• タグ別アーカイブ: 牛車腎気丸
  • 患者さんの情報の小出しに悩む。初見で信頼してもらう難しさ

     やや高齢の女性2人組のお客様から、『ベリチーム酵素』と『タナベ胃腸薬ウルソ』の違いを尋ねられた。
     端的に言ってしまえば、『ベリチーム酵素』は胃での消化を助け、『タナベ胃腸薬ウルソ』は腸での消化を助ける。
     消化というと胃を思い浮かべがちだが、胃の役割は食べ物を柔らかくすることで、喩えるなら鉄を酸でボロボロにして、実際に溶かして吸収するのは腸で行われる。
     一応は『ベリチーム酵素』にも腸で作用するパンクレアチンが含まれてはいるけれど、胃で作用する酵素成分のほうが多い。
     ちなみに健康食品やサプリメントに「酵素」があるが、実際に胃腸で働くには加工技術に寄るところが大きいため、医薬品として認可を申請できない程度の物では効果は望めない。
     高価な酵素食品を求めるくらいなら、『ベリチーム酵素』の方が効果は確実。
     また、『タナベ胃腸薬ウルソ』の主成分であるウルソデオキシコール酸は体内で循環しており、それを自動車のオイル交換のように新しくして消化力を上げるのが目的なので、1週間以上は毎日欠かさずに服用するのが効果的。
     こちらもちなみに、病院では肝臓疾患に用いられる薬で、市販薬をその目的で使うことはできないが、飲酒が多い人で下痢しがち、便秘しがちであるのなら胃腸薬として選択肢に入れておいたほうが良い。
     するとお客様は、お腹の張りに病院で『ガスター』を処方されてるとのことだったが、それは自分から医師に頼んだ物だそうで、しかし胃の灼熱感や上がってくる感じは無いというため、適応するとは思えない。
     医師の判断だから口は挟めないけれど、強く求められて自身の監督下だから処方したのだろうか。
     風邪に抗生剤は不要でも、患者から頼まれると出す医師がいるという話は聞くし。
     また、『タナベ胃腸薬ウルソ』の購入を決められたものの、胃潰瘍や胃炎に処方される薬も出ていると分かり、飲み合わせを調べたうえでお買い上げいただいた。
     さらに、お会計の段になってチエノトリアゾロジアゼピン系に属する睡眠導入剤も処方されていると知らされた。
     なんで、そんなに小出しにするの(ToT)?
     しかも、この睡眠導入剤は胃の働きにも影響するから、現在の胃の張りの原因が副作用ということも考えられる。
     お客様には、お薬手帳に成分表示を貼って一元管理することと、医師や調剤している薬剤師には使ったことを報告し、お薬手帳を持ち歩くようお願いした。
     市販薬を買うときにも、お薬手帳を見せてもらえれば処方されている薬が一発で確認できるし、病院や調剤した薬局の営業時間内なら、飲み合わせを問い合わせることだってできる。
     それに、病院に行かなくても普段から持ち歩いていれば、出先で事故に遭ったさいの救命措置に役立つうえ、大規模災害により避難することになったら特例として医師の診察を受けずとも必要な薬を受け取ることが可能となる。

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     お客様から、ご主人の胃もたれの相談を受け『第一三共胃腸薬プラス』の他に『ギャクリア』(六君子湯)と『セルベール整胃』を案内した。
     いずれも、胃の働きを助ける胃薬である。
     今回は『第一三共胃腸薬プラス』をお買い上げいただいたが、胃薬を選ぶのは人づてでは症状の詳細が分からず難しいので、遅くまで営業してるお店での本人の購入が望ましいことを伝えた。

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     お客様から胃腸薬を求められ売り場を案内したところ、いつも『大正漢方胃腸薬』を使っているとのことで、購入を決められた。
     そのさいに、お湯と水とを飲み較べてどちらで楽になるかを試してみる鑑別法を教えると、睡眠導入剤があるか尋ねられ、市販されてるのは睡眠補助剤であることを説明し、『ドリエル』と『ウット』を紹介したところ後者を試していただくことになった。
     ちなみに、お湯を飲んで楽になるのは胃が冷えているか疲れていると考えられるから胃の働きを助ける胃薬が適応し、水で楽になるようだと胃炎を起こしていると考えられるため、胃酸の出過ぎを抑え胃壁を保護する胃薬が候補となる。
     そして、お客様の睡眠の状態は、寝つくまでに時間がかかるのと、ウトウトして夢を見ることが多く、中途覚醒していまうという全てがあるそうで、特に翌日に用事があると寝つけないというため、数を数える単純な方法を勧めた。
     漢方的には、寝つくのに時間がかかるのは肝の働き過ぎで、眠りが浅くなるのは脾胃(胃腸)の疲れ、中途覚醒は腎の機能低下が考えられる。
     肝の働きを抑制するのには『柴胡加竜骨牡蛎湯』『抑肝散陳皮半夏』が考えられ、脾胃を助けるのは『桂枝加竜骨牡蛎湯』あるいは『加味帰脾湯』が候補となり、腎を養うのには『牛車腎気丸』『知柏地黄丸』などが適応する。
     お客様の場合は、一つ一つの問題というよりバランスが取れなくなっているのだろう。
     数を数えるというのは、1から100までをゆっくり心のなかで数え、それを10セット、つまり1000を数える。
     えらく退屈な作業であるが、退屈な映画を見たり本を読んだりしたときに眠くなるのと同じで、脳を退屈させるのが目的。
     だから、途中で数え間違えたりしても気にしない。
     間違えるのは退屈してきている証拠で、そのまま眠ってしまう可能性が高い。
     お客様からは、睡眠の相談に応じたことを大変喜ばれた。

