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  • 市場のニーズが市販薬の選択を難しくする

     お客様が『葛根湯』を購入しようとしたけれど、喉の痛みや咳の風邪と発熱には向かないことを伝えると、すでに風邪をひいて1週間くらい経ってるとのことだった。
     主訴は喉の痛みと鼻水で、どちらも胃の不具合と関係することを説明し、喉の痛みは大したことないというお話から『柴胡桂枝湯』を勧めてお使いいただくことになった。
     『葛根湯』を使うタイミングは最初の1日~2日ぐらいで、その後は発熱があるようなら『麻黄湯』に乗り換え、発熱が無いのであれば『柴胡桂枝湯』に移って内臓を助けた方が回復が早まる。

     お客様から胃もたれの相談を受け、『大正漢方胃腸薬』を使っていたと言うのだが「白い粉のにしたい」と要望された。
     しかし、白い粉と言われても皆目見当がつかないため『スクラート胃腸薬』を紹介したうえで、食べ過ぎと脂っこい物を食べての胃もたれは対応が別なことを説明し、『タナベ胃腸薬ウルソ』も案内した。
     でも、外箱の白いイメージで『第一三共胃腸薬』を購入された。
     まぁ、お客様の選択だし、大きく外している訳でもないから良いのか。
     ただ、『第一三共胃腸薬』の処方構成を見ると、胃もたれを解消するはずの消化剤と、胃液の分泌を抑える制酸剤が一緒に入ってるんだよねぇ……。
     両方に効くか、双方打ち消し合ってしまうか、「当たるも八卦当たらぬも八卦」の薬なのです。
     というか、胃薬にはそういう変な処方構成の物が少なくない。
     某製薬メーカーの研究員さんのお話では、「市場のニーズに合わせた結果」なんだそうな┐(´д`)┌

     お客様から、6歳の子供が排便時に痛がるとの相談を受け便の状態を尋ねたところ、コロコロ便だというのでストレスの可能性をお話した。
     ストレスについては思い当たらないということだったが、子供にとっては楽しいことも興奮によって内蔵には負担になることを説明し、また子供の悩みにはとかく気づきにくいことを伝えた。
     子供の悩みに気づきにくいというのは、自分のことでもあるのだけれど。
     とにかく、腸内環境を整える『ザ・ガード』とストレスの軽減を図る『桂枝加芍薬湯』、それから腸内の水分を吸って便を柔らかくする『新ウィズワン』を候補として、チョコレート味の『新ウィズワン』を試していただくことになった。

     

  • 毎日のうがいは水道水で充分

     ご主人から『葛根湯』を頼まれたお客様が来店したのだけれど、現在の症状は分からないとのこと。
     そのため、『葛根湯』は上半身を温めて風邪を治すという特性を説明し、喉の痛みや咳、発熱してしまってからの風邪には向かないことをお話したうえでお買い上げいただいた。
     また、お客様には風邪の初期には食事を控えて消化のエネルギーを治す方に使うよう伝えたところ驚かれたが、風邪をひいたら栄養を摂るというのは、食糧難の時代の名残であることをお話した。

     お客様から指先の割れの相談を受け、仕事先では手袋ができないというので水絆創膏を紹介したうえで、まずは治療が必要なことをお話して『ヒビケア』を使っていただくことになった。
     それから、皮膚を作る食材として豚汁を例に、数日は思いっきり食材を偏らせるよう勧めた。
     偏った食事で体調を崩すのと逆に、偏らせた食事により早く治すことを目的にするんである。

     夫婦のお客様が来店し、『イソジン』のうがい薬と『コルゲンコーワトローチ』を求められたが、現に喉が痛む場合には刺激物になる『イソジン』は避けることと、『コルゲンコーワトローチ』は消毒薬にすぎないことを説明した。
     喉が痛いようであれば、炎症を抑える『パブロントローチAZ』を紹介したところ、うがい薬と一緒にお買い上げいただいた。
     毎日うがいをしている人なら、家族が風邪をひいたとか、職場で風邪が流行っているということが無ければ、水道水で充分なんだけどね。

