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  • 「勧善懲悪」の誤解

     以前に、『肝油ドロップ』の質問をされ、『DHA・EPA』のサプリメントを買っていかれたお客様が再訪。
     『DHA・EPA』を飲んでみて、調子が良いという。
     劇的に何か効果があるとは思えないけど、そう感じてるなら良しとしておくべきか。
     そうそう、漢方の専門医から不眠に『当帰湯』が処方されたというのは、お客様の勘違いだったらしく、『酸棗仁湯』とのこと。
     ですよね~(´∀`)
     それなら、腑に落ちる。
     高齢だったり、痩せ型で虚弱な人の不眠に適応する物だから。
     それと、もう片方の病院からは『イフェソプロジル』と『ニセルゴリン』が処方されていることが、新たに分かった。
     ありゃ、どちらも脳の血流改善に使う薬じゃないですか。
     どんな薬でもそうだけど、なおさら飲み合わせや食事に気をつけなければならない薬。
     それなのに、双方の医師に服用している薬を知らせていなのは駄目ですよ。
     改めてお客様には、お薬手帳に服用している薬の記録を付けて一元管理するようお話した。
     すると、お客様から不穏な言葉が……。
     『医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法』などを著している、近藤 誠医師を大絶賛。
     いや、それで複数の病院に掛かって、それぞれから薬を処方してもらっているというのは矛盾してるんだけど(苦笑)
     

    Screenshot of pseudoctor-science-and-hobby.blogspot.jp

     『医学不要論』を著した内海 聡医師と並ぶ、本職の医師でありながら医学的にも科学的にも間違いかつ不穏当な言説を広めているトンデモ医師の一人をベタ褒めしていて困った。
     まぁ、言論の自由があるから何を公言しても良いとは思う。
     私自身の発言の自由を堅持するためには、他人の発言の自由もまた擁護しなければならないので。
     ただ、近藤医師にしろ内海医師にしろ、本当に患者さんの為を思うのなら、本なんか書いてないで研究を科学誌に投稿したり、学会に発表したりすれば良いのに、何故かそういう事はしない。
     STAP細胞の研究で小保方晴子氏が注目された時に、マスコミの報道で勘違いした人もいるようだけど、そもそも科学誌に投稿したり学会で発表するというのは、「発見したから」とか「確定したから」ということで行われるものではない。
     同じような研究をしている人たちに、「検証してくれ」というために行なうのである。
     だから、STAP細胞が実在したかどうかは本来は重要ではない。
     あの騒動はあくまで、「検証してくれ」と言っておいて、そのデータに不備があったことが問題(捏造だったのか、うかりミスかは別として)だった。
     今後もマスコミを通じて、いろんな発見や開発のニュースが世に出るだろうけど、いちいちそれに反応しても仕方ないんである。(研究にお金を出すという人がいれば別ですが)
     大事なのは、各方面からの検証と検証と検証、継続的な検証によって確実性を高めていくこと。
     でも、近藤医師も内海医師も、その検証のための研究成果を何故か専門家には委ねない。
     それでいて、一般の人に向けて持論を展開するだけという、実に不誠実極まりないのである。
     と批判の言葉が出かかったけれど、今日のところはお客様には言葉を返さなかった。
     大事なのは、近藤医師を批判することではないので。(これは内海医師にも同じこと)
     大事なのは、患者さんをそういう危ない情報から自分を守れるように、また別な情報を提供すること。
     そのためには、話を聞いてもらえる関係性を構築し、信頼を得ることを地道にしていくしか無い。
     それはまた、私自身が変な妄想に捕らわれて流布してしまう危険性を、常に内包しているからに他ならない。
     その昔、作家の川内康範先生が『月光仮面』などのヒーロー物を創作する時に、こだわったのは「正義の味方」だという話がある。
     どういう事かというと、『月光仮面』が「月よりの使者」であって、月の化身ではないように、ヒーローは「正義」そのものではなく、あくまで「正義の味方」であるということ。
     それは同時に、やはり川内先生のヒーローに共通していた、「勧善懲悪」の精神でもある。
     よく「勧善懲悪」は子供っぽい正義感のように勘違いされ、リアル志向のヒーロー物の作品を語る枕詞に「単純な勧善懲悪モノじゃなくて……」と付けられる事があるけど、それは誤用である。
     漢字を見れば分かるはずだが、「善を勧めて悪を懲らしめる」というのが「勧善懲悪」なのだ。
     善行を強制するのでも絶対視するのでもなく、あくまで「勧める」という控えめな態度がそこにある。
     そして悪に対しても、倒すのではなく懲らしめることに留めている。
     そう、「勧善懲悪」は、言うは易し行うは難しなのだ。
     常に自分は間違っている、その可能性を考えて患者さんと向き合わなければ。
     ………フッ、語ってしまったぜ( ´Д`)y─┛~←誰だオマエ

