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  • 風邪のひき始めの栄養ドリンクは

     高校生の娘さんを連れて、お客様が来店。
     膝痛の湿布薬を要望され、年齢的に強めの鎮痛剤も使えるので、大きく分けて三段階で湿布薬を説明しつつ症状を尋ねると、半月板の異常と診断されているそう。
     運動した時に特に痛みやすく、病院からは『モーラステープ』を処方されているという。
     ありゃん、『モーラステープ』に比べたら市販の外用消炎剤は、どれも効果が弱く感じるかも(^_^;)
     ここは鎮痛効果の強さではなく、浸透力の強さでフェルビナク製剤を勧めておこうと判断。
     それと、内服薬に血流周りを補助して神経の通りを良くする『疎経活血湯』を紹介した。
     骨の形に対してはどうしようもないけど、影響を受ける周囲の血行や神経への負担を軽減できるかもしれないので。
     ただ、かかった病院では『モーラステープ』を処方された以外は、特に治療を受けていないという。
     それが、治療の必要は無いという判断なのか、困難という事なのかは不明。
     確かに半月板の形成は先天的なものだし、成長の過程で解消される可能性もあるものの、一方で痛みが軽度だからと何もしないでいると、中年期以降に悪化したという例もある。
     同じ整形外科でも、事故による損傷に強い医師がいれば、そういう先天性の異常や変形に強い医師もいるので、他の病院の診察も受けてみるよう提案した。
     『ホームパスFRテープV』を購入して頂くことになり、お薬手帳で処方薬と市販薬を一元管理するようにお話し。
     特に『モーラステープ』は、光過敏症とか喘息の誘発とか副作用が結構シビア、他の内服薬との併用には気をつけたほうが良いから。

     栄養ドリンクの棚で迷っている様子のお客様に声を掛けたら、風邪のひき始めに飲む物をと要望された。
     しかし、風邪と思われる具合の悪さは今日からだそうで、急に冷えたのが原因かもというお話だったため、栄養ドリンクよりも『葛根湯』をと勧めて、液剤タイプを購入して頂いた。
     『葛根湯』自体が、風邪の初期の効能の他に、栄養ドリンと同じ働きをするから、疲労ではなく風邪の症状を感じたのなら、早く飲むほど良い。
     食欲が落ちて胃が弱っているような疲労には向かないけど、眠気を払いたい時とかシャキーン(`・ω・´)としたい時にはお試しあれ。
     そしてお客様には、発熱していなければお風呂にゆったりと時間をかけて入るよう伝えた。

     

  • 薬の山盛り陳列に惑わされちゃいけません

     喉の痛みに鼻水と体のふしぶしの痛みという、完全に風邪の兆候がありそうなお客様が来店。
     他店で購入した『駆風解毒湯』を使ってみたものの、効いたか分からないそう。
     体力に関わらず使えるのが『駆風解毒湯』の便利なところだけど、喉の痛み以外には効能範囲が狭いから、風邪の兆候があるようだと厳しいですねぇ。
     ただ、まだ余っているそうなので無駄にしないために、『葛根湯』との併用を提案して購入して頂いた。
     お風呂には入っているというから、発熱していなければ今日も入ってくださいとお話した。
     あと、買い物袋からお弁当が覗いていたので、食欲に任せて食べずに、できれば味噌汁だけで過ごすつもりでと付け加えた。
     せっかく購入したお弁当だと思いますが、消化するエネルギーを風邪を治すエネルギーに振り向けたほうが、悪化を防げますから。

     お客様がパウダースプレータイプの水虫薬を求めて来店されたので、ひとまず『ダマリングランデパウダースプレー』を案内した。
     ただ、例によって水虫かどうかは、検査を受けたことが無いそうだから、受診勧奨はした。
     患部は、痒みが無くふやけているというだけでは、湿疹になってるだけかもしれませんとお話して。
     買っていかれたけど、心配だなぁ。
     ただ、水虫薬の山盛り陳列を指示する、うちの本部もどうかと思う。
     一応、指示だから従ったけど。
     こんなのに惑わされちゃいけませんよ、患者の皆様(`・ω・´)

     

  • 「お得な薬」って何?