     

  • 薬を飲むタイミングの「食間」「食前」「食後」っていつ? 特定の銘柄の薬を足で探すのは難しい

     お客様から胃薬の棚を尋ねられ、売り場に案内しつつヒアリングすると、胃のむかつきとのことで食べた直後に痛みも感じるというため胃の機能が低下している可能性お話して『スクラート胃腸薬S』と『セルベール整胃』を勧めたところ、前者をお買い上げいただいた。
     飲み方を訊かれて、「食間」を「食事と食事の間の時間」と説明したら、「食間ってそういう意味!?」と驚かれた。
     どうやら、食事中と思っていた模様(;^ω^)
     ありがちな勘違いではある。
     目安としては、前の食事か次の食事の予定とは2時間くらい離れているのが理想。
     現在なら、スマホの目覚まし機能やカレンダー通知機能などを利用するのが良いだろう。
     ちなみに、「食前」は30分くらい前なので食事の用意を始めるタイミングと思っておけば、まず間違えることは無いはず。
     そして「食後」は30分以内だから、もう食事が目の前に並んでいたら薬も並べておいたほうが、忘れないのではないかと思う。
     お客様には、お雑煮は温かくて具も身体に良いけれど、お餅は消化に悪いので避けるようにと伝えた。

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     やや高齢のお客様から、かすみ目に『スマイル40プレミアムDX』と『Vロートアクティブプレミアム』の比較を尋ねられ、痒みや充血などが無ければ前者が適応することを説明した。
     また、価格と効き目は比例しないことをお話して、『養潤水』と病院で処方されることの多いビタミンB12の『ソフトサンティアひとみストレッチ』を紹介した。
     それから内服薬として『牛車腎気丸』を紹介したところ、多くの薬が処方されていると分かり、まず担当医に相談することを勧めた。
     目薬も成分について治療中の病気や処方されている薬と関係するため、お薬手帳を普段から持ち歩くようお願いすると、本日は買わずにお帰りになった。
     普段から持ち歩いていれば、出先で事故に遭って気を失っている場合でも救急隊員や医師が確認しやすいし、大規模災害によって避難所暮らしになったときに特例として医師の診察を受けなくても薬を受け取ったり、救援物資に積み込みを依頼したりできる。

     若いお客様が『ホットアイマスク』を購入される前に、外用消炎剤の棚を見ていたので声をかけてみたところ、『ロイヒジェル』を探しているというので調べてみるとフェルビナク製剤だったため、『ディフェンダゲル』などが同じ処方であることを説明した。
     特定の銘柄を足で探すのは難しいことと、どうしても同じ銘柄が欲しい場合は、適応しそうか店頭で相談してからネット通販を利用するよう勧めた。
     よく売り場をぐるりと見て回って、何も言わずに立ち去る人がいるけれど、そのうちの何人かは同様に何か特定の銘柄を探しているのだろう。
     でも薬には同じ処方の別銘柄は多くあり、売り場のスペースは限られるため、同じ処方の薬を何種類も置くことはできない。
     また、先述したように探している薬が症状に適応しているかは分からない。
     そして、お店によって薬のレイアウトが違うから、同じジャンルに並んでいるとは限らない。
     例えば『オロナインH軟膏』は皮膚に使うから皮膚薬の棚にあるお店もあれば、処方内容はワセリンに消毒薬を合わせた物なので消毒薬の棚に置いてある店もある。
     たまに、お客様が友人同士とか家族とできていて「○○無いね」と一緒に来て帰っていかれるのだけれど、実は置いてあるので教えようと思っても、お客様の足が早くて追いつけないなんてこともある(^_^;)

     お客様から『新キャベ2』と『液キャベ』の違いを尋ねられ、胃もたれがあり、これから飲み会に行くというので後者の方が飲酒に向いた処方であることを説明した。
     また、お酒の好きならばと『タナベ胃腸薬ウルソ』も紹介してみたけれど、価格が高いというため飲み会向けに『五苓黄解』を案内すると、そちらを購入された。
     事前に牛乳を飲んでアルコールの吸収を遅らせることや、刺身のツマの大根とか揚げ物についてくるキャベツが胃薬として働くので積極的に食べるのが良いことを伝えると、それはご存知だった。

     

  • 価格の高い目薬のほうが効く? どんな成分なのか、正しく使っているか、要チェック!!

