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  • 風邪

     カゼは“風邪”と書くように、「体力が落ちた時」に「ウィルス(邪)などが体内に侵入」して発症します。
     最近はテレビCMなどの影響で「風邪の初期には“葛根湯(かっこんとう)”」ということをご存知で、お求めになる患者さんがよくいらっしゃいます。
     ところが、「風邪のひき始めなんです」と言われて詳しく症状を尋ねると、ほとんどの方が「喉が痛い」・「咳が出る」と訴えます。
     しかし、実はそれらの症状はすでに風邪が進行していて中期に差しかかっています。
    「風邪の初期」とは、「発熱・悪寒(熱感・咽痛)・頭痛」など、「風邪かな?」という段階のことを指し、この段階で適切な処置をしなければ長引くことになりかねません。
     そして、市販の総合感冒薬は、症状を和らげることはできますが、ウィルスに対する働きが無く、抵抗力をつけるためには「安静」・「保湿」・「栄養補給」が必要となります。
     漢方薬には、患者さんの自身の抵抗力を高める効果があるのでとても有効ですが、そのためには正しい処方で漢方薬を使用しなければなりません。


    薬局で薬を買う時には、以下の3つの点を薬剤師に伝えて下さい。

    1.“熱の有無”……「かぜである」ことの確認をします。
    2.“いつからなのか”……「ひきはじめなのか? こじらせたあとなのか?」を判断します。
    3.“悪寒とノドの痛みの有無”……「“風寒”と“風熱”の区分」をします。

    ※40度以上の高熱の場合は風邪以外の可能性もあるので、病院で診察を受けて下さい。


    風邪の漢方薬の選び方

    1.ひき始め(初期)の場合(必ず「“風寒”と“風熱”の区分」をして下さい。)

     

    症状

    適応漢方薬

    風寒

     寒気・肩こり

     葛根湯(かっこんとう)

     くしゃみ・鼻水

     小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

    風熱

     喉の腫れ

     排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)

     喉の痛み(違和感)

     桔梗湯(ききょうとう)

    2.中期(熱盛期)

     症状

    適応漢方薬

    強い喉の痛み

     駆風解毒湯(くふうげどくとう)

    寒気があり熱が出る

     麻黄湯(まおうとう)

    高齢者で寒気がある

     麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)

    3.後期(消耗期)

     症状

    適応漢方薬

    喉の痛み

     桔梗湯(ききょうとう)

    胃腸障害・食欲不振
    下痢・微熱

     柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

    冷えると出る咳

     小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

    温まると出る咳

     五虎湯(ごことう)

    乾燥すると出る咳

     麦門冬湯(ばくもんどうとう)

    ※必ず薬局で“ご相談”のうえ、お求め下さい。

     

  • 漢方薬とは?

     漢方薬は植物や動物の骨、あるいは鉱物などの自然界の物を原料にし、経験則に基づいて調合された薬の事です。
     基本的には、この“調合”によって原料の効果を相乗的に高めたり、主作用に反する効果を打ち消し合ったりする事で、目的に沿った効能が得られるように研究され発展してきました。
     いわゆる、風邪を引いた時には生姜湯を飲むというような、生薬を単独で用いたり、効果が検証されていない民間療法とは別なものです。
     また、現代においても古くからの漢方薬を参考にしながら、常に新しい漢方薬の研究がされており、必ずしも「昔ながら」の物だけではありません。
     その漢方薬が、中医学として日本に入ってきたのは、戦国時代の頃だったと云われています。
     漢方薬の古いテキストとしては『傷寒論(しょうかんろん)』が有名で、葛根湯(かっこんとう)などが掲載されており、現在においても度々参照されたりしています。
     この『傷寒論』には論理的な事柄よりも、どの症状にどんな漢方薬が適応するかという書き方がされていて、それを便利だと思ったのかどうか日本に伝わるとさらに取捨選択されて『万病一毒説』や『気血水論』という本が編纂されました。これを『古方(こほう)』と呼びます。
     これが日本漢方の基礎ともなるものですが、陰陽五行説などの理論を大事にする中医学の支持者からは、『古方』は理論が乏しいと忌諱されていたりします。
     しかし中国の気候風土からすると乾燥に対しての理論は優れているが、日本は湿度が高いので水の代謝に関する理論には乏しいという考え方もあり、日本では『古方』の方が参考になるという流派もあります。
     漢方薬というと、ことさら現代医学(西洋医学)と対立するものであるかのように捉えられている事もありますが、病気を治すというのが目的なのですから、臨機応変で考えるべきでしょう。
     実際、体質などを考慮する事で効果が現れる場合もあれば、「なんで効くの?」という組み合わせで症状が改善してしまう事もあるのですから。世の中そんなものです。
     一方、この病名=この漢方薬という図式で選ぶと落とし穴にはまる可能性があるのも事実です。
     例えばかつて肝炎には小柴胡湯(しょうさいことう)が多く用いられました。ところが、症状が重篤になるケースがあり副作用によるものとされ、最近では肝炎に小柴胡湯が用いられる事は少なくなりました。
     しかし漢方薬を学んでいた医師からすると、呆れてモノも言えないという心境だったそうです。
     というのも肝炎に小柴胡湯を使ったら、ある時期から(症状が改善に向かう頃)からは六味丸(ろくみがん)などへ変更するべきだからです。単純に肝炎には小柴胡湯を用いると考えた用法の誤りであり、用法を誤れば副作用が強く出る事があるのは、漢方だろうが現代医学だろうが当然の事です。
     メールマガジンでは何度か、「一言で風邪と言っても病状の変化に合わせて漢方薬を変えていくと効果的に治療できる」と書いているのも、そういう理由によります。
     そんな訳で、漢方薬を買おうという時には、症状だけではなく体質などの情報も可能な限り検証するのが望ましいです。
     「糖尿病の漢方薬をくれ」という患者さんが来て、どんな症状かと尋ねたら、「だから糖尿病なんだよ」とだけ言われて詳しく教えてもらえなくて困ったという体験談を聞いた事もあります。その人は、仕方が無いので適応しそうな漢方薬を見繕って渡しながらも「ホントに効くのかいな?」と自分で思って心の中で苦笑したそうです。
     難しい用語も出てきたりしますが、全部を全部勉強して憶える必要はありません。
     効果の得られない漢方薬を無駄に買う事の無いように、自分が得をするためにと参考にしていただければ幸いです。

     

  • ≪通巻201号>>
    見出しと中身/五十肩を治してくれ!/“なりゆき”/どう感じるかを強制されるなら

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      ★彡☆-=★彡  それさえもおそらくは平凡な薬局  ★彡☆-=★彡
                    ≪通巻201号≫
        提供 : まぐまぐ http://www.mag2.com/
        発行 : 北園薬局 http://www.kitazono.jp/
        編集 : 北村俊純     窓口 : info@kitazono.jp
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    ===================≪読者から一言≫=====================
     ≪通巻200号≫
    ★面白かった  と学会と言えば、会場で配布されていた西原先生の団扇が最強でした(笑) (あずらい~る)
    ☆ああ、あの「6月9日は包茎の日」という団扇ですね。 「むく」だからという。最強というか、最凶(笑)(北村)
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    ★面白かった  うちにも不気味社のCD揃っています。縁あって社主より毎回いただいています。 (みるやん)
    ☆微妙に関係者や知ってる人が読者にいるというのも、驚くやら羨ましい(?)で(苦笑)(北村)
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    ★面白かった  北さんの寝顔は、とても安らかでスタ( ´∀`) (犬山しんのすけ)
    ☆イニシャルにしておいたのに、答えてどーしますか(笑)(北村)
    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※6月7日(火)……見出しと中身
    ※6月8日(水)……五十肩を治してくれ!
    ※6月9日(木)……“なりゆき”
    ※6月10日(金)……どう感じるかを強制されるなら
    ************************* 今号の平凡な日記 ***************************
    ◆6月7日(火)/2005年◆
     今日は暑いねぇ。  本格的な夏前なのに、息もできない感じ。
     薬を受け取りに来た患者さんに、担当の医師の話をされてそのお相手。
     いかにもお医者様という感じで、感じ悪いとの事。
    「若いお医者さんの方がいいかもしれない」と仰る。
     とかく敬語ができていないとか言われる若者の方が、まだ態度は丁寧なのに、年を重ねると年配者の方が横柄な対応をしたりするもの。
     自分は、昔から変わらず無礼であるが。
     その癖、他人の対応にはカチンときやすい困ったチャン。
     お店の運営資金の調達に、農協との取り引きがあるのだが、今日は無農薬のキャベツを頂いた。
     なんなんだいったい(笑)
     お昼にお母んが味噌汁を作ろうとしたら、ナメクジが付いていたそうだ。
     なるほど、確かに無農薬か(⌒▽⌒)
     私は好きなんだけど、奥さんは嫌がっていた。
    「胸焼けがするんだけど」と患者さんに言われる。
     胃薬を案内しようと思いつつ詳しく話を訊くと、咽喉の側面を指で示される。
     咽喉と胸は一緒なのか(笑)?
     症状からすると、カサカサする感じとの事で花粉症じゃないでしょうか。
     今ちょうど流行っていまして。
     地元限定で。
     杉の木は高いから遠くまで花粉が飛んで全国区として報道されるけれど、腰の高さ程度の植物の花粉は半径数百メートルにしか飛ばないため、スギ花粉には反応しない人の中には、花粉症と気づかない人も多い。
     今回の患者さんも、扁桃腺炎とか風邪ではないだろう。
     なので、麦門冬湯(ばくもんどうとう)を案内した。
     すると次に、
    「この辺は腸?」と手で指し示されたのは、胃の辺り。
     えっと……、一般的な認識なのかな。
     それと、血圧の薬を飲んでるんだけど麦門冬湯と一緒に飲んで大丈夫かと尋ねられた。
     血圧の薬というだけでは、なんだか分かりません。
    「茶色いんだけど」  ちっとも絞り込めない(^_^;)  とりあえず、麦門冬湯は血圧には関係しませんが。
     今日は一日中プリンターが稼動していた。
     商店会長さんから頼まれている総会資料を印刷するため。
     6ページの物を95部印刷するので、結構な枚数である。
     で、不思議な事が。
     処方箋を持った患者さんが来ると、薬剤情報などを印刷するのに、いったん総会資料の方は中止しなければならない。
     これがどうした訳か、5回中断した時に確認した印刷済みの枚数が21枚だったのだ。
     つまり、20枚目辺りに患者さんが来て中断すると21枚目が印刷されるところだったと。
     なんでもない事だけど、気づいて笑った。
     ネットニュースの記事の見出しで、「ホリエモンにも教えたい 正しい買収」というのを見つけた。
     やぁ、なんか懐かしいタイトルだなぁ(笑)
     で、読んでみたら、ぜんぜん関係無いんでやんの。
     記事の内容は、取引金融機関の破たんでピンチに陥った埼玉県のホテルを、地元有志が1億円を出資した新会社が旧会社から買い取ったというもの。
     で、それを、「熱意が銀行の融資をも引き出した」という美談に仕立て上げて、件の見出しを付けたのだ。
     正しい買収も何も、経営破たんした会社の引き取り手が他に無かったから、必要としている人たちが建て直しに動いたって話で、どこにライブドアの買収と絡ませられる部分があるのか。
     近鉄買収の名乗りを上げた後に持ちかけられた西武の買い取りを蹴った事からも分かるように、ライブドアはビジネスとしての採算を考えて仕掛けてる訳で、それをビジネスライク過ぎるという批判をするのは変だろう。
     今回のホテルの経営破たんを招いた旧会社のように、経営能力が無いことを批判するのならともかく。
     しかも、本文では一言も堀江氏にもライブドアにも触れてないし。
     なんだかなぁ。  配信元を確かめたら、毎日新聞だった。
     いったい、何を誘いたかったのか。
    ≪育児日記≫
     今日は次郎を連れて、南浦和の友達の所へ行った。
     そして昼は、友達の作ってくれた物を食べた。
     次郎にも少し与えた。
     薄味だったので良かった。
     おにぎりが美味しかったかな。
     その後、次郎が初めて牛乳を飲んだら平気だったので、もうほとんど食べたり飲んだりできるんだなと実感した。
     そして、その友達が利用する赤ちゃんサロンに行き、体重と身長を計ってもらった。
     体重が8,400gで身長が72cmくらいだった。
     一緒にオモチャで遊んだりした。
     次郎と同じくらいの子たちもいっぱいいた。
     友達の子供は次郎より2ヶ月早く生まれてるので、もう歩ける。
     次郎は、いつも泣かされてるんだけど、今日は泣かなくて本当良かった。
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    ◆6月8日(水)/2005年◆
     台風の関係か、湿っぽくて暑い。
     寒いよりは暑さの方が耐えられるんだけど、息苦しい感じがする。
     軽い喘息が出ているのか。
     半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を飲んでおくかな。
     昼食後に近所のオモチャ屋さんへ行ってみた。  Webラジオの『幻想時間』のネタのため。
     http://www.snake-eyes.gr.jp/radio/index.htm
     ネタにかこつけて、自分の欲しい物を買おうかとも。
     欲しい物はいっぱいあるのだけれど、ちゃんとネタとして使えないとなぁ(笑)
     実は女の子向けの、本当にアイスクリームが作れるオモチャとか、編み物ができるオモチャとかって好きなんだよねぇ。
     ただ、作ってもしょうがないのと、デザインが女の子っぽ過ぎて買えない。
     とりあえず、今日のところは目星だけ付けて何も買わず。
     店に戻る途中の交差点で、お婆さんの乗った自転車が転倒した。
     慌てて駆け寄ると、お婆さんは無事な様子。
     ところが、自転車から3匹の犬が。
     3匹の犬!?
     小型犬を3匹も自転車の前籠と後籠に乗せていたのか。
     それじゃあバランスを崩すのも無理は無い。
     犬を集めて、お婆さんに渡す。
     あまり危ないことはしないで下さいね(^_^;)
    「おい! 五十肩を治してくれ!!」と威勢のいいオジサンが入ってきて、ちょっとビビる(笑)
     漢方薬では二朮湯(にじゅつとう)が能書に五十肩とあるのだけれど、詳しくお話を訊くと、もう一年以上前からとの事で、声の張りの強さと体格の良さからすると、麻杏よく甘湯(まきょうよくかんとう)くらいでないと効きが弱いかもと思い、そちらを案内。
     夕方のテレビのニュースを観ていたら、『子育てバリアフリー』の特集をやっていた。
     ベビーカーで通りにくい道路や、オムツ替えのできるトイレのある店舗などの情報の共有化は良いと思う。
     ただ、スーパーなんかに改善を求めるのなら、資本の論理も必要ではないか。
     言ってる事は分かるけれど、じゃあその経費を商品に上積みしても良いかというと、そこは企業努力で商品はできれば値引きしてもらいたいというのが本音だろう。
     おかしな話で、パートをしている主婦なら企業の売り上げが伸びなければ自分の給金に響くし、旦那さんの稼ぎも上がってくれなければ困るはずなのに、企業が業績を伸ばすことには何故か良くないかのように言って突き上げる。
     消費者を大切にというのは言うまでもない事であるが、自分たちも労働者のはずではないのか。
     客としての要望を伝えるだけではなく、社会活動として変えていこうというのであれぱ、それによって業績が上がるのだという事を具体的に示さなければ。
     日本ではトイレは無料サービスが当然という感覚が根付いてしまったようだけれど、現実には水道代などの運用費がかかっている訳で、それだけでも充分に奉仕しているとも云えると私は思うのだけれど。
     企業だから市民に奉仕するのは当然というのは厚かまし過ぎる。
     道路の状態なんかも、確かに舗装するならちゃんと整備しろよとは思うものの、愛知万博でも掲げられている“自然との共生”のことを思えば、ベビーカーが使いやすいようにとか、子供に危険の無いようにってのは、ちょっとどうか。
     うちの周囲の用水路など、危ないからとコンクリートで補強されたが、以前は足を滑らせて落ちても溺れる程度で済んだのが、コンクリートなもんだから落ちたら頭を打ち付けたりする心配ができてしまった。
     もちろん金網を張り巡らせているけれど、子供はそんなの越えちゃうし(苦笑)
     で、今は埋め立てようという声が住民から上がっている。
     地震などで大火災が起きた時に、用水路があればそこで延焼を食い止められるのだから、少しは防火対策という事も考えてもらいたいところ。
     バリアフリーという語感の良さで、実際に良くなるとは限らないのだというのも忘れないように。
     猪苓湯(ちょれいとう)を買いに患者さんがいらした。
     気温の変化が激しいと、やはり膀胱炎の薬は需要が増える。
     ネクタイ製造業者などでつくる日本ネクタイ組合連合会が、ネクタイ業界が打撃を受けているとして、政府が提唱する夏の軽装化(愛称クールビズ)のアピールでの、「ノーネクタイ、ノー上着」というキャッチフレーズの使用中止などを求める要望書を小泉内閣の閣僚全員に送付したそうな。
     ネクタイ業界は、建設業界のように政府に族議員を送り出していないのね。
     健全で良いことだ(笑)
    「ネクタイを締めなければ地球温暖化防止が達成されるかのような広報活動は再考されるべきだ」というコメントは、もっともだと思う。
     環境に優しくすることが、イコールで地球温暖化に結びつくかのように言ってる人がいるけれど、少しは疑ってもらいたい。
     人間が死ぬのは確固とした事実であるとしても、幽霊になるかどうかは未だ証明されていないのと同じように、大気汚染がある事は事実かもしれないが、それで地球温暖化が進行しているかどうかは分かっていない。
     分かりやすいからといって、やたら地球温暖化を持ち出すのは、私は違和感がある。
     その点で政府は批判されるべきだろう。  しかし、ネクタイ業界の方も情けないな。
     父の日に近いタイミングで「クールビズ」のキャンペーンが始まったことが、「業界にとって死活問題」だと言うのは。
     父の日はネクタイ業界が1966年に提唱して広まったイベントなのだから、この機会に新しいネクタイを開発して新しい顧客層を開拓すれば良いのに。
     フジテレビの番組の『ニューデザインパラダイス』で以前に放送した、ハンカチーフのように胸にネクタイを付けるというのは、アイデアとしては悪くなかったと思うんだけどな。
     http://www.fujitv.co.jp/b_hp/newdesign/
     ネットニュースでは興味深い記事を見つけた。
     アメリカの大手薬局チェーンのCVSが、使い切りデジタルビデオカメラを発売したというのだ。
     価格は29,99ドル(約3200円)。
     録画時間は20分で、ちゃんと1.4インチのカラー液晶画面を備えており、再生・消去ができるという。
     そして、録画後にCVS店舗に持ち込むと、12,99ドルでDVDに保存してもらえるそうだ。
     随分前に『企業戦士ヤマザキ』という漫画で、新しいビジネスとして使い捨てビデオカメラのアイデアがあったのを思い出した。
     そちらは、ゼンマイ式で1回20秒の撮影で30分録画という物だった。
     子供の運動会などの用途で考えると、連続撮影時間は長くなくても良いという発想で実現するかもと思ったのだが、ついぞ日本では出なかった。
     今回のアメリカでの似たコンセプトの製品の発売で、日本にもこの流れが来るだろうか。
     奥さんがレンタルしてきた、『理由』をDVDで観た。