     風邪の相談で来店したお客様から症状を訊き出すと、主訴は鼻水と喉の痛みが昨日からあるという。
     悪寒は無いそうなので、風邪だとしても入り口で止まっていると考えられるため『葛根湯』を候補にしつつ、現代薬を希望されることも考え『ベンザブロックSプラス』を一緒に案内した。
     『ベンザブロックSプラス』の購入を決められ、「咳が出たら病院かしら?」と尋ねられたのには、昼に暑く夜に涼しいことに体がついていけないだけで風邪とは限らないことを説明した。
     もちろん病院に行くのは悪くないんだけれど、かえってウイルスに感染する可能性もあるから、あまり安易に受診するのも考えもの。
     養生として、鼻水が出るのは内臓が冷えていると考えられるため、入浴などで積極的に内蔵を温めるよう勧めた。

     さっきのお客様と同じように、鼻水と喉の痛みの相談で来店があり、同じように『葛根湯』と『ベンザブロックSプラス』を案内すると、眠くなりにくい物をと要望されたので『葛根湯』を推したら、漢方薬は好まなかったらしく『ベンザブロックS』を購入された。
     運転職で、朝までの待機業務らしいんだけど大丈夫かしら(^_^;)
     風邪薬で眠くなって事故を起こされちゃ困る……って、良く考えたら体調不良で勤務するのが問題な気もしますが。
     一応は、あくまで待機で運転するかは未確定ということで売ったけど、くれぐれもご注意を。
     仕事を考えたら、漢方薬の方を選択して欲しかったなぁ。
     お風呂に入って温まってもらいたかったけど、こちらも待機業務では難しいらしく、代わりに食事は消化の良い物にして量を控えるようにとお話した。

     

  • 虫刺されは感染が怖いから虫除けを優先して下さい

     『パテックス機能性サポーターハイグレードモデル』を購入されるお客様に、念のため用途を尋ねた。
     以前に、テーピングで固定するみたいな物だと勘違いしているお客様に出くわしたことがあるので。
     すると、膝の痛みを訴えている高齢の母親に使わせるつもりだという。
     そして、母親は認知症で、寝る前に外すのを忘れちゃうかもというお話も出た。
     もとより同製品はクロステーピング構造で関節部を支えるため、高齢者に使うような物ではないし、注意書きにも就寝中は使わないようにと書いてある。
     そのため、目的からしても白十字社の『関節保温遠赤サポーター』の方が適してるのではないかと勧め、そちらをお買い上げ頂いた。
     まぁ、やはり注意書きには就寝時の使用は避けるように書いてあるけど、締めつけ具合からすれば毎晩でなければ大丈夫だろう。

     胃腸薬の棚の前で選ぶのに迷っているらしいお客様がいたので声を掛けてみたら、海外に渡航するので常備薬にというお話だった。
     それならやはり、『正露丸』をと勧めた。
     そもそも『正露丸』は、戦争で海外の不衛生な地域に滞在するために開発された物で、消毒作用があるから。
     逆に言うと、食中り以外の下痢には向かない訳ですが。
     あと、通常の『正露丸』と糖衣錠を同じ物だと思われている人が多いけど、糖衣錠には腸の炎症を抑える成分が入っていないため、単純に「匂いが嫌」だからと糖衣錠を選んでいる人は注意。
     あと、お客様には海外で怖いのは虫刺されなことをお話して、虫除けも忘れないようにと伝えた。
     日本だと、なんとなく虫に刺されても痒み止めを塗ればくらいに思いがちだけど、デング熱で話題になったように、虫刺されは病原菌に感染する危険がある。
     虫除けに多く含まれるディードを危険視する向きもあるけど、それは虫刺されによる感染症の危険と天秤にかけた場合まで考えて欲しい。
     同じようなので、無農薬野菜をありがたがる風潮もどうかなと思う。
     無農薬で育てた野菜にはカビが繁殖しやすく、カビというと白カビや黒カビがイメージされやすいものの、ガビ自体は目に見えないし匂いも無いので分らない。
     それでいて、カビの種類によっては毒素を出す。
     また、野菜自体も実は無防備ではないので、虫害を受けると対抗するために内部で毒物を生成するのだ。
     だから、個人的な嗜好として無農薬野菜を好むのは良いとして、無農薬という理由だけで人に勧めるのは無責任というもの。
     無農薬野菜を勧めるからには、ガビ毒や野菜自身の生成する毒にも言及したうえで、農薬の危険度との比較をして下さいな。
     ………話が逸れた。
     虫除けに関しては、液体タイプやスプレータイプは飛行機に持ち込めない可能性があるため、医薬部外品じゃなくて医薬品の物を案内した。
     成田空港の『液体物の持ち込みについて(国際線)』というページよれば、医薬品は例外規定があるようなので。
     海外渡航経験者で、詳しい人がいたら教えて下さいな(・o・)

    Screenshot of www.narita-airport.jp

     やや高齢のお客様が喉の痛みを主訴としていたので『駆風解毒湯』を案内したけど、悪寒もあるというお話から『葛根湯』を候補に変更した。
     しかし、悪寒は強くなく、やはり喉の痛みの方が顕著なようだったため『銀翹散』を勧めて、お買い上げ頂いた。

