• タグ別アーカイブ: 葛根湯加川きゅう辛夷
  • あまり効きそうにない薬を探すという変な事も

     小学校高学年の子供の鼻炎(鼻づまり)を相談されたので、漢方薬の『葛根湯加川きゅう辛夷』と現代薬の『パブロン鼻炎カプセルS小児用』を案内したら、『パブロンかぜ学童用』を選んで買っていかれた。
     お話の中でも風邪の兆候は無いみたいと言っていたのに、何故?
     風邪に進行した場合を考えたのかなぁ。
     でも薬の場合、特に現代薬の方は、合わない物を先に飲んでおいても良い事は無いんだけど。
     それならまだ、『葛根湯加川きゅう辛夷』の方が、鼻炎と風邪の兼用ができるのに……。

     成人の息子さんが胃痛を訴えているという事で来店したお客様から、詳しくお話を訊くと病院で検査を受ける予定だという。
     だから市販薬を買ってもらいたくはなかったんだけど、どうしてもと胃薬と栄養剤を希望された。
     なんで栄養剤もと思ったら、胃が痛むため食事をあまりしていないからと。
     いや、そんな状態では栄養剤だって胃に負担をかけてしまう。
     検査を受けて状態を把握してから、適応する薬を選定して栄養補給の方法を考えるのが良いのに。
     むー、親心に困ってしまう。
     心配なのは分かるけど、それが余計に悪い方に作用するパターン。
     これが、本人相手なら顔色は見れるし、症状の詳細を尋ねられるから、適応する薬の候補も考えられるものの、肝心の症状については「胃が痛いと言ってる」というだけで、それ以上の情報は無いときてる。
     それほど心配であれば、それこそ小さい子供に尋ねるように、どの場所が、どのように痛いのかとかまで訊いてきて欲しい。
     とにかく何か買っていってやりたいという要望に応えるため、とりあえず、服用してもあまり影響の無さそうな『液キャベ』と『ミオD』を案内した。

     

  • 病院を敵扱いする陰謀論もありますが

     やや高齢のお客様が、以前に使用した事があるという漢方薬を探しに来店。
     名前は覚えていなかったが、足が攣った時に使ったそうで、どうやら『芍薬甘草湯』らしいと分かった。
     ただ、『芍薬甘草湯』はあくまで一時的に用いる物。
     繰り返し足が攣るようだと、単純な足の疲労などではなく、心臓が関係する可能性があるため、病院で診察を受けるよう勧めた。
     御主人も同じように足が攣るそうなので、この暑さから水分代謝が夫婦で悪くなっているのかもしれない。
     生活環境や食事が同じだと、そういう事もありえる。
     その場合には、『五苓散』が適応する事をお話したけど、まずは病院で体調を調べてもらった方が良いだろう。

     鼻腔を開く器具を探しているという、お客様が来店されたので『ブリーズライト』を案内した。
     鼻づまりを起こしているのがお客様自身なのか尋ねると、中学生の娘さんだという。
     そこで、上半身を温めて鼻の通りを良くする『葛根湯加川きゅう辛夷』と、患部を冷やして治す『荊芥連翹湯』を紹介した。
     鼻汁が喉に落ちてくるようなら、『辛夷清肺湯』も候補になるところ。
     すると、娘さんは痩せ型で生理が重いとの事だった。
     ううむ、血流が悪くて上半身に熱が篭ってしまうのかもしれない。
     鼻づまりと生理が重いのが関連しているのなら、『当帰芍薬散』を使ってみるのも一つの手だ。
     なにより、思春期の生理の症状は、早めに手を打っておいた方が良い。
    「生理が重いのが当然」とか「生理は痛いもの」というのが本人の中で普通になってしまうと、成人してからも「いつものこと」と思い込んで重大な病気を見逃してしまう可能性がある。
     ただ、そうなると服用後の経過観察が重要になるし、体質や症状に合わせて変更することも考えなきゃならないので、ドラッグストアーの手に余る。
     今回は漢方薬については、漢方内科の医院を紹介するだけに留めた。

     