     

  • お店の系列ごとにパッケージデザインが違う薬もあります

     お客様からクラシエ薬品の『葛根湯』をという注文を受け売り場を案内してみたら、お客様がスマホで撮ってきた物とはパッケージデザインが違ったため、購入を躊躇われた。
     『葛根湯』自体は古い処方なのでエキスの濃縮の違いなどはあるものの、体質との相性もあるため濃ければ良いという物でもない。
     それに製薬メーカーによってはドラッグストアーの系列ごとにパッケージデザインを変えたり、あるいはスーパーの医薬品売り場に卸す商品は違うデザインにしていたりするので、あまりパッケージにこだわる意味は無い事をお話した。
     しかし、結果としては今日のところはお買い上げは無しとなった。
     ただお客様は、 風邪の中期に用いる『麻黄湯』や後期に適用する『柴胡桂枝湯』をご存知無いようだったので、紹介してみた。
     また、風邪の初期に使う『葛根湯』は上半身を温める一方で胃に負担がかかるため、胃の弱い人は最初から『柴胡桂枝湯』で通す方法もあることをお話した。

     『銀翹散』『桔梗湯』を一緒に購入されるお客様に、どちらも体を冷やすため併用しないように伝えたところ、そもそも内容を知らないようだった。
     喉の痛みだけが主訴であれば『桔梗湯』を単独で使うか、喉が痛くて風邪の予兆がある時には『銀翹散』を単独で使うよう勧めた。
     また、体が冷えて鼻水が出る一方で喉の痛みがあるというような場合には、上半身を温める『葛根湯』と体の中を冷やす『桔梗湯』の組み合わせの方が汎用性があることを伝えた。
     本日は、『銀翹散』をお買い上げ。

     『パブロンSゴールドW』を購入されるお客様から、他に栄養ドリンクは飲んだ方が良いか訊かれた。
     ご主人が風邪をひいたそうで、食事をしないのであればノンカフェインの『新ヒストミンゴールド液』を、食べるのなら特に栄養ドリンクは必要無いことをお話し、『パブロン SゴールドW』のみを、お買い上げいただいた。
     風邪をひくとどうしても栄養を摂らなければと考えがちだが、風邪には何よりも体を休めることが一番。
     そして体を休めるというのは、内臓を休めることも含めてなので、普段よほど不摂生して栄養不足な生活をしているのでなければ、無理に食事や栄養ドリンクを摂らなくても良い。

     

  • 総合風邪薬の得意な症状と起きる症状が一致するとは限らない

     お客様から普段、喉から風邪になるとのことで常備薬の相談を受け、総合風邪薬を選ぶか症状別で揃えるかをお話ししたところ、『ベンザブロックL』を以前は使っていたとのこと。
     家に鎮痛剤があるかを尋ねると『ナロンエース』があると言うので、喉が痛くなった時には先に『ペラックT』を単独で使い、発熱や頭痛になったら『ナロンエース』を併用するという方法を提案し『ペラックT』をお買い上げいただいた。
     総合風邪薬を1つ揃えておくというのは手軽だけれど、その総合風邪薬の得意な症状と、起きる症状が一致するとは限らないから、私は症状別の薬を小容量で揃えるのを推したいところ。
     また、お客様の家には『葛根湯』があるそうなので、家に置いておくよりも常に携帯して頭が重く感じたり悪寒を感じたり、或いは喉の違和感を感じた時にすぐに服用してみるようお話しした。
     お客様からは、「薬の使い方は難しい」と言われたので、電話でも相談を受けますと伝えた。
     実際、家にある薬を服用して良いか電話で問い合わせを受けたことは何回かある。