     お客様に値引きした薬を買っていかれるのは、結構フクザツな気分。
     返品できない薬は売れなきゃ困るし、でも値段だけ見て効能を確認してるとも思えず心配になる。
     一応、会計するときに念のため症状を尋ねてはいるんだけど、もう「安い買い物をした」というお得感か達成感か、話を聞いて頂ける状態ではない。
     そして値引きしていない薬でも、たまに「どれがお得?」と訊かれることがある。
     頭では、容量と価格の比較なんだろうと理解はしている、しているけれど、容量が多かろうが適応しない薬は買って損だと思うし、目的が一時的な症状の緩和なのか、より根治寄りにしたいのかでも話が変わってくる。
     いや、本来は薬に限らず「必要な物が、お得ですよ」のはず。
     ………すいません、愚痴りました(´・ω・`)

     『鼻炎カプセルLP』をレジに持ってきたお客様から、適応するか尋ねられた。
     こうですよ~、薬を買うならこうでないと。゚(●’ω’o)゚。ウルウル
     主訴は鼻声で、もともと花粉症などのアレルギーはあるものの、特にクシャミや鼻水が出る訳ではなく、しかし周囲の人達から鼻声を指摘され、旅行に行くので念のため携行する薬を探しに来たそう。
     グハッ、難しい( ;゚д゚)・∵.!!
     そのうえ、花粉症の時には病院から処方された薬を使っているそうなんだけど、内容は覚えていないという。
     ただ、原因として思い当たることに、暑さがゆるんで窓を開けたまま寝たのが原因かもというお話があったので、鼻炎だけでなく発熱前の風邪の初期にも使える『葛根湯』を提案した。
     栄養剤の代わりにもなるし、旅行に持っていくには外せないかと。
     持ち運びの容易さで顆粒タイプを勧めたけど、『葛根湯』はいつも『カコナール』を使っているとのことで、液剤タイプを購入された。
     そして、お客様が帰られてから大事なことを伝え忘れたのに気がついた。
     お薬手帳を忘れずに携行してください……と。
     なんか今日は、ダメダメだぁ!乂(´Д`;)

     

  • 時には安楽椅子探偵のように

     『ベンザブロックSプラス』と『葛根湯』を手にして迷われてる様子のお客様に声を掛けてみると、熱は測っていなくて不明なものの熱感は無く、鼻水と鼻づまりを繰り返しているという。
     そうであれば『葛根湯』をと思うものの、体が少しだるく、3日ほど前には喉が痛かったそうなので、もう少し検討したほうが良さそう。
     そこで詳しく訊いてみると、だるいとは云っても食欲が落ちている訳ではない模様。
     喉の痛みについては、喉の奥だったか手前だったかや、ヒリヒリしていたかズキズキしていたか、喉が狭く感じたかなどをヒアリングしてみたけど、治ってしまって覚えていないそうな。
     ううん、まぁ、普通は覚えていないでしょうね。
     まさに、「喉元すぎれば熱さ忘れる」ですが(^_^;)
     スマホや携帯電話という文明の利器があるので、酷くなったら病院へ行こうとか、その前に薬を買おうかと思う時には、日記でもメモでも良いので、体調不良のことを書き残しておくと、後々のために良いです。
     万が一、感染症やら食中毒やらが原因という場合においては、なおさら感染ルートの洗い出しに役に立ちますし。
     それはともかく、お客様が嫌がらず面倒臭からずにヒアリングに応じて頂けたため、鼻水には色が付いているという情報を引き出せた。
     色が付いているとなると、これは風邪が疑われるから、発熱にも備えておいたほうが良さそうだ。
     鼻炎薬でありながら風邪にもそのまま転用できる『葛根湯加川きゅう辛夷』を提案し、試してもらう事になった。
     この手のヒアリングにおいては、本来は質問は多くても三つ程度までとされているから、だいぶ逸脱してしまった。
     これは、今回の反省点である。
     でも、患者さんが根気良く応えてくださると、こちらも本気で向き合いたくなる。
     感情に左右されちゃプロ失格ですが、感情を持った人間でもあるので。
     それにやはり、推理で答えを導くには、証拠集めが必要なんです。
     そうそう、お客様はここのところ入浴せずにシャワーのみで過ごしているとも分かったため、環境的に入れないということが無ければ、ゆったり温まるよう勧めた。