  • 効能書きが同じでも効くプロセスが違う

     中学生の息子さんの、汗疹の痒み止めを探しているというお客様。
     他店で購入した薬は、スースーして患部にしみたたため他の物を探しているそうなのだけど、肝心の使った薬の成分はおろか名前も分からないので困った。
     どうして現物を持ってこなかったのか。
     せてめ携帯電話かスマホで写真を撮っておいてくれるだけでも、手がかりになるのに(;´・ω・)
     スースーしたのは、メントールかなぁ。
     他のアプローチとして、その息子さんの事を尋ねてみた。
     部活で運動をしていて、服が擦れるというのもあるようなので、『ユースキンあせもジェル』を案内してお買い上げ頂いた。
     痒みが落ち着いたら、『桃の葉ローション』で予防するよう勧めた。
     この『桃の葉ローション』、どうも「桃の香りのする子供向け」のローションと思われる事が多いらしく、桃の葉そのものが昔から炎症を抑えるのに使われているんですよと説明している。
     汗疹になりやすい人は、一度お試しあれ。

     やや高齢のお客様から、鼻づまりの相談を受けた。
     自身で『葛根湯加川きゅう辛夷』を服用しているとの事だったけど、鼻がつまる時の状況を尋ねたところ、ビールなどの冷たい物を飲むと起きるようだったので、『辛夷清肺湯』の方を勧めた。
     『葛根湯加川芎辛夷』は上半身を温めることで鼻づまりを通すので間違いではないけれど、症状に飲食が関係するとなると胃に通じる『辛夷清肺湯』の方が向いていると考えられる。
     反対に、『荊芥連翹湯』は患部を冷やす事で鼻づまりを通すため、今回の場合には適応しない。
     この三つの漢方薬は、同じように効能に「鼻づまり」とあっても、効くプロセスが違うので使い分けが必要。
     そして、効能書きが同じでも効くプロセスが違うのは、他の薬にも云える事なので、その点をお忘れなく(^_-)-☆

     

  • 「お菓子買ってきて」くらいの気軽さで薬を人に頼まないで欲しい

     他店で購入した『バンテリン』を使ったら、首から肩にかけて被れてしまったというお客様の相談を受けた。
     薬疹の可能性があるため病院に行くように勧めたのだけれど、今日は日曜日という事で明日には行きますという返事。
     ううん、早い方が良いと思うんだがなー。
     じゃあ、本当に明日には言って下さいねと重ねてお話して、掻きむしらないように『ロコイダンクリーム』をあんな強いてお買い上げ頂いた。
     明日には、必ず言って下さいねー( 」゚Д゚)」!!
     鼻炎の鼻づまりの相談でいらしたお客様。
     花粉症で以前に病院から、アレルギー薬を処方されていたいという。
     主に鼻がつまるのは夜だけだそうで、『アルガード鼻炎薬』『パブロン点鼻薬』『ストナリニS』をご紹介のうえ、眠くならない物として『葛根湯加川きゅう辛夷』『荊芥連翹湯』をご案内した。
     しかし今日のところは、相談のみとなった。
     選択肢が多いと、かえって迷わせてしまうという話があったな。
     もう少し絞り込むべきだったか(;´・ω・)
     ご主人の代理で来店したお客様。
     病院で風邪薬を処方されたらしいのだけど、お薬手帳を持ってきていなくて、何の薬かは不明という。
     なのに、念の為に解熱剤が欲しいという。
     たぶん解熱剤も処方されてるはずだし、なんの薬が処方されているのか分からないじゃ、選びようがありません。
     でも、諦めて帰る訳でもなく、ご主人からは以前に『バファリン』で胃に不快感があったと聞いているそうで、だけど『EVE』よりも『バファリン』のシリーズを希望しているという。
     えっと……、もうどう対応して良いものやら( ̄▽ ̄|||
     とりあえず、ご本人を納得させるために『バファリンPlus』を案内しつつ、解熱後の体力の回復にと『柴胡桂枝湯』を勧めたところ、お買い上げ頂いた。
     処方されている薬が分からないから、できるだけ『バファリンPlus』の方は飲ませないようにして下さいとお伝えした。
     それにしても、「お菓子買ってきて」くらいの気軽さで薬を人に頼まないで欲しいし、引き受ける方も「本人の好きな物を買ってってやろう」とか思わないで下さいな。
     やや高齢のお客様から、喉の痛みの相談を受けた。
     他に風邪の兆候は無く、花粉症はあるそうなので、『駆風解毒湯』『麦門冬湯』を案内したところ、今回は『駆風解毒湯』をお買い上げ。
     痛みの方が主訴なので、この選択で良いはず。