     お客様が『葛根湯』をレジに持ってきたけれど、主訴は喉の痛みと鼻水とのことで、鼻水には適応するものの喉の痛みには『桔梗湯』を併用した方が効果的なことをお話しした。
     しかし一つの薬で済ませたいと言うので、『ルルアタックEX』を案内し変更となった。
     ただ帰りぎわに、喉の痛みはそれほどではなく違和感程度だと言うので、そのまま『葛根湯』でも良かったかもしれない。
     なぜ最初に、喉が痛いと言われたのか(^_^;)
     喉は胃とつながっているから炎症は影響するし、鼻水は胃の不具合とも関係するため、食事を消化の良いものにとお話したのだが、もう買い物袋には夕食も買ってあるようだった。
     ううん、食事を買う前にドラッグストアーに来てくれればなぁ。

     成人のお客様が母親と来店し『桔梗湯』を2つレジに持ってきたため、お腹の冷えすぎに気をつけるよう伝えたところ興味を持たれた様なので、比較として患部を冷やしつつ熱を発散する『駆風解毒湯』を紹介したところ、1つを交換して購入された。
     『桔梗湯』は冷やす力が強いので炎症に効果を期待できる一方、悪寒や鼻水がある時には体を冷やしすぎるので『葛根湯』との併用が良い。
     鼻水などの冷えを示す症状が無い喉の痛む風邪にはと、『銀翹散』も紹介した。

     

  • 症状が出てから葛根湯を買うのは遅い

     お客様が『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきたけれど、主訴は喉の痛みで他の症状は無いそうなので、効能を絞ることを提案し、『ペラックT』と『パブロントローチAZ』、それに『駆風解毒湯』を案内してみた。
     すると、『葛根湯』を服用して効かなかったというお話があったため、鼻水が無いことを確認して『銀翹散』を勧め試していただくことになった。
    「風邪には葛根湯」という言葉が広まって喉の痛みにも使われることがあるけれど、よほどの最初期でもない限りは上半身を温めてしまうから、喉の痛みや咳、発熱してからの風邪には適応しないので注意が必要だ。

     『葛根湯』の液剤をレジに持って来たお客様に、喉の痛い風邪や咳の風邪には向かないことを伝えると、喉の痛みを感じたのは朝方だと言うので、そのタイミングであれば使えたと思うものの、もう夕方なことから遅いかもとお話しした。
     代わりに炎症の熱を発散しつつ冷やす『駆風解毒湯』と、お腹の弱い人だと内臓まで冷やすため軟便になってしまうくらい効果的な『桔梗湯』を提案したところ、風邪にも使いたいとのことから、鼻水が無いことを確認したうえで『銀翹散』を紹介した、試していただくことになった。
     『葛根湯』は早め早めのタイミングが重要なので、家に置いておくよりは持ち歩いて、出先で異変を感じたらすぐにに使うよう勧めた。
     今回のケースで言えば、起き抜けに飲むべきだったろう。

     若い夫婦のお客様が『葛根湯』をレジに持ってきたさいに、喉の痛みや咳の風邪には向かないことを伝えたところ、ご主人が喉が痛いということで、他に症状は無いそうだから『桔梗湯』を併用するか『駆風解毒湯』を単独でと勧めてみた。
     また、頭重感など風邪の予兆があれば鼻水が無いことを条件に『銀翹散』を使う方法もあることをお話した。
     今回は、『駆風解毒湯』をお買い上げ。
     奥さんはいつも『葛根湯』を使っていると言うので、ごく初期であれば適用することと、持ち歩くと活用しやすいことを伝えた。
     なんだか『葛根湯』を目の敵にしてるような一日になっちゃったけど、『葛根湯』自体は優れた処方。
     上半身を温め血流を良くし、熱を発散する甘草も入っている。
     ただ、どんなに優れていても適材適所と使うタイミングというものがあるから、「なんにでも効く」訳はなく、「買いに来るのでは遅い」ので、こうして周知している次第。
     繰り返すけど、『葛根湯』は効能に「肩こり」があるように、「上半身を温めると改善する」症状に向いている。
     つまり、上半身を温めたら具合が悪くなるような症状には適応しない。
     すなわち、喉がヒリヒリやズキズキするような炎症の痛み、コンコンと乾燥しているような咳、発熱してからでは症状が増悪してしまう。
     ごくごく初期の喉の違和感程度、鼻水があり薄い痰を伴う咳、発熱前の悪寒、これらが『葛根湯』に向いている。
     ただし、鼻水があり咳をすると水のような痰が出るようなら『小青龍湯』の方が、より適応するだろう。
     という訳で『葛根湯』は早さが勝負なので、買い置きしておいて下さい( ̄ー ̄)ニヤリ