     『セイロガン糖衣錠A』を購入されるお客様に、『正露丸』と違って患部の炎症を抑えて痛みを緩和する甘草と陳皮が入っていないことを伝えると、驚きつつも、そういえば以前に使った時には腹痛が治まらなかったと言われた。
     痛みが治まらなかった原因が別にある可能性はあるけど、やはり『セイロガン糖衣A』は『正露丸』より抗炎症作用は弱いと思う。
     でも、多くの人が『セイロガン糖衣錠A』は、ただ『正露丸』をコーティングして、独特の匂いが無く甘い味付けなだけだと誤解してるんだろうなぁ。
     そもそも『正露丸』は「飲む消毒薬」みたいな物で、戦争で汚染地域に行くことを想定して開発された薬だから、キャンプなどに行くのではなく、国内の都市部への旅行なら他の胃腸薬を検討しても良いだろう。
     今回のお客様は、いつも旅行に常備しいるとのことで、『セイロガン糖衣錠A』をそのまま購入されたけど、他の選択についても質問された。
     対抗は、『安中散』『芍薬甘草湯』を組み合わせた『大正漢方胃腸薬』かな。
     あと、急性の食中りに使える『胃苓湯』が候補になるし、乗り物酔いやら熱中症やらと応用範囲の広い『五苓散』も外し難い。
     お話していて、お客様は漢方薬は長く飲まないと効かないイメージを持ってることが分かった。
     それを言ったら、『正露丸』も生薬の組み合わせで漢方薬みたいなものですし、「風邪には葛根湯」という宣伝文句もあるように、急性症状には早く効きますと説明した。

     

  • 自己判断は危険ですが薬は応用技もあります

     口内炎の薬を買いに来たお客様に、口内炎の原因の多くは神経性胃炎ですと説明しようと思ったら、スナック菓子が口の中に刺さったうえ、腫れたところを噛んでしまったそうな。
     患者さんの話を、まず良く聞くのが重要ですね。
     先に言わなくて、良かった(笑)
     パッチタイプはどうかと尋ねられたけど、どうやらお客様の想像では患部をカバーする物と思っているよう。
     実際には、患部を覆うんじゃなくて、患部に貼り付いて本体ごと薬剤が溶けていくことを説明すると、少しガッカリされた様子。
     塗ると患部を覆うように固まる『ケナログ軟膏』はいかがでしょうと案内するも、軟膏を使うのは躊躇われるようだった。
     ふむぅ、それでは飲み薬でいきましょうか。
     一般的な神経性胃炎による口内炎なら『半夏瀉心湯』というところだけど、今回は炎症を直に抑えたいから『トラフル錠』を勧めて、お買い上げ頂いた。
     ちなみに、中身は喉の痛み止めの『ペラックT』と同じ内容で、パッケージにも小さく口内炎と書いてあるから、自宅に常備しているようなら、口内炎に使えます。
     当然、逆も然りですから、『トラフル錠』が余って、後日に喉が痛い時には流用できます。
     この手の流用は他にもできて、例えば痔の軟膏である『ボラギノール』や『プリザエース』は、消毒剤と止血剤と抗炎症剤の組み合わせだから傷薬として使える。
     もっとも、自己判断は危険なんでドラッグストアーか薬局にはお問い合わせくださいな。
     うちのお店にも、以前に購入された薬どころか、「よそのお店で買ったんだけど」って前置きして電話で使って良いか質問されることがあります。
     言わなきゃ、うちで買ったかどうかなんてわからないのに(笑)

     『ストナデイタイム』と『ベンザブロックSプラス』を手に迷ってる様子のお客様がいたので声を掛けてみたら、小学校低学年の娘さんがエアコンで冷えたらしく、鼻水が出て喉の痛みを訴えているそう。
     発熱は無いというから、発熱していない時に解熱剤が入った風邪薬は適さないことを説明し、『ストナデイタイム』の主成分である『小青龍湯』か、発熱前の風邪の初期に用いる『葛根湯』を勧めた。
     喉の痛みに『小青龍湯』『葛根湯』も本来は向かないが、子供の場合の炎症は新陳代謝が良いため体温を上げて発散してしまった方が予後が良い
     心配なのは、鼻水の原因が内臓の冷えの点。
     体が小さい分、内臓の冷えが伝播し、胃腸の機能が低下して免疫機能まで減衰することで、本格的に風邪に移行してしまう可能性がある。
     お客様には、体内を温めることが重要とお話して、『葛根湯KIDS』をお買い上げ頂いた。
     そして、発熱が無ければお風呂に入れることと、食事は冬の料理を候補にするよう勧めた。

