• タグ別アーカイブ: 紫雲膏
  • 怒られないのをいいコトに陰謀論を広める人に気をつけよう

     やや高齢のお客様から、子供のオヤツにドリンクゼリーはどうかと質問された。
     お孫さんがポッチャリ体型で、カロリーを心配しているようだった。
     う~ん、特に問題はありませんが、食べる総量を減らす一つの方法として、チョコレートなどの甘い物をいっぺんに多く渡さずに少しだけ与えて、「残りはまた後で」と言い聞かせて遊ばせるなりすることを提案した。
     糖分を摂取して20分ほどすれば、脳は満足して後からは欲しくならなかったりするので。
     そういえば、砂糖の害について描かれた漫画がネットにあったな。
     砂糖を摂ると血を破壊するだの血液に毒素が溜まるだの、腸内の有用菌を死なせて腸内が腐敗発酵(腐敗と発酵は同じ現象なんだけど?)してしまうとか科学的な誤りに、お約束のごとく食品業界や医療業界が儲けるために隠しているという陰謀論を展開していてトンデモな内容だったけど。
     最後のコマの「砂糖の入ったお菓子は1日1回までに」という記述だけが、救いではありますが。

    Screenshot of blogs.yahoo.co.jp

     どんな資料で勉強して辿り着いた結論なのか、参考資料を提示していないから全く分からないし。
    「私はその辺の主婦で、専門家ではありません。
     マンガに書いた情報は、私が今まで本やネットから学んだ情報をまとめたもので、全ては正しくないかもしれません。最終的にはご自身でもお調べ頂き、納得の行く情報を選択して頂ければと思います!」
     謙虚なようでいて、根拠を示さないというのはどうなのか。
     まぁ、元々は両親に向けて描いた個人的な漫画だそうだから、そこまで問うのは酷なのかもしれないけど、多くの食品業界や医療業界で働く人たちを公然と侮辱しておいて、この言い訳は酷いと思う( ̄^ ̄)=3
     ああ、話が逸れた。
     今回の件で言えば、ドリンクゼリーは開封したら全部飲み切ってしまいたくなるだろうし、低カロリーで淡白な味付けだから、むしろ余計に他の物も食べたくなってしまい、目的からすると適さないかもしれませんとお話した。
     他に、ご主人に飲ませる栄養ドリンクについても相談された。
     糖尿病とは診断されていないものの、やはり栄養ドリンクでも糖分が心配という話だったので、『リポビタンD』などのタウリン系を毎日飲むより、『ユンケル』のような生薬系を3日に一度や1週間に一度程度服用するよう提案した。
     まぁ、本格的な疲労には『補中益気湯』『人参養栄湯』といった漢方薬がお勧めな訳ですが。
     そんなお話をしてみたら、ご主人は普段ウォーキングをしていて体力的には問題無いものの疲労感を感じるようになり、加齢による身体機能の低下を気にされているらしい。
     そういう事でしたら、『牛車腎気丸』で体の土台を支えるのが良いかもしれません。
     本日のところは、相談のみ。
    Screenshot of d.hatena.ne.jp

     6歳の子供が、下痢のためか肛門が痛いと訴えているという相談をお客様から受けた。
     塗り薬を求められたけど、強い薬は案内しにくいため、『ポリベビー』を案内してお買い上げ頂いた。
     内服薬として、『乙字湯』を案内してみたけど反応は薄かった。
     いや、まぁ、普通は下痢の時には使わないんだけど、便通を促す大黄の量は少なく、当帰で血流を改善すつつ黄芩と甘草で粘膜の炎症を抑えるので使えるんじゃないかなと思った次第。
     下着に色がつく可能性があるから避けた『紫雲膏』の方を、案内してみても良かったかもしれない。
     薬を選ぶのは、やっはり難しい。
     だから、症状・症状の経過・使用した薬なんかの情報は、最低限欲しいところ。
     今回の場合は、下痢ついての情報が不足していた。
     いつからなのかとか、思い当たる原因はあるかとか。
     尋ねてみたけど、お客様自身が何故かそういう話は不要とばかりに、まったく答えてくれなくて……(;´・ω・)

     

