純粋真っ直ぐになんの迷いも無く生きてきたとでもいうのか。
     ただ興味深いのは、同世代の人たちも「理解できない」と取材に答えているらしい事。
     確かに実際に殺すところまでいくというのは理解できないかもしれないが、家族への殺意も理解できないというのは私には不可解。自分の価値観の型にはめようとする親が最近は少なくなったのかな。
     もしかして、“親に反発しながら子供は育つ”という私の考え方が、すでに古いのかもしれない。私まだ30代なのに(苦笑)。
     
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    ◆11月7日(金)/2003年◆
     サトウ製薬の営業マンが来店。
     来週の木曜日に新商品の説明会が、さいたま市のワシントンホテルであるので出席してもらいたいとの事。
     う~ん、タダメシをいただくのになんだが、ワシントンホテルの料理って美味しくないんだよなぁ(苦笑)
     先日、雨が降った時にお客さんに傘を差し上げたら、お礼にお菓子をいただいてしまった。
     一応、傘を渡す時に、以前にプレゼントキャンペーンをやった時の余り物ですと申し添えたのだけれど。
     プレゼント用の傘でお礼をもらってしまった。かえって申し訳ない。
     風邪の患者さんが立て続けに来店。これで全員に総合感冒薬をポンと渡せば簡単ではあるが、それでは自動販売機と同じ。
     風邪が長引いて食欲が落ちているという患者さんには、風邪の後期に用いる柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)と、食欲が落ちていて栄養不足になるのを防ぐために地竜(ぢりゅう)を渡した。
     風邪は治って食欲なども回復したものの、咳だけが残った患者さんには、咳止めとして麦門冬湯(ばくもんどうとう)と、風邪をぶり返さないために地竜を合わせて勧めた。
     風邪をひきそうだという患者さんにはまず葛根湯(かっこんとう)を案内した。しかし、すでに吐き気がなんとなくするそうなので、小柴胡湯(しょうさいことう)のドリンク剤を合わせて使う事を勧めてみた。
     総合感冒薬は、症状が多岐にわたって判断がつかない時や、旅行などに手軽に持って行くのに便利ではあるが、できれば症状に対してピンポイントで使う漢方薬を選ぶ方が治癒も早くお金もトータルで安くつく。
     国連平和維持活動(PKO)のため10月に東ティモールに派遣された陸上自衛隊員約400人が、9日の衆院選挙での投票が不可能だというニュース。
     海上自衛隊員は公職選挙法で“船員”扱いとなるため、護衛艦や補給艦内で不在者投票が可能なのに対して、陸自隊員は帰国して住民票がある自治体に戻らなければ投票できないのだとか。
    「3カ月以上の現地滞在」などを条件に、海外の日本人有権者に衆・参比例代表への投票を認める在外投票制度もあるものの、今回は10月からの派遣で「3カ月以上」の条件を満たしていないため、投票権が発生しないという。
     10月には衆院選の予定が立っていたんだから、先に手を打っておいてやれよ、小泉さん(^_^;←なぜ親しげ。>俺
     遅まきながら、防衛庁は選挙権が行使できるよう総務省に相談しているそうだが、さすがに今回は間に合わない模様。
     自衛隊を容認している政権政党が気づかないのもマヌケだけれど、二大政党制を叫んでいる民主党もこういうところから突っ込めば選挙を大事にしているというイメージ作りができるのに、このネタを使わないんだからもったいない。
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  • ≪通巻33号≫
    “良く効く薬”とは?/JPS製薬全国大会レポート/JPS製薬栃木工場見学レポート

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    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※11月1日(土)……“良く効く薬”とは?