     

  • ドラッグストアーで薬を買う時の三点セット

     やや高齢のお客様が来店され、湿布の相談を受けた。
     暖かくなってきて職場で冷房が入るようになり、首から左手にかけて痺れを伴う痛みがあるというお話から、温感タイプを勧めてみた。
     すると、お客様自身はジクロフェナクトリウム製剤に興味を示されたので、比較としてインドメタシン製剤とフェルビナク製剤も紹介した。
     ジクロフェナクトリウム製剤はインドメタシン製剤と並んで、市販の外用鎮痛薬としては強い方だから、これが効かなければ病院でより強い鎮痛薬を処方してもらうしかない。
     フェルビナク製剤は、鎮痛効果は少し劣るものの皮膚への浸透力があり、鎮痛剤は体が慣れてくると効き目が落ちてくることを考えると、強い物は後のために取っておくという考え方もできる。
     そんな話をしたところ、以前に病院で頚椎症と診断されたことがあるという。
     ありゃん、それは重要な情報。
     訊きそびれた私も迂闊。
     言い訳すると、受診の有無を訊くのは、タイミングが難しいんですけどね。
     訊いた途端に機嫌を悪くする人や、プイッと帰ってしまう人がいるので。
     すでに受診済みで、たいした治療効果を得られなくて諦めたというような事があるのかもしれないけど。
     でも、お話を聞かせてもらえたらもらえたで、病院を何軒も乗り換えた……というのは意外に少なく、最初に行った病院だけで改善しなくて、以来ずっと市販の湿布だけを使ってるという話の方が多い。
     そんな訳で、本来なら現在の症状と経過の確認をしてから、受診や投薬歴を尋ねて、そのうえで薬の候補をとするところを、ひとまず要望に答えてから、現在の症状と経過を訊きつつ、通院歴を探るという手順になる。
     地雷が人によって違うので、本当に気を使う。
     そして、ビクビクしているうちに訊きそびれるという次第。
     決して楽するために言う訳じゃありませんが、「現在の症状、発症からの経過、病院の受診歴と投薬歴」は三点セットで相談をお願いしますm(_ _)m
     で、今回のお客様に確認したところ、病院から処方された『リリカカプセル』『トラマドール』『麻杏よく甘湯』を服用していることが分かった。
     『リリカカプセル』と『トラマドール』は作用機状が違うけど、どちらも神経障害性の疼痛を抑えるから、なるほど確かに痺れを伴う痛みという症状に合致する。
     『麻杏よく甘湯』は、患部を温めて水分代謝を改善するから、冷えが原因となる痛みに効くだろう。
     ただ、温めて楽になるのであれば、水分代謝を措いておいて『葛根湯』でも良さそうな気がする。
     するとどうやら、担当医からも『葛根湯』は提案されているらしい。
     現代薬と漢方薬を組み合わせて考えて頂ける医師ならば、ドラッグストアーで湿布を買うより、もっと担当医を頼ってみて良いと思いますよ。
     患部の痺れ感を考えると、『疎経活血湯』も候補になりそうだし。
     それでも何かを買っていきたいということで、お客様が選ばれたのはインドメタシン製剤の湿布。
     選んだ理由は、「特売で安いから」だそうな。
     ………なんか一気に疲れたorz

     ご主人の肥満の相談で、お客様が来店。
     冬の間に太ってしまったそうで、朝はヨーグルト、昼は麺類、夜に接待等で多く飲食するとのこと。
     ………それは、太りますねぇ(^_^;)
     せめて朝に一般的な和食を食べるか、目玉焼きでも良いからタンパク質を摂ってもらいたいところ。
     そのうえで、内服薬として『防風通聖散』を紹介した。
     本日のところは、相談のみ。

     お客様から口内炎の相談を受けて、塗る物・貼る物・飲む物をそれぞれ紹介した。
     内服薬で炎症を抑える物は、喉の痛み止めのトラネキサム酸と甘草の組み合わせや、アズレン系があることを教えると、どうやら自宅に有るらしい。
     そして、口内炎の多くは神経性胃炎とも関係があるため、『半夏瀉心湯』を紹介した。
     今回は、喉の痛み止めで該当する物が自宅に有ることから、お買い上げは無し。

     

  • 患者さんの気持ちに近づけなくて失敗

     お客様から、風邪の相談を受けた。
     熱は無いものの、咳のし過ぎで肺が痛いとのこと。
     まぁ、肺が痛くなるはずは無いんですが、咳のし過ぎで肋骨の辺りが痛くなることはありますしね。
     私なんか咳のし過ぎで、腹筋や背筋が筋肉痛になった事もあるし(^_^;)
     そして今回のお客様は、数日前にはティッシュを鼻に詰めていないと垂れてくるくらいだったらしいのだけれど、今は落ち着いているそう。
     『小青龍湯』を候補に考えたものの、鼻汁に色が付いている様子だったため、『麻黄湯』と『ベンザブロックS』を案内した。
     また、鼻水よりも咳を止めたいというお話だったため『新ブロン錠』を紹介した。
     しかし、ハッと予算について確認しなきゃと思いつき尋ねてみたら、購入を見送られた。
     あ、あれ……?
     気分を害しちゃった!?
     あうっ、いつも予算のことを忘れがちだったのが珍しく思いだしたのに、訊き方がマズかったかしらん(;´・ω・)
     そういえば、主訴に咳と聞いていたんだから、最初から咳止めの方を考えるべきだったかも。
     色のついた鼻水が見えてたから、そっちに意識を引っ張られてしまった。