     やや高齢のお客様から目がショボショボするとの相談を受け、価格の高い目薬を使ってもダメだったというため、価格と効果は必ずしも比例しないと説明した。
     それに、使った目薬を憶えておらず、それでは何が合わなかったのかを推測することもできない。
     使ってみて良かった物はもちろん駄目だった場合にも、薬の現物か添付文書、せめてパッケージだけでも手元に残しておくのが良い。
     また、目の機能は腎とも関係するため、加齢による場合にと『牛車腎気丸』を紹介したところ、以前に白内障の治療をして他にも服用してる薬があるというのに何一つ憶えておらず、お薬手帳も持ってきていない。
     起きている症状そのものが、使ってる薬の副作用の可能性も考えられることをお話し、まずは担当医に相談するよう勧めた。
     ただ、使っていたという目薬が1日に1回だけ点していたと分かり、5~6回は使わなければ効果を得られないことを教えると、さらに目薬を点した直後に目に溢れた分をティッシュで吸い取っていたというので、目を閉じて目薬が溢れたままにするようお話した。
     緑内障の目薬など、瞼に付いたら拭き取るよう指示される物もあるけれど、それと勘違いしたというのではなさそう。
     目薬を点したら、薬液が目の後ろから鼻腔に垂れてしまわないように少し下を向くのが大事で、そうなると目から溢れないよう同時に目を閉じる。
     目に行き渡らせようと瞬きをしてしまう人もいるけれど、それだと薬液が睫毛に持っていかれてしまう。
     とにかく薬液を目に閉じ込めるために、点したらすぐに目を閉じて少し下を向き、そのまま1分以上、できれば5分はそのままにしておくのが目薬を無駄にしない方法。
     目頭を少し強く押すという方法もあるものの、指が汚染されていると良くないので、私は目を閉じて少し下を向くほうが手軽で安全だと思う。
     お客様にも説明すると、本日は何も買わずにお帰りになった。

    「おくすり手帳と個人情報の使い方」

     若いカップルのお客様が来店し、洗眼薬を手にして「眼科に……」という女性の声が聞こえたため声をかけてみたところ、彼氏が目の充血があり痛みも感じるというため、先に眼科を受診するのは良いこととお話したうえで、『新緑水b』を案内した。
     また、目はデリケートな部分であるため、目薬に使える成分はガチガチに決められており、新発見の素晴らしい成分が入っているということは、まず無い。
     既存の成分の濃度や、組み合わせを替えているだけで、それだけでも試験をするのに莫大な費用が掛かるから、新製品は高額になりやすく価格の高い物が良いとは限らない。
     もちろん、主成分の濃度の濃い物を試してみる価値はある。
     同時に、休めの物から試してステップアップしていくという方法もある。
     ただ、どちらにしても実際に使ってみて比較するのに、成分表示は取っておいて使用感はメモを残しておくこと。
     あと、充血用の目薬を選ぶさいには、塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリンなどに注意してもらいたい。
     これらは単なる「血管収縮剤」で、ただでさえ細い目の血管を収縮して血液が通らないようにすることで、充血を目立たなくしているだけ。
     治している訳ではないし、繰り返し連用していると血管が固くなったり、そこまで極端なことにはならないまでも、細い血管に血液が通ろうとすれば炎症を起こして今度は充血の原因になってしまう。
     だから、これらの成分が主成分なのか補助的な量なのか確かめておくことと、主成分になっている目薬は使わない日、休憩を設けるようにしてもらいたい。
     今回の『新緑水b』にはこれらの成分は入っておらず、お買い上げいただき目薬の使い方を教えると、彼女の方が「初めて知った!」と感心された。

    【第3類医薬品】【ネコポス(ポスト投函)】ロート 新緑水b(13mL)【ロート】

     子供を連れたお客様から乾き目の相談を受け、痛みも感じるようだったため『新緑水b』を案内したうえで、目が乾くことが多いというお話から、ゴマ油配合で目に膜を張る『新ロートドライエイドEX』と、神経や血液細胞を良好に保ち病院でも処方されることのあるビタミンB12製剤の『ソフトサンティアひとみストレッチ』を紹介した。
     本日は『新緑水b』をお買い上げいたたき、子供を連れて薬を買う様子を見せるのは良いことなので、ぜひ続けて下さいとお願いした。
     何故なら、練習していないことは、いきなりは出来ないからだ。
     薬を買うのは、ただ金銭の遣り取りをする買い物の練習と違って、相談するという過程が必要になる。
     でも、人に何かを相談するというのは自身のことを分かりやすく相手に伝え、疑問に思ったら質問するという、大人でも難しいこと。

     

  • 用法・用量を守っていても、市販薬の連続使用にはお気をつけ下さい。

     若いお客様が『ウット』を見ていて、一旦売り場を離れて戻ってきてから購入された。
     念のためヒアリングしてみると、3ヶ月くらい前から寝付けないとのことだった。
     睡眠補助剤は依存性が高いので、あくまで一時的な使用に留めおいてもらわないとならない。
     今回が初めてだというから、3日連続で使ったらもう使いすぎとなることを伝え受診勧奨した。
     また、寝付きが悪いのは漢方的には肝の亢進と考えられ、『抑肝散陳皮半夏』『柴胡加竜骨牡蛎湯』などを使うという方法もあることをお話すると、聞き取れない声で返事をしていたけれど表情は読み取れなかった。
     ううむ、やはり何か他の薬も試しているんだろうか。
     ちなみに、眠れてもウツラウツラとして寝た気がしないのは脾胃の過労などが関係しており、食べすぎて眠れないというのと同じであるため『加味帰脾湯』とか『桂枝加竜骨牡蠣湯』が候補となる。
     夜勤をしている人は、特に体内時計が狂って脾胃に影響することから、タクシーの運転手や看護師などが使っていることが多い。
     そして、幼い子供や高齢者が夜中に目を覚ます中途覚醒は腎の機能低下によるものだから、大人ならば『牛車腎気丸』といった物が使える。
     幼い子供は、機能そのものの低下というより内臓が未発達ゆえなので『小建中湯』のように気持ちを落ち着かせる物が良い。