  • 命が掛かってる危機感が無いのは本人なのか家族なのか

     『パブロントローチAZ』をレジに持ってきたお客様に用途を尋ねてみたら、ご主人が喉の痛みを訴えているという。
     一週間ほど前からで、それとは別に首の右側が腫れており、内科医からは耳鼻科を受診するように勧められ、紹介状も書いてもらったものの、仕事ですぐには行けなくて、うちにいらしたそう。
     しかも、歯科医の麻酔でスティーブ・ジョンソン症候群を発症したことがあり、『ロキソニン』も使えないとのお話。
     『ロキソニン』は置いていないから関係無いけど、状況からするとドラッグストアーじゃ手に余りますよぅ(^_^;)
     ってか、そういう状況なのに、どうしてなんの相談もせずに『パブロントローチAZ』を選んで買おうとしてるの?
     いや、まぁ私も大丈夫かなとは思うけど。
     でも、さらにお話を訊いてみると、一年ほど前から蕁麻疹を発症し、当初は寒冷蕁麻疹と思ったものの、風呂上がりに起きるため、違うと考えている模様。
     ただ、寒冷蕁麻疹というのは正確には寒さでと言うより、温度変化による神経の緊張と、それに伴う血流の急激な増減で起きる症状。
     お風呂に入っているのは15分くらいで、お湯の温度も熱めらしいため、温度を40度以下にして長く入った場合も同じようになるか調べてみるよう提案した。
     また、他に蕁麻疹が起きるようであれば何か条件付けがあるはずなので、その時に思いつくことをメモするよう勧めた。
     それと、処方されている薬は単独の説明書は持参していたけれど、お薬手帳で継続的かつ、処方薬と市販薬を一元的に管理したうえで持ち歩くようお話した。
     スティーブ・ジョンソン症候群の話も、重要な情報なのに訊かなければ教えてくれなかった訳だし。
     ………えーと、なんの症状だったんだっけ(;´∀`)?
     あっ、そうそう喉の痛みでした。
     首の腫れのことも考えると『駆風解毒湯』の方が向いていることを説明したうえで、喉の痛みに特化した物として他に『ペラックT』を紹介したところ、『ペラックT』を購入して頂くことになった。
     うちに『排膿散及湯』が置いてあれば、そっちを勧めたんだけどねぇ。
     蕁麻疹については、『十味敗毒湯』を紹介しておいた。

     お客様から『ボラギノールEP』の質問を受けたので、生薬系の内服薬であることを説明し、比較として『乙字湯』と、ネット通販で入手が可能な『レンシン』も案内した。
     患者は成人の娘さんらしいんだけど、「痔なんて男の人の病気なのにねぇ」と言われて、目が点になるのをこらえた(・_・;)
     むしろ、女性の方が多いんですよ。
     人に話したがらないだけで。
     本人からは『ボラギノール注入軟膏』を頼まれていたようなので、それを購入されることに。
     外用薬として、患部の再生に『紫雲膏』を紹介してみたら、何故か一緒に購入を決められた。
     ただ、『紫雲膏』は胡麻油でベトつくうえ、主成分の『紫根』が下着を染めてしまったりするため、生理用品と一緒に使うよう説明した。
     それと、立ち仕事とストレスも関係しそうな話があったので、やはり生薬系の内服薬も検討するよう本人に伝えて下さいと付け加えた。

     

  • お薬手帳に購入した市販薬もメモして一括管理を

     咳を訴えるお客様から、飲み薬は嫌だから『のどスプレー』をと要望されたため案内した後で『南天のど飴』を提案したところ、それも強く嫌がられたため、何か理由があるのか尋ねたところ、病院から処方されている薬があり、飲み合わせが心配だからと言われた。
     心配なのに、病院から処方されている薬のことを黙っているというのは、良く分からない(;´・ω・)
     薬の説明書は持参していたので確認してみると、『アムロジン』と『オパルモン』だった。
     そこで漢方薬の咳止めを提案してみると、以前に処方されたことがあり、その時には効かなかったそう。
     でも、代表的な『麦門冬湯』『半夏厚朴湯』『五虎湯』『麻杏甘石湯』を挙げてみても、覚えていないという。
     それこそ効かなかった物とか、不具合が起きた薬は、記録を残しておいて欲しい……。
     漢方薬に限らず、適応しない薬は効かないケースがあることを説明してみると納得して頂けたようで、患部の乾燥を取り除く『麦門冬湯』と、患部を冷やす『五虎湯』を改めて紹介してみると、『五虎湯』を購入された。
     それと、お薬手帳は家にあるそうなので、購入した市販薬もメモして一括管理し、持ち歩くよう勧めた。
     事故や災害に遭った時に、命綱になるので。