    ※11月2日(日)……JPS製薬全国大会レポート
    ※11月3日(月)……JPS製薬栃木工場見学レポート
    ************************* 今回の平凡な日記 ***************************
    ◆11月1日(土)/2003年◆
     柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)を求めて患者さんが来店。
     風邪のひき初めとの事だったが、葛根湯(かっこんとう)の方は家にあり、すでに飲み始めているそうだ。
     今回は、さらに症状が進んだ時に備えて柴胡桂枝湯を買いにみえたという。
     進まなければ良いが、備えは大事。備えあれば憂い無しである。
     旦那さんが胃が痛むという事でお客さんが相談にみえた。
    「良く効く薬をちょうだい」と言われたものの、もう少し細かな情報が無いと選びにくい。
     症状や体質に合う薬が“良く効く”のであって、薬の方で“良く効く”という物は無い。
     空腹時に胃が痛くなるようだと胃酸過多だったりするが、食べると胃が痛むとの事。
     また、体格はいい方なのだが風邪をひきやすいらしい。
     食べ過ぎて胃が痛くなるようであれば胃熱が考えられるから半夏写心湯(はんげしゃしんとう)を服用しつつ、痛みが強ければ芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を合わせて飲むように勧めた。
     ちなみに、胃潰瘍があったり風邪をひいているようであれば柴胡桂枝湯の方が良いだろう。
     近所の患者さんの家のパソコンが故障したようで、ちょっと見て欲しいと頼まれて訪問した。
     パソコンが起動しないという事だったのだが、HDD(ハードディスク)のランプが点灯せず、BIOSもチェックしたものの、どうにも原因が分からない。
     急ぎでプリントアウトしたい物があるという事で、じゃあ代わりにウチで入力して差し上げましょうと申し出た。
     安請け合いもいいところである。プリントアウトしなければならないという物が、名簿なのだ。名前の入力は漢字変換で意外と手間がかかる。
     できれば明日にでもという事で、正直ウゲェと思った。
     明日は私もJPS製薬の全国大会に出席しなければならないのに、今から間に合うかしらんσ(^◇^;)。 
     その後は美容院で散髪して、新調したスーツの裾上げを頼んでおいた紳士服のお店に行った。
     新調したと言っても、今まで来ていたのとあまり変わらないデザインで茶系のスーツ。
     本当は、20代の頃に購入したのと同じ若草色のスーツが欲しかったのだが、時はバブル絶頂の頃で、現在はそのような明るい配色のスーツは無いとの事。
     仕方なく、紺や灰色を排除していくという消去法で選んだ。
     なにも不況だからって、暗い色のスーツを買う事もないと思うのだがなぁ。こういう時代こそ、明るい雰囲気を自分で演出した方が良いのではないか。
     しかし、さんざん探し回ったにも関わらず、仕立てるための生地からして明るい色が無く、断念した次第。
     奥さんにも、お母んにも「同じようなのを買ってもしょうがないでしょ」と言われたが、とりあえず着ている人が少ない配色の方が、会った人に覚えてもらえる。
     家に帰ってから、ダダダダダという勢いで引き受けた名簿をパソコンに入力していく。
     ところが、体調が思わしくなく落ちそうなほどの眠気に襲われて中断。
     続きは朝にやる事にして、ゴソゴソと寝床に入った。
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    ◆11月2日(日)/2003年◆
     早く起きるつもりが起きられず、朝食もそこそこに名簿の入力の続き。
     名前の漢字変換に悪戦苦闘。IMEを人名優先にしても、結局のところ人名に使われる漢字の読みは一発で変換される事は少なく、別な読みで一文字ずつ変換する事になる。
     なんとか頑張ってみたものの、あと三分の一を残して出発時間になってしまった。
     会場はJR新横浜駅の近くの新横浜プリンスホテルなので、方向音痴の私でも駅から道に迷う事は無いだろうが、いかんせん電車の接続時間によって1時間半で到着するか2時間かかるか幅が広くて見当が付かない。