     

  • 個人輸入の通販にはニセ薬が紛れ込んでます

     お客様から、『ラリキシン』と同じ薬は無いかとの問い合わせ。
     ハテ、聞いたこと無い薬だなぁと思いつつ調べたら、抗生物質だった。(不勉強)
     抗生物質の内服薬は、市販には無いですねぇと伝えると、犬に使うらしい。
     動物病院で以前に処方されたらしく、口の中が爛(ただ)れていて、皮膚も荒れており臭がするそう。
     ああ、だから抗生物質なんですねと納得はいったが、なんで店頭で買えると思ったかというと、ネットで販売されているのを見てたからだとか。
     ありゃ、先日の『ラシックス』を買いにいらした人と同じ(^_^;)
     個人輸入の通信販売の薬には、ニセ薬が少なく無いですから、愛犬に飲ませるつもりならやめておいた方が賢明です。
     やはり、面倒くさがらず動物病院に連れて行きましょ。
     そうお話して、お引き取り頂いた。

     『ポピショット』をレジに持ってきたお客様に、消毒系のポピドンヨードで良いか尋ねてみたところ、主訴は喉の痛みと鼻水だとのこと。
     鼻水には対処されないので(^_^;)?
     詳しく症状を効いてみると、ツバを飲むのも痛いらしく、そちらを優先しようと考えたようだ。
     そして、自宅にあった『葛根湯』を飲んでみたら鼻水は落ち着いたものの、喉の痛みが治まらず、のどスプレーを買いに来たそう。
     喉の痛みだけなら『駆風解毒湯』か、鼻水が無ければ『銀翹散』を候補にしたいところだけど、そもそものキッカケがどうやらエアコン冷えのようで、それなら『葛根湯』を継続したほうが良いかもしれない。
     ただ、『葛根湯』は上半身を温めてしまうので、喉の痛みには適さない。
     そういう時には、『桔梗湯』を併用するのが良いですよとお話した。
     『新エスタック顆粒』なんか、まさに『葛根湯加桔梗』という処方内容で、上半身を温めたい、でも喉は冷やしたいという的に適している便利な処方。
     なのになんで、『新エスタック』なんて内容の分かりにくい名前を付けてしまったのか。
     漢方薬的なイメージを排して売り込みたかっのかもしれないけど、かえって分かりにくくなってしまってて残念。
     『葛根湯』『桔梗湯』を同時に勧めても、やはり二つを一緒に買おうという人は少ないし。
     入荷ルートが無いか、もう一度調べてみようかな。
     今回は、あくまでのどスプレーが希望ということで、ツバを飲むのも痛いほど腫れているのであれば、抗炎症系のアズレンをと勧めて、そちらをお買い上げ頂いた。

     

  • 小学校の保健体育から教えるべき

     奥さんが風邪をひいたとのことで旦那さんが来店したんだけど、発熱しているというのに熱を計ってないそうな。
     どうして(;´・ω・)?
     他には、喉の痛みと咳があるというお話なものの、喉の痛み方は分からず、食欲の有無も聞いてきていないそう。
     ううん、これは仕方無いのかなぁ……。
     政府も医療費負担軽減のためにセルフメディケーションを推し進めるなら、基本的な“薬の買い方”を、小学校の保健体育から教えるべきだと思う。
     奥さんは子供の面倒を見なければならないため休んでもいられないというお話だったから、総合の風邪薬よりも症状に合わせた方が疲労を抑えられることを説明したけど、そのための情報が無いんだよねぇ。
     とりあえず発熱があるのと喉の痛みは確実なうえ、鼻水は出ていなかったというお話から、『銀翹散』と『パブロンエースAX』を案内してみたところ、家にあった『葛根湯』を服用したと分かった。
     それを、先に言ってください……orz
     いや、服用した薬を確認するのが、こっちの仕事なんですけどね。
     なんか度々、この日記でヒアリング不足を露呈していて恥ずかしい(´・ω・`)
     とにかく、初期に『葛根湯』を服用した事自体は悪くないとはいえ、喉の痛みが主訴で発熱してるとなると、もう『麻黄湯』『柴胡桂枝湯』への乗り換えも検討したほうが良いかもしれない。
     でも今回は、お客様の判断で『パブロンエースAX』を使って頂くことになった。