     常連のお客様が、ご主人の風邪の相談で来店。
     主訴は喉の痛みと疲労だそうで、『葛根湯』が喉の痛みに効くか尋ねられたため発症した時期を確認すると、一昨日からとのことだった。
     むー、それは微妙だなぁ。
     『葛根湯』も熱を発散させるから、喉の炎症を軽減できない訳ではないけれど、それはごく初期の話で2日目や3日目となると期待できないかも。
     そこで、『駆風解毒湯』を案内して、お買い上げ頂いた。
     現代薬の風邪薬についても尋ねられたので、複数の症状に対応するために処方されている風邪薬は、発熱していない時に服用すると疲労してしまう事があるため、お勧めできませんと答えた。
     今回は、すでに疲労感があるというお話だし。
     疲労感については、『柴胡桂枝湯』を紹介しておいた。

     やや高齢のお客様が、魚の目かイボということで薬を求めて来店された。
     実のところ、魚の目でもイボでも、やることは同じ。
     表面を腐らせて、早く下から新しい皮膚ができるようにする。
     今回は、患部が足の小指の横ということだったため、テープタイプより液剤タイプを普通の絆創膏に塗って使うよう提案して、『イボコロリ』の液体タイプをお買い上げ頂いた。
     そうそう、先にも書いた通り、この薬は皮膚を腐らせる物だから、作業後にはよく手を洗って下さいね。
     うっかり目をこすったりすると、痛いことになります(・o・)

     

  • 山登りは気軽なレジャー?

     腰痛のためにと、湿布を求めてお客様が来店。
     いつもではないものの、割と繰り返しているというお話も。
     毎日使う訳では無さそうなので、フェルビナク製剤を勧めてお買い上げ頂いた。
     ただ、今まで病院に行ったことが無いというお話に、一度は受診するよう勧めた。
     悪くなったら病院に行こうと思う気持ちは分かるけれど、現状を知るのが大事なので。

     お客様から外用消炎剤を求められて、患部の状況を尋ねると、山登りで他の登山者とぶつかり転倒したとのこと。
     冷やすのと温めるのとどちらが良いか訊かれたものの、初日は冷やすとしても、後は鎮痛成分が入っていれば、あのり関係無いですと説明した。
     いや、まぁ、厳密には温めて血行を良くした方が、損傷した細胞の修復は早まると云えないこともありませんが、体感できるほど違うかというと、それも断言できず。
     科学的に厳密にと考えると、曖昧にならざるを得ない。
     いずれにせよ、急性症状には短期決戦で鎮痛効果の強い物がお勧めですと、インドメタシン製剤を案内してお買い上げ頂いた。
     ところで、私は好んで山登りはしない家に篭ってゴロゴロ派なんで分からないんだけど、山登りに行く時って応急キットは持っていかないのかな?
     いや、案外と山登りで足を痛めてとかで外用消炎剤を買いに来るお客様が多いんだけど、初歩的な打ち身の知識を持ち合わせていなかったり、家に消炎鎮痛剤を常備していなかったりで、たいてい棚の前で迷っているのが気になって。
     これが例えば、プラモデルの作成を趣味にしている人なら一通りの道具は揃えてるはずだし、今ではパソコンを使うとして絵を描くのを趣味にしている人は道具類に一家言持っていたりするため、店員への質問も専門的になりがち。
     ところが、山登りを趣味にしているらしいのに、湿布の違いはおろかテーピングの使い方も知らなかったりで、どうもよく分からない。
     それこそプラモデルの作成なら溶剤として使うシンナーは有毒だから部屋の換気を良くするとか、油絵を描く人は溶剤が発火しやすいから火の気に気をつけるとか、安全面の知識は技術と同じく基礎知識。
     なのに、山登りなんて危険と隣り合わせの趣味なのに、どうして応急処置の知識が不足しているのか分らない。
     家でゴロゴロ派の私でさえ毎年、次郎と日帰りでスキーに行って滑るのに、カイロとペットボトルとチョコレートは標準装備。
     リフトに乗ってる時に止まって数時間取り残されるかもしれないし、滑ってる時にコントロールが効かなくなってコースを外れ身動きがとれなくなることも有りえるので。
     好きで行なう趣味ならば、なおさら怪我の手当ての基礎知識は必須かと思われ(・o・)ノ