     やや高齢のお客様が「火傷(やけど)の薬を!!」と飛び込んできたけど、火傷をしたら冷やす以外の対処法は無い。
     そして冷やした後は、病原菌の感染を防ぐことだけが重要。
     そう説明して、感染を防ぐのに『テラ・コートリル』を、皮膚を保護して再生を促すのに『紫雲膏』を案内して、両方をお買い上げ頂いた。
     それと、水ぶくれになったら、自分では破らないようにお話した。
     あの水ぶくれの中身は、透明な血液みたいな物で、雑菌の繁殖を防ぐので。

     

  • 火傷の薬という物は存在しません

     うちのお店は、登録販売員が常時一人体制で、それでいて残業に厳しいため、交代時にはレジの鍵を手渡すくらいで、情報交換は基本的に連絡ノートのみ。
     以前は、上司に登録販売員がいたため連絡ノートにも目を通してもらっていたのだけれど、ついに上司に有資格者が一人もいなくなってしまい、作業の引き継ぎが迷走中。
     そして一番困るのが、日々の品出しや返品、セールの売り出し準備などに追われて、肝心の売っている薬の勉強が、就業中には全く出来ない。
     幸い、SNSで質問させてもらったりして勉強できる環境が少しはあるけど、それを同僚と共有できないのは、やはり痛い。
     特に漢方薬については、私だって修行中で人に教えるような域には達していないため、私が不在の時に困る事が。
     同僚のメモによると、以前に私が『コリッシュ』(治肩背拘急方)を勧めたお客様が再訪し、良く効いたから容量の大きい物をと希望したらしい。
     しかし、大容量の物が無いため、同じく効能が「肩こり」の『独活葛根湯』を勧めたという。
     お客様には以前に、同じ「肩こり」という効能でも、上半身を温めて血流を良くする『独活葛根湯』と、水分代謝を改善して胃の働きを助ける『治肩背拘急方』では、肩こりを治すプロセスが違うという事を説明していたので、今回も『コリッシュ』の方を買っていかれたようで、ホッとした。
     顧客名簿を作れれば、もっと細やかに患者さんの対応ができるんだろうけど、個人情報の管理の難しさもあり、連絡ノートには相談内容程度しか書けないため、個別の患者さんの把握が出来ない。
     つまりは、「○○様に☓☓の薬を販売しました」という引き継ぎができないので、こういう事になる。
     それだって、私が入るまでは、連絡ノートには作業の事務連絡しか書いてなかったのを、「お互いに、お客様に対応した時の様子が分からないと不便だから」と提案して、相談を受けたお客様の分だけでもメモするようになったんだけど、日々の作業に忙殺されて、そのメモに目を通す時間が取れないという本末転倒ぶりで困ってしまう。
     この会社、なんでドラッグストアーなんか経営してるんだろうとまで思ったりσ(^◇^;)。