     最初はお客様から整腸剤について尋ねられたため、『新ビオフェルミンS』と『ザ・ガード』を紹介したところ、9歳の男の子が軟便と軽い腹痛だとのこと。
     って、またヒアリングしてないですね私( ̄▽ ̄|||
     薬を使う人の確認は、重要な質問の一つなのに……。
     軟便なだけでなく腹痛もあるようだと、痛み止めの芍薬が入った『桂枝加芍薬湯』か、腸内細菌の生育を助ける乳糖水和物を加えた『小建中湯』が適応すると考えられることをお話した。
     どちらもストレス性の場合に用いるもので、お客様はストレスについては考えていなかった模様。
     ただそれは、一般的にストレスというのは思い悩んだり緊張といったマイナスのことを考えているからで、楽しいことも興奮により体に負担がかかるストレスなんである。
     旅行に連れて行った子供が便秘になっちゃうのも、そういう種類のストレスが原因だったり。
     また、合宿に持って行かせたいというお話があり、詳しく訊いてみると音楽関係だと分かった。
     そういう事でしたら、どちらも発表会等の緊張緩和に使えますと説明すると、『桂枝加芍薬湯』を購入された。
     うーむ、これは迷うところなんだよねぇ。
     ストレスの軽減という観点で言うと、甘い物がよりストレスの軽減に働くから、『小建中湯』の方が向いてるとも云えるので。
     ちなみに、今回は腸ということで下半身だから『桂枝加芍薬湯』『小建中湯』を候補にしたけど、緊張が喉のつかえ感とか咳払いのように上半身に現れる場合には『半夏厚朴湯』の方が適応する。
     受験生は、ぜひ覚えておいてくださいな(`・∀・´)

     

  • ジキルとハイドと私

     酔い止めを求めて来店されたお客様から「使ったことがある」と示された薬は、名前からしておそらく、そのドラッグストアーのプライベートブランドのようだった。
     内容を調べてみて、同じ成分の『乗り物酔い止めQD錠』を案内した。
     案内してみて分かったけど、製造メーカーは同じだった。
     薬にはこういうことがあるので、やっぱり成分表示を取っておくのは大事。
    「この薬効かなかったから、違うのにしよう」と選んだ物が同じ処方というのは良くあること。
     今回のように、同じメーカーが同じ処方の薬を銘柄だけ変えて他社に販売を任せていたりとか、他社の処方を借りて自社名義で販売したり。
     理由はいろいろあるけれど、数億円かけて開発した薬が売れないリスクを負うより、遥かに少ない金額を支払って処方を借りたり買ったりするほうが経営が安定するし、処方を貸したり売ったりする方は自社製品で在庫を抱えるより現金収入を得られる方が、新製品の開発に投資できる。
     それはともかく、お会計をしようとしたら、実は病院で処方されている薬があると言われ(何故それを先に言わないのか(^_^;)、お薬手帳を持参しているというので(偉いのに、何故それを先に〆)、確認させてもらったら、緑内障の治療に『コプト』という目薬を使っていることが分かった。
     どうやらお客様は処方されている薬と併用しなければ大丈夫だと思っていたらしい。
     いえいえ、薬との飲み合わせどころか、『乗り物酔い止めQD錠』の主成分であるメクリジン自体が眼圧を上げてしまうため、緑内障の人の使用は好ましくありません。
     そう説明して、緑内障の人でも使える酔い止めに『苓桂朮甘湯』を紹介してみたけど、海外旅行に持っていくつもりらしく、効果に不安があるようだった。
     ううん、そうなるともう、処方された病院か調剤した薬局に問い合わせて、市販薬を紹介してもらうしかありません。
     たぶん、緑内障の人が使える酔い止め薬は、現代薬には無いと思うけど……。
     ちなみに、酔い止めに使える漢方薬には、同じく水分代謝を調整する『五苓散』がある。
     ただ『苓桂朮甘湯』の方が、上がってくるモノを下ろす効果があるので、『五苓散』は緊張すると喉が渇きやすいとか、胃に水がチャポチャポと溜まっている感じのする胃内停水の人向け。