     泊まりだというのに泊まりの用意もしてなくて(馬鹿だねどうも)、慌ててバッグに必要な物を詰めて家を飛び出した。
     駅に向かう途中で、頼まれていた名簿の方は明日届けますと電話で連絡。電車の中でやる算段。大甘である。
     行きは電車が込んでいて座ることができず、当然作業もできなかった。
     しょうがない、ホテルの部屋でやるか。
     道に迷わないはずが、JR新横浜駅の目の前には『新横浜国際ホテル』があり、『横浜プリンスホテル』を捜すハメに。
     http://www2.princehotels.co.jp/app_room/piq0010.asp?hotel=015
     おそらく混乱を避けるためなのだろうがJPS製薬からの案内状には、『新横浜国際ホテル』が書いてなくて、『新横浜プリンスホテル』との位置関係が良く分からない。
     ぐるりと周囲を大きく回って、30分遅れで到着した。
     社長の挨拶などはすでに終わった模様。大抵の社長挨拶は聞いても役に立たない事が多いので、まぁ良し。
     ちょうど特別講演が始まったところで、講師は木村政雄氏。吉本興業で、やすし&きよしのマネージャーを務め、吉本新喜劇を立て直して東京進出を果たした立役者である。現在は吉本興業を退社して、フリープロデューサーとして活躍しているようで、吉本興業を退社したのは偉くなって現場を離れてしまう事が、逆に自分の“賞味期限”が切れるかのように思っての事らしい。
     そんな木村氏の今回の講演のテーマは、「不透明な時代を打ち破る、オンリーワンのすすめ」というもの。不況になってからというもの、この「ナンバーワンよりオンリーワン」というのは良く言われている言葉。
     しかし、いかにも旧態依然としたJPS製薬には合うんだか合わないんだか分からないテーマだな(笑)
     http://www.jps-pharm.com/index.html
     木村氏は、かつて日本マクドナルド社の藤田田氏が言った「富国強兵から富国楽民」という言葉を引用し、「人間の背の成長は二十代で止まっても人格成長は続く」と説いて、常識を捨てて新たなモノを獲得していく時代になったと力説する、いかにも芸人を育ててきたという感じで、普通の会社人とは違う印象。
     人格が成長するものかどうかは、やや疑問だが(苦笑)。
     それとは別に、歳をとっていくと人間は「否定する事でしか自分のアイデンティティを持てなくなる」という言葉には同意できるが、それがマイナスになるという捉え方は私は賛同しかねる。
     年寄りが若者のする事にあれやこれやと文句をつけてくれないと、今度は若者の方が自分の立ち位置を見失ってしまう。若者は、年寄りに反発する事で自分のアイデンティティを確立していくのだから。
     私が特に「そうだそうだ」と思ったのは、今まではライバルは同業同士だったが、これからは異業種間で競っていく事が必要という話。
     その例えとして、吉本興業の東京進出の話を持ち出した。
     吉本興業はかつて“お笑い”という同じカテゴリーの中で勝つ事を目指してきたが、時代とともにジリ貧になっていくばかり。そこで、ライバルをジャニーズと定めて新しい展開をしていく事で吉本興業は東京進出を果たして成功する事ができたという。
     日本人は、奇妙な仲間意識を持つという事の例えでは、タイタニック号の話を持ち出した。
     実際に以下のやり取りがあった訳ではないだろうが、沈みゆくタイタニック号で数に限りがある救命ボートに女子供を優先的に乗せるにあたっての国ごとの説得方法の違いに笑う。
     ドイツ人には、「規則ですから」。
     イギリス人には、「貴方は紳士でしょう」。
     アメリカ人には、「ヒーローになりたくありませんか」。 
     そして日本人には、「みんなそうしてますよ」。
     そして木村氏の話の中で何度も何度も繰り返し出てきたのが“賞味期限”という言葉。人間にも賞味期限がある。その賞味期限を延ばすためには、自分を変えなければならない時があると。
     現在は画家になったジミー大西は、芸人としての伸びは限界に近づいていたが、画家への道を選ぶ事で新しい人生が拓けた。
     やすし&きよしは初めはやすしがツッコミで、きよしがボケをやっていた。