     前に観た『模倣犯』が、あんまりにあんまりだったので観るのを避けていたのだけれど、大林宣彦監督に賭けてみる事に。
     結果としては、ネタバレするほどには印象に残らなかったというのが正直なところ。
     なので今回は警報もナシ。
     原作は、第120回直木賞を受賞した宮部みゆきの同名の小説。
     高層マンションで一家4人が殺されるという事件が起き、調べていくと住んでいたはずの家族は別な場所に暮らしていて、殺されたのが誰なのか分からない。
     誰だか分からない被害者たちと、殺した犯人と、その動機が、ルポ形式で様々な登場人物が語っていくうちに明らかにされていくという、一風変わった推理ドラマ。
     なるほど確かに原作がベストセラーになった“理由”は分かる。
     しかし、映画がさして話題にならなかった理由も分かる気がする。
     こういう設定の物語は、どうしても途中でプレイバックしてみたくなる。
    「え? あれはどうなってたっけ」と確かめたくなり、途中で気になりだすと、それが頭から離れず集中できなくなったりする。
     親切な監督だったら、適度にリピートしたり、画で観て分かることを、不自然な説明セリフで教えてくれるところだが、そこは大林監督。
     観てる人のことなんかあんまり考えずに、先に進めてしまう。
     個人的には好きなのだけれど、奥さんが質問してくるのがうるさくてうるさくて。
     これは作品のせいではないけれど、映画館で観た人はストレスになったかもしれない。
     そういう意味では、ビデオやDVDでじっくり観るのが良いだろう。
     あるいは、最初はノンストップで観て、改めて観返すというのが楽しみ方のようにも思う。
     競売物件に住み込んで他に売れないようにする占有屋という仕事は、知り合いの不動産屋にやってみないかと持ちかけられたこともある。
     住むだけで月20万円と言われたけれど、怖いお兄さんたちを追い返すのが仕事になりそうなので断った(笑)
     核家族や、近所の人の顔を知らないといった社会問題などを、物語にして提示するのは宮部氏の手柄ではあるが、それが映画になっても鼻について、その点だけが『模倣犯』と同じく不満な点として残ってしまったのが残念。
     もっと、大林監督の作品に昇華してもらいたかった。
     ラストのヘロヘロなCGは、これにOKを出した大林監督らしいなぁとは思う(苦笑)
    ≪育児日記≫
     今日、本当は大宮の友達がうちに来て料理を習うはずだったんだけど、仕事がちょうど入っちゃったらしく、キャンセルになってしまった。
     せっかく煮物が作れると思ったのに仕方ない。
     でも次郎が、昨日の疲れをものともせず機嫌がよかったので良かった。
     ベビーサークルに入れていても、ぜんぜん泣かなくなった。
     AIBOと遊ぶのが楽しいらしい。
     それで、また夜になったら泣かないように昼間に散歩に出た。
     今日、雨みたいなことを言われていたわりには降らないで、曇りのような晴れのような天気だった。
     気温も少々高めで、散歩して帰ったら汗ばんだ。
     夕方は、また次郎を連れてビデオ屋に行き、『理由』と『下弦の月』のDVDを借りてきた。
     これで夜、ちゃんと次郎が寝てくれるかなと思ったら、23時過ぎには寝てくれて良かった。
     『理由』が観れて嬉しかった。
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    ◆6月9日(木)/2005年◆
     風邪気味という事で、麻黄湯(まおうとう)を買いに患者さんが来店。
     体の節々も痛いらしい。  それはもう、すぐにでも飲んで下さい。
     NTTコミュニケーションから営業の電話がかかってきた。
     正確には、代理店。  なんか、このあいだもNTTコミュニケーションズを名乗る営業マンが店頭に来たような。
     個人情報の取り扱いが厳格になったのはいいけど、代理店同士につながりが無いもんだから、複数の代理店がNTTコミュニケーションズという名前で営業をかけてきて迷惑。
     どの名簿に基づいて電話しているのか尋ねたら、名簿はNTTから預かったらしい。
     それはいいのか。
     だったらついでに、うちの現在の契約内容も伝えてくれちゃってもいいんだけどなぁ。
    「サポーターちょうだい」と患者さんから頼まれた。
     サイズの大きい物をと求められる。
     それでは、サポーターの意味がありませんが。
     詳しく訊いてみたら、包帯がズレないようにしたいとの事。
     ああ、それでしたらネット包帯の方が便利ですよと案内した。
     野球には興味の無い私ですが(ビデオ録画の敵としては憎いぞ)、8日のロッテ対巨人戦では、面白い“事件”があったそうで。
     捕手が打者走者と接触して転倒したプレーを守備妨害とは審判が判定しなかった事について、球審が「“なりゆき”なので、守備妨害にはあたらない」と説明したところ、観客から不満の声が出たという。
     この“なりゆき”という言葉は、日常の言葉ではなく、業界用語で「故意ではない」という意味で使ってるんだとか。
     しかも、どうやら野球規則にも注意書きとして記されているらしい。
     ところが、それを知らない野球ファンが勘違いして怒ったという。
     そういや、「支配」という言葉は株の売買で使われる言葉だったな。
     ニッポン放送の亀淵社長やフジテレビの日枝会長は、過剰に反応していたけれど。
     言葉の行き違いの原因というのは、そここに落ちてるもんなんですね。
    ≪育児日記≫
     今日は、妹から送ってもらった漫画本が届いた。
     さっそく、星野架名の『Kの告白』を読んだら、やっぱりよろしい!
     この間久しぶりに『花と夢』のデラックス版を買っちゃって、『僕の地球を守って』の次世代のものが書かれてあって、またはまりそう。
     次郎は、私がいろいろ読んだりとかしてると、自分を相手しろみたいに、大きな声をあげたり、本なんかを手から取ってクチャクチャにしそうになるんで困る。
     だけどベビーサークルがあるんで、入れとけば声を出すくらいで、いたずらはされないので助かってはいる。
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    ◆6月10日(金)/2005年◆
     今日は午前中には晴れ間も覗きつつ、天気予報通りに雨。
     風が吹いてないからいいけど、夜に出かけるまでにどうなるか。
     近所のオモチャ屋で、明日の『幻想時間』の収録のネタに使う物を購入。
     雨が降ってるのにギリギリのサイズのビニールに入れるもんだから、箱が濡れてヨレヨレになってしまった。
     コレを明日、スタジオに行って組み立てねば。
     タクシーの運転手さんが風邪薬を買いにみえた。
    「眠くなると困るから漢方で」と注文される。
     まだ風邪かなと思う程度という事で、葛根湯(かっこんとう)を勧めた。
     その場ですぐに飲んでもらう。
     葛根湯は効きが早いが、風邪の進行というものも一般に思われているよりも早い。
     店で買って家に帰ってから飲むのでは遅いと言われるくらいだ。
     だから葛根湯は、家に置いておくより持ち歩いて、風邪の予感がしたら先に飲むのが良いですとお話した。
     印刷して綴じた商店会の総会資料を商店会長さんが取りに来た。
     コレでひとまず用事が一件済んだ。
     なんだか、用事は後から後から立て込んできて、ちっとも楽になる気がしないのだけれど。
     電話で漢方薬の相談。
     しかし詳しく聞いてみると、アガリクスの事だった。
     漢方薬ではありません。
     漢方薬の場合、生薬を組み合わせることで効果を上げようとしているのに、単品で癌に効くとかいうのは眉唾モノ。
     十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)が病院から処方されているそうで、そちらはちゃんと効能がある事が確かめられているのですから、単独のキノコだのを使うよりも効果が期待できるとお話。
     サプリメントや健康食品を試したいという事であれば、それも悪くはないと思いますが、十全大補湯をやめて他に替えるというのは、私としてはお勧めできない。
     台風が近づいてきて、気圧の変化で体調を崩す人が多いのか、風邪薬を求めて患者さんが頻々。
     蒸し暑さで食欲が無くなっているという人もおり、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)をどんどん渡す。
     先日、五十肩の相談にいらして麻杏よく甘湯(まきょうよくかんとう)を勧めた患者さんが、良く効いたと追加を買いに来てくれた。
     それは、良かったです(⌒▽⌒)
     店を閉めてから、雨の中を自転車で事務所へ。
     子供たちが育つ環境を作っていくために、大人や青年は何ができるのかという話し合い。
     打ち合わせや会議ではなく、あくまで話し合い。
     今日のテーマは、「大人と青年の違いは?」というものだった。
     青年のKちゃんからの提案。
     前から言ってたものねぇ、「分からない」って。
     その昔には、「高校生と青年の違いは?」というのも話し合われた事がある。
     高校生という括りは、あくまで高校に通っている人の事で、本来は年齢を表すものではないのに、“中高生”とまとめられてて変だと。
     自分で選んで自分で名乗るのが、大人であり青年だろうと。
     しかし、人は人を見るときに、大人とか青年という枠をはめて見ようとする。
     それはいったいどうなのか。
     という話をしてきて、終了予定の23時を5分過ぎたところで終了……のはずだったのに、はずだったのに。
     せっかく話し合った事だから、これをなにがしかに活かしたいという意見が参加者から出た。
     そりゃ確かにそう思う気持ちは分かるんですが、そういう“答え”を求めるようになると話し込めないモノがあるから、記録はつけるけど話しっぱなしにしましょうって決めたんじゃないですか。
     2回目にして、また原点に引き戻されても困る。
     せめて、あと数回やってみてから、どこにどう持っていくかを考えるという事にしませんか。
     と話が続いて、1時を回ってしまった。
     家に帰って、3時近くに夕飯。
     体に悪い(/_;)  ついでに行儀悪く、食べながらネットでニュースを読んだりチャットをしたり。
     ニュースでは、青山学院高等部が2月12日に行った一般入試の英語の中で、沖縄県への修学旅行でひめゆり学徒隊の女性から沖縄戦の話を聞いた生徒が「退屈で飽きた」と感じたという趣旨の英文を出題していた事が問題になっているというのを見つけた。
     英文は生徒が書いたものではなく、同校の教師が試験用に作成したものだそうで、どうやら教師の体験談だったらしい。
     ああ、あるある。  あったわ。
     私も沖縄に修学旅行に行った時に、ひめゆり学徒隊の女性の話を聞かされた。
     その時には、私自身は心に響くものがあったし退屈だとは思わなかった。
     しかし、やはり同級生の中には同じように退屈だというヤツがいて、「ああ、こういうヤツは戦争で死んでもいいよな」と思ったものである。
     後で感想を提出する事になっていたので、そう書いたら歴史担当の教師に叱られて理不尽に思った。
     感想を書けというから書いたのに、なんで叱られなきゃならんのかと。
     どう感じるかを強制されるなら、聞く必要の無い退屈な話であろうし、それって戦時中に天皇を崇拝しろと政府ばかりでなく、世の中の雰囲気が個人の思想信条を暗黙のうちに圧殺したのと同じではないのか。
     一応今回の場合は、入試で出題したのが不適切という話のようだが、沖縄県の稲嶺恵一知事の「ひめゆり(学徒隊)のみなさんは多くの人に体験を話すことで平和な世界にする努力をされてきた方々。
     そのご苦労と気持ちを理解してほしい」と述べたのは、それはそれで学徒隊の人たちを慮ってだとしても、少しズレてやしないか。
     残念ながら、戦争体験者が体験談を語ることでは平和にならないのは実証済み。
     体験を語り継いでいこうという努力には頭が下がるし、平和を望む声はやはりそうやって作っていかなければならないと思う。
     でも、戦争は止められない。  不適切とか言ってこんな事を問題にする心には、争いを捨てられない人間の心がむしろ表れてしまっているのではないか。
     今日の(もう日付は変わったが)午前10時頃に、山口県光市光井の県立光高校で、数学の授業をしていた3年生の教室内に、別のクラスの3年生の男子生徒がガラス瓶に入った爆発物に火をつけて投げ込んだという事件の続報も読んだ。
     第一報では、爆竹をガラス瓶に入れていたというのでイタズラかと思った。
     予想外の事態で本人もうろたえてるだろうと。
     しかし続報では、火薬をほぐして入れており、動機は恨みだとか供述しているらしい。
     そう聞くと、だったらなんで釘を入れたりして殺傷力を高めなかったのかと思ったり。(後で入っていたことが判明)
     よそのクラスに対して恨みがあって、その原因がイジメらしいというのもワカラン話だけれど、虐められた経験のある私からすると、復讐するなら覚悟を決めてキッチリやってもらいたい。
     光地区消防本部によると、生徒53人が市内2カ所の病院に運ばれ、うち生徒1人が飛び散った破片で足や腹部を切って重傷という、復讐としては中途半端すぎて、お前やる気あんのかと。
     この程度で済ませられる復讐なら、しなきゃいいのに。
     もしかすると知らなかったのかもしれないが、爆発物を故意に爆発さて他人を負傷させた場合は、7年以上の懲役か無期懲役で、殺人よりも罪が重い。
     犯人は18歳との事だか、成人として扱われる可能性もある訳で、人生を棒に振るにはツマラナイ結果しか残らなかったのではないか。
     いつだったか、中国では虐められた仕返しに、火薬を体に巻きつけて相手と共に爆死したという事件があったなぁ。
     あれに比べると、今回の事件は評価できない。
     400字詰め原稿用紙三枚に、反省文を書くよーに。
     やった事をじゃなくて、目的に対して達成できなかった点を。
     チャットには、介護の仕事をしているAさんが来ていて、腰痛検査を受けるという話。
     腰痛検査は施設で受ける決まりになってるそうで。
     重い物(人ですが)を持つ(抱える)コツとしては、体を密着させること。
     ギックリ腰を起こす人は、たいてい腰を下げずに腕だけで持とうとして失敗する。
     そしてAさんからは、足を大きく開いて、立っている面積を多くすることというアドバイスが。
     I氏が、お姫様抱っこも同じ原理かなと言うので、お姫様抱っこで持ち上げてみたものの、落としそうになって誤魔化すために相手の女性をベッドに投げたことがあるのを思い出した。
     すると、I氏もやったことがあると。
     彼氏から悪戯っぽく投げられた経験のある女性は、いますでしょうか?
     それは、彼氏が支えきれなかったからかもしれません(笑)
    ≪育児日記≫
     今日は、10日で『時の記念日』だ。
     なんでも、一秒間といのを修正することらしい。
     そんな中、私は次郎とまた散歩。
     サミットまで行ってきた。
     『月刊ムー』を買うために。
     雨がポツリと降りそうだったのでベビーカーを包む雨合羽みたいなものを持って出た。
     帰りは、ものすごく大雨になった。
     私と次郎は少しでも早く近道で帰ろうと思ったけど、かえっていつも通る道のが近かったかしらと思うほどだった。
     ちょっと迷子になっちゃったし。
     でも、次郎がとても楽しそうだったんで、きっと雨の中の散歩って珍しいことだから、ニコニコしている。
     だって、次郎は濡れないし。
     そんなこんなで無事にアパートまで帰ってこれたけど。
     そしたら急に雨が小降りになってやんだりしたから、もうちょっと待って帰れば良かったかとちょっと後悔してしまった。
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  • スギ花粉の飛散と経済