     

  • 葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
    ………鼻づまり、蓄膿症、慢性鼻炎、花粉症

    適応症状 

     鼻づまり、蓄膿症、慢性鼻炎、花粉症

    用方・容量(顆粒製品の場合) 

     1日3回、成人1回1包(2.5g)を食前にお湯または水で服用してください。
     ただし、15歳未満7歳以上は2/3包、7歳未満4歳以上は1/2包、4歳未満2歳以上は1/3包。

    組成(顆粒製品の場合) 

     3包(7.5g)中、次の成分を含みます。
       葛根(カッコン)4.0g
       大棗(タイソウ)3.0g
       麻黄(マオウ)3.0g
       甘草(カンゾウ)2.0g
       桂皮(ケイヒ)2.0g
       芍薬(シャクヤク)2.0g
       川きゅう(センキュウ)2.0g
       生姜(ショウキョウ)1.0g
       辛夷(シンイ)2.0g
     以上の割合に混合した生薬より得たエキス4.0g含有します。

    類似処方鑑別 

    葛根湯  本方と同様の症状を呈するが、発病の初期あるいは慢性病の急性憎悪期に用いる。

    小青龍湯  本方に比して体力がやや低下した人で、水様性の鼻汁が多い場合に用いる。

    荊芥連翹湯  体力中等度の人で、体質的に副鼻腔、外耳、中耳、扁桃などに炎症を起しやすく、分泌液が一層膿性な場合に用いる。アレルギー体質改善。

    使用上の注意 

    1.次の場合には医師または薬剤師に相談してください
     (1)本剤を服用後、症状の改善が認められない場合は、他の漢方薬を考慮する事。
     (2)甘草を含有する漢方薬を長期服用する場合は、血清カリウム値や血圧の測定などを充分に行い、異常が認められた場合は、服用を中止する事。
     (3)複数の漢方薬を併用する場合は、含有生薬の重複に注意する事。(特に甘草を含有する漢方薬の併用には、より注意を必要とする。)
     (4)長期運用により低カリウム血症、血圧上昇などが現れる場合があるので観察を充分に行う事。
     (5)平常発汗しやすい患者。
     (6)体質虚弱な患者。
     (7)著しく胃腸虚弱な患者。(軟便、下痢、胃部不快感、食欲不振等の胃腸障害を起すことがある。)
     (8)狭心症、心筋梗塞など循環器系の障害のある患者、または既往歴のある患者。


    2.服用に際して、次のことに注意してください
     (1)定められた用法、用量を厳守してください。
     (2)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。
     (3)本剤は、2歳未満の乳幼児に服用させないでください。


    3.服用中または服用後は、次のことに注意してください
     (1)本剤の服用により、発疹・発赤、かゆみ、悪心、食欲不振、胃部不快感等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。 
     (2)本剤を服用することにより、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (3)1ヵ月位(感冒、鼻かぜ、頭痛に服用する場合には、数回)服用しても症状の改善がみられない場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (4)長期連用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。


    4. 保管及び取扱い上の注意
     (1)小児の手のとどかない所に保管してください。
     (2)直射日光をさけ、なるべく湿気の少ない涼しい所に保管してください。
     (3)1包を分割した残りを使用する場合には、袋の口を折り返して保管し、2日以内に使用してください。


    5. その他
     本剤は生薬(薬用の草根木皮等)を用いた製品ですので、製品により多少色調等が異なることがありますが効能・効果には変わりありません。

     