     お客様が『ムヒこどもかぜシロップ』をご購入されるさいにヒアリングしてみると、7歳の子供が喉の痛みを訴えていて咳や鼻の症状は無いというため『ペラックT』や『龍角散ダイレクト』を提案したのだけれど「子供がこれが好きだから」とのことだった。
     ところがお会計後に、もう一週間以上も飲ませていると分かった。
     飲ませると「元気になるから」との話だったけれど、咳止め成分として覚醒剤が入ってるんだから当然である。
     そして、一緒に入っている鼻炎を止める成分が体内を乾燥させてしまうので、その喉の痛みの原因になっている可能性も考えられる。
     止めきれなかったことを後悔(´・ω・`)

    【第(2)類医薬品】ムヒこどもかぜシロップ120ml【4987426002206】

     お客様が鎮痛剤の『リングルアイビー』を2箱購入されるので念のため声をかけてみると訝しがられたけれど、短期間に飲みきってしまうなど用法・用量を守っていないケースもあるためと説明したところ納得していただけた。
     ただ、肝心の用途を訊そびれてしまった。

     

  • サプリメントや健康食品が、薬より安心なんてことはありません

     高齢のお客様から疲れ目に目薬を希望され、痒みは無く、パソコンを使っているのが原因だと思うとのことだったため、眼球に分布している副交感神経の抹消部分を活性化させることによってピントの調整機能を改善する成分の入った『ロートデジアイ』を使っていただくことになった。
     また、作業時には画面を見下ろせる角度に調整するよう勧めた。
     スマホでもよくやりがちなのは、画面を見上げるような見方で、それをすると目が大きく見開かれて乾きやすくなりドライアイを招く。
     はたから見ると感じの悪い人に見えてしまうかもしれないけれど、顔は前をまっすぐ向け、他人を蔑むような見下ろせば瞼が少し閉じ気味になり、目の乾燥を防ぐことができる。

     お客様から、ロートで出している目ののサプリメントをと求められ、『ロートV5』案内すると価格の高さに驚いていたので、薬の方が効果を期待できることを伝えると血圧の薬を服用していねから薬は心配とのことだった。
     そのわりには、その服用している血圧の薬を憶えておらず、お薬手帳も持ってきていないというのだから困ってしまう。
     血圧を下げる薬にも種類があり、血管を拡張するタイプと血液をサラサラにするタイプとでは体の中でやってることが違うから、それが分からないと他の薬との影響の仕方も分からない。
     そして、薬ではないサプリメントや健康食品なら安心ということにもならない。
     例えば、血管を拡張するカルシウム拮抗剤の『アダラート』を服用してグレープフルーツを食べると、効果を効きを「良くしすぎてしまう」から、患者は気をつけるようにと指導される。
     また、血液をサラサラにする薬『ワーファリン』は、納豆を食べると腸内でビタミンKが合成されることにより効果を減じてしまうことは、よく知られている。
     つまり、食べ物だって薬に影響を及ぼすので、サプリメントや健康食品だって油断は禁物。
     『ロートV5』に入っているのは、ルテインとゼアキサンチンだから、どちらの血圧の薬でも影響は無いと思われるが、そうなると今度は効果のほうが疑問だ。
     この2つの成分は、カルテノイドと呼ばれる黄色色素の一種で、いわゆる切ると中まで色の濃い緑黄色野菜に含まれており、目では網膜の中心部の黄斑と呼ばれる部分に存在している。
     この黄斑は、いわゆるパソコンやスマホの画面から発せられるブルーライトとか紫外線といった有害な光を吸収し、目を守る役割を担っている。
     理屈としては、黄色色素のある物を食べれば黄斑になってくれるという事なのだけれど、小魚を丸ごと食べたからといって魚の脳が自分の脳細胞になる訳ではないように、小腸から吸収された物は分解され代謝され、他の栄養素との組み合わさることで再構成されて、ようやく体の役に立つ。
     ルテインもゼアキサンチンも、人間の体内では作ることができないから外から取り込むしかないとはいえ、よほど偏った食生活をしていなければ緑黄色野菜をまったく摂らない事態というのも考えにくい。
     擁護するとすれば、加齢によって黄斑が変形して視力が落ちる「加齢黄斑変性」という病気にルテインを用いると、「進行を遅らせる」という医学的データが出てきていることくらい。
     でもやっぱり、予防になるとか治療できるというレベルの話ではない。
     費用対効果と、味気の無いカプセル状の物を飲むことを考えたら、食事で愉しみながら摂取する方を私は推す。
     そのうえでお客様には、歳とともに衰えてくる視力の低下を軽減するのに用いる漢方薬として『牛車腎気丸』を案内し、近所の漢方薬に詳しい病院を紹介した。
     そうそう、例によってブルーベリーが目に良いかという質問もされたので、それは嘘が広まった情報であることをお話した。

     高齢の常連のお客様が『ポケムヒ』をレジに持ってきたので、携帯用の虫刺されの薬としては弱いことを伝えて、痒み止めに弱い局所麻酔を足して効果を高めている『プチウナ』を案内すると変更になった。
    「いつも教えてくれてありがとう」と言ってくれるのだけれど、なかなか最初から相談とはならないのがジレンマでもある。

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  • 薬を買うときに少しだけ、お話する時間を持ちませんか?