     うちの系列のお店は、お客様から店舗に直接電話が繋がらない。
     本部のカスタマーセンターで一括して受けて対応し、お客様からの要望があって初めて店舗に中継される。
     細々とした要件に煩わされないのは楽だけど、ご近所のドラッグストアーとして身近な存在になれないのも、このせいだと思う。
     で、カスタマーセンターから電話で中継しますという連絡があり、お客様の対応をした。
     2歳の子供にお湯が掛かって手を火傷したという。
     皮膚科に連れて行こうと思ったものの、病院に電話をすると混んでいるため、連れてきても診察に時間がかかると言われてしまったため、「火傷の薬」を買いに行きたいと言われた。
     ズゲッ∑(゚ω゚ノ)ノ
     えっと……、えっと、こっちが慌てちゃ駄目てん、落ち着いて状況の確認を。
     患部は赤くなっているものの、範囲は狭く、急激な水膨れになったりはしていないらしい。
     病院に電話をしていて、救急車の手配などを指示されていないのは、一応はその状況を確認しているという事なのか。
     でも、それならもう少しアドバイスをしておけば良いのに。
     いや、病院の方の状況は分からないけど。
     そして、患部を水で冷やしたかを尋ねると、10分くらいしか冷やしていないというので、流水で引き続き30分以上は冷やすようにお話した。
     患部が体に近いようであれば、体が冷えすぎないように体の方にはタオルなどを羽織らせる事も考えたけど、掌の方らしい。
     そのうえで、「火傷の薬」は存在しないこと、十分に冷やしてから、患部を保護するための油分を含んだ『紫雲膏』や、化膿止めの薬を塗って、患部が汚染されないように清潔なガーゼで覆う事になりますと説明した。
     お医者さんによっては、「うちに連れてくるくらいなら冷やして」と言われたり、119番に電話しても「冷やして下さい」と言われるはずなので。
     それから、後から水膨れになったら、できるだけ潰さないようにとお話した。
    「潰しちゃ駄目なんですか?」と聞き返されたのは、本当に知らないのか。
     あの水膨れは、透明な血液みたいな物で、雑菌による感染を防ぎ、皮膚の再生を助ける物なのだけれど、まだまだ浸透していないようで。
     心配であれば、お連れいただいたら対応しますが、まずは患部を冷やすことを優先して下さい。
     お話しているうちに、どうにか落ち着いて頂けたようで、電話は切れた。
     あまり電話を長引かせても、その間にも患部を冷やしてもらいたいから、内心は「早く電話を切って!!」と気が気じゃなかった。
     その後には、お店を訪れる事は無かったから、一先ず無事に手当ができたのか、それとも「火傷の薬という物は存在しません」「とにかく冷やして下さい」という説明に、「頼りにならない」と思われてしまったか。
     振り返ってみて、電話口でアワアワし過ぎてしまったなぁ……と反省(´・ω・`)

     

  • 栄養は摂取した物がそのまま活用される訳じゃないですし

     お客様が、おずおずと質問してきた内容は、「肝油は骨折に効きますか?」というものだった。
     一瞬、何を言われたか分からず面食らってしまった。
     失礼な態度に見えたのではないかと、ちと反省。
     よくよく訊いてみたら、中学生の息子さんが指を骨折していて、近所の幼稚園で骨の成長のためにと園児たちに『肝油』を配っていたのを思い出し、早く治るようにと考えての事らしい。
     ああ、なるほど(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。)
     確かに、幼児期の発育不良を防ぐためや、高齢者の骨粗鬆症を改善するために、カルシウムだけじゃなくてビタミンDを補う事がありますね。
     ただ、幼児や高齢者に必要なのは、食事の量や種類が限られたりするからで、よほど偏った食事をしていなければ、取り立てて必要な物ではないでしょう。
     栄養素は何でもそうだけど、摂取した物がそのまま活用される訳じゃなくて、いったん体に吸収され代謝され再構築される事で初めて肉体を構成する。
     それこそ骨にはカルシウムが必要だけど、カルシウムだけでは駄目でビタミンDの協力も欠かせない。
     しかし、もっといえばビタミンD以外の栄養素も複雑に影響し合っている。
     また、その栄養素を体中に運ぶ血液の流れも関係してくるから、栄養を行き渡らせるには血流を良くするというのも必要。
     だから、偏食で明らかに不足している特定の栄養があるというのでなければ、ありきたりだけど骨の再生のためには丸ごと食べられる小魚をメニューに加えるとか、根野菜を食材の中心にするとか、全方位的な栄養の摂取の方が望ましい。
     なにしろ、成長期ですし。
     あー、でも『肝油』の在庫は抱えてるんだよなぁ。
     売っておけば良かったかしらん。

     中学生の息子さんが、部活をしていて体育館で床に擦って火傷をしたという相談を受けた。
     火傷するほど擦るって、何をしたんだろう(^_^;)
    「オロナインで効きますか?」と尋ねられたので、本当は『紫雲膏』を勧めたいところだったけど、独特の赤紫色と匂いがあるので、『アピトベール』の方を案内した。
     本人さえ嫌がらなければ、『紫雲膏』は皮膚疾患の応用範囲が広くて良いんだけどね。
     効能書きを読むと、どんな万能薬だよって思わなくもない(笑)
     まぁ、できれば、何の薬を買うにしても本人を連れてきて欲しいな。
     病態や体質なんかを知りたいのもあるけど、なにより本人の要望を確認したいので。