     成人の息子さんが風邪をひいたとの事で、麻黄湯(まおうとう)と地竜(ぢりゅう)を買いにお客さんが来店。
     http://www.kitazono.jp/syoho/maoutou.htm
     http://www.kitazono.jp/syoho/ziryuu.htm
     家にあったのを飲ませていて、追加分だそうだ。
     ついでに、葛根湯(かっこんとう)も注文していただいた。
     http://www.kitazono.jp/syoho/kakkontou.htm
     葛根湯は、風邪のひきはじめ数時間が勝負なため、家に置いておくよりは持ち歩くようにお話しており、普段からそうしているという。
     今回も早く治ると良いですね。
     次郎をお店に連れてきていたら、婆ちゃんが曾孫の顔を見に来た。
     いや、正確には散歩のついでに寄ったら次郎がいたってだけなのだが。
     もとより病弱で力も弱いのに、次郎を抱こうとして危なっかしい。
     漢方薬を買いに来た患者さんから、うちに処方箋の薬を取りにいらしていたK氏が亡くなったという話を聞かされた。
     毎月薬を取りに来ていたのが、ここ3ヶ月ほどみえないと思ったら。
     確か、交通事故で骨折したため入院するという事を、タクシーで店の前に乗
    りつけた時に聞いてはいたのだが、どうやらその入院で癌が見つかったらしい。
     今日いらした患者さんの旦那さんがK氏と親しいらしく、本人にも告知され、癌の手術をすると話していたという。
     しかし、体力的なせいなのか癌の進行具合のせいなのか、手術できなかったまま亡くなってしまったとの事。
     きさくで、人の良い、年を取るなら誰からも嫌われる頑固爺か、K氏のような御隠居さんといった感じの好々爺になりたいと思える人だった。合掌。
     第一生命経済研究所が、過去最大級と予想される今春のスギ花粉の飛散により、1~3月期の個人消費が前年同期に比べ7549億円減少し、実質GDP(国内総生産)成長率が0.6ポイント押し下げられる可能性があるとの試算を発表したという記事をネットニュースで発見。
     なんか、すごい大事(おおごと)に思えますな。
     もちろん、花粉症で苦しんでいる個人にとっては大事(おおごと)ですが。
     で、その試算の根拠なのだが、花粉症の人が外出を控え、買い物や外食、旅行などを手控えるという推測に基づくのだそうで、「景気に悪影響を与える恐れがある」と分析している。
     ただの煽りかとも思えなくはないが、一応は過去10年の調査で、夏場を中心とした7~9月の平均気温と翌年の1~3月期の個人消費に相関関係がある事は確からしい。
     でも、個人消費は落ち込んでも、花粉症に関連した業界は盛り上がるんじゃないかね。
     ところがそれらの売り上げは639億円程度にとどまり、個人消費の落ち込む7549億円を上回る事は無いという予想。
     うーむ、ネットで本を注文したりと、スーパーで食品を買う以外はすっかり外出して買い物をする機会が少なくなっている私の感覚とは違い、まだまだ世の中は“ネット社会”とはなっていないようで。

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  • ≪第7回≫疎経活血湯

    漢方薬症例クイズ≪第7回≫

     実際の症例を元に、患者さんの症例データーを提示します。
     “書いてある内容”から推理して、適応すると考えられる漢方薬の名前を当てて下さい。
     基本的に当店で扱っている漢方薬としますが、解答としては必ずしも限定しません。「なるほど、その方法もあるか」と思われる解答であれば、正解とする事があります。(生薬のみや民間療法などは除外します。)
     正解者の中から、抽選で2名様に『切子タンブラーペアを進呈いたします。
     絶対の正解というものはありませんのであくまで、“あそび”として楽しんでいただければと思います。
     皆様の参加をお待ちしています。(終了しました)

    切子タンブラーペア

    kiliko.jpg (168563 バイト)

     どこか懐かしい雰囲気を持ちながら、現代的なセンスを漂わせる切子タンブラーのペアを、2名様にプレゼントいたします。

    募集期間:~7月26日(月)
    正解発表予定:7月30日(金)

    問題
     女性。43歳。
     主訴は、背中と肩のこり、痺れ感と痛み。
     体格は中肉中背で、肌に艶が無い。ややのぼせを感じる一方で貧血気味であり、疲労感があるとの事。舌は、やや白苔。
     来店時は1月で、昨年の夏に冷房の強い職場で仕事をしていて、肩から背中にかけて痺れを感じるようになった。特に左側が痺れる感じ。
     コーヒーが好きだが、お腹が冷えやすいのでホットで飲むようにしている。 
     詳しくお話を聞いた中で、数年前に卵巣を片方摘出している事を知らされた。
     漢方薬を服用してもらったところ、半年余り続いていた症状が1週間程度の服用で改善し、それからも量を減らして継続中。
     この患者さんには、どの漢方薬を選んだか?