     『マグネループ』を買いにいらしたお客様から、使用期限があるか尋ねられた。
     永久磁石だから無いはずだけど、勘で答えちゃマズイのでメーカーに問い合わせてみた。
     窓口の人も苦笑していたけど、もしかすると同じ質問は多いのかも。
     やはり永久磁石なので使用期限はないものの、リングの部分のシリコンゴムは経年劣化するため、製品としての寿命は一年くらいという回答を得て、お客様に伝えた。
     ただ利用状況を訊いてみたら、奥さんが足の骨折で入院しており、同じ姿勢でいるためか肩こりを訴えていて、頼まれたとのこと。
     そして、骨折した患部が化膿して抗生剤を足から直接投与しているため、飲み薬を避けようと考えて『マグネループ』を選択したらしい。
     いやぁ、入院しているのでしたら『葛根湯』を処方してもらったらどうでしょうか。
     抗生剤に影響することも無いはずですし、と話してみたら、肩こりについては担当医に話していないという。
     えっ、なんで(^_^;)?
     お客様は『葛根湯』が肩こりに使えるということに驚いた様子だったけど、入院しているのに相談しないことには私のほうが驚いた。
     骨折で入院したから、肩こりについては別物と考えたらしい。
     薬によっては副作用で思わぬ症状が出ることもありますし、入院中に具合が悪くなった時には、関係あるか無いかは担当医に話してみないと分かりませんから、ちゃんと伝えるようにとお話した。
     ひとまず頼まれ物ということで、『マグネループ』は購入された。

     

  • 健康情報は必ず「自分に引き寄せて」

     湿布を求めて来店したお客様は、膝の痛みに使うということだった。
     私は普段は、常用するのなら鎮痛効果の弱い物から段階を踏んで乗り換えることを提案して、打ち身とか急性であれば短期決戦に強い物をと勧めている。
     そのうえで漢方薬を紹介して、興味を示されるかを探ってみる。
     漢方薬というと、「長く飲む物」とか「すぐには効かない」と思い込んでいて、全く話を聞いてもらえないことも少なくない。
    「風邪には葛根湯」という言葉もあるくらいで、誤解なんだけどねー。
     湿布を常用するのなら、飲み薬の方も検討してみてはと思う。
     今回のお客様は興味を持ってもらえたので、お風呂で温まると楽になるというお話から『桂枝加苓朮附湯』を候補にした。
     しかし、詳しくお話を訊くと、立ち仕事で足が浮腫むということが分かり、外見的に水太りの傾向も見られたため、水分代謝を改善して痛みを緩和する『防已黄耆湯』の方を勧めて、お買い上げ頂いた。
     あと、あまり水分を摂らないというお話で、そうするとむしろ体の方は保水しようとするため、量は必要無いので小まめに飲むよう伝えた。
     ちなみに、飲み薬については全く考えていなかったそう。
     選択肢は、多い方が良いですよん(´∀`)

     お客様から、以前に治療した奥歯が痛むので、何か塗り薬をと要望された。
     うちには『デンタルクリーム』が置いてないから、『新今治水』を案内してお買い上げ頂いた。
     飲み薬を避ける理由は、話を振ってみても何も答えてくれなかったため不明。
     何か他の薬を飲んでるのを、隠したかったのかなぁ。
     服用している薬の種類によっては、鎮痛剤なんて売れないからね。
     一応、歯科医に行くのを優先するようには伝えたけど。

     やや高齢のお客様が、漢方薬の棚をウロウロ。
     声を掛けてみても、「大丈夫」と断られた。
     そしてしばらくすると、「漢方薬あるのに、芍薬甘草湯は置いてないの?」と訊かれた。
     私がこの店で働き始めて漢方薬の種類を充実してきたけど、『芍薬甘草湯』は置けない物の一つで困る。
     というのも、本部から大量の『コムレケア』が送り込まれていて在庫を抱えているから。
     中身は、同じ『芍薬甘草湯』なんですけどね。
     『コムレケア』のパッケージは、こむら返り専用のようなデザインだし、『芍薬甘草湯』の名前は成分表示を見て分かる程度で、『芍薬甘草湯』を探しているお客様からすると、「置いてないの?」となってしまう。
     お客様には同じ物であることを説明して、お買い上げ頂けた。
     ただ、よく足が攣るというので、ちょっと心配。
     脹脛(ふくらはぎ)は「第二の心臓」とも呼ばれていて、下半身に降りた血液を筋力をポンプ代わりに使って上半身に戻す補助をしている。
     足が攣るというのは筋肉の疲労が関係する訳で、脹脛が疲労するほど働くのは、本物のポンプの心臓の機能が低下している可能性があるのだ。
     頻繁に足が攣る人が、病院で調べてみたら心臓の血管の一部が詰まっていることが判明して、手術を受けた例もある。
     怖がらせるつもりは無いですが、薬に頼ってばかりだと重大な病気を見逃してしまいがちなので、病院を受診することも検討するようにお話した。
     現代薬より漢方薬を勧める私だけど、漢方薬を常用している人の中には、「病院嫌いだから」と頼っている人もいるので、注意喚起はしておかないと。
     何ごとも、一辺倒とか極端なことは良くありません。

