子供を連れたお客様が『ロート抗菌目薬i』を購入されるさいに、目薬を点したら最低でも1分間は目を閉じて少し下を向き、できれば5分の方が望ましいことを伝えた。
以前に研究員さんに抗菌剤の持続時間を尋ねてみたら、せいぜい10分程度と教えられて驚いた。
人間の体の、異物を追い出そうとする力は侮れなくて、目薬を点しても表側へは涙と一緒に、あるいは目の裏側へと流してしまうそうだ。
また、もとより睫毛は目に異物が入るのを防ぐためにあるので、瞬きをすると薬剤が睫毛に持っていかれてしまう。
つまり、いかにして目薬を目に行き渡らせるかが効果の鍵。
目頭を指でギュッと押す方法が一番であるが、やってみると案外と難しいうえ、指先が汚染されている可能性もあるから、事前にちゃんと手洗いをしていない場合には目頭には触れないほうが良い。
そこで一番簡単なのが、先に書いたように目薬を点したらすぐに目に閉じ込めて、少し下を向き、5分ほどのそままでいること。
その状態ならば、目を閉じ続けているのがつらくなって瞬きをしても、表面張力によって目薬は睫毛にからみつき、目を閉じれば再び閉じ込めることが出来る。
それから、抗菌目薬は菌を倒すのが目的で、持続時間の短さからすれば1日に3~5回は点すのが効果的。
お客様には、それとともに体温を高く保つ工夫をするよう勧めた。
体温を上げたほうが免疫機能も向上するから、お風呂に入れるのなら必ず入り、服装はお腹周りを冷やさない物を選んで、積極的に温かい物を飲む。
お客様から、DHCの『濃縮ウコン』について尋ねられ、飲酒に対しては効果を証明するエビデンスが無い一方で、過剰摂取によって脂肪肝になる可能性があることを説明した。
本当に肝臓を心配するのであればと、効能に肝臓疾患を取得している『ネオレバルミン』を紹介し、病院では肝臓疾患に処方されることもあるウルソデオキシコール酸が主成分の『タナベ胃腸薬ウルソ』も案内してみた。
そして、飲酒前にアルコールの吸収を穏やかにするために牛乳を飲んでおく方法や、アルコールの分解に大量に必要な水分を摂取することを勧めた。
強いお酒を飲んだ後に飲む水を「チェイサー」と呼ぶが、後で飲むより先に体内に溜めておいたほうが良いんである。
お酒と一緒に食べる物も重要で、刺身のツマの大根や揚げ物につきもののキャベツなども、含まれている消化酵素が胃薬の代わりになるし、肝臓の働きを助けてくれる。
お客様が『トラベロップQQ』と『太田胃散A錠』を購入されるさいに、前者は酔い止薬としては眠くなりにくい物で良いのか尋ねたところ、12歳の子供が使うので良いとのことで、後者については他の薬との飲み合わせに気をつけるようを伝えると、修学旅行で子供に持たせるというお話だった。
胃薬は成分の種類が多いゆえに、他の薬との併用に気をつけなければならない難しいジャンルなので、実際に症状があるときは相談をとお願いした。
例えば、風邪薬や鼻炎薬と併用するとそれらの効き目を落してしまうことがあるし、今回は子供だけれど高齢者の場合は血圧を上げてしまったり腎臓に負担をかけたりしてしまう。
また、『太田胃散A錠』は単純に散剤の『太田胃散』を錠剤にした薬ではなく、胃の働きを助ける健胃成分が少なくなっている。
つまり、胃の疲れへの効果は散剤より弱いと考えられる。
そもそも、『太田胃散』に限った話ではなく『キャベジンコーワα』などの総合胃腸薬は、消化を助ける消化剤を入れておきながら、胃酸の出過ぎを抑える制酸剤も入っているという、薬としては変な構成。
広く浅く効かせるという考え方はあるにしても、体のためを思うと、やはり症状に合わせた薬を選ぶのが望ましい。
それに旅行で持たせるのであれば、風邪と胃腸炎の両方に使える『柴胡桂枝湯』の方が便利なのだけれど、そこまでは踏み込めなかった。
ちなみに、うちの子供の修学旅行に持たせた薬は、次の通り。
『地竜』……ミミズを乾燥させて粉にした解熱剤で、体力低下を防ぐ効果も期待できる。私が精力剤の代わりに使ってるのはナイショ。(誰に対して?)
『葛根湯』……風邪の予感がする段階で早めに使え、上半身を温めてくれるので鼻水にも効く。
『銀翹散』……『葛根湯』とは反対に上半身を冷やすので、喉が痛む風邪に用い、鼻づまりにも効く。
『柴胡桂枝湯』……風邪などの発熱後の体力維持に役に立つうえ、吐き気や下痢といった胃腸の症状にも使える。
『五虎湯』……熱性の咳に向いていて、咳き込んで夜寝られない状態のときに用いる。
『麦門冬湯』……乾燥性の咳に適応し、呼吸をするたびに咳になる場合に使うとともに、胃薬としても働く。
あと、ちょっとした怪我の化膿止めと、虫に刺されたり葉っぱなどでかぶれた場合に備えて、ステロイド剤と抗生物質を合わせた『クロマイP軟膏』を持たせた。