    正解
     
    正解疎経活血湯です。
     当選したのは、以下の2名の方です。おめでとうございます。
      ※ともっちママ様…選んだ理由:「痺れ感と痛み」に効くのはこれだ!!と思いました。私ならこの漢方で治します!!

      正解者が1名でしたので次選の漢方薬として、婦人華を挙げられましたもんもこ様を当選とさせていただきました。正確には婦人華は漢方薬名ではなく商品名なのですが、選んだ理由が適当すると判断しました。   もんもこ様…選んだ理由:年齢やのぼせ、肩こりの症状があり卵巣を片方摘出していることから、更年期障害と思われ肩こりや貧血・冷え性・のぼせに効く婦人華が最適と思いました。

    解説
     
    さらりと書いてありますが、卵巣を摘出したという部分には注目しておかなければなりません。
     卵巣などの女性特有の器官に限らず、手術を経験している人は必ず術部がお血(おけつ)を起こしていると考えられるからです。
     その部分が女性特有の器官である事を考えると、年齢に関係無く更年期障害同様の症状が現れている疑いがあります。
     そして、そのうえで主訴を診ていくと、肩こりは肩が張るとか重いというものではなく、痺れる傾向を訴えており、これは正座をした時に血行が悪くなって痺れるというのと同じ状態なのだろうと推察できます。
     同様に肌に艶が無いという事は、血行不良である事を補強していると考えられ、のぼせがある貧血症状は、体温を一定に保つと共に栄養素を全身に行き渡らせるという働きを血液が順調に果たしていないという状態を示しています。
     これらを総合すると、お血を取り除き血流を良くする漢方薬をと考えるのは極めて適切ですが、忘れてはならない事があります。
     それは主訴として痛みも訴えており、まずはそれらの“苦痛”を先に取り除くという事です。
     漢方薬を学んでいく課程で、ついつい“根治治療”をしようとして、患者さんが今現在苦しんでいる症状を「元が治れば楽になるから」と後回しにしてまいがちです。しかし、やはり患者さんを早く楽にしてあげる方法を検討しなければならないでしょう。
     そこで、痛みを取り除くと共に血流も改善する漢方薬として、疎経活血湯を用いました。
     疎経活血湯の効能は神経痛や筋肉痛などの治療な訳ですが、その名前に血流を良くする“活血”という意味の言葉が付いている事を憶えておくと良いでしょう。

    補足
     やはり、患者が女性である事、卵巣を摘出しているという点から、婦人病疾患として解答された方が多かったです。
     代表的な漢方薬としては、次のような物がありました。
     まず加味逍遥散ですが、主に胸脇部から腹直筋上部の緊張と炎症を取り除き、血液の循環を良くする作用があります。しかし、加味逍遥散を用いる場合は、のぼせによるイライラであるとか不安感などの精神神経症状を伴う場合を目標にした方が適切だと思われます。貧血気味で肌に艶が無い点から四物湯を合方するという方法を挙げた方もいらっしゃいます。確かに四物湯を合わせると血流をより良くする当帰と、痛みを和らげる芍薬が加わるので、加味逍遥散を単独で用いるよりは良いでしょう。ただ、今回の患者さんの主訴にある痺れや痛みを取り除くのには、それでも効き目が弱いだろうと考えられます。
     当店では扱っていない漢方薬ですが、婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)という解答もありました。
     更年期障害に用いる漢方薬で、解答者の方もやはり婦人病で調べたようです。婦宝当帰膠は十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)を基にした処方で、その特徴は「血の虚」(貧血)を治し、「気の虚」(元気の衰退)を治す事だとされています。すなわち更年期障害が、著しい疲労感や精神的な落ち込みとして現れ、衰弱している場合に用いるのに適しています。今回の患者さんの場合は、そこまでの訴えは無く、また主訴の改善には適しません。
     病院で更年期障害に対して処方される事が多いのは、なんといっても当帰芍薬散でしょう。眩暈(めまい)や肩こりなど、更年期障害の不定愁訴を広範囲にカバーできる漢方薬ですので、迷った時にはまず当帰芍薬散を試してみて、それからより適した漢方薬を探すという使い方もできます。また、含まれている生薬のうち沢瀉(たくしゃ)以外は温性なので、冷え性の場合に効果を発揮します。ただ、今回の患者さんの場合は体質的に冷えやすい傾向にあるものの、のぼせも感じているので単品で用いるのは避けておいた方が無難です。
     一方、解答として挙げている人はいなかったのですが、桂枝茯苓丸も候補にはなると思われます。当帰芍薬散と同じく更年期障害による眩暈や肩こりに使われ、当帰芍薬散が適応する人とは反対に、のぼせの傾向が強い人に用います。おそらく候補として挙がらなかったのは、あくまで今回の患者さんの症状の原因は冷えにあると皆さんが考えたからでしょう。
     そこで、少々変則的ではあるのですが、冷えのある人にものぼせのある人にも、どちらにでも効くようにと開発された婦人華です。当帰芍薬散桂枝茯苓丸を合わせて、さらに通経・鎮静・鎮痛の目的で汎用されているサフランと、血液の循環を良くし、衰えている器官や組織を賦活するビタミンEを加えた製品ですので、体質と症状共に、かなり広い範囲をカバーできて便利に使用できるという点において他の処方よりも有効だと考えました。
     さて、婦人病疾患とは別に痛みを主眼に解答された中で一番多かったのは、桂枝加朮附湯でした。この漢方薬は上半身を温める力が強く、寒証者向きの人の神経痛に適応するので、候補として挙がるのは当然だろうとは思います。しかし繰り返し述べているように、お血を取り除く事を考えると、桂枝加朮附湯の生薬成分は鎮痛と温める効果のみに偏っており、また、汗の出やすい水分代謝に異常のある人や、基礎体力からして弱い人に向いています。なので、今回の患者さんのケースで当帰芍薬散と比較した場合は、当帰芍薬散の方が適応するでしょう。
     それから、 「肩こりには葛根湯」と云われるように、一般的には風邪と並んで使われる機会が多い葛根湯という解答がありました。その中には、患者さんの舌が白苔で温かい物を飲みたがるのは寒証だと読み、身体を温めて肩から背中にかけての強ばりにも効く物として葛根湯を推挙された方もいらっしゃいました。解説で書いたように、患者さんの症状を早く取り除くという観点から見れば、葛根湯は臨床的にも服用後の効果の発現が30分前後と早い事が証明されているので間違いではないのですが、一方で、どちらかというと急性症状の初期にこそ有効であるものの、今回のように中長期化している症状に対しては効き目が弱いという報告があるため、候補からは除外されます。葛根湯の効能にある肩こりなどは、風邪などの急性疾患による随伴症状に用いる物として考えた方が適切です。
     最後に、問題の中の「コーヒーが好きだが、お腹が冷えやすいのでホットで飲むようにしている。」という部分は、直接的ではないにせよ、この患者さん自身が症状に対して非常に好ましくない事をしているという点は見逃してはなりません。コーヒーは暑い地域で涼感を得るために飲まれているように、たとえホットで飲んだとしても体を冷やしてしまいます。発症のキッカケが冷房であった事、お腹が冷えやすいと自覚している事からすると、コーヒーが治療の妨げになる事を知らせる必要があります。かといって、好きだという物を無理にやめさせると、それがストレスとなってしまい弊害があります。そのため、今回の患者さんには影響が最小限になるように、夜間のコーヒーは控えて、後で体を動かす事が確実な朝に飲むように勧めました。
     漢方薬に限りませんが、薬の効果が思わしくない場合には、薬の変更と共に、他に阻害している要因が無いかも考えましょう。

    解説:北村俊純

    参加者コメントより
     寺山雄一郎:水出しコーヒーおいしく飲ませていただきました。
     それは、なによりでした。また何か美味しい物を見つけたら、賞品にしてみようと思います。

     鈴木陽子:漢方薬を選ぶのは本当に難しいですね。日々勉強が必要だと思いました。
     病気になるリスクは誰にもありますので、自分で知る事はやはり大切ですね。

     ともっちママ:私自身、冷え性なので漢方にとても興味があり、こちらのホームページでも勉強中です!
     冷え症の人は多いだけに、その原因も治療法も様々です。ご自分に合う治療法なり漢方薬が見つかるよう及ばずながら協力できたらと思います。

     もんもこ:とっても面白いクイズでした。貴サイトは症状で検索できるので何が効くか、判りやすくていいですね。これからも体調が悪いときは利用したいと思います。
     参加していただきありがとうございます。一応、症状で検索したいという要望がありましたので対応しましたが、症状だけでは判別できない事もありますので、今後ともお役に立てる情報を提供していくつもりです。どうぞ、ご利用下さい。

     

  • ≪第1回≫麻黄附子細辛湯

    漢方薬症例クイズ≪第1回≫

     実際の症例を元に、患者さんの症例データーを提示します。
     “書いてある内容”から推理して、適応すると考えられる漢方薬の名前を当てて下さい。
     基本的に当店で扱っている漢方薬としますが、解答としては必ずしも限定しません。「なるほど、その方法もあるか」と思われる解答であれば、正解とする事があります。(生薬のみや民間療法などは除外します。)
     正解者の中から、抽選で2名様に『サトちゃんチョークバック』を進呈いたします。
     絶対の正解というものはありませんのであくまで、“あそび”として楽しんでいただければと思います。
     皆様の参加をお待ちしています。(終了しました)

    サトちゃんチョークバック

    porch01.jpg (79273 バイト) porch02.jpg (81108 バイト)
    表側       裏側

     ベルトなどに取り付けるチョークバックです。
     写真では、350mlのペットボトルを入れてみました。
     結構便利に使えます(⌒▽⌒)

    募集期間:2月14日(土)~29日(日)
    正解発表:3月3日(水)

    問題
     65歳、女性。身長150cm、体重50kg。
     主訴は、クシャミ、鼻水、鼻づまり、悪寒。
     顔色は蒼白く、舌はやや白い程度。悪寒が背中から全体にかけてするという。
     咽喉(のど)の痛みは無く、食欲は少ないが、熱はあまり高くないとの事。
     季節は冬。関東地方の平野部に住んでいるが、雪が降った日の翌日から症状が始まった。


    正解
     
    正解麻黄附子細辛湯です。
     正解者の中から抽選でという事でしたが、単品で正解した方が2名のみでしたので、そのまま当選者といたします。
     当選したのは、以下の2名の方です。おめでとうございます。
    PzGr様…選んだ理由:悪寒、鼻水、顔色悪いかな?
    アヤ様…選んだ理由:悪寒がひどく風邪に似た症状もあるので。

    解説
     通常、上半身が冷えるとクシャミや鼻水となり、上半身に熱が篭ると鼻づまりとなります。
     この時点で主に候補となる物としては、クシャミや鼻水には葛根湯小青龍湯、鼻づまりには葛根湯加川きゅう辛夷辛夷清肺湯などがあるでしょう。実際、解答の中では葛根湯が一番多く、次いで小青龍湯となっていました。
     ここで迷うのは、患者さんは鼻水と鼻づまりの両方の症状がある事です。対処療法としては、それぞれの症状ごとに小青龍湯葛根湯加川きゅう辛夷を交互に飲むという方法もあります。
     しかし、問題の中ではさらに悪寒があり、雪が降った翌日からという注目するべき点があります。つまり、“冷え”が強いという事です。
     もう1つ気になる事としては、熱はあまり高くないという点です。葛根湯を推す人の中には「風邪の初期のようだ」と予想した人もいましたが、すでに鼻に症状が出ており、食欲が少ない事、年齢が年寄りという程ではないものの中年以降である事から体力的な衰えを考慮すると、これから熱が出る初期というよりは、体力的に“熱を出す事ができない”と考えられます。
     以上の事から、この患者さんには麻黄附子細辛湯を用いました。