     

  • 火傷の水膨れは潰さないで

     手首を火傷したとのことで、お客様が飛び込んできた。
    「火傷の薬を!!」と頼まれることは度々あるのだけれど、残念ながら「火傷の薬」という物は存在しない。
     治療は、初期に冷やし、細菌による汚染を防ぐ以外には無い。
     よく水膨れを潰してしまう人がいるようだけど、アレは「透明な血液」で、中には最近を倒す成分が詰まっているので、安易に破かないように。
     もちろん、大火傷の場合は皮膚移植などが必要になる訳だけど、それはつまり薬でどうこうできるモノではないのだ。
     今回のお客様は、中身の入った鍋を運ぶ時に、中身が手首にかかって、1時間ほど流水で冷やしたという。
     的確な対処である。
     となれば、今後の処置もそれほど心配は要らないだろう。
     『紫雲膏』を勧めて、『防水タッチパッド』で覆うよう、お話した。
     そういえば以前に、足に熱湯をこぼしたと、お爺さんが店に来た事があったなぁ。
     もう、見るからに皮膚がただれたうえ捲れていて、どうも家族に知られるのを嫌がっているのを説得して、救急車を呼んだりと大変だった。
     後日、救急搬送したおかげで大事に至らなかったと、息子さんがお礼にいらした。
     そう、この「家族に知られたくなくて悪化」というケースは珍しくないから、なおさら対応に気をつけなきゃいけない。

     授乳中というお客様から、胃痛の相談を受けた。
     もちろん、基本的には薬全般を避けた方が良いのだけれど、単純に病院へというのも、なんだか手抜きのようで気が引ける。
     授乳中に使える痛み止めとしては、『芍薬甘草湯』が候補になるので、成分に含まれている胃薬として『大正漢方胃腸薬』を案内した。
     一応、痛くなる条件(食後なのか、空腹時もなのか)や、冷たい物を飲むと楽になるのか(胃炎)、温かい物を飲むと楽になるのか(胃部停滞)といった経過観察をして、メモを取るように勧めたうえで。
     また、育児ストレスも可能性として考えられるため、『リフレライフ』(安中散加茯苓)と、『四逆散』の入った『爽和』も紹介しておいた。

     

  • 微熱は怖いんですよん

     男性のお客様が、奥さんの風邪の相談で来店。
     風邪の引き始めという話だったけど、詳しく症状を尋ねたら、微熱と吐気が数日前から続いているという。
     それは風邪の初期ではなく、体力が不足していて発熱する事ができないからと考えられますとお話して、『柴胡桂枝湯』を案内した。
     この、「微熱だから風邪の初期」と思われているパターンには、今までにも何度かあった。
     高熱=重症というのは、インフルエンザのイメージなんだろうけど、風邪とインフルエンザは別な病気と思ってもらった方が良い。
     そして、原因となるウイルスを倒すために熱を出すので、微熱というのはむしろ戦う事ができていないという点において、むしろ憂慮すべき事態。
     少なくとも、微熱が2日以上続いていて熱が上がる気配が無ければ、それはすでに「風邪の初期」ではなく、風邪のウイルスは体の深部に達していて、風邪が悪化しているものとして対処しないと、肺炎に移行してしまう危険がある。
     なので微熱は怖いんですよん(・o・)ノ
     手荒れについて相談したいという事で手を見せてもらったら、手には全体的に細かな傷があり、指は青黒く変色していた。
     これは、乾燥だけではなく血行不良が原因だと考えられる。
     『紫雲膏』を塗布して、『当帰飲子』の服用を勧めたけど、今回は『紫雲膏』のみをお買い上げ。
     そして、後になって『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』も案内しておくべきだったんじゃないかと思い当たった。
     いや、まぁ、どのみち買ってはもらえなかったかもしれないけど、乾燥で『当帰飲子』をと考えたなら、血行不良で『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を忘れてちゃ駄目じゃん。
     落ち着いて冷静に接客できないものか……(;´・ω・)
     胃もたれの相談をお客様から受けたものの、患者は旦那さんで、代理の人から症状などを聞き出すのは大変。
     患者さん本人から聞き出すのも大変なのに(>_<)  普段は特に胃は悪くないが、時期的に仕事のストレスや飲み会によるものだと思う………という内容を、どこまで参考にするべきか。  こういう時の方針は店員によって様々で、最初に一撃必殺で考える人もいるみたいだけど、私にそんな自信は無いから、安全第一で『大正漢方胃腸薬』を案内した。  これだって絶対安全じゃないけど、もし目標を外したとしても被害は少なく抑えられる。  ただし、その場合は効果が感じられなくて、「効かなかった」という評価になってしまう(´・ω・`)  そんな事を考えていたら、漢方薬は時間がかかるのではないかと心配された。  まぁ、体質改善の場合はそうですが、「風邪の初期には葛根湯」と言われるくらいで、急性の症状に用いる漢方薬は早く効果が現れます。  『大正漢方胃腸薬』に含まれている『芍薬甘草湯』は、こむら返りの痛み止めに使うくらい。
     という説明をして、お買い上げ頂いた。
     そうそう、ストレスが思い当たるという話もあったから、対人関係など外から受けるストレスに使う『四逆散』と、自分で色々と悩んでしまう内面のストレスに使う『安中散加茯苓』も紹介しておいた。
     できれば、旦那さんを寄越して下さいな( ´Д`)ノノ