     

  • 自分で何でもかんでも勉強するのは難しいですから

     お客様が総合風邪薬と『ペラックT』で迷っている様子だったので声をかけてみたところ、主訴は喉の痛みだと言うので、他に症状が無いければ主訴に絞る方が体への負担が少ないことを説明して、『ペラック T』を勧めつつ『パブロントローチAZ』と『駆風解毒湯』も紹介した。
     すると、「よく効くのはどれか」と尋ねられたのだが、こればっかりは相性ですとしか答えようが無い。
     なかなか個別の商品の臨床データを見る機会というのは無いが、それでもいくつかのメーカーの臨床データを見る機会があり、およそ3分の2以上の人に効く物が市販されていると考えて良いだろう。
     そしてこの3分の2以上の人に効くという数値を、多くの人に効くから安心と考えるか、3人家族だと1人は効かないというように考えるかで話が変わってくる。
     そうお話すると、今回のお客様は『ペラックT』を購入された。
     お客様には、炎症を強めてしまう夏野菜を避けることと、体に「無理に炎症しなくて良いんだよ」と教えてあげるために入浴をしたり温かい物を飲むことで体の保温に努めるよう勧めた。
     お客様からは、「知らないことばかり」と言われた。
     お客様の仕事が何かは知らないけれど、私が深く関わったことのない分野であれば、おそらく私の知らないことばかりであろう。
     世の中、何でもかんでも勉強していくというのは無理な訳で、だからこそ専門分野の人を頼った方が良いと私は思う。

     お客様から鼻づまりの相談を受け、インフルエンザの後に鼻づまりが続いていて、鼻汁は黄色いとのこと。
     『葛根湯』はどうかと訊かれたので、上半身を温めるため向かないことを説明し、同じ系統では鼻水と鼻づまりを行ったり来たりするときに適応する『葛根湯加川きゅう辛夷』があることを紹介しつつ、鼻づまりが酷ければ上半身を冷やす『荊芥連翹湯』をと案内して、さらに鼻汁が喉に落ちてくるかを確認すると落ちてくると言う。
     それはインフルエンザで胃が悪くなっている可能性があるとお話しして、『チクナイン』(辛夷清肺湯)を勧めお買い上げいただい。
     お客様には下半身の厚着をして、免疫機能を司る腸を活性化するために温めるようお話した。

     

  • 漢方薬の不味いというイメージは『葛根湯』?

     胃腸薬の棚を見ていたお客様から、15歳の子供が嘔吐していると相談され、下痢は無いとのことから『柴胡桂枝湯』を案内した。
     すると、漢方薬は子供が嫌がるかもしれないとのことから現代薬を希望されたが、市販薬で嘔吐に使える物は他に無いことを説明し、お買い上げいただいた。
     あえて現代薬から挙げるとすれば酔い止めくらいだけど、それでも吐き気の緩和程度だ。
     嘔吐に下痢が伴うようなら、同じく漢方薬の『五苓散』が候補になるが、嫌がったのは『葛根湯』のようだ。
     一般に漢方薬の不味いというイメージは『葛根湯』によるもので、生薬に苦いのと辛いのとが入っているから、まぁ確かに不味い。
     でも漢方薬の味は生薬構成で決まり、『柴胡桂枝湯』には苦い物が入ってはいるが、辛いのが入っていない分だけ舌への刺激も少なく無理は無いはずである。
     咳止めの『麦門冬湯』となれば粳米も入っていて、かすかな甘みを感じるくらい。
     そうそう、嘔吐をしているさいには薬を水で一気に飲むと、また吐いてしまうかもしれないので、小皿にお湯で溶いてスプーンで舐めるように服用する方法を教えた。