    補足
     温めるという目的で麻黄附子細辛湯小青龍湯を併用するという解答もありましたが、今度は温まり過ぎて気分が悪くなるかもしれません。まずは、どちらか一方で様子を見るというのが良いでしょう。
     また、風邪の中期から後期ととらえて柴胡桂枝湯小青龍湯を併用するという解答もありました。胃腸や肝臓を養いつつ温めて体力をつけさせるという着眼点は良いと思います。
     今回のクイズでは生薬の成分には触れませんでしたが、麻黄附子細辛湯小青龍湯の組み合わせでは麻黄(まおう)という生薬が、柴胡桂枝湯小青龍湯の組み合わせでは柴胡(さいこ)が重複してしまい、あまり好ましくありません。漢方薬を複数用いる場合には、この生薬の“重複”に気をつける必要があります。逆に生薬を重複させて特定の効果が高まる事を期待するという使い方もあるので、その辺りはお店で相談するようにしましょう。
     真武湯柴胡桂枝乾姜湯という解答もありましたが、今回の場合は問題の中でそこまでの衰弱や胃腸虚弱である事を示すものはありませんので、残念ながら除外となります。
     それと、解答で多かった葛根湯は「風邪の初期には葛根湯」というイメージが定着しており、それ自体は確かなものの、この“風邪の初期”というのがなかなか曲者です。ウチのお店にも「風邪のひき初めで」と言う患者さんが来るのですが、大抵は鼻に症状が現れていたり咳が出ていたりして、すでに初期を過ぎているという事が多くあります。
     定まった説がある訳ではありませんが、葛根湯の効力から考えると「頭が痛い……ような気がする」とか「寒気がする……かな?」という状態を初期と考えて、その段階で服用する方が効果的です。風邪の治療として使う場合は、症状が出てからでは葛根湯は遅いと思っておいて、風邪をひいた気がする段階で服用ようできるように普段から持ち歩いておくのが良いでしょう。

    解説:北村俊純


    参加者コメントより
     犬山しんのすけ:どうしても小青龍湯に目が行ってしまいまし。また、紫胡桂枝湯には、悪寒を抑える働きがあるとの事ゆえ、併用で。うぅん、やっぱりお薬の道は深い(^^;
     一度目につくと、ついつい捕らわれてしまうんですよね。私も「コレにはコレ」という癖がつかないように気をつけたいと思っています。(北村)

     morikawa:漢方薬の名前を漢字で入力しようとしたが挫折しました。ひらがなで入れるのもひと苦労。このHPを作った人はすごい! どう入力すればみたことない漢字をあんなに並べられるのだろう。
     日本語入力のユーザー辞書に地道に登録していきました(^_^;)(北村)

     

  • ≪通巻38号≫
    漢方薬の講習会『理気剤(りきざい)』/ニキビの相談/“怒り”の醜さ/政府の初動、現場の初動

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      ★彡☆-=★彡  それさえもおそらくは平凡な薬局  ★彡☆-=★彡
                      ≪通巻38号≫
      提供 : まぐまぐ http://www.mag2.com/
      発行 : 北園薬局 http://www111.sakura.ne.jp/~kitazono/
      編集 : 北村俊純
      窓口 : kitazono@a1.mbn.or.jp
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    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※11月18日(火)……漢方薬の講習会『理気剤(りきざい)』
        