     

  • 紫雲膏(しうんこう)
    火傷(やけど)による炎症と痛み、 痔の痛み、ひび、あかぎれ、しもやけ、魚の目、汗疹(あせも)、ただれ、かぶれ


    適応症状

     火傷(やけど)による炎症と痛み、痔の痛み、ひび、あかぎれ、しもやけ、魚の目、汗疹(あせも)、ただれ、かぶれ

    用方・容量(外用薬)

     患部を清潔にし、適量を直接塗布するか、ガーゼ、布片等に厚く伸ばして貼付して下さい。

    組成(顆粒製品の場合)

    本剤は以下の割合に混合した油脂性抽出物です。
      ゴマ油(胡麻油) 1000g
      シコン(紫根) 100g
      トウキ(当帰) 100g   
      ミツロウ 380g
      豚脂(トンシ) 25g

    使用上の注意

    1.次の場合には医師または薬剤師に相談してください
     (1)本剤を使用後、症状の改善が認められない場合は、他の薬剤を考慮する事。
     (2)異常が認められた場合は、使用を中止する事。
     (4)患部の観察を充分に行う事。


    2.使用中または使用後は、次のことに注意してください
     (1)本剤の使用により、異常が認められた場合には、使用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。 
     (3)長期連用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。


    3. 保管及び取扱い上の注意
     (1)小児の手のとどかない所に保管してください。
     (2)直射日光をさけ、なるべく湿気の少ない涼しい所に保管してください。


    4. その他
     本剤は生薬(薬用の草根木皮等)を用いた製品ですので、製品により多少色調等が異なることがありますが効能・効果には変わりありません。


     製造者:ジェーピーエス製薬株式会社


     

  • ≪第6回≫黄連解毒湯とよく苡仁

    漢方薬症例クイズ≪第6回≫

     実際の症例を元に、患者さんの症例データーを提示します。
     “書いてある内容”から推理して、適応すると考えられる漢方薬の名前を当てて下さい。
     基本的に当店で扱っている漢方薬としますが、解答としては必ずしも限定しません。「なるほど、その方法もあるか」と思われる解答であれば、正解とする事があります。(生薬のみや民間療法などは除外します。)
     正解者の中から、抽選で3名様に『水出しアイスコーヒーパック2コ入りを進呈いたします。
     絶対の正解というものはありませんのであくまで、“あそび”として楽しんでいただければと思います。
     皆様の参加をお待ちしています。(終了しました)

    水出しアイスコーヒーパック

    caffe.jpg (90244 バイト)

    koransyo.jpg (102759 バイト)