     胃痛を訴えるお客様に、『大正漢方胃腸薬』と『スクラート胃腸薬S』を案内してみたら、以前に逆流性食道炎と診断されたことがあるというので、指を肋骨の下側に入れてもらったところ痛いと言うため『半夏瀉心湯』を勧めた。
     しかし、容量が3日分と少ないのが不安らしく『爽和』にも興味を持たれたため『太田漢方胃腸薬2』も交えて、前者は人から激しく怒られるなどの外から来るストレスに対応し、後者は自分で思い悩んでしまう様なストレスに向いていることを説明した。
     そして今回は、鎮痛鎮痙現剤の『芍薬甘草湯』の入っている『大正漢方胃腸薬』をお買い上げいただいた。
     逆流性食道炎の場合、さっきの指を肋骨の下側に入れて痛くなければ『ギャクリア』(六君子湯)も候補になる。

     

  • 薬を継続するのも乗り換えるのも相談してみて

     お客様が『チクナイン』(辛夷清肺湯)を持ってきたさいに、使用したことがあるかを尋ねると「ある」というお返事。
     しかし、お会計をしながらヒアリングを続けると病院で蓄膿症とは診断されたものの、処方された薬は不明で鼻汁は喉に落ちてこないというため『荊芥連翹湯』を紹介したところ、違いを把握していなかった。
     『葛根湯加川きゅう辛夷』を交えて説明してみると、すでに『チクナイン』を2週間ほど続けていても症状が変わらないというお話だったことから、『荊芥連翹湯』を勧めて試していただくことにした。
     2周間も続けて改善していないのであれば、それこそ相談をしてもらいたかった(^_^;)
     この三種の違いをざっくり説明するのなら、鼻が詰まったり鼻水が出たりといったりきたりするようならば、体を温めつつ血行を良くする『葛根湯加川きゅう辛夷』が候補となり、鼻が詰まって寝苦しいぐらいならば上半身を冷やす『荊芥連翹湯』を使い、詰まった鼻汁が喉に落ちてくるようなら胃が弱っている可能性を考え、胃薬も入っている『辛夷清肺湯』を用いることになる。
     お客様には、体内の熱が上半身に篭ってしまうのが原因と考えられることをお話しして、体内の熱を対流させるために入浴を勧めた。
     すると出張先では風呂に入るものの、家では経済面を考えてシャワーで済ませているというので、皮膚が薄くて太い血管が通ってるところを重点的に浴びるようお話した。
     また、蓄膿症であることを考えると鼻の周りに少し熱めのシャワーを浴びるのも良いことを伝えた。

     お客様が『新ルルA錠』をレジに持ってきたが、主訴は喉の痛みと鼻水ということだったので、喉に合わせて『新ルルAゴールドDX』を提案した。
     他に主訴に合わせたものとして『ルルアタックNX』を紹介したところ、2日分しか入っていないことを不安がられたため、2日ほどで改善が見られなければ乗り換えを検討した方が良いことをお話しした。
     すると、直前まで『ベンザブロックS』を服用していたというので、胃の不具合が原因と考えられることを説明してみたら、喉がイガイガしやすく仕事で声を使うということから、上半身を保水する『麦門冬湯』を紹介し胃薬を兼ねていることを伝えた。
     本日は、『新ルルAゴールドDX』をお買い上げ。
     『ベンザブロックS』で改善しなかったから『新ルルA錠』を試してみようと思ったんだろうけど、どうして主訴への適応が違う物に行こうとするのかが分からない。
     成分による効能の違いが分からないからというのであれば、どうして相談してくれないのかなと(;´Д`)