    ※11月19日(水)……ニキビの相談
    ※11月20日(木)……“怒り”の醜さ
    ※11月21日(金)……政府の初動、現場の初動
    ************************* 先週の平凡な日記 ***************************
    ◆11月18日(火)/2003年◆
     今日は、月に一度の漢方薬の講習会。
     テーマは、『理気剤(りきざい)』である。
     『理気剤』とは、“気滞”を治療する薬の事で、“気滞”とは「気の停滞」、すなわち“気”が阻滞された状態に相当する。
     この“気”というのは、西洋医学には無い概念で、漢方薬を胡散臭いものにしている。なにしろ、血液などのように実体の無いモノだからだ。
     しかし例えば、目には見えなくとも“ストレス”というものは存在する。そして、ストレスが原因の病気があるのも事実である。
     気滞が発生する原因は非常に多いが、気滞だけが独立して現れる事は無い。
     最も気滞に関連が深いのは、やはり精神的ストレスで、漢方では“内傷七情(ないしょうしちじょう)”と言う。“内傷七情”とは、怒・喜・憂・驚・恐・悲・思の七つの心の動きが体をも痛めるという意味だ。
     情緒系・自律神経系に影響して肝気鬱結(かんきうっけつ)と呼ばれる抑うつ・緊張の状態を生じ、これにともなって全身の各部位の気滞を容易に引き起こす。
     気滞は発生する部位によって、1)胸部気滞、2)胃気滞、3)腸気滞、4)肝気滞などに分類される。
     気滞が関連する症状としては、以下のようなものがある。
    1.膨満感=胸・脇・腹などの張り・苦しい・痞(つか)える感じがするなど。
    2.遊走性の疼痛=異所性で時間的に増減する疼痛。
    3.渋滞性の症状=排尿や排便がスムーズではない・呼吸が苦しい・嚥下困難。
    4.気逆の症状=咳・胸が苦しい・悪心・嘔吐・吃逆(しゃっくり)・曖気(げっぷ)。
     理気剤の分類は、気滞の影響を受ける部位と、その症状で整理すると分かりやすい。
    ※『肝気鬱結(かんきうっけつ)』
     別名『肝気滞(かんきたい)』とも呼ばれ、肝臓がストレスを受けた場合を指す。
     症状としては、憂鬱感・怒りやすい・胸脇部の張った痛み・月経痛・月経周期が安定しないなどである。良く耳にする自律神経失調症も、ここに当てはまる。
     治法としては、“疏肝理気解鬱(そかんりきげうつ)”と言われる方法を用いる。
     代表的な漢方薬には、『小柴胡湯(しょうさいことう)』『柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)』『加味逍遥散(かみしょうようさん)』『柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)』がある。
     小柴胡湯は肝機能障害に用いられ、B型肝炎やC型肝炎などの治療薬として医療現場では重宝されている。また、応用範囲が広く、神経性の胃炎や過敏性腸症候群にも使われる。特に腹痛によって登校拒否を訴える子供や、出社の途中で下痢をしてしまうサラリーマンなどには良いだろう。
     余談だが、神経性胃炎が進んだ場合には、もちろん胃炎により特化した漢方薬を用いる。その時には、胃が熱を持っているか、胃が冷えているかの見極めが大事である。胃炎だからといって、胃が熱を持っているとは限らないのだ。
     胃が熱を持っている時には『黄連解毒湯(おうれんげどくとう)』を用いる。
     冷たい水を飲むと症状が軽くなり、温かいお茶を飲むと気分が悪くなるというのが見分け方になる。
     逆に胃が冷えている時には『安中散(あんちゅうさん)』を用いる。冷たい水を飲むと胃が重くなり、温かいお茶を飲むと落ち着く時が適応する。
     一般的に漢方胃腸薬といった場合には、この安中散である事が多いのだが、パッケージで内容を確認して服用しないと、症状に合わないというケースもあるので気をつけてもらいたい。
     柴胡桂枝湯小柴胡湯『桂枝湯(けいしとう)』を合わせた物で、胸脇部の張った痛みが強い場合に対応する。メールマガジンでは風邪の後期に用いる漢方薬として紹介しているが、より実際的には風邪の進行具合が不明な場合など、いつでも用いる事ができるので、覚えておくと便利だろう。
     加味逍遥散は特に女性に用いられるのだが、これは血を補う作用があるからで、生理になるとイライラする場合に特に効果がある。
     柴胡加竜骨牡蠣湯は、高血圧の症状があって不眠などを伴う場合に用いる事が多い。
    ※『胸部気滞(きょうぶきたい)』
     症状としては、胸が苦しい・胸が痞える・呼吸が早く荒い・胸痛・咳などがある。
     この場合の治法では、“理気散寒(りきさんかん)”・“理気活血(りきかっけつ)”・“理気化痰(りきけたん)”という方法を用いる。漢字を見れば、この治法の考え方は分かると思う。
     代表的な漢方薬としては『柴朴湯(さいぼくとう)』なのだが、ウチには置いていない。小柴胡湯『半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)』を合わせた物で、胸部気滞は次の“胃気滞(いきたい)”と一緒に扱えるからだ。
    ※『胃気滞(いきたい)』
     この症状には、上腹部の膨満感や痛み・食欲不振・曖気・吃逆・悪心・嘔吐などの強いものなどが該当する。
     治法は“理気化湿”・“理気化痰”を用いる。
     代表的な漢方薬としては、胸部気滞の方が強い場合には半夏厚朴湯を、胃気滞が強い場合には『かっ香正気散(かっこうしょうきさん)』を用いる事になる。
     胃気滞の場合には、時として気が滞るだけではなくて、気が上部に逆流してくる“胃気上逆(いきじょうぎゃく)”という事が起こる場合がある。これが曖気・吃逆・嘔吐などで、半夏厚朴湯を用いると良い。妊婦の場合には妊娠嘔吐(つわり)に使うことが多い。
     また、胃気上逆までいかなくても咽喉に異物感がある人や、緊張すると胸が苦しくなる場合、例えば大事な試験が控えているとか人前に立たなければならない時に症状を緩和する事ができる。ドラマなどで人前で挨拶するシーンに「ん、んん」とか咳払いするシーンがあるが、あの状態の事である。
     精神的な咳にも使え、特にストレスを感じると症状が出る喘息の場合に重宝する。と言うか、自分が重宝しています(^_^;
     そうそう、緊張を軽減するという事で、ウチのお店では受験期に良く売れる。受験生はお試しあれ。また、講師のお話によれば、子供の緊張感が親にも伝播して、親もイライラ感が高まり、それがまた子供に跳ね返って親子間のコミュニケーションがギクシャクしてしまうという場合には、親子で服用するのも良いとの事。
     『かっ香正気散(かっこうしょうきさん)』は、主に胃腸方の風邪(夏風邪)に用いる事が多いので、胃気滞として使うケースは少ない。ただ、胃腸を助ける生薬が入っているので胃腸虚弱だという自覚がある場合は、使ってみると良いだろう。
     この『かっ香正気散(かっこうしょうきさん)』は純粋に日本で近年になって開発された物で、中医学(中国漢方)至上主義の流派からは忌み嫌われている。近年と言ったって千年以上前の事だし、日本の気候風土に合ってるんだから、いいと思うのだけれど、
    ※『腸気滞(ちょうきたい)』
     症状には、腹部膨満感・腹痛・腹鳴・排ガス・排便困難・裏急後重(りきゅうごじゅう)などが強いなどがある。裏急後重というのは聞きなれない言葉だが、下痢の場合はトイレに行って戻ってきてもまだお腹がしぶったり、便秘の場合には便意はあるのに出ない場合の事をいう。つまり、何度もトイレに行きたくなる状態だと思ってもらって良いだろう。
     実は、この腸気滞には「コレだ!」という漢方薬は無い。あえて挙げるとすれば、便秘薬という事になる。
     漢方薬では、『半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)』が最初の選択といったところか。
     講師も、便秘の状態に合わせて臨機応変にと言っていた。まぁ、便秘になると気滞になるから、イライラしやすくなるのは当然と言えば当然。
     講習会の帰りに秋葉原の『LaOX』に立ち寄った。
     http://www.laox.co.jp/laox/index_tone.jsp
     日記には特に面白い事もないので書いていないのだが、今のところ毎日奥さんのお見舞いには行っている。
     ミカン持ってきて、チョコレート持ってきて、漫画を持ってきてと、まぁ贅沢な暮らしをしている(笑)のだが、ビデオを観たいとまで言い出したのだ。贅沢に磨きがかかって困る(・_・)ノ
     で、病室にはビデオデッキを持ち込んだりする訳にもいかないので、何か代わりの物を捜しにきたのだ。
     ポケットPCにビデオを取り込んでとも思ったが、画面が小さいわりに3万円以上もして、目的からするとコストパフォーマンスが悪い。手帳代わりに使えばいいのだろうが、奥さんの事だから絶対にそんな風には使わない。
     持っているノートパソコンにビデオを取り込んでダウンスキャンコンバーターでテレビに出力する方法もあるが、電源コードが必要で、これまた病室には持ち込めない。
     しかし、捜してはみるものでカノープス社から出ている『SSC120EX』という製品を発見した。
     http://www.laox.co.jp/laox/index_tone.jsp
     USBケーブルを用いて、パソコンから電源を得るというダウンスキャンコンバーターだ。
     ノートパソコンだと電力消費が激しそうだが、それでも映画の一本くらいは観られるだろう。
     新製品なのか値引率は低かったが、1万3千円ならば悪くない。速攻で購入を決めた。
     また、レジの店員がものすごく丁寧で人当たりが良く、ごく自然に気配りの行き届いた人で、たった1つの商品を買うだけなのに心地良くなってしまった。
     帰りに夕飯代わりにマクドナルドに入ったのだけれど、良く考えたら昼食はロッテリアであった。
     1日に2度もファーストフードで食事を済ますというのは、かなり体に悪いのではないかと思うものの、奥さんの料理もほとんど冷凍食品だから変わらんなと酷いことを思う(笑)
     明日は、もう少しまともな食事をしよう。
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    ◆11月19日(水)/2003年◆
     商店街の同じ並びにあった『ニシワキ薬局』が閉店してからというもの、製薬メーカーや健康食品メーカーの営業マンが入れ替わり立ち代わりやって来る。
     『ニシワキ薬局』に置いていた商品を取り扱ってくれという訳である。
     まぁ、それは当たり前だし、商品を勧める資料に「いい事ばかり」が書いてあるのも当然ではあるけれど、リスクも分からないとなんとも扱いにくい。
     とりあえず資料は預かったが、ウチは漢方薬が主力だから、あまり他の商品を扱う予定は無い。お店も小さくて置き場所が無いし(苦笑)。
     病院からの処方箋を持ってくる患者さんで、毎回次の診察日を教えてくれる人がいて助かる。
     必ずしも同じ薬が出るとは限らないが、事前に薬の注文をしておいて備えておく事ができるので。
     これから風邪が流行るという事で、あらかじめ常備しておくためにと柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)桔梗湯(ききょうとう)をお買い上げいただいたお客さん、お話をしてみたら旦那さんは今咳が出ているとの事。
     熱や鼻などの症状は出ていないようなので、麦門冬湯(ばくもんどうとう)で様子をみてもらう事にした。
     ニキビの相談に患者さんが来店。
     ニキビと言って真っ先に思いつく漢方薬は清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)ではあるが、適応するのは赤ら顔の、いわゆる熱証タイプの人。
     しかし、今回の患者さんは痩せていて、冷え症もあるという。
     また、ニキビだけではなく、たまに首の後ろなどにオデキができるとの事。
     だとすると、血液の循環が悪くて、ところどころで血が滞っているのかもしれない。
     力の弱いニキビには当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を用いる場合もあるものの、そこまでは虚弱な体質でもない様子。
     そこで、普通は湿疹や蕁麻疹に用いる事が多い十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)を試してもらう事にした。名前の通り、十種類の生薬で体内の毒素を敗(やぶ)るための漢方薬である。
     また、もしニキビが化膿した場合には、排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)を使うように勧めた。これもまた名前が効能を示していて、膿を排出する事のできる漢方薬である。虫歯などの歯茎の化膿にも使えるので常備しておくと役に立つだろう。
     前回のメールマガジンで書いた、未承認抗がん剤での治療に保険を適用することについて、『中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)』の『基本問題小委員会』が年内にも正式決定する運びとなった模様。
     (11月17日の日記を参照)
     保険を適用することを正式決定しても、承認されるのはさらにその後なので、実際に使えるのはまだ先のこととなるが、保険適用の承認を迅速化するために、審査期間を4ケ月~半年程度に短縮するとの事なので、通常だと1~3年かかる事を考えれば期待してもよいかもしれない。
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    ◆11月20日(木)/2003年◆
     今日は朝から雨。
     気温はそれほど低くはないが、やはり雨が冷たくて寒く感じる。
     ホカロンを欲しいというお客さん、少しお話をしたら旦那さんが寒気がするというのでホカロンを買いに来たとか。
     風邪薬は飲んでいるのかも尋ねたところ、眠くなると仕事に差し支えるので飲んでいないとの事。
     それならば、漢方薬で眠くならない風邪薬がありますよと麻黄湯(まおうとう)を勧めた。
     それと、すでに寒気がしているという事は熱が出てくる可能性がある。仕事を休めそうもないのであれば、地竜(ぢりゅう)を合わせて飲むように勧めた。
     病院からの患者さんに出す薬で500錠仕入れてしまった物があり、その患者さんが1回限りで来なかったためどうしようかと思っていたところ、同じ薬を処方された患者さんが来た。
     なにしろ1錠で200円くらいする薬なので、在庫を抱えると痛い。それが今回は360錠が一気に掃ける。ヤレ助かった。
     風邪をひいたという患者さんが来店。
    「パブロンを下さい」と言われて、つい「効きますか?」と訊いてしまった。
     売る方が「効きますか?」って尋ねてどーする(笑)
     ウチでは、余り効かない事になっているので(・_・)ノ
     そこへ、いつも漢方薬を使っていただいている患者さんが来店。大きな声で「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)麦門冬湯(ばくもんどうとう)をくれ!」と注文された。
     そして、「あれだよな。風邪が進んじゃったら、柴胡桂枝湯でいいんだったよな? 麦門冬湯は痰のからむ咳でいいんだっけ?」と確認された。
     はい、間違いございませんm(_ _)m
     それを聞いた最初の患者さん、「俺もそうするかなぁ」と乗ってきた。説明の手間が省けちゃった(⌒▽⌒)←省くな。
     買う物が決まっている後からの患者さんのお会計を先にさせてもらい、改めて最初の患者さんの症状を詳しく尋ねた。
     風邪の症状はすでに進んでいるようなので、葛根湯(かっこんとう)では間に合わない。まずは、先ほどの患者さんと同じ柴胡桂枝湯を勧めた。
     その上で、咳は酷くなくて疲れの方が溜まっているようなので、地竜(ぢりゅう)を合わせて服用するように伝えた。
     ハンセン病を理由に『アイレディース宮殿黒川温泉ホテル』が国立ハンセン病療養所『菊池恵楓園』(同県合志町)の入所者らの宿泊を拒否した問題で、同ホテルの前田篤子総支配人らが謝罪のため同園を訪れたとのニュース。
     しかし、入所者自治会は「ホテル経営や自分の地位を守るための謝罪で誠意が感じられない」と謝罪文の受け取りを拒否したとの事。
     また、法務省人権擁護局は、旅館業法(宿泊をさせる義務)違反での捜査当局への刑事告発も検討しているとか。
     私も怒りやすい性格だが、それだけに怒っている人々というのはテレビで見るとその“醜さ”にゾッとさせられる。
     なにより、人には“受け入れられないモノ”があるという事が、差別を解消しようという意識の高まりに反比例するように忘れられているのが私には気になる。
     以前に差別について書いたように、現在の日本の環境であれば差別しない相手を探す事もできるはずで、差別したい人にはさせておけばいいではないかと私などは思ってしまう。
     (10月12日の日記参照)
     人が理性のみで物事を割り切り、論理的に判断するだけであったなら、それは血の通わない機械と同じである。(科学が進歩したら、いずれこの言葉も機械に対する“差別的発言”となるかもしれない。)
     人間には心がある。心があるから、根拠が曖昧でも人を信じ愛す事ができる。それは、正しい知識も無しに差別する心と表裏一体であろう。
     入所者らが不当に扱われ人権侵害をされてきた事には同情するが、まさに、その“心の狭さ”によって誤解され、迫害されてきたはずではなかったのか。
     許す心を持てない人は、受け入れる心を持たない人と同じに私には思える。
     熊本県の方も問題で、ホテル側が宿泊を断った時、社会的に不利になるというような話で再考を促したという報道がある。ようは、脅迫だ。
     正しいデータを示すのでもなく、情に訴えるのでもなく、脅しにかかったのでは説得も何もあったもんじゃない。
     それで、「人権侵害にあたり、旅館業法違反の疑いがある」として法務局に通報するというのは、“正しい知識の普及”に務めていないのではないか?
     ホテル側は当初、宿泊拒否の理由について「ハンセン病をすべての宿泊客が理解しているわけではない。他の客に迷惑が掛かる」と説明していたそうで、残念ながらこれは“正しい”認識なのではないだろうか。
     他の宿泊客から苦情が出た場合、あるいはキャンセルされた場合の事を考慮すれば、宿泊を断るというのは経営判断として間違っているとは思えない。何故なら、まさかハンセン病患者が宿泊する事を理由に他の客がキャンセルをした場合、その損失をハンセン病患者に請求する訳にはいかないではないか。
     『全国ハンセン病療養所入所者協議会』の中央執行委員である平野昭氏は「理解が進んでいると思っていただけに残念。県が事前にホテル側を説得しておくべきだったとも思う」と話している。
     もし県が本当に、ホテルを始めとする事業主にハンセン病患者への差別を無くすための働きかけを積極的に進める気があるのなら、まずは受け入れる事が商売として“美味しい”と認識させるべきだと私は思う。
     先の県がホテルを説得する時にも、損失が出ない事を保証して、受け入れた場合のイメージのアップなどを提示するべきだったのではないか。
     こう言うと、営利優先でケシカランと思うむきもあるかもしれないが、企業の利益によって多くの国民が生活できている事実も忘れてはいけない。
     むしろ、営利を優先しなければならないという資本主義に基づく営利活動の原則を利用して、弱者をいたわる社会作りに活用した方が良いだろう。
     差別する心には根拠は無い。根拠が無いのに、論理的に説得したってすれ違うだけで相互理解はとてつもなく難しい。
     それならば、互いに理解し合う事は難しい事こそを認識し、“折り合える”点を接点として互いに“利益”を得る方が、平和的だと思う。
     繰り返すが、怒っている人々というのは醜いものだ。(自戒を込めて)
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    ◆11月21日(金)/2003年◆
     今日は大快晴。
     日中の気温は25度にまで上がるらしい。
     それでいて、明日は12月の気温になるという予報。まったく、ふざけた気候である。
     サトウ製薬の営業マンが来店。
     風邪をひいて、しばらくお休みしていたらしい。風邪の猛威が始まっているようである。
     何かサトちゃんグッズなどを貰おうと、しばし仕入れの交渉。
     1万円分仕入れると○○が付くなどの条件を提示されたので、○○よりも△△が欲しいというような次第。
     ウチに来るお客さんや患者さんは、時として「あっ、お財布忘れちゃった」とか、「後でまとめて払うから」という事がある。と言うか、多い(^_^;)
     まぁ、それで渡しちゃう方もなんなのだが、特に風邪薬とかを買いに来た人に、またお金を取りに戻って出てきてもらうのでは本末転倒なので。
     かと思うと中には、たまたまお金を多く持っているからという事で、「後で貰いに来るから」とお金だけ先に払っていく人もいる。
     そうすると、ツケだの先払いだの、だんだん分からなくなってくるため、レジにはそのメモがどんどん増えて少々汚らしい(苦笑)。
     政府が21日の閣議で、大災害や大事故が発生した場合の基本的な初動体制を定めた危機管理マニュアル“緊急事態に対する政府の初動対処体制について”を決定したとのニュース。
     地震や噴火などの自然災害や大量殺傷事件が発生した場合を想定しているそうで、基本的な初動体制を統一して、徹底した方が臨機応変に対応できると判断し、従来のマニュアルは廃止したとの事。
     それにしては、「<1>危機管理監が事態に応じて緊急参集チームを集める<2>官邸対策室、関係閣僚協議、安全保障会議、対策本部を設置する<3>官房副長官は官房長官を補佐し、事態に応じて政府の対応に関して総合調整を行う。」というのは、“初動対処体制”と“臨機応変に対応”というのに反しているように思えるのだが。
     アメリカの場合、その現場に公務員がいれば役職上の上司が現場指揮を執る権限を持つように定められている。また、国の軍隊が動けない場合には、自治能力のある集団が武器を持って行動する事を認めている。(州によって違うかもしれないが)
     緊急事態の時に、チームを集めるとか対策室を設置するという発想が悠長だという事になぜ気がつかないんだ(^_^;)
     確かに今回の危機管理マニュアルは、“政府の”対応策として作成したものだろうが、1~3のいずれも当たり前すぎてわざわざ決める必要があったのかという気がしてならない。
     むしろ阪神淡路大震災を教訓にするのであれば、知事に近隣の自衛隊基地に出動を要請ではなく命令できる権限を与えるとか、負傷者の手当てで医療過誤があったとしても罪を問わないとか、本当の初期の初期、政府が本格的な介入を始めるまでの対策を決めてもらいたい。
     森元総理は、えひめ丸が米原潜と衝突して沈没した時、自分が官邸に駆けつけても仕方がないとしてゴルフを続けていために非難されたけれど、現場からすれば政府の初動体制なんて確かに「どーでもいい」事なのだ。
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    今回の日記の内容は、いかがでしたか?
    【感想アンケートのURLはコチラです】
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    ☆締切:2003年12月1日から3日間
    ~~~~~~~~~~~~~~ ≪読者より一言≫ ~~~~~~~~~~~~
    (通巻37号はコチラ)
    ☆共感する事もあった
     抗がん剤の保険適応について。全く、何とかして負担を減らして欲しいものです。モルモットにされた挙句、毎月何万円も負担なんて、踏んだり蹴ったりですからね。
     あと<X’mas>の話、確かに間違いが横行してますねー(笑)。(MIKA)
    ★抗がん剤の保険適応については、ちゃんと動き始めたようです。患者さんの期待を裏切らない運用をしてもらいたいですね。
     クリスマスの表記に関しては、グーグルで検索してみたところ、『X’mas』が約1,540,000件、『Xmas』が約2,890,000件ヒットしました。一瞬、ずいぶんと間違いがあるんだなーと思ったのですが、『X-mas』という表記もあって、それが『X’mas』の類似としてヒットしたようです。でもって、『X’mas』の表記をしているのはほとんど日本語ページばかりでした。ちょっと恥ずかしいかも(^_^;)
    ■■■■■■■■■■■■■■■□免責事項□■■■■■■■■■■■■■■
     記載内容を利用して生じた結果について、当方では責任がとれませんのでご了承ください。
     また、筆者が思った事や感じた事を率直に書いている事柄に関しましては、反証可能な事実誤認以外の訂正には応じられません。
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  • ≪通巻37号≫
    クリスマスカードを作る前に綴りをチェック/漢方薬のお店に来て漢方薬は嫌だとはこれいかに?/アミノ酸再び、いやテレビでは三度目か