    ところがやすしが不祥事を起し再び漫才界に戻るには、何か違う味付けをしなければ難しい。そう判断した木村氏はツッコミとボケを入れ替えるように勧め、それによってやすし&きよしの漫才コンビが延命したという。
     また、島田伸介をニュースキャスターに推したのも木村氏だそうである。暴走族あがり(この一点だけで私は大嫌いなのだが)のイメージを払拭して新しいファンを作らなければ寿命が尽きると読んで、テレビ局側に持ちかけたのだとか。意図からすれば、大成功である。(でも嫌い。)
     特別講演が終わり、おそらく社員の女性だと思うのだが「素晴らしいお話をしていただき、新しい事に挑戦する大切さを教わった気がします」と感想を述べた。でもそれを、原稿に目を落としながら棒読みしてどーする(笑)
     講演の内容とは関係無いが、ジミー大西が病院で点滴を受けた時に女友達から電話があり、早く会いに行きたいと思ったジミー大西は点滴の残りを飲んでしまったというのには爆笑(笑)
     そりゃあ、飲んでも害は無いかもしれんが(無いことも無いけど)、飲むかね普通。
     ちなみに私は私で入院中に、「この点滴、甘すぎて気持ち悪い」と言って種類を変えてもらった事がある。
     その時の看護婦さん曰く、「点滴の味を言われたのは初めてです」との事。
     だって、ホントに甘い味が口の中でしたんだもん(^_^;
     休憩を挟んで、特に売り上げの伸びたお店による報告。
     そもそも立地条件が違ったりして参考になる事は少なかったりするものの、双参(そうじん)を風邪の漢方薬とセットで販売するというのは、なるほどと思う。
     ウチでも風邪用漢方薬セット(症状別・医薬品)を始めたが、双参とのセットも加えてみようか。
     それと、「来るのが楽しいと思える薬局」というのは大いに頷いた。
     そもそも薬局は病気や怪我をした時に用がある所で、本来ならば用が無いにこした事ない。そして、一度治れば次に体調を悪くするまで普通は来ないという、商売としては矛盾を抱えている。
     そこで大手のドラッグストアーでは、薬と相反するんじゃないかと思えるような、あまり健康によろしくない菓子類などの販売を行う事で、顧客の獲得に成功している。
     実店舗の方は小さいので、ちょっと畑違いの物を置くスペースは無いし、なにも体に良くないと分かっている物を置くつもりも無いが、ホームページの方は薬を求めに来る人ばかりではなく、何か別な楽しみで来てくれる人を開拓したいところ。
      
     その後さらに、痛みに関する漢方薬での治療や新商品の紹介などがあったのだが、まとめないと混乱するだけなので割愛。
     3~4時間ほど勉強と相成ったものの、内容に対する時間が不足しており、いや正確には時間に対して内容を詰め込み過ぎてて駆け足気味だったため、結局は時間が無駄になった感じ。抜け出して、近くのビッグカメラにでも行ってれば良かった=3
     食べるのが楽しみな私としては、今回参加したのは夕食が目当て。(あとは、明日の工場見学。)
     JPS製薬の全国大会には初参加なため顔見知りは地元の薬局の人たちくらい。地区別のテーブル配置だったが、誰が誰やらまったく分からない。
     そこで、苦手だけれど少々挨拶回り。どうぞヨロシクお願いします。何をヨロシクするのは自分でも良く分からんが。
     各支部の支部長が壇上にあがって乾杯……というのは、やはり定番なのだろうか。儀式といえばそれまでだが、古臭い印象は否めない。
     http://magical-shop.web.infoseek.co.jp/photo/200311/index.html
     オードブルは、サーモンやハムなど。それからリンゴを甘く煮たもの。期待していなかったけど、美味しくて満足。
     食べるのが好きな割りには詳しくなくてなんだが、まぁ食べ物は頭で食べるモノじゃないのでと言い訳。(誰に?)
     刺身も美味しかったと私は思ったのだけれど、何故か残す人がいて譲ってもらった。意地汚いことこのうえない(苦笑) 
     スープは、おそらくフカヒレスープ。とろみが付いていて、飲むほどに食欲が増す感じ。
     サラダは、帆立貝とブロッコリー。ドレッシングが軽めのもので、素材の味が楽しめたのが好印象。 
     メインディッシュは牛ヒレよりも、添えてある黄色い揚げ物の方が美味しかった。なんだったんだろう(^_^?