     『コンドロイザー』や『ナボリンS』などを眺めていたお客様に声を掛けてみたら、案内を断られた。
     最近ようやく、断られるのにも慣れて気がする。
     引きこもり体質のコミュ障なんで、一度断られると、その後数人はお客様に声を掛けるのを躊躇ってしまっていたんだけど、一人のお客様に断られたからといって、もし次のお客様が情報を必要としていたら、迷惑するのは断ったお客様じゃなくて、必要としているお客様の方だからと自分に言い聞かせて。
     しばらくしてお客様が、『ユンケルB12アクティブ』を選ばれてレジに持ってきたところで改めて症状を尋ねてみたら、主訴は肩こりに背中の張りと腰痛だそうで、以前にヘルニアを患っており、何を使おうか迷っているそう。
     それなら先に言ってくださいよ~、と素の私が心の中で囁き、職務上の私の方は、さっきはまだ相談したい気分じゃなかったんだろうなと分析。
     マッサージには通っているらしく、背中の張りは、かなり固いと指摘されたとかも話してくれた。
     そこで漢方薬を案内しようとすると、初めは嫌そうな感じだったけど、それもよくよく訊いてみたら、継続しないと効かないと思っているからのようだった。
     そのため、「風邪には葛根湯」と云われるように、急性の症状には早く効きますし、体質改善はまた別な選択を候補にしたりしますと説明し、『独活葛根湯』を紹介したら購入して頂けた。
     ちなみに、腰痛には『疎経活血湯』を考えていたけど、今回の話では腰痛については、あまり気になるようでもなかったようだったから省いた。
     いっぺんに、あれもこれもと候補にすると、かえって漢方薬は難しいと思われてしまうかもしれないし。
     ………しまったぁ!!
     『ユンケルB12アクティブ』は売れ残り気味だから、在庫を減らしておきたかったんだよねぇ。
     そのまま売ってしまえば良かった(´・ω・`)←素の私
     『ジキルとハイドと裁判員』みたいに、病気の原因とか特殊能力で見れたら良いんだけどなぁ。
     あっ、でも寿命が減るのは嫌だなぁ(´・ω・`)←素の私

     

  • 効能書きだけで選ぶのは無理ですから

     漢方薬の棚を眺めているお客様が電話で話していて、「坐骨神経痛」と聴こえたので、聞き耳を立ててしまった。
     どうやら『疎経活血湯』と『桂枝加苓朮附湯』のどちらを購入するか迷っているらしく、電話を切ったところで声を掛けてみた。
     すると、父親に頼まれたそうなんだけど、その頼み方というのが、排尿痛に『竜胆瀉肝湯』を服用しており、同じメーカーで「効能書きに坐骨神経痛とある物を」なんだそうな。
     そして、お客様はお客様で、『疎経活血湯』の効能書きを見てみたら、効能書きに書いてある症状が「全て当てはまらないと駄目」だと思っていた模様。
     それだと『疎経活血湯』はまだ「関節痛、神経痛、座骨神経痛、腰痛、筋肉痛」と関連してそうな効能だけど、『牛車腎気丸』なんか「下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、痒み、排尿困難、頻尿、むくみ」でカオスなことに(^_^;)
     でも歳を取ると腎の働きが衰え、腎臓病が失明になる事があるように目のかすみと関係し、水分代謝が悪くなると冷えの影響を受けやすく下半身の関節痛を引き起こすため、『牛車腎気丸』の効能書きの症状は、ちゃんと関係している。
     漢方薬に限った話ではないけれど、効能書きはあくまでメーカーが申請して効能書きに記すことを許可された内容だけだから、成分ごとの作用を考えないと意味が無い。
     しかも、主成分の副作用を防ぐために加えられている成分もあるため、相互作用も考えなければならない。
     鎮痛薬に胃を守る成分が入っていたり、というのが分かりやすい例だろう。
     病院でもらう薬の種類が多いとネットで大騒ぎする人がいるけど、総合風邪薬の成分表示を見れば9種類以上入っているなんてのはザラで、それぞれがバラバラに処方されたら多くなろうというものである。(長期的に漫然と同じ薬が処方されているとかとは、別問題である)
     そのうえ漢方薬では、体質や症状での判別も必要になるため、初見の人がパッケージで選ぶのは無理というもの。
     しかもそれが頼まれ物では、なおさらである。
     父親についてのヒアリングを試みてみたものの、外見上の体格などは分かっても、冷えると症状が悪化するかや、痛み方に痺れ感があるかなどは分からなかった。
     今さっき電話をしていたのだから、電話をし直して本人に確認してくれると良いんだけどなぁ……。
     駄目なのかなぁ……。
     こっちからは言い出しにくいしなぁ……(;´・ω・)
     仕方がないので、未開封であれば一定の期間以内は返品を承りますとお話して、お買い上げ頂いた。