  • 嘘の結婚記念日

     嘘の結婚のつもりで、エイプリルフールの仏滅の日に結婚したはずなのに、もう10年越えか。
     次郎まで、「ああ、そういうことね(笑)」とか言い出すし。
     何が、「そういうこと」なんだ(^_^;)
     中学生になった娘さんの鼻炎の相談で、母親が来店。
     年齢が年齢なので、まずは『パブロン鼻炎カプセル小児用』を案内したけど、「眠くならない物を」との要望を受けたため、漢方薬の『小青龍湯』(鼻水・クシャミ)と『葛根湯加川きゅう辛夷』(鼻づまり)を紹介した。
     しかし、漢方薬に躊躇したのか、今日のところは、「本人に確認してみます」と帰られた。
     うーん、まぁ仕方ないかぁ。
     高校生の息子さんが、のどの痛みを訴えているとのことで、母親が来店。
     これまた眠くならない物をとの要望を受けて、『駆風解毒湯』をお勧めして、お買い上げいただいた。
     花粉症の季節、熱などの風邪の兆候は無いようだから、もしかすると花粉症が喉に来ているのかもしれませんと説明して、肺を潤す『麦門冬湯』も紹介しておいた。
     喉の症状について花粉症の話をすると、半分くらいのお客様には驚かれる。

     

  • 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
    ………蓄膿症、慢性鼻炎、花粉症、慢性扁桃炎、にきび

    適応症状 

     体力中等度前後の人で、皮膚の色が浅黒く、副鼻腔、扁桃などに炎症を起しやすい人の次の症状:
     蓄膿症、慢性鼻炎、花粉症、慢性扁桃炎、にきび

    用方・容量(顆粒製品の場合) 

     1日3回、成人1回1包(2.5g)を食前にお湯または水で服用してください。
     ただし、15歳未満7歳以上は2/3包、7歳未満4歳以上は1/2包、4歳未満2歳以上は1/3包。

    組成(顆粒製品の場合) 

     3包(7.5g)中、次の成分を含みます。
       オウゴン(黄ごん)1.5g    オウバク(黄柏)1.5g
       オウレン(黄連)1.5g     キキョウ(桔梗)1.5g
       キジツ(枳実)1.5g       ケイガイ(荊芥)1.5g
       サイコ(柴胡)1.5g       シャクヤク(芍薬)1.5g
       サンシシ(山梔子)1.5g    ジオウ(地黄)1.5g
       センキュウ(川きゅう)1.5g  トウキ(当帰)1.5g
       ハッカ(薄荷)1.5g       ビャクシ(白し)1.5g
       ボウフウ(防風)1.5g     レンギョウ(連翹)1.5g
       カンゾウ(甘草)1.0g
     以上の割合に混合した生薬より得たエキス2.25g含有します。

    類似処方鑑別 

    葛根湯
     比較的体力のある人で、顔面、耳、上気道などに急性の炎症があり、項背部のこりを訴える場合に用いる。

    葛根湯加川きゅう辛夷
     
    葛根湯を用いるべき症状が慢性に移行した場合に用いる。

    使用上の注意 

    1.
    次の場合には医師または薬剤師に相談してください

     (1)本剤を服用後、症状の改善が認められない場合は、他の漢方薬を考慮する事。
     (2)甘草を含有する漢方薬を長期服用する場合は、血清カリウム値や血圧の測定などを充分に行い、異常が認められた場合は、服用を中止する事。
     (3)複数の漢方薬を併用する場合は、含有生薬の重複に注意する事。(特に甘草を含有する漢方薬の併用には、より注意を必要とする。)
     (4)長期運用により低カリウム血症、血圧上昇などが現れる場合があるので観察を充分に行う事。
     (5)著しく胃腸虚弱な患者。(軟便、下痢、腹痛、胃部不快感、食欲不振等の胃腸障害を起こす事がある。)


    2.
    服用に際して、次のことに注意してください

     (1)定められた用法、用量を厳守してください。
     (2)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。
     (3)本剤は、2歳未満の乳幼児に服用させないでください。


    3.
    服用中または服用後は、次のことに注意してください

     (1)本剤の服用により、発疹・発赤、かゆみ、悪心、食欲不振、胃部不快感等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。 
     (2)本剤を服用することにより、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (3)1ヵ月位(感冒、鼻かぜ、頭痛に服用する場合には、数回)服用しても症状の改善がみられない場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (4)長期連用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。