     

  • 警戒されない情報提供の仕方に悩みます

     やや高齢のお客様からトローチが『コルゲンコーワトローチ』しか置いていないのか尋ねられたので、医薬品もあることをお話して売り場を案内したうえで『コルゲンコーワトローチ』は消毒系で、抗炎症には『パブロントローチAZ』あるいは両方を合わせたものとして『マードレトローチ』があることを紹介した。
     最初に言われた主訴は喉の痛みということだったが、詳しく訊いてみると痛みはそれほどではないらしく、喉の違和感の方があるということからすると、胃炎の可能性も考えられることをお話しすると「胃は悪くない」と言われたけれど、口内炎によくなるとも言うので口内炎も胃と関係することと、胃には痛覚神経が無く案外と鈍感であることを説明した。
     今回は炎症を鎮める物として『パブロントローチAZ』をお買い上げいただいた。
     年をとると体内が水分不足になりがちなのと、胃の機能が低下しがちなことをお話しして『麦門冬湯』は紹介しておいた。
     漢方薬は長く飲むイメージがあるというため、『葛根湯』を例に症状によることを説明した。
    「風邪には葛根湯」というように、漢方薬も急性症状には早く効くのである。

     家族がノロウイルスと診断されたとのことで、お客様から『ウイルスシールドスプレー』が使えるか訊かれ、塩素系なので使えることを説明し『キッチンハイター』でも良いことを伝えると、すでに購入してあるとのことで取りやめになった。
     『手ピカジェル』のことも尋ねられ、基本的にエタノールではノロウイルスに対抗できないことと、黄色いノズルの『手ピカジェルプラス』の方はリン酸を添加することで少し優位であることを伝えた。
     今回は経口補水液の『OS-1』のみ購入され、市販薬では『柴胡桂枝湯』が有効なことをお話したところ、売りつけられると思われたらしく急に態度を硬化されてしまった。
     ううん、情報提供って難しい(´・ω・`)
     病院から処方された薬があるそうなので、そのせいかもしれんけど。
     もし患者さんが吐いてしまうようなら、処方された薬をお湯に溶き、スプーンで舐めるように服用させる方法を勧めた。

     

  • 市販薬の効能は原則的に主な作用が文頭に書かれていることが多い

     『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきたお客様に、喉の痛みには弱いことを伝えると迷われたため、同シリーズなら『パブロンエースAX』を、銘柄にこだわらなければ『ルルアタックEX』をと紹介した。
     途中、他のお客様の相手をしてから改めて主訴を確認すると、喉の痛みと軽い咳で発熱や鼻炎は無いそうだから『ペラックT』や『駆風解毒湯』といった主訴に絞った物を提案してみた。
     しばらく離れたが、それからも迷われた様子なので風邪寄りの物として『銀翹散』と『新エスタックゴールド』(葛根湯桔梗石膏)を紹介すると、ますます迷わせしまったようだ。
     ううむ、これは失敗。
     つい、選択肢が多いほうが良いと考えてしまう。
     お客様は『桔梗湯』にも興味を持たれたようなので、しばらくまた一人で選んでいただき『新エスタックゴールド』と決まった。
     そうそう、喉の奥が痛むというお話と咳の音が渇いていたため体内の乾燥の可能性をお話しして、『麦門冬湯』も紹介していたのだ。
     やはり今回は、あまりにも選択肢を増やし過ぎてしまった。
     反省(´・ω・`)