     ホテルでの料理の〆に茶蕎麦が出る事があるが、これは感心しない。ツユに入れられているせいで、麺が伸びており、口の中でボソボソとして今までの料理が台無し( ̄^ ̄)
     デザートには、チーズケーキ、
    ストロベリーケーキ、チョコレートケーキの3種類が用意されており、好きな物を選べるということで、3つとも食べてしまった(苦笑)。甘さ控えめで美味しかったんだよぅ(^_^;
     そして、給仕をするホテルマンの方だが若手のホテルマンは「少々お待ちくださいませぇ」とか「畏(かしこ)まりましたぁ」と、語尾伸ばしと語尾上がりの合わせ技で、まるで居酒屋のようだった。
     言葉遣いには私は拘(こだわ)らないけれど、できれば“非日常”の演出は心がけて欲しいところ。せっかくの料理が、一気に大衆酒場のオツマミになってしまう。
     ただし、言葉遣いと心遣いは必ずしも一致しない。
     頼めばワインなどの飲み物は持ってきてくれるのだが、忙しそうなのを煩わせるのもなんなので、自分で飲み物のカウンターに取りに行った。
     何度かそうしていたら、若いホテルマンはすかさず他の手を休めて注文を尋ねたり、「お注(つ)ぎします」とグラスに注いでくれたりした。
     ところが、上の人間らしいホテルマンに「(ワインの)白はどれですか?」と尋ねたら、ふんぞりかえって「こちらです」と瓶を手で示すだけ。何か別な作業をしている訳でもない。ニコリともしない。なんなんだ、この偉そうな態度は(-_-メ)
     言葉遣いの丁寧さよりは、心遣いの方がいいなぁ。
     食事の後には別室にて軽食をつまみながら親睦会。
     そこでも他のお店の方たちにご挨拶。
     丸テーブルに椅子が置いてあるため、皆座ったら動こうとせず、イマイチ交流の場になっていないように思う。
     座りたい人のための椅子は壁際に並べて、立食のようにした方がいいのではないか。
     それでもホームページを開設しているお店の人たちと、しばしホームページの活用の仕方と、苦労話などの情報交換。
     インターネット上では、他店との値段の比較が容易なため、価格で競争してもまず勝てない。
     一方で親身な相談で信用を得ていくにしても、インターネットで相談してくる患者さんの多くは、他の病院や薬局での治療が思わしくなくてという難しい症例だったりする。
     それぞれのお店で得意分野があったりするので、その辺りでの連携を模索しつつ、ホームページへのリピーターを増やす方策も考えなければならいなだろう。
     酔いが回りすぎて頭がクラクラしてきたため早めに部屋へ辞去。
     ニュース番組はあらかた終わっていて、今日一日の世相は分からずじまい。
     たまには、そんな日もいいか。
     そして、お約束(?)の有料放送でアダルトモノを観てみた。どうしてホテルに泊まると観てみたくなるのだろうか。男って馬鹿だねぇ(私だけ?)。
     しばらく観ないうちに、ずいぶんと過激な内容の作品がホテルで観られるようになったんだなぁと妙な感心。
     高校生の頃に修学旅行でホテルに泊まった時には、あらかじめ観られないようにスクランブルがかけてあったのだが、かけ忘れたらしい部屋があって、何人かが集まって観たものである。今思い出しても、わざわざ有料で観る必要も無いソフトな内容ではあったが、先生に隠れて観るのが楽しかった。
     翌日、視聴した分の料金が発生して、先生にはバレバレであったけれど(笑)
     ………あっ、頼まれていた名簿作成の続きをやるのを忘れてた(^-^;;;
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    ◆11月3日(月)/2003年◆
     今日はJPS製薬の工場見学に行くという事で、6時半に起床。
     7時集合なので、急いで支度して2階のレストランに向かった。
     http://magical-shop.web.infoseek.co.jp/photo/200311/02.html
     朝食はバイキング形式。