    4. 保管及び取扱い上の注意
     (1)小児の手のとどかない所に保管してください。
     (2)直射日光をさけ、なるべく湿気の少ない涼しい所に保管してください。
     (3)1包を分割した残りを使用する場合には、袋の口を折り返して保管し、2日以内に使用してください。


    5. その他
     本剤は生薬(薬用の草根木皮等)を用いた製品ですので、製品により多少色調等が異なることがありますが効能・効果には変わりありません。

     

  • 花粉症

     花粉症はI型(いちがた)アレルギーに分類される疾患の一つで、植物の花粉が、鼻や目などの粘膜に接触することによって引き起こされます。
     主な症状は、鼻水、鼻詰まり、目の痒みなどですが、より体の奥へ入って咽喉違和感や炎症を起こすこともあり、熱などが無いのに咳が止まらない場合には、風邪ではなく花粉症の可能性があります。
     また、体の表面、すなわち皮膚の炎症を起こすこともあり、「花粉症は、鼻水、鼻詰まり、目の痒み」だけだと思っていると、実は花粉症を発症しているのを見逃してしまうということもあるので、注意が必要です。
     花粉症が発症するメカニズムは、複数の説がありますが、もっとも有力な説としては、本来は体内に侵入した病原細菌や毒素などの異物を排除したり無害化するために働くIgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5つの抗体のうち、IgEが1度接触したことのある花粉と結合することで花粉を「異物」と認識するようになり、その後は排除するために過剰な攻撃を行い、それが症状として現れるというものです。
     この、発症するまでの期間は人によって異なり、コップに水が少しずつ溜まる様子として例えられます。
     それはコップのサイズは様々であり、たとえ同じ量の水を少しずつ入れたとしても、満杯になる期間は異なり、満杯になって水があふれる時が、発症する時とされます。
     そのため、発症するのは突然であり、昨年はなんともなかったという人が、何の前触れも無く発症し、かつ、一度発症しますと、自然治癒することは困難とされます。
     なお、先にも書きましたとおり、花粉症は「異物に対する攻撃」であるため、一般的な疾病と違い、不摂生や体力の低下などは関係無く、むしろスポーツ選手など基礎体力の充実している人ほど激しい症状が現れることがありますので、「自分は健康だから」といって安心はできません。
     そして、花粉症というとスギ花粉によるものが大々的に報道されますが、これは杉木が多いということの他に、背が高く花粉が遠くに飛びやすいため同時多発的に発症するためであり、背の低い草花の花粉においては、半径数十メートルというごく狭い近所でのみ花粉症が流行るというケースがあります。
     これはすなわち、学校や職場などでの花粉症の流行るタイミングとズレるということですので、寒気や熱などが無いのに、鼻や咽喉に違和感を感じたり、クシャミや咳が出るという時には、風邪よりも花粉症である疑いがあります。
     世間的に花粉症が騒がれない時期に発症していて、近所はもちろん、通勤、通学の途中に、土手や公園、神社など草木の多い場所があるようでしたら、特に注意しましょう。