     お客様から「鼻風邪の薬を」と注文されたのだけれど、症状を確認すると、主訴は鼻炎とクシャミと喉の痛み。
     ひとまず『ベンザブロックSプラス』を案内したものの、発熱は無いそうなので、解熱剤の入っていない物の方が疲労を防げることをお話して『葛根湯加川きゅう辛夷』を紹介すると、試して頂くことになった。
     すでに夕食を食べたということだったが、この後は内臓の疲労を防ぐために量を控えるよう勧めた。
     栄養面を心配されたけれど、普段の食事が偏っていなければ大丈夫ですとお話した。
     体としてはすでに戦闘状態な訳で、戦う前に武器や燃料の補給は有効でも、戦闘中に補給をするのは人手をそちらにも割かなければならず、戦闘力が低下してしまうのだ。

     

  • 自分を大切にすることから始めましょう

     成人の女性が母親と来店し、当初は「むくみ」の相談だったため『五苓散』『防已黄耆湯』を候補に考えた。
     しかし、水分代謝の異常を示すような、体を動かした後に急に止まると汗が吹き出すといった症状は無く、手足が重だるいという話が出たので、軌道修正し『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を案内した。
     病院を受診したことがあるか尋ねたところ、「冷え性で行ってもしょうがない」と思われているようだった。
     確かに、現代医学では原因を特定できないと効果的な治療ができないから、漢方薬なり養生の知識を持ち合わせていない医師に当たってしまうと、行くだけ無駄という事になりかねないんだけど。
     でもそこは、どんな職種の専門家にも得手不得手がある訳で、漢方薬寄りの私でも現代薬の選択肢を始めから排除するような事はしないから、何軒かは訪れてみて、治療の候補を増やしておいたほうが良いです。
     特に今回のお客様の場合は、痩せ型で脂肪が少なく、そのせいで「むくみ」が目立つとも言え、筋肉による発熱が不足しているのと、血行不順で熱を循環させられないのが原因のように思える。
     こういう時には、血流を改善し水分を巡らせて手足に熱を分散させることのできる『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』が、最初にして最後の選択というくらい便利に使えるのだ。
     まぁ、落語の『葛根湯医者』みたいにならないようには、気をつけないといけませんが。
     二階から転げ落ちても、「よし葛根湯を飲ませておけ( ゚Д゚)⊃ ⌒ ○」みたいな(笑)
     お客様には『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を試して頂くことになったけど、念のため近くの漢方薬に詳しい病院を紹介しておいた。

     ご夫婦で来店し、奥さんが昨夜に炊飯器の水蒸気で火傷(ヤケド)したそうで、腕に水疱ができていた。
     薬をと求められたけど、水疱自体に殺菌効果と皮膚の再生促進作用があるため、破れないようにガーゼなどで保護するよう勧めた。
     ちなみに、火傷直後には『冷えピタ』を当てて、夕飯の支度を続けたそうな。
     ううん、『冷えピタ』や『熱さまシート』の冷却効果なんてたかが知れたもんだし、反対に氷や保冷剤とかでは刺激になって患部を傷めてしまうから、流水で1時間は冷やしてもらいたいんだけどなぁ。
     お話からすると、夕飯が遅くなるといけないから、冷やす時間が無かったみたい。
     ええと、ご主人をお説教したほうが良いのかしらん(;´д`)
     奥さんには、お説教にならないように、体のほうが大切ですから、また同じようなことがあった時には、水道で患部の上部あたりから1時間ほど冷やしてくださいと「お願い」した。
     また、よくよく聞いてみれば、家にステロイド剤があり、水疱の上から塗ったそう。
     ありゃん、それはヒヤリング不足でした。
     ただ、水疱がある状態で塗って、誤って破ってしまうほうが困るので、やはり患部の保護を優先し、破れてしまったら抗生物質とステロイド剤の入った『クロマイP軟膏』を使うよう勧め、お買い上げ頂いた。