     お客様から浣腸の20ccを求められたけど置いていないため、10ccを2本使う方法を勧めたところ11歳の子供とのことで、お買い上げいただいた。
     そもそも浣腸は刺激物なので20ccをいっぺんに使うより、様子を見て追加する方が安心である。
     そしてお客様には、トイレでの排便しやすい姿勢を教えた。
     人間の直腸は立っている時に蓋をする構造になっていて、そのおかげで立ちションはできても立ちウ○コはできないようになっている。
     だから急な便意に襲われた場合、お腹を押さえるような姿勢で腰をかめてしまうと漏れるので、背筋を伸ばしたほうが良い。
     トイレに飛び込んでも、下着を脱ぐさいに腰をかがめると悲劇になるので、便座に腰掛けるまでは油断しないように。
     でもって、便秘している時にはその逆をすると排便しやすくなる。
     つまり、理想は和式便器に座る姿勢。
     洋式便器に座ったら、膝が胸につくくらい前かがみになるか、台を用意して足を乗せるのだ。

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     若いお客様から睡眠導入剤を注文されたけれど、市販薬は睡眠補助剤であることを説明したうえで売り場を案内すると、前に使ったという『ドリエル』を購入された。
     古いタイプのアレルギー性鼻炎や皮膚の痒みに使われている成分の、眠くなる副作用を利用した薬で、急激に眠くなるから寝入りに時間がかかる人に向いているものの、寝起きがスッキリせず頭がボウッとするかもとお話したところ、働いていないから大丈夫とのお返事。
     病院を受診してるかは不明で、睡眠障害にも種類があることをお話してみたけれど、本人は「ストレスだから」とか「頭が忙しいから」とあまり話を聞いてもらえなかった。
     むむっ、もしかすると病院で何か処方されていたかもしれないなぁ。
     もう少し上手く話を引き出すべきだった。
     当然のことながら眠りは、感情との関係が深い。
     寝入りに時間がかかるのは肝臓が過剰に働いている場合で、感情の特徴は「イライラが持続する」ことなため『柴胡加竜骨牡蛎湯』や読んで字の如しの『抑肝散陳皮半夏』が適応する。
     寝ることができても、ウツラウツラとして寝た気がしないのは胃腸の機能が低下しており、感情面では「起きていないことを心配する」ことに現れて『桂枝加竜骨牡蛎湯』が候補となり、看護師など夜勤をする人ならば『加味帰脾湯』で改善が期待できる。
     年を取って多くなる、夜中や明け方に目が覚める中途覚醒は腎臓の機能低下と連動していて、感情としては「無気力」だったり、今まで愉しめていたことが「愉しいと感じることができない」というケースが多く、腎を助ける『牛車腎気丸』や『サモンエース』(知柏地黄丸)を用いる。
     そして大事なことだが、人間の体は機械ではないから、これらの状況がいっぺんに現れることがあるし、若い時の中途覚醒は内臓もまた成長途上でエネルギー不足ということもあるので、フローチャートのように当てはめていくのは適切でない。
     そこを探っていくためにも「薬ちょうだい」ではなく、対話していきたいんである。 

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     お客様が『太田胃散』を購入されるさいに、鼻炎薬との併用に気をつけるように伝えると興味を持たれたので説明すると、大変に驚かれた。
     厳密には成分の組み合わせで決まることなのだけれど、総合胃腸薬に制酸剤として入ってることの多いマグネシウムやアルミニウムは、鼻炎薬の一部の成分を吸着して体への吸収を妨げて、鼻炎薬の効き目を落してしまう可能性がある。
     また、『太田胃散』には入っていないが、やはり制酸剤として使われることの多いロートエキスは下痢止めとしても使われ、要は内臓の機能を低下させる作用があり、鼻炎薬や咳止め、あるいはその両方の入った総合風邪薬と併用すると、さらに内臓機能を低下させてしまう。
     とにかく胃腸薬は、処方されている成分の種類が多いジャンルなため、他の薬や持病との兼ね合いを考えるのが難しい反面、気軽に買う人が多いうえ、高齢者ともなると「昔から使ってるから」という理由で選んでいることもあるから、売る側としては神経を使うんである。

    「ホントは難しい胃薬の選び方」
     

  • 一つ一つの市販薬はそれほど怖くはないかもしれないけれど、使い方が心配なのです

     お客様が『ルキノンエースα』を購入されたけれど、主訴は喉の痛みと熱感だというので、鎮痛剤を提案したところ「これだと下痢しない」とのお話だった。
     入ってる咳止め成分と鼻炎止め成分に腸の働きを鈍らせる副作用があるから、そのせいかもしれないとお話したところ、癌で胃を取ってるというため薬剤師や医師に相談してみるよう勧めたけれど、それ以上は何を言っても聞いてもらえなかった。
     直接的には問題は無いかもしれないが、他の薬についても同じ感覚で使われていると事故を起こす可能性が高まって心配。

     お客様が『ウット』を購入されるのでヒアリングしてみたところ、前にも使ったとのことだけれど、困っているのは夜中に目を覚ます中途覚醒というため、合わないかもしれないと伝えたが、時間を気にしてる様子で漢方薬を紹介できなかった。
     睡眠補助剤も成分によって系統が違ううえ、『ウット』は大脳皮質の機能を抑制させることで眠気を誘う薬を主体に、他の鎮静剤も加えてあるため体の機能そのものを低下させてしまう。
     そして中途覚醒は腎機能の低下が考えられるから、『ウット』を使い続けると、ますます中途覚醒の原因となりかねない。
     漢方薬では『牛車腎気丸』や『サモンエース』(知柏地黄丸)などが候補になるけれど、お客様の様子からすると精神面の影響がありそうだったから、『加味逍遥散』が使えるように思えたのだけれど。
     ちなみに、寝るまでに時間がかかる寝付きの悪いタイプは肝の問題と考えられ、『柴胡加竜骨牡蛎湯』とか『抑肝散陳皮半夏』のような漢方薬が候補となる。
     寝るには寝られても、ウツラウツラと意識があって寝た気がしないというのは消化器官である脾胃が弱っていることが多く、夜勤などで食事時間なども安定していない人には『加味帰脾湯』を勧めている。