     漢方では、体の多くが水で構成されていることから(成人女性で55~60%、成人男性で60~65%、高齢者の方では50~55%)、栄養を全身へ運んだり、老廃物を回収している物として水分の代謝を重要な働きと考えており、花粉症などのアレルギー反応は、水分代謝の異状として捉えます。
     例えば、水分を多く摂っても体に吸収できないまま排泄してしまう頻尿、体内が乾燥して水分が不足するため便が硬くなって便秘がち、あるいは上半身に熱が篭る一方で手足や内臓などが局所的に冷えて下痢を起こしやすいなども、花粉症を起こす原因と関連があるものとします。
     そのため、花粉症の現れている症状や体質に合わせて、漢方薬の種類を変えていくことが重要となります。
     前に飲んで効いたから、前と同じ物をと服用しても効果が無いことがありますので、ご注意下さい。
     例えば、後述しますように、鼻水が出る場合は小青龍湯を、鼻がつまる場合には葛根湯加川きゅう辛夷を服用するとありますが、鼻水と鼻づまりが交互に起きる場合には、その時々の症状に合わせて、服用する漢方薬も変えるのが効果的です。
     また、漢方薬は「眠くならない花粉症の薬」として使えますので、仕事などの時には漢方薬、寝る時には現代薬といったように、現代薬と上手に併用するのも良いでしょう。
    [:○:]鼻水が垂れてきて、クシャミを伴う場合。
     例年繰り返す場合には、症状に関係無く、症状の起こる約2週間前~1ヶ月前の期間から、通常量より少ない量を服用して予防薬とする。
     小青龍湯
    [:○:]鼻がつまり、上半身に熱が篭る場合。
     葛根湯加川きゅう辛夷
    [:○:]鼻づまりが酷く、慢性的な蓄膿症の場合。
     荊芥連翹湯
    [:○:]高齢者の花粉症で、主にクシャミと鼻水が出る場合。
     麻黄附子細辛湯
    [:○:]鼻水やクシャミがあり、胃腸が弱く、食の細い人の場合。(小青龍湯を服用すると胃が重く気分が悪くなる人など)
     香蘇散
    [:○:]鼻がつまり、鼻汁が咽喉の奥に垂れてくる場合や、鼻が詰まって喉に異物感がある場合。
     辛夷清肺湯
    [:○:]鼻には異常が無く、発熱も無く、咽喉に異物感があったり、痰が絡みやすい、または咳き込みやすい場合。
     麦門冬湯
    [:○:]鼻がむず痒く、目の痒みが顕著な場合。皮膚の痒みがある場合。
     十味敗毒湯

     

  • 麻黄 (マオウ)

    麻黄根 業務用生薬 刻500gの価格参照

    (1) マオウ科、又はその他同属植物の地上茎。
    (2) 主成分:エフェドリン(アルカロイド)、多糖類、タンニンフラボノイドなど。
    (3) 性味:辛・微苦、温
    (4) 薬能:発汗解表・宣肺平喘・利水消腫、止咳、中枢興奮作用・交感神経興奮様作用・血圧降下作用・鎮咳作用・発汗作用・利胆作用・抗炎症作用・抗アレルギー作用・プロスタグランディン生合成作用・BUN(血液尿素窒素)低下作用
    (5) 帰経:肺・膀胱
    (6) 配合処方:越婢加朮湯葛根湯葛根湯加川きゅう辛夷五虎湯五積散小青竜湯神秘湯防風通聖散麻黄湯麻黄附子細辛湯麻杏甘石湯麻杏よく甘湯よく苡仁湯
    麻黄 (マオウ)
    麻黄根 業務用生薬 刻500gの価格参照

     

  • 大棗(タイソウ)

    漢方生薬煎じ薬 調剤用500gの価格参照

    (1) クロウメモドキ科のナツメ、又はその他の近縁植物の果実
    (2) 主成分:トリテルペンおよびエステル類、サポニン多糖類など
    (3) 性味:甘、微温
    (4) 薬能:補脾胃・養営安神・緩和薬性、抗アレルギー作用、抗消化性潰瘍作用、抗ストレス作用
    (5) 帰経:脾・胃・心・肝
    (6) 配合処方:胃苓湯、越婢加朮湯黄耆建中湯、黄連湯、葛根湯葛根湯加川きゅう辛夷甘麦大棗湯帰脾湯加味帰脾湯桂枝加芍薬湯桂枝加芍薬大黄湯桂枝加朮附湯桂枝加竜骨牡蛎湯桂枝湯呉茱萸湯五積散、柴陥湯、柴胡加竜骨牡蛎湯柴胡桂枝湯柴朴湯柴苓湯、四君子湯、炙甘草湯小建中湯小柴胡湯小柴胡湯加桔梗石膏参蘇飲、清肺湯、大柴胡湯大防風湯当帰建中湯当帰四逆加呉茱萸生姜湯排膿散及湯麦門冬湯半夏瀉心湯平胃散防已黄耆湯補中益気湯六君子湯



    漢方生薬煎じ薬 調剤用500gの価格参照