     とか思っていたら、やや高齢のお客様が同じく『芍薬甘草湯』を求めて来店した。
     それで先のお客様と同じように、よく足が攣る場合には気をつけて下さいねとお話したら、テレビ番組で『芍薬甘草湯』が紹介されていたと分かった。
     なるほど(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚ )
     番組の内容は分かりませんが、それこそ薬を指名で買う前に、症状については店頭で相談して下さいね。
     『芍薬甘草湯』自体は、頓服として一時的な筋肉の痙攣による疼痛に使う物で、だから下痢や嘔吐の無い腹痛に使う訳ですが、漢方薬だからと「長期連用しても安心」では無いですし。
     それこそ足が攣る原因は、怖い心臓疾患より水分代謝の異常で血中の水分不足で起きることの方が多いから、水分代謝を改善する『五苓散』の方が適していたり。
     そういや前に、健康番組で糖尿病予防の特集をやっていた時に、「サラダを最初に食べることで、血糖値の急激な上昇を抑えられる」と紹介していて、その後にお店に来たお客様の何名かが口を揃えて「サラダを最初に食べると健康にいいんだってね」と言っていたっけ。
     ちゃんと番組中ではテロップで「糖尿病予防」って出ていた通り、それは「血糖値の急激な上昇を抑える」のが目的の食べ方で、「健康に良い食べ方」じゃないのに、どうも頭の中で自動変換されてしまうらしい。
     胃の働きを良くするために、味噌汁などの温かい物を最初に飲むという方法もある訳で、「自分の身体状況に合わせる食べた方」をすることが大事なので、健康情報は必ず「自分に引き寄せて」検討したうえで実践しましょう。
     それはともかく、やっぱり薬を指名で買う前に、症状については店頭で相談して下さいね。
     今まで知らなかった薬なら、なおさらのこと。

     

  • 冷えの咳、乾燥の咳、ストレスの咳

     ご主人が鼻水と咳に悩まされていて、病院で処方されていた『小青龍湯』を使い切ってしまったとのことで、お客様が来店。
     ただ、現在は鼻水は垂れてくるほどではなくなり、痰が喉に張りつくような感じがするというお話だった。
     患者さん本人ではないので、どこまで実際の症状なのかは分からないけど、痰が喉に張りつくのは起動の水分が不足している、つまりは乾燥していると考えられる。
     『小青龍湯』は、上半身を温めることで鼻水を抑えて、寒冷的な刺激による咳を鎮めるのが主作用であり、それはつまり時として体内を乾燥させてしまう。
     まだ鼻水が垂れてくるほどならばともかく、主訴が痰の絡んだ咳に移行しているようならば、『小青龍湯』を継続するより『麦門冬湯』に乗り換えることを提案した。
     もとより、胃から鼻へは繋がっているので、胃薬としても働く『麦門冬湯』で上半身の水分代謝が改善されれば、鼻水の原料となる水分も調整されて、ついでに鼻水が改善することが期待できる。
     そう説明して、『麦門冬湯』をお買い上げ頂いた。
     あと、ご主人は風呂に入らずシャワー派だそうなので、下半身を温めるために湯船に入ることと、温かい飲み物を飲んで、内臓を温めるよう勧めた。
     体内を温めるという点では『小青龍湯』と変わらないように思われるかもしれないけど、直火で温めるのと湯煎で温めるのとでは、料理の具が焦げるほど熱せられるのと、穏やかに温めるのと同じように違いがある。

     常連のお客様が、ご主人の風邪の相談で来店。
     以前に、鼻水のある風邪と疲労感ということで、『葛根湯加川きゅう辛夷』『柴胡桂枝湯』を案内してお買い上げ頂いたのだが、その後に病院に行ったところ『小柴胡湯』を処方されたという。
     なるほど、疲労感のある風邪には当然のように候補になりますね。
     うちのお店には無いので、『柴胡桂枝湯』を案内した次第で。
     ところが、喉に痰がつかえている感じがするのに出ないらしいということと、季節の変わり目に同じようになるというお話が。
     それは、『半夏厚朴湯』が適応するかもしれません。
     ストレスになって発症する咳で、「梅の種が喉に詰まったような感じがする」ことから漢方用語で「梅核気」と呼ばれる症状である。
     現代では、梅の種なんて口にする機会が無いから通じない表現だけど、「痰は出ないのに喉に張り付くような感じがする」と言われることがある。
     それだけだと、先の『小青龍湯』から『麦門冬湯』に乗り換えて頂いたお客様と同じようであるけど、見分け方としては「んんっ、んんっ」と咳払いはしても、実際の咳はそれほど出なかったりするのが「梅核気」であり、その場合は乾燥ではなくストレスによる神経の緊張を取り除き、気道の閉塞を改善するのが有効策だ。
     季節の変わり目に現れるとなると、気温の変化や天候の変化がストレスになっているのだろう。
     もしかすると『小柴胡湯』が処方されたのは、そのためかもしれない。
     柴胡剤は、肝臓に働きかけて神経の緊張を解くので。
     『半夏厚朴湯』の方は、肝臓ではなく肺や胃といった上半身の緊張を解くように作用するので、同じ緊張を解くのには『小柴胡湯』とは違うアプローチとなる。
     そして実は、『小柴胡湯』『半夏厚朴湯』を合方した『柴朴湯』という、両方からストレス性の咳を改善する処方がある。
     『小柴胡湯』が処方されているのであれば、『半夏厚朴湯』を一緒に服用してしまえば、同じ処方になるという訳。
     う~ん、店頭で『半夏厚朴湯』を買って頂いて使う方法もありますが、担当医に相談してみてはいかがでしょう。
     『小柴胡湯』を処方してくれる医師でしたら、『柴朴湯』も出してくれると思います。
     そう提案したため、今日のところはお買い上げは無し。