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     お客様が『アイボンうるおいケア』をレジに持ってきたけれど、目の痒みの他にホコリ取りに使うとのことで、抗炎症成分の多い『アルガード目すっきり洗眼α』を案内し、変更となった。
    「立ってる者は親でも使え」との言葉があるように、立ってる店員は遠慮無く使って下さいと伝えた。

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  • 睡眠は、睡眠時間を削ってでも深く眠れるほうが効果的

     高齢のお客様が、コタツに入っていたら足が痒くなったそうで、ダニが原因かと尋ねられた。
     体に喰われた痕跡は無いようだから、アレルギー反応を起こす事はありますと答えた。
     そして虫除けスプレーを希望され『ダニアーススプレー』を検討したが、蚊にも使える物が良いと言われ『アース サラテクト 虫よけスプレー』を案内すると購入された。
     ただ、アレルギー反応の場合はダニの死骸やフンが原因であるため、コタツ布団や敷物を干して、粘着性のコロコロなどを使い掃除をした方が良い。
     そうお話ししたものの、お客様が帰ってから、さっきのスプレーはコタツの中ではなく自分の体に使うというのを伝え忘れた。
     最初に案内したのが布団に掛けるタイプの『ダニアーススプレー』だったので、お話の流れからして、コタツの中に撒くと勘違いしてる可能性が高い。
     しまった……orzガックリ

    アース サラテクト 虫よけスプレー

     お客様が『コルゲンIB錠TXα』をレジに持ってきたけれど、患者は奥さんで、発熱と喉の痛みが主訴だというので鎮痛剤を提案すると家に置いていないそう。
     そして『新ルルA』シリーズのどれかを使っていたとのことなのだが、どれを使っていたにせよ咳が無ければ咳止め成分が体に負担をかけてしまうため適さないことをお話した。
     鎮痛剤の『タイレノール』と、喉の痛みを抑える『ペラックT』は併用できることを説明したうえで本人に連絡してもらったところ、鎮痛成分を2種類合わせた『バファリンルナi』をお使いいただく事になった。
     食欲が落ちていて本人は「食べなきゃ」と言っているといため、風邪をひいたら体を休めるのが有効な対策で、体を休めるというのは内臓も含めてであることを説明し、無理に食べなくても良いとお話した。
     ただ、水分と塩分は摂っておきたいので、インスタントスープや即席味噌汁など具の少ない物を勧めた。
     また、自分で発熱をするのはエネルギーを消費するから、お風呂には入って外からも温めた方が良いことも伝えた。

     お客様から睡眠補助剤を求められたのだけれど、ヒアリングしてみると寝つきが悪くて眠りも浅いというので『柴胡加竜骨牡蛎湯』『桂枝加竜骨牡蛎湯』を案内した。
     睡眠を改善したいという場合、どういう状況なのかの確認が必要となる。
     寝るのに時間がかかる寝付きが悪くなるタイプは肝の働きが亢進しすぎていると考えられ、『柴胡加竜骨牡蛎湯』『抑肝散加陳皮半夏』などが候補となる。
     一方、寝てもウツラウツラとして寝た気がしないというのは脾胃(消化・吸収)の機能が低下している可能性が高く、『桂枝加竜骨牡蛎湯』だとか『加味帰脾湯』が候補となり、タクシーの運転手や看護師など夜勤をする人に向いている。
     そして夜中に目が覚めてしまう中途覚醒は腎機能の低下で、内臓が発達途上の子供や、反対に加齢によるお年寄りに多く、子供なら夜中の興奮を抑えるために『小建中湯』『小柴胡湯』などを使い、高齢者は腎を補う『牛車腎気丸』が適応する。
     そう説明すると、『桂枝加竜骨牡蛎湯』のパッケージに書いてるある「些細な事が気になる方に」が思い当たるというため、『加味帰脾湯』も紹介したけれど、同じくパッケージに書いてある「貧血」は無いとのことで『桂枝加竜骨牡蛎湯』を購入された。
     ただ、人間の体は機械ではないから、それこそ今回は寝付きの悪さと眠りの浅さが同時に現れているし、パッケージに書いてあるのは宣伝文句だから、あくまで参考程度でしかない。
     本来は生薬構成と、患者さん本人の体質や生活スタイルなどとの突き合わせが重要である。
     そういう意味では、お客様は寝る直前に入浴し、食事の時間はまちまちで、営業とパソコンの業務をしているというため、やはり『加味帰脾湯』も候補になりそうだ。
     特に入浴に関しては、赤ん坊が眠くなる前兆として手足が温かくなるように、いったん温まった体が冷えていく過程で心身ともに休まるので、入浴後に寝る用意をするまでには2時間くらい空けた方が良い。
     睡眠時間を長く取りたいという気持ちの焦りは分かるが、睡眠時間を削ってでも深く眠れるほうが休息としては効果的なので、入浴後にはゆったり過ごす時間を持ってもらいたい。
     お客様には、『桂枝加竜骨牡蛎湯』が合えば保険の適用薬でもあるので、病院で医師に処方してもらえないか相談してみるよう伝えた。