     えてしてバイキング形式は、取り放題でも有難くないほど不味かったりするのだが、ここはハズレ無し(∩_∩)
     できればもう少しゆっくりと味わいたかった。
     ロビーに集合したものの、集まりは良くない様子。
     JPS製薬の社員が、参加予定者をロビーに集めるのに奔走していた。
     待っている間に、ロビーに展示してあったホテルの模型を撮影。
     どうせなら、近くを走っている新幹線などの模型も一緒に組み合わせて作ってあれば面白いのにな。 
     参加者が揃ったところでホテルを出発。
     関東地区で工場見学を希望したのは私だけだったらしく、九州地区の人たちと同じ班になった。
     JR新横浜駅から東京駅で乗り換えて宇都宮駅へと向かう。
     たかだか新横浜駅と東京駅の間を新幹線で行くなんて、普通はしないだろう。わずか10分の乗車。なんだか、ものすごく贅沢な事をしたような気分。
     途中で品川駅に停車して、「そういえばそうだった」と思い出した。“新幹線品川駅開通フィーバー”は、今はいずこへ。
     東京駅で乗り換える時に、乗車券と特急券と乗り換え用の乗車券の3枚を自動改札機に通すように駅員から案内された。
     自動改札機の挿入口を見ると、手書きで「3枚同時にお入れ下さい」とある。なぜ手書き(笑)?
     引率する営業マンのT氏からは、「若先生、若先生」と何度も呼ばれたが、こういうのに慣れると人間ダメになるんだろうな。気をつけよう。
     宇都宮駅で観光バスに乗り換えて、JPS製薬の栃木工場へ到着。
     http://www.jps-pharm.com/quality.html
     周りには民家らしい民家は無く、ホンダなどの様々な業種の工場が立ち並んでいた。
     ただし、工業地帯という感じでなく、空気も良い。また、排出する水に関しては厳しい規制が設けられており、そのお陰で近くを流れる鬼怒川も綺麗なのだそうだ。
     それと、この近くにキリンビールの栃木工場があるとも教えられた。以前にアルバイトをしていた事がある。
     何をしていたかというと、瓶の蓋のチェックである。ベルトコンベアーを流れてくる瓶の蓋を見つめ、異常が無いかを4人一組で目視確認をするのだ。
     異常を発見したらその瓶を取り除くのだが、ベルトコンベアーを止める訳にはいかないので、瞬間的に手を動かして取り出さなければならない。そして、異常が無かった場合は元の位置へ戻さなければならない。
     最初の頃は取り損なったり、異常が無い物を戻すのが遅れ、何度かベルトコンベアーを止めてしまった。
     恐ろしく集中力が必要で、まばたきをした瞬間に目の前を通り過ぎてしまうため目は開きっぱなしで、15分づつの交代でこなしていた。
     懐かしいなぁ。2度とやりたくないなぁ(苦笑)。
     工場では、所員の方たちが出迎えてくれた。今日は休日のはず。休日出勤という事だろうか。
     工場内では写真撮影はできないという事なので、外観のみを写真に収めた。
     生薬の標本なんか、ぜひ写真に撮りたかったのだが、残念。
     工場の中を見学する前に、工場の概要の説明などを聞く。
     科学的な合成薬と比べて漢方製薬の難しい点は、原料が天然なため成分の含有率が一定でないこと。しかし、製品はもちろんグラム中の成分量は一定でなければならない。
     また、同じ原料でも色や匂いが違ったりするのだが、服用する方は色が毎回違ったりすれば不安を感じてしまう。だから、色や匂いを安定させるというのにも工夫をしている。
     さらに生薬のほとんどはいわば農作物と同じなので、洪水や虫害などの被害が出た場合に備えて、複数の産地と契約している。しかし、産地が違えばやはり成分の含有量も色や匂いが違うのはもちろん、農薬の使用状況も異なるため、入荷した材料に対しては納入業者の申告だけに頼らずに自社で厳しい検査を行っているとの事。