     また『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきたお客様に、喉の痛みには弱いことをお話しすると、喉の痛みは落ち着いてきて鼻水は透明であり、主訴としては咳と痰だとのこと。
     内臓の冷えが原因となる透明な鼻水は体を温めるだけで改善する可能性が高いため、痰が出にくくて咳になるということに合わせ、解熱剤の入っていない『ブロン錠エース』と体内を潤す『麦門冬湯』を紹介した。
     痰が出にくい理由として気道の繊毛が抜けてしまっているか、体内が乾燥して痰が気道に張りついている可能性をお話しして、気道の滑りを良くする『ブロン錠エース』を試していただくことになった。
     普段はシャワーだということだったので入浴を勧めたうえで、シャワーで済ませる場合には「皮膚が薄くて太い血管が通っている」首の後ろや脇の下、太ももの内側などを重点的に浴びるよう勧めた。
     さて、今回は提示する薬の種類は絞ってみたけど、やはり中には選択肢が多いほうが良いという人もいるかもしれない。
     もちろん、お客様が選んだ物なのだからそのまま売っても構わないかもしれないし、お客様にしてもそのまま売ってくれれば良いという人もいるだろう。
     問題は、お客様がその薬を選んだ根拠が分からない点。
     例えば、『パブロンSゴールドW』はパッケージの表側に「のどの痛み・せき・鼻水に」と目立つように書いてあるけれど、処方構成からすれば明確に「のどの痛み」に対応した成分は入っていない。
     登録販売者のSNSでも、「どの成分が、のどの痛みに効くんだろうね?」「あえて云えば、粘膜を修復するL-カルボシステインか?」「アセトアミノフェンの解熱作用なんじゃ?」「でも、アセトアミノフェンは炎症(腫れ)を取る作用は弱いですよ?」と議論になったくらいだ。
     一応、パッケージの成分表記ではアセトアミノフェンの部分に「発熱、頭痛、のどの痛み等、熱と痛みをしずめます」と書いてあるものの、表側では「のどの痛み」が文頭にあるのに対して、裏側に書いてあるこちらでは文の後ろになっている点を無視できない。
     パッケージの表側はあくまで宣伝文句であり、重要なのは裏側や横に書いてある効能の方である。
     というのも、薬の効能は原則的に文頭に主な作用が書かれていることが多いからだ。
     ちなみに、大正製薬の「中の人」に尋ねたところ、アセトアミノフェンで充分と判断しているらしいのだけれど、それもあくまで「常備薬として」という前提だとのこと。
     やはり、喉の痛みが強いようなら同シリーズでは『パブロンエースAX』の方が効果的なようだ。
     蛇足ながら、『パブロンSゴールドW』に鼻炎のために入っているクロルフェニラミンマレイン酸はクシャミにこそ効果があり、鼻づまりには効き目が弱いとされている。
     なので、やはり成分表記では「くしゃみ、鼻みず、鼻づまりの症状をおさえます」という順序だ。
     そして、クロルフェニラミンマレイン酸を鼻水に対応させようと考えた場合、一緒に入っているL-カルボシステインには鼻汁を出しやすくする作用もあるため、鼻水に対しては効果を減じてしまう可能性がある。
     つまるところ、『パブロンSゴールドW』の得意分野は「痰のからむ咳」のある風邪だろう。
     効能表示においても、一番上に「せき・たん」と書いてある。
     というように、お客様がそれらをパッケージから総合的に判断しているとは考えにくい。
     初対面でお客様の好みや病気への対処の方針を推察するというのは、なかなかに難しいから「当たるも八卦当たらぬも八卦」という博打打ちでもなければ、ぜひ最初に店員に声をかけて相談してもらいたいところ。
     ちなみに、『パブロンSゴールドW』のメーカーによる解説ページはコチラ。

    Screenshot of www.taisho.co.jp

     パーケージへの表現には法的な規制があるし、スペース的に書ききれないコトもあるうえ、当然ながらネットでの解説にも法的に規制がある。
     しかし、薬剤師や登録販売者には内部資料として臨床試験のデータなどが配布されていたりして、ネットで検索するだけでは出てこない情報も持っている。
    「立ってる者は親でも使え」の格言(?)にもあるように、ドラッグストアーに来て店員に尋ねないのはモッタイナイですよん(*´∀`*)