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      ★彡☆-=★彡  それさえもおそらくは平凡な薬局  ★彡☆-=★彡
                      ≪通巻37号≫
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    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※11月15日(土)……クリスマスカードを作る前に綴りをチェック
    ※11月16日(日)……漢方薬のお店に来て漢方薬は嫌だとはこれいかに?
    ※11月17日(月)……アミノ酸再び、いやテレビでは三度目か
    ************************* 今回の平凡な日記 ***************************
    ◆11月15日(土)/2003年◆
     胃薬を飲んでいるのに、朝食の後にみぞおちが痞(つか)えるような感じがするという患者さんが来店。
     飲んでいる胃薬が何か尋ねると、『ガスター10』との事。
     『ガスター10』は効能書きに「胃痛、胸やけ、もたれ、むかつき」となっているが、使用目標は“胃酸過多”である。つまり、胃酸の出を抑える作用があるわけで、胃酸過多による症状でなければ胃酸の出が悪くなって胃痛や胃もたれになってしまう。
     適しているかどうかの目安としては、症状が“空腹時”に現れるのか“満腹時”に現れるかだろう。
     今回の患者さんの場合は、食後という事なので適応外となる。
     そこで、舌の状態を見せてもらうと、舌の白い苔が左右に割れていた。これは、神経的な緊張(心配事)などが原因で胃が水を上手くさばけていないと考えられる。
     その事を尋ねてみると、どうやら当たったようで悩み事がある様子。となると、治療するための漢方薬としては、2種類が候補に上がる。
     みぞおちが痞えるような感じがするというのに相違が無ければ、胃が痙攣しているという事なので半夏写心湯(はんげしゃしんとう)が適応する。
     もう少し上の部分、咽喉の下の方が痞えるようであれば、食道が狭窄しているということであるから半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)が適当だろう。
     また、胃潰瘍の予防には柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)も使える。胃潰瘍を治すほどではないが、消化器と肝臓を助ける働きがあるので、症状が激しくなければ使ってみるのも良い。
     今回の患者さんは、まず半夏写心湯を試してみて、合えば服用を続け、合わなければ半夏厚朴湯を試してみるという事にした。
     眩暈(めまい)と吐き気に葛根湯(かっこんとう)を求めて患者さんが来店。
     風邪の初期であれば、そういう選択もあるとは思うが、お話を訊いてみると、わりと頻繁に起こってる症状らしい。
     吐き気が強いようであれば、二陳湯(にちんとう)を服用すればだいぶ楽になるはず。
     しかし、食欲が落ちているわけでもないのに眩暈とともによく起こるのだとすれば神経的な要因も考えられる。
     今回は、神経的な眩暈に重点を置いて苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)を勧めた。
     そろそろクリスマスのイルミネーションが飾られたり、クリスマス商戦に向けた企業やお店の宣伝活動が始まった。
     それらのチラシやポスターを見て気になるのは、『X’mas』という表記。
     最近では『Xmas』という表記が増えたのに、未だに『’(シングルクォーテーション)』を見かけることがある。近所のスーパーのチラシに書いてあった時には、前のめりにズッコケてしまった。(人生いつでも前のめり。)
     英語表記では、『’』は何らかの文字を省略した場合に用いる。「I am」を「I’m」とか、「can not」を「can’t」というように。
     では、『X’mas』というのは、何を省略しているというのか。
     そもそも、あの『X』は、アルファベットの『X(エックス)』ではなく、ギリシャ文字の『X(カイ)』である。『X(カイ)』は、それ一文字で『キリスト』を意味する。
     そして、『mas』は英語では『お祭り』の意味で、その語源はラテン語の『missa(ミサ)』に由来し、本来の意味はカトリックの事を指して、そこから転じて、ローマカトリック教会で神を讃え、賛美と感謝を捧げる聖体拝領を行う典礼の事を意味するようになった。
     だから『クリスマス』とは、“キリストを讃えるお祭り”という意味で、『Xmas』という1つの単語なのだから、何も略してはいないのだ。
     『キリスト』を英語で表記すると『Christ』だから、『Christmas』というのを省略するとすれば『C’mas』という表記が正しいかもしれない。見たこと無いけど。
     ちなみに、『キリスト』というのは名前ではなくて、油を塗られた者という意味で、王に与えられた称号だったのが転じて救世主の意味となり、『イエス』の敬称として使われるようになった。
     もしこれからクリスマスカードを自分で作ろうという人がいたら、『’』を付けないように気をつけましょう。
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    ◆11月16日(日)/2003年◆
     以前に腰の神経痛で麻杏よく甘湯(まきょうよくかんとう)を渡した患者さんが来店。
     神経痛の方は治まったのだが、肩こりが残っているとの事。
     しかし、仕事で良く手を使うという話を以前に聞いているので、腱鞘炎と同じ症状が肩に出ているのではないかと推測した。
     詳しく訊いてみると、やはり“こり”というよりも“痛み”の方が強いらしい。
     胃腸は丈夫そうなので、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)を勧めた。
     効能は腰痛や関節痛だが、腕を良く使う人の疲労による痛みにも効果がある。
     咳止めの薬が欲しいという患者さんが来店。
    「早く治るヤツをくれ」との事だったので、まずは咳の種類を確認するために症状を尋ねてみた。早く治すには、ピンポイントで狙い撃ちするのが大事である。
     ところが、「そんなのいいから、効くヤツくれよ」という。
     ええと、教えてもらわないと手も足も出ないんですけど。
     とりあえず重ねて、痰のからむようなゴホンゴホンという咳か、乾いたようなコンコンという咳かを質問すると「両方だ」との答え。
     両方? うーん、まぁそういう事もある。
     そこで、寒くなると酷くなるか暖かくなると酷くなるかを尋ねてみた。すると、寒くなると酷くなるという答えだった。
     寒くなると咳が酷くなる場合には、温めながら咳を止める小青龍湯(しょうせいりゅうとう)が適応するだろう。
     そう思って勧めてみたのだが、「漢方薬は長く飲まなきゃ効かないんだろう」と断られた。
     “また”である。漢方薬は長く飲まなければ効かないという誤解は、どこから出てくるのか私としては理解に苦しむ。
     しかし、患者さんの要望は「早く治す」という事だったので、まずは効き目が早い事を説明した。私自身も冬場の喘息には小青龍湯を服用しており、飲むとすぐに体が火照ってきて咳が楽になるのを体感しているし、単に咳を止めるというのではなく治すという観点から言えば、かなり効果が期待できる。
     だが今回の患者さんは、「そんなの3日ぐらい飲まないと効かないんだろ?」と、こちらの説明がまったく耳に入らなかった模様。
     漢方薬を毛嫌いしている人がいるのも確かだし、以前に何らかの治療で漢方薬を用いて期待した効果が得られなかった人などは特にそうだ。中には、“漢方薬”と言っておきながら、服用した物がなんだったのかを尋ねてみると、漢方薬ではなくて単なる生薬だったり、民間療法を試しただけという事もあるのだけれど。
     とにかく、それほど漢方薬を信用できないようならば仕方が無い。一般の市販薬の中から咳止めを選ぶ事にした。
     ところが、咳がどれくらい続いているのかを尋ねたら、かれこれ1週間近く続いているらしい。それも、日が暮れてきてから酷くなるという。
     となると、一般の咳止めでは一時的に神経を麻痺させて咳を止めても、薬が切れればまたぶり返すのは目に見えている。
     漢方薬の方が早く治すことができると、再度勧めてみた。
     それでもやっぱり、「漢方薬ってのは、3日くらい飲まなきゃ効かないんだろ?」と言う。
     そんなに嫌がるほど何かあったのかというのが気になり、以前に漢方薬を使った事があるのかを尋ねてみたのだが、使った事は無いとの答え。
     ううん、使った事が無くて「3日くらい飲まなきゃ」というのは、いったいどういう根拠なのか。
     だいたい現在では、一般の市販薬の中にも漢方薬の葛根湯(かっこんとう)を処方した『カコナール』という製品や、桂枝湯(けいしとう)を処方した『コルゼシロップ』などの製品もある。効き目が遅かったら、風邪薬として役に立たないと思うのだが。どちらにしろ、残念ながら今回のように咳が主訴の場合には効果を発揮しない。
     良くない事だけれど、なんだか相手をするのもバカバカしくなってしまった。
     何故なら、ウチの周辺は複数のドラッグストアーが犇(ひし)めき合っている激戦区である。
     その中で、どうして『漢方相談』の看板を出しているウチに来て、漢方薬は嫌だと言うのか分からない(^_^;)
     ウチの近くに“にんにくラーメン”という看板を出している『げんこつラーメン』というラーメン屋があるが、その店に入って「にんにくは嫌いなんだ」
    と言われてもねぇ………。
     結局その患者さんは、目に付いた(まさにパッケージを見ただけ)咳止めのシロップを買っていった。
     漢方薬の効果に疑問を持っていながら、成分も詳しい効能も確認せずに薬を買っていくとは不可解な(?_?)
     説明しないで適当に選んで買ってくれるなら、こんな楽な商売は無いのだけれど。
     民主党になった小沢一郎氏が、テレビ朝日の番組に出演し、同党が議席を伸ばした衆院選について「負けは負けだ。率直に認めて今後の対応を考えなければならない」と発言したというニュース。
     カッコ良すぎるぞ(笑)
     菅直人氏が精一杯負け惜しみを言って、みっともなさを倍掛けでさらしているのに対して、小沢氏の発言は民主党を頼りないと思っている人を振り向かせるのではないだろうか。
     うかうかしていると、本当に民主党は小沢氏に乗っ取られてしまう予感がする。
     私は小沢氏も菅氏も嫌いだけど、小沢氏の持っている“悪の魅力”は依然として「何かを壊してくれる」期待感を抱かせる。首相になる前の小泉氏と同じではあるな。
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    ◆11月17日(月)/2003年◆
     『ハルンケア内服液』を求めて患者さんが来店。
     http://www.nccpromo.net/harncare/
     頻尿で、夜中に何度もトイレに起きてしまうとの事。
     しかし『ハルンケア内服液』は、1日分で千円もする。
     この『ハルンケア内服液』、内容成分は漢方薬の八味地黄丸(はちみじおうがん)と同じである。それでいて、ウチでの価格は1週間分で1千4百70円。八味地黄丸の方が断然お得である。
     そこで、その患者さんも八味地黄丸に決めて1ヶ月分購入するという。
     ヤタッ(⌒▽⌒)♪
     ところが、一度お会計を済ませたところで、ふと気になった。目の前の患者さんは恰幅(かっぷく)もいいし、50代そこそこに見える。八味地黄丸が合うようには見えない。
     のぼせが無いか尋ねたところ、少し顔が火照ったりするという。しかも、体力自体はある様子。
     それならば、八味地黄丸よりも六味丸(ろくみがん)の方が良いかもしれない。
    加齢による機能面の低下であれば八味地黄丸だが、季節の変わり目などによる疲労から来る物質面の低下には六味丸を使う方が合う。
     その事を説明し、六味丸を1週間分だけ試してもらう事にした。もし合えば、買い足すとの事。
     お会計を計算し直して、差額をお返しした。
     イカンイカン、目の前の売り上げに釣られたらイカンよ。>俺
     乙字湯(おつじとう)の液剤が順調な滑り出し。
     痔の薬というと、どうしても塗り薬の方を選ぶ患者さんが多いが、繰り返しなるようならば、やはり体の中にこそ原因がある。
     痔の症状は、あくまで体の不調が特定の部位に現れただけで、塗り薬だけでは対症療法にしかならない。
     店頭では、その事を説明するとほとんどの患者さんが塗り薬と合わせて購入してくれる。
     でも、それで治ってしまうと、もう塗り薬の方も買わなくなるので、実は乙字湯を売れば売るほど収入減になるような気もするな(苦笑)。
    「アミノ酸を下さい」というお客さんが来店。
     またですか(笑)。
     (10月10日の日記を参照)
     なんでも、昨日の『発掘! あるある大辞典』でアミノ酸の事をやっていたらしい。
     調べたら、この番組ではアミノ酸を取り上げるのは3回目。
     そろそろアミノ酸ブームも下火になってきたから、スポンサーのテコ入れか。
     http://www.ktv.co.jp/ARUARU/
     番組中では肝臓にいいと放送していたとかで、お客さんは肝臓に効くアミノ酸が欲しいという。
    「効く」と言われると、「無い」としか言いようが無いぞσ(^◇^;)。
     どうやら、お酒を飲む前に摂取すると悪酔いを防ぎ、お酒を飲んだ後に摂取すれば二日酔いにならないという事だったらしいのだが、そもそもアミノ酸はタンパク質を構成するものである。それなら豆腐を食べて油揚げの入った味噌汁を飲めば充分。
     どうして、わざわざ高いお金を出して、アミノ酸を購入する必要があるのか。どう考えても、スポンサーの意向が反映されているようにしか思えない。
     しかも、番組では「アミノ酸は薬局・ドラックストアなどで取り扱っています。」と言ったとか。
     ウチには置いてませんよー( ̄^ ̄)
     今回のお客さんは、アミノ酸の種類も確認していなかったようなので、もし肝臓が心配ならばとネオレバルミンを勧めてみた。
     360粒入りの瓶を買っていかれたが、たぶんアミノ酸を服用するよりも効果があります。
     抗がん剤の使用を、保険適用で使いやすくするための抗がん剤の『併用療法検討委員会』を厚生労働省に設置するとのニュース。
     現在日本では、複数の抗がん剤を組み合わせる併用療法で未承認薬を1つでも使うと、治療費が全額患者負担となる。
     そのため患者団体は製薬会社に効能拡大の申請をするよう求めているが、製薬会社側は臨床試験に時間と経費がかかることなどから申請に消極的だという。
     確かに製薬会社も企業である以上は、数十億円の投資をするというのはリスクが大きすぎて難しいのは理解できる。
     また、未承認の薬を信じて使用するのは患者の自己責任においてという事で保険を適応できないという考え方も間違っているとは思わない。
     しかし、こう言ってはなんだが、使用する患者さんは、いわば自ら人体実験をするようなものなのだから、そのデータを買い上げるという形で企業や国で補助してもいいと思うのだけれど。
     同省は委員会が選んだ抗がん剤による治療を特定療養費制度の中で保険適用し、申請の「呼び水」としたい考えのようだが、果たして上手く活用できるのだろうか。
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  • ≪通巻35号≫
    体験! ジェットコースタードラマ/選挙があると薬屋は儲かる?/子宮筋腫のCT画像