     1リットルの水に1パックを一晩(約8時間)漬けておいて、コーヒーの成分を水に自然に溶け出させる、『水出しアイスコーヒー』です。
     沸騰させたお湯で入れるのとは違い、コーヒー本来の甘味が出るので砂糖もミルクも入れずに、コーヒーの旨味をあますところなく楽しめます。
     当選者の方には、販売元であるコーヒー専門店『こらんしょ』から、水出し用に挽いてもらった豆のパックを直接配送させていただきます。

    募集期間:~6月28日(月)
    正解発表予定:6月30日(水)

    問題
     女性。25歳。
     主訴は、日焼け。
     日差しの強い日に、うっかり日焼け止めクリームを塗らずに外出したら、思った以上に日焼けしてしまった。
     顔は真っ赤に腫れて、分泌物が滲んできている。
     患部はヒリヒリと熱感があり、咽喉も渇きやすいという。上半身に火照りを感じるが、暑気当たりのように食欲が落ちたりはしていない。
     まずは皮膚の炎症を抑える必要があるだろう。
     そして、シミになる事を気にしているようなので新陳代謝を活発にして皮膚の再生を促進させるために、別な漢方薬も合わせる事にした。
     組み合わせた2種類の漢方薬は、何と何か。

    正解
     
    正解黄連解毒湯よく苡仁です。
     両方を一緒に答えた方はいらっしゃらなかったので、まず黄連解毒湯を挙げた方を正解としました。
     当選したのは、以下の2名の方です。おめでとうございます。
    wara納豆様…選んだ理由:ほてりをとり、新陳代謝を活発化する。(他に加味逍遥散)
    エド様…選んだ理由:炎症を防ぎ、体の代謝を活発にするため。(他に清上防風湯)

     次選の漢方薬としては、白虎加人参湯が適していると考えられるので、解答された以下の方を当選とさせていただきました。
    齊藤 誠様…選んだ理由:炎症を防ぎ、体の代謝を活発にするため。(他に消風散)

     また、今回は外用薬を想定していませんでしたが、紫雲膏桂枝茯苓丸を解答された方がいました。適切な治療と考えられますので当選枠を拡げて、同じく当選とさせていただきました。
    寺山雄一郎様…選んだ理由:火傷に一番効くのは紫雲膏を患部に直接塗ることである。シミ防止のために桂枝茯苓丸を服用する。

    解説
     通常の日焼けにおいては、体表部の熱を取り除き、体内が乾燥状態になるのを防ぐ事が治療の目標となります。
     しかし、今回の患者さんのケースでは患部から分泌物が滲んできており、さらに感染症の予防と皮膚への栄養補給が必要となります。
     一方、咽喉の渇きから体内の乾燥も考えられるのですが、食欲は落ちていないようなので、幸いにして暑さにやられながらも暑邪による体内への影響が軽度であったと思われます。これは同時に、全身ではなく上半身、特に顔の部位の症状が顕著な事を意味しています。
     そこで体表部の熱を取る事よりも、上半身の熱を降ろす事に重点を置いて治療します。そのために用いるのが黄連解毒湯です。
     そして、分泌物が滲んでいるという事は体内に雑菌が侵入しやすい状態なので、名前の通り解毒作用が期待できます。
     また、黄連解毒湯は脳卒中の予防効果があり、高血圧による精神不安や不眠を改善する事から、日焼け後の興奮を鎮めるのにも役に立ちます。
     さて、次にシミの予防として新陳代謝を活発にする場合、血行を良くする事が先決となります。
     しかし、今回の場合は明らかに表皮は火傷に近い状態で、体内から皮膚が再生するのを待たなければなりません。
     そのため、直接的に皮膚の材料となる物が必要となります。
     そこで、近年では美白効果も期待されている、よく苡仁を用いる事にしました。