     そして、生薬の中には通常1g中に10の100万倍個もの細菌がいるそうで、それを熱処理で1g中に10個~100個程度になるように殺菌するのだという。この時に、細菌は殺しても有効成分がダメにならないようにするのが、技術的に大変だったようだ。
     そしていよいよ、工場の内部を見学。
     白衣に着替えて帽子とマスクを装着すると、まるでパナウェーブ研究所の関係者みたいである(笑)。
     手を洗って空気洗浄室を通ってから工場の中に入った。
     空気洗浄室は狭い部屋なので2人ずつ入って下さいと説明されていたのに、3人で入るオッサンもおるし(苦笑)
     工場内部は気圧が高く、外部の空気が入らないようになっているそうで、確かにやや耳がツンとする感じ。
     なんだか漬物工場でアルバイトをしていたのを思い出した。漬物工場では、午前中に漬物をどんどん作っていって、今度は午後いっぱい時間をかけて機械の洗浄をするという、神経は使うは肉体的には疲労困憊になるはで大変だった。
     ………なんか、色々やってるな、オレσ(^◇^;)。
     見せてもらったのは麦門冬湯(ばくもんどうとう)を造る過程。
     麦門冬湯の原料を機械で攪拌(かくはん)しているところでは、思わず拝んでしまった。なにしろ喘息持ちの私にとっては命綱である。
    「いつもお世話になっています( ̄人 ̄)」
     
     工場の内部は細い階段が入り組んでおり迷路のよう。
     置いてかれたら、自力で出入り口にたどりつける自信が無い。
     殺菌処理を終えて乾燥させている機械の中を覗かせてもらうと、乾燥機のように高速で回転していて、横殴りの雨みたいに見えた。1時間で約8tの水を飛ばすそうである。そうする事で、成分の分解や酸化を抑えるのだそうだ。
     葛根湯(かっこんとう)のように糖類の多い漢方薬の場合は、壁に付着してしまい、かなりのロスが出るらしい。また、大黄(ダイオウ)のような生薬が含まれていると、黄色い色が付着してしまい、機械の洗浄が大変との事。
     
     乾燥処理をした後には圧力をかけて板状にしてから砕くという工程を3回繰り返して顆粒にする。
     板状の漢方薬をポリポリ食べられたら面白そうだけど、味付けが問題か。
     顆粒の場合の製品チェックも厳しいが、錠剤の方もかなり頻繁にサンプルとして取り出してチェックをしていた。錠剤の場合は、成分はもちろん大きさも専用の定規で測っている。
     見学していて気がついたが、原料の投入や機械の清掃、品質チェックまで、ほとんどが手作業だった。
     特に原材料の異物検査では、ベルトコンベアーを流れてくる原料の中から規格に合わない物を手で排除している様子を見させてもらったが、排除した方のどこが悪いのか皆目分からない。経験が頼りというところか。
     金属類などであれば磁石を使って取り除くという事も可能だが、他の植物の根だとかそういう物はどうやったって機械的に排除するというのは、やはり難しいのだろう。
      
     倉庫の方へ移動すると、厳重な温度と湿度管理の下で原料となる生薬が山積みにされていた。
     生薬の匂いがするという事は空気中に成分が漂っているという事だと思うのだけれど、という事はもしかしてここにいると健康にいいのかな(笑)
     一部の箱のラベルを見ると、輸出元の欄に北朝鮮と書かれていた。万景峰(マンギョンボン)で運んだのかな。
     麻薬の輸出元としても有名な北朝鮮だが、“業界”の人の話によると質はあまり良くなくて、末端価格もそれほど高くないのだとか。値段が安いから中高生でも入手しやすいのかもしれないが、どうせ麻薬なんて体に悪い物を使うのなら、せめて質の良い麻薬を使いたいものだ。(不謹慎)
     しかし、漢方薬の生薬としては北朝鮮の作物は悪くないらしい。軽水炉の援助なんかよりも、漢方薬の生産技術を向上させるための支援なんかも良いのではないだろうか。
     研究室の方も案内してもらい、そこでは品質管理のためのデータの分析と、新製品の開発が行われていた。
     新製品を販売するためには、国に申請してから審査が通るまで1年以上かかるとの事。という事は、開発期間も入れると3年以上はかかるという事か。