    桂枝加竜骨牡蛎湯
     

  • トンデモ医学に気をつけて! でも、店頭では即座に否定できないジレンマ

     お客様から、ギックリ腰か分からないが、たまに腰が痛くなり、その時は予感がするというため『コムレケア』(芍薬甘草湯)を紹介したところ、購入された。
     症状が起きるときの参考になるかもしれないので、気圧アプリの『頭痛ーる』を紹介した。
     私もスマホ入れてみて分かったのは、晴れている日でも気圧が急激に下がる事があるらしいこと。
     仕事や私用のスケジュールを組む時に、後回しにするか前倒しにするかの参考にしている。
     まぁ、性格からいって、たいたい後回しにしてしまうんですが(^ω^;)
     あと、気圧が落ちているのをグラフで見て、むしろ気持ちまで落としてしまう事があるので、使い方には気をつけましょう。
     それはともかく、お客様は整体に行っていて、そこでは“Oリング”をやっているという。
     まさか店頭で、トンデモ医学のキーワードを耳にする機会に恵まれ、もとい遭遇することになると思わなかった。
     

    怪しすぎるO-リングテスト、究極のトンデモ系ニセ医学臭がぷんぷん。

     説明するのも馬鹿らしいが、人間の体は身体に良い物と悪い物とを潜在的に区別する能力を有しており、患者の片手を何かの物質に触れさせ、もう片方の手の親指と人差指でアルファベットのOの形を作らせ、施術者が力を込めてOの指を開こうとした時に、開けば身体に悪い物、開かなければ身体に良い物と判定するというのが一般的(?)なやり方。
     そんな理論、水や塩で判定してみれば、すぐに成立しないことが分かるというか破綻してしまうのに。
     だって人間の身体は、水分と塩分が不足すると死んでしまうくらい両方を必要としている。
     つまり、身体に良いものとなる。
     けれども同時に人間は、塩分を摂り過ぎると高血圧を招くなど健康を害するし、水の中では生きていけず溺れ死んでしまう。
     胃酸の出過ぎを抑える胃薬や下痢止めの薬に使われるロートエキスは、ハシリドコロと呼ばれる毒草から採取され、その名前の由来は苦しさで「走り回って死ぬ」と伝えられている。
     Oリングなんて信じていたら、それこそ適切な治療を受けられずに命を落としかねない。
     そんなお話をしたい気持ちをグッとこらえて、これからもまた来店して相談してもらえれば適切な案内ができるかもしれないからOリングについてはコメントせず、整形外科などの病院も受診しておくようにだけ伝えた。
     私も、大人になったもんである( ^ω^ )←40歳も後半になって

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     若いお客様が『サロンパス』を選ばれたけれど、鎮痛剤としては弱いことを伝えると興味を持たれたのでヒアリングしたところ、手首が痛むという。
     そこで、鎮痛剤として一段強めで浸透力もあるフェルビナク製剤と、さらにその上の鎮痛効果があり血液の中にまで成分が入っていくジクロフェナクトリウム製剤を紹介した。
     患部が動かす部分でもあるため塗り薬を提案するも、貼る物を希望されたから、『ホームパスフェルビナ5.0』を案内して、お買い上げいただいた。

     親子のお客様が来店し、母親の尿漏れに飲み薬を希望され『ユリナール』(清心蓮子飲)を紹介したが、整形外科に通院してるというため処方薬でもあるので、担当医に相談してみるよう勧めた。
     また、加齢によるものと考えられるから『牛車腎気丸』も紹介した。
     科目が違うから直接は処方してもらえないかもしれないが、他の病院を紹介してもらえるかもしれず、現代の日本は医師の専門性が高まっている分だけ、他の科目との連携が課題となっており、診てもらっている以外の症状もあることは知っておいてもらった良い。
     科目が違うからと他の症状を相談せず、そのまま別な病院にも行くと、お薬手帳に薬歴は残ったとしても、総合的な病歴の把握が難しくなってしまう。

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    ユリナール
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     若いお客様が、体温計と『OS-1』を購入されるのでヒアリングしたところ主訴は下痢というため、食事を控えつつ水分と塩分を摂るために、インスタント味噌汁やインスタントスープを食事代わりにするよう勧めた。
     そして、体温計については発熱した場合、スマホで撮っておくか日時と体温をメモしておくようお話した。
     いざ病院に行ったさいに、受診するまでの体温の経過を尋ねられても、正確に答えられる人はまずいない。
     分かるのはせいぜい、「○○度くらい」という曖昧な答えと、当日に病院で診察前に測った体温だけだろう。
     しかし、医師の側からすれば自分が診察する前の「経過観察」の情報が知りたいものなのだ。
     同じ発熱の仕方が数日続いているのか、昼間と夜間での体温の違いはあるのかなど、推理するには情報は少しでお多い方が良い。

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  • 「不眠」は大きく分けると3種類!! あなたはどのタイプ?