     

  • 薬は季節や環境での使い分けということもあります

     常連のお客様から受けた相談は、ご主人が初期は鼻水とクシャミで『小青龍湯』を用いて治まったものの、出張してからぶり返し、今は鼻づまりになっているとのことだった。
     暖かくなってきたから、上半身を温める『小青龍湯』が合わなくなってきていると考えられるため、『葛根湯加川きゅう辛夷』への乗り換えを案内したところ、家に以前に病院で処方されてた物が残っているそうなので、使うよう勧めた。
     また、出張以来、疲れが抜けないみたいというお話があり、『柴胡桂枝湯』を案内すると、お買い上げ頂けた。
     漢方薬に限った話じゃないけど、薬は体質や症状だけじゃなくて、季節や環境での使い分けということもある。
     特に「風邪には葛根湯」と思い込んでいると、夏場の風邪には対応できないケースが有る。
     『葛根湯』は上半身を温めるから、夏場に使うと胃が温まって気持ち悪くなったりしてしまうのだ。
     そして夏場の風邪というのは、夏バテと同じように胃腸の調子が悪くなって、抵抗力が落ちたところでということが多いため、通常は風邪の後期や胃腸炎に用いる『柴胡桂枝湯』を最初から使ったり、胃腸の風邪に特化した『かっ香正気散』の出番となる。
     もっとも、夏場でもエアコン冷えや雨に濡れてといったような場合の風邪には、『葛根湯』が適応する。
     そんな訳で、夏場の風邪の対処は案外と難しいので、「前に効いたから」と思い込まずに、店頭で相談して下さいな。

     お客様から、日光皮膚炎の相談を受けた。
     顔だけが赤味を帯びて痒くなり、昨年も同様だったという。
     今回訪れたのは、病院で処方されていた塗り薬を使い切ったからというのだけれど、肝心の処方されていた薬の内容が不明。
    「白くて、チューブに入っていたんだけど」と言われても、たいていの塗り薬は白くてチューブに入っていると思います(^_^;)
     一方、そもそもの原因としてはピーリングの化粧品を使っていたのが思い当たるそう。
     そして、その化粧品の内容も不明。
     ……名探偵でも、手掛かりが無いと解決できないと思う。
     顔に塗れる皮膚炎の薬として『コートf ATクリーム』と、内服に上半身の炎症を抑える『黄連解毒湯』『消風散』を紹介したけど、受診勧奨した。
     使ってる薬が分からない段階で、店頭ではお手上げなので┐(´~`;)┌

     高齢の母親の肘の痛みについて、お客様から相談を受けた。
     病院を受診していないそうで、お客様は「年だから、軟骨でしょ」と言われる。
     ひとまずお話を聞いてもらうために、要望に沿って『コンドロイチン』や『キューピーコーワコンドロイザー』や『アクテージ』などを紹介。
     そのうえで、軟骨ばかりでなく血行不良などでも痛みがあることを説明した。
     例えば、栄養は血液で運ばれるけど、血行不良で局所的に栄養不足に陥ると、その部分から「栄養が来てないよー」ということを痛みとして脳に信号を送って、救援要請をしてくるのだ。
     そして詳しくお話を訊いてみたら、本人は動かなくてもジンジン痛むと訴えているとうお話。
     それは、やっぱり血流不足が起きてるんじゃないですかねとお話してみたけど、関節のイラストの入っているパッケージの物の話以外については聞いてもらえず、『キューピーコーワコンドロイザー』を買っていかれた。
     う~む、お金を出して買うのはお客様だけど、患者さんのことを考えると、これで良いのかどうか……(´ヘ`;)
     『疎経活血湯』も、紹介したかったんだけどなぁ。

     