     資料室には膨大な文献と製品のデータがあり、服用による事故や苦情があった場合には、この資料室にある情報とつき合わせて調査をするそうだ。
     最近では『プロジェクトX』が流行った事もあり、商品開発の苦労話などは一般の人もかなり興味を持ってくれる。その辺りのお話もぜひ伺いたかったのだが、残念ながら今回は時間が無かった。
     工場長さんには、ぜひそのうち取材をさせて下さいとお願いした。
     工場見学を終えて、昼食を食べるためにバスが出発すると、昼食を予定しているお店に着くまで、営業マンが俄(にわ)かバスガイドを務めた。私が乗車したバスの担当者は関西出身の人なのだが、人前で喋るのが苦手な様子。関西人の皆が皆、芸人さんという訳ではない(苦笑)
     なのに、おそらくインターネットで事前に調べたのであろう、栃木県の県名の由来や名産物の解説をしていると、江戸時代に統治していた殿様は誰かという質問が参加者から出た。
     そんなの聞かれたって分かる訳ないだろが(笑)
     しかしそこは営業マン、「帰るまでに調べておきます」と答えた。偉いなぁ。
     http://www.pref.tochigi.jp/
     昼食は『宇都宮餃子館』。
     http://www.rakuten.co.jp/gyozakan/
     ものすごく交通の便の悪い所にあるのだが、それでも来る人がいるという評判のお店らしい。
     お店の入口には、なんともコメントに困る石像が。『スタミナ健太』という名前で、このお店のマスコットキャラだそうだ。可愛い顔して、チカラコブが逞しいところがイカシてる(笑)
     食べたのは餃子定食とでもいうのか、蒸し餃子・水餃子・焼き餃子のセットでボリューム満点。
     とりたてて美味しいとは思わないが、悪くもない。『ナンジャタウン』の餃子スタジアムに出店しているお店の方が美味しいかも。
     ところで、私だけ焼き餃子が出てこなかった(T-T)
     私って、そういう目に当たりやすいのか?
     注文した烏龍茶も来ない(;_;)
     とりあえず焼き餃子だけは席を立つ前に来たけれど、結局烏龍茶だけは来なかった。
     なので、ここでお土産を買うのはやめてしまった。
     JR宇都宮駅で解散して、帰りのホームに向かう途中でお土産を購入。
     Iちゃんからは御当地限定の『餃子キティ』のキーホルダーを頼まれていたので、それを買う。お店の人の話だと、やはり出張などで頼まれたという男性が買っていく事が多いらしい。
     ウチの奥さんには餃子とお菓子。食べ物の方が喜びそうなので(笑)
     体の方は疲れていたが、電車の中でゆっくり休んでいる訳にはいかない。頼まれていた名簿を仕上げて今日中に届けなければ。
     電車の中でノートパソコンを開けてババババと入力していく。
     途中で、普通電車なのに珍しく車掌の乗車券の点検があった。こんな所で作業をしている私もなんだが、集中している時に中断させられるのはやはり嫌なものだ。
     Suicaを使っているのでそれを示したら、特にチェックするでもなく「はい、結構です」と言われた。
     http://www.jreast.co.jp/suica/
     Suicaの電波の到達距離は意外と長いそうなので、早いところ示さなくても車掌が確認できるようにしてもらいたいなと思う。
     寝ている時に起されるのも不快だしね。
     
     なんとか名簿を仕上げて、家に帰ってからプリントアウトした物を先方に届けた。
     それでやっと本当に一息つけた感じ。
     奥さんにお土産を渡して、Iちゃんにも買ってきた事をメールで知らせて、夕飯を食べた後はお風呂に入るのも面倒になってグー。
     (_ _)(-.-)(~O~)ファ…(~O~)(-.-)
     ……ガク( -.-)( _ _)zzzZZZ。
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