     やや高齢の夫婦のお客様が来店し、奥さんから乾燥剤を求められて売り場を案内すると、携帯電話を水没させてしまったとのことだった。
     携帯ショップの人にアドバイスされたそうなのだが、目の前で電源を入れられてしまった。
     ああ~、乾くまで最低でも2日は電源を入れてはいけません(>_<)
     お客様には、乾燥剤を使うのも良いけれど、お米と一緒に密閉した袋に入れておく方法もあることをお話した。
     ご主人からは健康食品の『グリシン』を注文され、売り場を案内したうえで睡眠補助剤の『ドリエル』を紹介したところ、自然の物の方が良いと希望され、寝つきが悪いとのことから『柴胡加竜骨牡蛎湯』を案内すると、「あっ、これこれ! これを使ってたんだ」と言って購入された。
     どうも製薬メーカーの「クラシエ」と、「グリシン」とを勘違いしていた模様(^_^;)
     ついでながら、一口に不眠と言っても大きく分けると3種類あることを説明した。
     まず寝付きが悪い、寝るまでに時間がかかるタイプは「肝」が関係することが多い。
     この「肝」というのは、臓器としての肝臓そのものではなく「肝臓の機能」と考えたほうが分かりやすい。
     そして、単純に肝臓が悪くなってるという意味でも無い。
     例えば、脚の早い人と遅い人がいたとして、遅い人は「足が悪い」という訳ではない。
     また漢方においては、元気に働きすぎる状態も体には良くないと考えるので、「脚の早い人が優れている」ともならない。
     次に、寝ていてもウツラウツラとして意識がボンヤリとあり、寝た気がしないタイプは「脾胃」が関係する。
     腸も含めた消化機能を指すし、食べ過ぎると寝苦しいと考えたら分かりやすいだろう。
     最後に加齢とともに起こりやすくなる、朝まで寝続けていられない中途覚醒してしまうタイプは「腎」が関係し、小児の場合には腎機能が未熟なため、夜泣きや悪夢、オネショとなって現れる。
     また、人間の体は機械ではないから、これらの状態が複合して現れることも当然ある。
     今回のお客様が使っている『柴胡加竜骨牡蛎湯』なら柴胡が「肝」を助けるのだが、似た名前の『桂枝加竜骨牡蛎湯』は「桂枝」が「胃」を癒やすといったように、違いがあるので店頭で迷ったら、自己判断するより相談してもらいたい。
     そのさいには、生活スタイルや仕事の内容などのプライベートな情報があると、より選択の幅が広がる。
     タクシーの運転手や看護師などの夜勤が入って生活のリズムが取りにくい場合には、「脾胃」が影響を受けやすいから『加味帰脾湯』が候補になるし、起きてもいないことを悩んだりクヨクヨする人には『加味逍遥散』も考えられる。
     加齢による中途覚醒ならば『牛車腎気丸』を、小児の夜泣きやオネショには『小建中湯』『桂枝加芍薬湯』といった、今までの話とは少し違うチョイスもあって、かくも不眠対策は奥が深いんである。
     してみると、歳を取って中途覚醒したり尿漏れしたりするのは、赤ちゃん返りみたいなものか(・_・)←チガウ

    グリシンl

     お客様が『セナキュア』を購入されるので、顔につけないことと、新陳代謝を良くするためには体温を上げる工夫をするよう伝えたところ、『アットノンEX』との違いを質問された。
     私が先程『セナキュア』を顔につけないように注意したのは、言ってしまえば表面の皮膚を早く腐らせて剥がれ落ちるようにし、下から新しい皮膚ができるのを促す成分だから、目に入ると危ないから。
     また、自力で治すのがメインだから、新陳代謝を良くするように使用者自身の努力も必要。
     一方、『アットノンEX』は皮膚を潤して血流を良くし、皮膚の材料が運ばれやすくなるようにする。
     そこからすると『セナキュア』の方が、やや乱暴なやり方と言えるかもしれない。
     しかし、先に『セナキュア』を使って荒れた肌の表面を壊してから、『アットノンEX』に乗り換えて整えるという考え方もある。
     お客様は中学生の子供の、背中のニキビに使うつもりで、以前は『クレアラシル』を使っていたというため、「それは良い選択」と答えて、『ペアアクネクリームW』との違いも説明した。
     思春期の頃のニキビは、成長過程であるがゆえに皮膚の成長の歪んだところに皮脂が溜まってアクネ菌が増殖し炎症を起こすことが多いため、『クレアラシル』などを使って炎症を抑えるのが先決。
     内服薬として、『清上防風湯』を併用するのも良い。
     一方、大人になってからのニキビは偏食や化粧品の刺激などで荒れた皮膚の皮脂の溜まり場でアクネ菌が増殖し、殺菌しつつ新陳代謝を上げるのが重要で『ペアアクネクリームW』が向いている。
     内服薬には、皮膚の材料を含んだ『桂枝茯苓丸加ヨクイニン』やビタミン剤があり、併用するのが効果的。
     ただ、今回のお子さんは病院に行ったことが無いというため、専門家の話を聞くためにも受診勧奨するよう勧めた。
     また、余計なことではあるけれど、年齢的には本人に薬を買う練習をさせてみるようお話した。
     なにしろ、私の息子もニキビの薬を買いにドラッグストアーに行かせたら、『ペアアクネクリームW』を買ってきたんで理由を尋ねると、店員に声をかけられなくて自分で選んできたという始末。
     普段、私から何を聞いていたのかと。
     しかし、言って聞かせても練習させなければ、何事もできる訳は無いんである。
     お客様からは、「普通言ってもらえないから」とお礼を言われた。 

    セナキュア