  • 頭を下げちゃいけない時もある

     お客様から、首筋が痛み、回したり下を向くことも出来ないと相談された。
     温めて楽になるか尋ねてみたところ、昨日は風呂に入っておらず分からないものの、寒い感じがして体は温まりたいと思っているようだというお話だった。
     また、痛むようになった原因に、職場で冷房を入れられたのが思い当たるというので、上半身を温める『独活葛根湯』を案内した。
     しかし、貼る物を希望されたため、フェルビナク製剤を勧めてお買い上げ頂いた。
     お客様は首を痛めているのに、私がウッカリ頭を下げて「ありがとうございます」と挨拶してしまったもんだから、お客様に「(頭が下げられず)ごめんなさい」と謝られてしまった。
     あうっ、こちらこそ気が回らず申し訳ないです(^_^;)

     鼻水と微熱に『ストナデイタイム』を繰り返し購入される常連のお客様に、さすがに心配だから『小青龍湯』に乗り換えてもらったんだけど、やはり『ストナデイタイム』が合うみたいとの事で、本日もお買い上げ。
     他に、疲労に栄養ドリンクを要望されたものの、人参は合わないというお話。
     でも、人参といっても種類があるし、その「合わない」の状態が分からない。
     量も関係するかもしれないので、刺五加が入っている『リポビタンJr.』を勧めてみると、一緒に購入された。

     『ヘム鉄』を求めて来店されたお客様に用途を確認してみると、目眩とのこと。
     目眩は大きく分けて、「立ち眩み」と「天井が回るような目眩」と「フワフワと雲の上を歩いてるような目眩」の3つがあるので尋ねてみたところでは、立ち眩みとフワフワした感じがするそう。
     ううむ、判断か難しいなぁ。
     立ち眩みは鉄不足による貧血が関係することが多いから、その点で考えると『ヘム鉄』は補助になるかもしれないけど、お客様の肌に色艶が不足していることからすれば、『人参養栄湯』を勧めたいところだ。
     一方、フワフワした感じは血圧変化に体がついてこれなくて起きてるかもしれないので、『釣藤散』も候補になりそう。
     回転性の目眩なら、水毒を疑って『苓桂朮甘湯』を考えたけど。
     ただ、お客様自身は昨年に病院を受診して異常は認められなかったそうで、サプリメントを希望しているため、今回は血液には『ヘム鉄』の他に『葉酸』も必要なことをお話して、両方をお買い上げ頂いた。
     サプリメントで改善しなかったら、改めて相談して下さいな(`・ω・´)ゞ

     

  • 疑問に思わないと質問も出ないということ

     以前にも、中学生の息子んさにと『ブリーズライト』を買いにいらしたお客様。
     その時とは別にラージサイズを購入して使ってみたら、大きすぎて取れやすかったそうで、サイズごとに粘着力が違うのかと尋ねられた。
     え~と……、私は使ったことが無いので断言できませんが、粘着力は変わらないと思います(^_^;)
     キッズタイプだと今度は小さすぎるかもしれないため、やはりレギュラーサイズが良いのではと勧めた。

     喉の痛みと声嗄れの相談をお客様から受け経過を尋ねたところ、花粉症で病院からは『クラリチン』が処方されており、微熱があったため自己判断で『ストナジェルサイズS』を併用したという。
     う~む、断定はできないけど、その併用が声嗄れに影響したんじゃないかと。
     『クラリチン』の方は第ニ世代の抗ヒスタミン薬だから、口が乾いたりといった副作用は少ないはずなのに、そこに第一世代の抗ヒスタミン薬であるジフェニルピラリンが入っている『ストナジェルサイズS』を併用しては、元も子もない。
     微熱に対処するなら、アセトアミノフェンだけが入っている解熱剤か、漢方薬で花粉症と風邪の両方に対応する『葛根湯加川きゅう辛夷』を選択してもらいたかった。
     漢方薬は選択肢に入っていないかもしれないので、喉の炎症を抑えるために『パブロントローチAZ』を案内してみたら、トローチ全般を飴のような物と思っていて薬とは考えていなかったと言われた。
     なるほど~、こういう一般の人の感覚というのは忘れがち。
     どんな分野でも、素人からすれば「何が分からないのかが分らない」から、そもそも質問したりしない事があるということを肝に銘じておかないと。
     とはいえ、やっぱり薬を使うのに自己判断は避けてもらいたいですが。
     そして、喉の痛みに『駆風解毒湯』を紹介してみると、漢方薬を避けている訳でもないと分かり、声嗄れの方を早く治したいと要望されたため、『響声破笛丸』をお勧めして、お買い上げ頂いた。

     肩こりの相談で訪れたお客様、今までにそんなになったことは無く、温まると楽になるというお話から、『独活葛根湯』を案内してお買い上げ頂いた。
     上半身を温める『葛根湯』に鎮痛効果のある独活が入っているこの処方は、『サロンパス』や『トクホン』を常用している人に試してもらいたい内服薬。
     あと、ストレスが思い当たる場合の肩こりに使う『コリッシュ』(治肩背拘急方)も、紹介だけしておいた。
     ストレスは胃に来るので、胃の具合が悪くなると前かがみになり、首だけで重い頭を支えるため、これが肩こりに繋がる。
     これもまた、湿布薬だけで対応していては改善しないので、ぜひ内服薬も候補に加えておいてもらいたい。