    補足
     まず黄連解毒湯と併用する場合、加味逍遥散は胸脇部から服直筋上部の緊張と炎症を取る作用があり、さらに血液の循環を促す物ですので、使い方としては良いかもしません。ちなみに、加味逍遥散よく苡仁と併用して指掌角皮症の治療に用いる事があります。
     清上防風湯黄連解毒湯と生薬成分を比べると、実は内容的に近い事が分かります。漢方薬では一般的に、成分の種類が少ないほど効果は鋭くなり、多くなるほど穏やかに効くとされています。それを踏まえると、今回のケースよりも軽度の日焼けに用いるという考え方もできます。いずれにしろ、どちらか一方を服用すれば併用する必要は無いでしょう。
     白虎加人参湯は、実は標準的な日焼けに用いる漢方薬ですので、今回のような上半身のみの症状が顕著というようなケースでなければ、正解となる物です。ただし、石膏(せっこう)が多く入っている点には注意が必要です。石膏は打撲のさいに患部に塗って冷やすのに使うほどですので、これを服用する事は強烈に皮膚を冷やすため、日常的に体力の弱い人や冷え症の人に用いると吐き気などをもよおす事があります。日焼け後に、強い口渇があり、水を1日に何杯も飲むような場合に、短期間だけ用いると良いでしょう。
     消風散は、白虎加人参湯と同じく石膏が入っており皮膚を冷やすのに適しています。同時にそれは、併用を避けなければならない事も意味しています。しかしもっとも重要な事として、消風散の効能書きにある「分泌物が多く」というのは、皮膚疾患の原因が血液循環の不良などによる物の場合で、日焼けは例え分泌物が滲んできていても原因は紫外線による火傷であり、皮膚や体内は乾燥していると考えられるので用いるのは好ましくありません消風散を解答された方が多くいらっしゃいますが、注意して下さい。
     紫雲膏は漢方薬の外用薬で、火傷に用いると効果的です。主成分がゴマ油(胡麻油)なので顔に塗るとなるとベタついて不快感があるかもしれませんが、感染症の予防にもなるので日焼けの初期治療としては、もっとも適切だと思われます。
     そして日焼けの後のシミの原因の1つは、毛細血管が破壊されてお血状態になる事ですので、駆お血剤として桂枝茯苓丸を用いるというのは良い判断でしょう。
     その他に、皮膚の炎症という事で十味敗毒湯という解答もあったのですが、生薬成分の防風(ぼうふう)と荊芥(けいがい)が温めながら炎症を発散するタイプなので、外部からの熱により起きた炎症には適しません。
     ウチのお店では今のところ扱っていないのですが、紫紺エキスと茵ちん蒿湯という解答もありました(茵ちん蒿湯はツムラ製135参照)。紫紺エキスは消炎作用と保湿作用がありますので、外用薬として用いるのは適していると思われます。ただ、今回と比べて症状が軽度の場合の方が良いでしょう。そして、茵ちん蒿湯は生薬成分に黄連解毒湯にも入っている山梔子(さんしし)が配合されているので冷やす作用があるのですが、同時に便秘薬として用いる大黄甘草湯に入っている大黄(だいおう)も含まれています。今回の患者さんは食欲不振は訴えていないとはいえ、日焼けの後には胃腸の働きが低下して下痢になる可能性があります。そのため、下剤としての薬効がある大黄が入っている茵ちん蒿湯の使用は避けておいた方が無難だと思われます。
     変わったところでは、麦門冬湯という解答がありました。肺の潤い不足による咳を止める麦門冬湯を用いるというのは、日焼けの後に肺に熱が篭り、乾燥しやすくなるのを防ぐ事ができると考えられるので、実用的で面白い使い方だと思います。
     効能に日焼けと書いてある漢方薬は無いため難しかったかもしれませんが、基本的に日焼けは火傷と同じですので、急性かつ熱性の皮膚疾患だと考えるのが妥当でしょう。今回の問題は、『漢方薬のお勉強会』『肌のトラブル』が参考になるものとして選びました。
     日焼けは一見すると表面上の症状だけのようにも思われますが、実際には体の中で血液の循環が悪くなったり、熱い空気が溜まったままになったりと体内においても悪い影響を及ぼす事があります。くれぐれも、軽視せずに予防と治療に努めてもらいたいと思います。

    解説:北村俊純

    参加者コメントより
     あゆみき:問題面白かったです!
     ありがとうございます。今回は残念でしたが、ぜひまた挑戦して下さいませ(⌒▽⌒)

     齊藤 誠:もうメンドウなんで薬ウサギに食べられて治せ! あとは皮膚科にいくことを薦めておいてください。
     あはははは、そうですねぇ、食べてもらいましょう(^.^) それと、おっしゃられるように、ちょっと日焼けしすぎたと思ったら「日焼け程度」だと放っておかないで病院に行くのが良いでしょうね。