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      ★彡☆-=★彡  それさえもおそらくは平凡な薬局  ★彡☆-=★彡
                       ≪通巻35号≫
      提供 : まぐまぐ http://www.mag2.com/
      発行 : 北園薬局 http://plaza2.mbn.or.jp/~kitazono/
      編集 : 北村俊純
      窓口 : kitazono@a1.mbn.or.jp
      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ◆お詫び
     諸般の事情により、メールマガジンの発行が大幅に遅れて申し訳ありません。
     10日(月)の日記で一部触れていますが、詳しくは次号の日記に書く予定です。
     健康相談と商品の注文には遅滞の無いようにいたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。
    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※11月8日(土)……体験! ジェットコースタードラマ
    ※11月9日(日)……選挙があると薬屋は儲かる?
    ※11月10日(月)……子宮筋腫のCT画像
    ************************* 今回の平凡な日記 ***************************
    ◆11月8日(土)/2003年◆
     今日は、毎月開催しているSNAKE-EYESのTRPGコンベンションである。
     私もスタッフとして関わってから5年ほど経つが、土曜日の開催というのは初めて。
     以前から参加者から土曜日開催の希望があった事、学校の週休2日制が定着した事、会場の予約が完全抽選になり土曜日の方が倍率が低い事など条件が揃い、実際にどの程度の参加者数があるのかを確かめてみたいという算段もあって今回の日程に決めた。
     会場に到着すると、入りは定員の半分程度。こりゃまた少ない。
     一方で、いつもは半分しかいないスタッフが、珍しく勢揃いした。一般参加者2人に対して、スタッフが1人という構成である。
     それならばと、今回はスタッフ全員が各ゲーム卓に入ってゲームに参加する事にした。通常は受付に事務スタッフを2名は残すのだが、まぁ今回は目が届くだろうという事で。
     TRPGについては、8月3日の日記を参照。
     今回私が入った卓のゲームのタイトルは、『もう誰も横浜の果てで涙と言う名の同窓会だけ見えないRPG』。
     ピンと来た人は、90年代にトレンディドラマならぬジェットコースタードラマを観ていた人だろう。
     念のために書いておくと、ジェットコースタードラマとは、10分でも見逃したらストーリーが分からなくなる程の急展開があり、なんの脈絡も無く殺人事件が起きたり、伏線も無くドンデン返しがあったり、重要だと思っていた登場人物がいつの間にか出なくなったりという、そういう事が“許された”時代の仇花のようなドラマの事である。
     いや、最近もそんなドラマがあるらしいけど、とんと見ていないので知らない。
     
     で、まずプレイヤーはゲームの中で使う登場人物=キャラクターの設定を決める。自分で考えても良いのだが、キャラクターを作るための表があるので、それを使う事にした。6面体ダイス(サイコロ)を振って、その出目に対応した事柄をキャラクターの設定として使うのだ。
     例えば私のキャラクターは、表の顔として“普通”の“飲食店経営”で“お金に困っていない”となった。もちろん、これだけでは面白くないので、裏の顔もダイスを振って、表を当てはめる。すると裏の顔は、“悪徳”の“医師”で、“誰かの財産を狙っている”し、“逮捕歴がある”し、“隠し子がいる”となった。
     何故みんな、(゚゚)(。。)(゚゚)(。。)ウンウンと頷くんだ。特に、“隠し子がいる”というところで(笑)
     このままだと整合性がまったく無くなってしまうので、細かい設定の調整は自分でやる。今回は、どういう偶然か他のプレイヤーさんたちのキャラクターが高校生や高校の教師などに偏り、舞台設定を高校にしようという事になったので、私は高校の近くの喫茶店のマスターという事にした。ただし、裏の顔が悪徳医師という事なので、ヤクザなどの裏家業の人たちを相手に治療したり、時には暗殺を請け負う闇医者という事にした。
     ちなみに、他のプレイヤーさんたちのキャラクターは以下の通り。
     最初の、手塚真というキャラクターが私のキャラである。
    『手塚 真』……喫茶店『マンハッタン』経営。裏の顔は闇医者。隠し子がいる。
    『手塚恭平』……真の養子で男子高校生。裏の顔は番長で、実は真の実子。
    『山中裕季』……ミュージシャンで恭平の先輩。『マンハッタン』に居候しており、実は恭平とは異母姉弟。
    『安斉和也』……高校の養護教諭。裏の顔は、研究者でバイセクシャル。
    『石川 均』……高校の事務員。裏の顔は、プレイボーイで恭平を狙っている。
    『針谷響子』……高校教師で和也にぞっこん。裏の顔は風俗嬢のバイトをしている。
     そして、さらに関係が複雑な事に、真と響子と均の3人は某金持ちが愛人に産ませた異母兄弟で、真と均だけがその事を知っている。
     だって、ダイスを振ったらそうなっちゃったんだもの(^_^;
     しかも、どう見ても生徒も教師もまともじゃないため、ゲームのタイトルに合わせて学校名を『横浜第二高校』とした。なんとなく、頭悪そうな学校だよねって事で。ホントにあったらゴメンなさい(苦笑)。
     さて、物語の進行だが、これは“運命濁流表”というもので決まる。キャラクターを作った時と同じようにダイスを振ることによって、その出目と対応した表があり、それによって状況が決定付けられるのだ。
     そして、その状況にキャラクターがどういう行動を起こすかをプレイヤーはアドリブで演じていく。
     例えば、響子は上司に呼び出されることになった。高校の上司であるから、校長か教頭という事になる。響子の裏の顔は風俗嬢であるから、もしかするとその事かもしれない。さて、どうするか?
     今回はプレイヤーが素直に従う事を選択した。すると、呼び出された理由は担当しているクラスの宿題の提出率が悪いという事で注意を受けたのだ。下手に何か別な行動を起さなくて正解だった訳だ。
     そんな調子で、ドラマの第1話にあたる最初の30分は、登場人物の紹介という感じになった。
     これがまぁ、ロクな登場人物がいない(笑)
     養護教諭の和也がいる保健室には、常時生徒が寝に来ていて、ベッドの予約まで入っている始末。
     私のキャラクター、真が経営している喫茶『マンハッタン』には昼間っから生徒がダベッているは、居候の裕季は後輩に学校をサボらせてバンド活動をしているは、その高校の事務員は教師も生徒も関係無くたらしこんでるは、ひどいもんである。校内暴力で荒れてる高校の方がマシじゃあないのか(笑)?
     30分で、だいたいドラマの1話という事で区切りをつけて第2話目に入る前に、再び“運命濁流表”に基づいてダイスを振った。
     ここで決まった事が、いわば第2話の予告となる。
     すると、私のキャラクターである真が“子供を殺す”という事になった。早くも第2話でそんな展開かい(^_^;
     同じように、他のキャラクターたちも“見せ場”となる展開が決まった。第2話目では、どんな形でもいいからアドリブでそのシーンを演じなければならないのだ。
     そして、第2話目を開始。コーヒーの出前の注文を受けた真は、車で配達に向かう途中で子供を跳ねてしまう。すぐに飛び出して子供の状態を確認し、病院へ連れて行ったが死亡。これにより、とりあえず“予告”の内容はこなした事になる。
     しかし、それではドラマは面白くならない。闇医者である真は知り合いの武井代議士に事件の揉み消しを依頼した。唐突に悪徳代議士が出てきて事件を揉み消すのは、この手の安っぽいドラマの常套手段だろう(笑)。
     そうやって物語が転がり始めたら、他のプレイヤーも乗らなければ物語の蚊帳(かや)の外に置かれてしまう。
     そこで、実は死んだ子供はプレイボーイの事務員である均の1人息子という事にして、武井代議士から遣わされた秘書から多額の見舞金を受け取り、均はその金を自らの借金の返済に充ててしまう。だが妻はそんな事では納得できずに警察の捜査に不審な点があるとして真相究明のための市民活動を始める。
     そうしてまた一区切りついたところでダイスを振り“運命濁流表”で次の話の“予告”を決めていった。
     このまま全編を書くと本当にドラマが1本できてしまうので(しかも支離滅裂な)割愛するが、一応この後の荒筋はこんな感じである。
     
     高校教師の響子は恋人の和也に風俗嬢のバイトをしている事を知られ、寝ている和也の部屋に火を点けて心中を計ろうとしたものの気づかれて失敗してしまう。そして数日後に学校に行くと、風俗でバイトをしているという事で退職を迫られた。後任には、なんと和也の大学時代の“彼氏”が赴任する事が決まっていた。傷心の響子は高校を退職し、風俗嬢として生きる事を選択した。
     そんな響子に、武井代議士の息のかかったスナックのママをやらないかという話が持ち込まれる。いわば、政治家が表立っては取引のできない事をやるための場所だ。自ら堕ちていく事を選んだ響子は、その話を受ける。
     一方、私のキャラクターである真は、武井代議士の依頼により、広瀬という女性ジャーナリストの暗殺を依頼される。しかし、広瀬は真の旧来の友人の1人であった。なんとか広瀬を殺さずに、しかし武井代議士に任務を遂行したと思わせる方法は無いかと思案したが……。
     残念ながらゲームが時間切れで、この件に関しては未解決となってしまった。
    まぁ、ジェットコースタードラマには、そんなふうに張られた伏線が解決しないまま最終回を迎えて、「そういやアレはどうなったんだ?」という事が多かったから、これはこれで良し(笑)
     響子を裏切った和也は、かつての“彼氏”と再び恋仲にとなるはずが、その彼氏が麻薬の密売をしている事を知り愕然とする。麻薬で頭のおかしくなった彼氏に警察に自首するように勧めた和也は、結局は響子を失い、元恋人の彼氏も失ってしまった。いと哀れ。
     子供を交通事故で失った均は、お金を受け取っておいて真が起した交通事故の真相追究を妻がしようとするのを抑えられないのは裏切り行為だとして、武井代議士が雇った刺客に刺されてしまう。その時に、自分の子供を殺したのは異母兄弟である真だという事を知り、瀕死の状態になりながら真のいる喫茶店に向かった。
     喫茶店に入り、実の兄である真を殺そうとナイフを握り締めてカウンターに近づき、悟られないようにコーヒーを注文する均。真の方も均が自分に復讐をしようとしている事に気がつき包丁を手にしながらコーヒーを差し出す。
     お互いが相手を殺そうとしたその瞬間、均の方が先に椅子に座ったまま絶命した。真は、周りの客に気づかれないように「お客さん、具合でも悪いんですか」と声をかけて、均の遺体を運び出した。
     裏で番長をしている恭平は、バンド仲間の少年がやはり同級生の少女を妊娠させてしまいバンドも学校も辞めて働く姿に感動(?)して、自分も愛に生きてみたいと思うようになっていた。そんな恭平の前に、キャピキャピした(死語)女子生徒が転向してきて(苦しい時の転校生頼み)、一目ぼれされた恭平は追い回されることになった。今回のドラマ中、唯一救いのあるオチのような気がする(笑)。
     バンドをやっている、ミュージシャンで真の喫茶店に居候をしている裕季は、1人カウンターで新しい曲を完成させた喜びに浸っていた。
     ドラマの重要な位置にいながら、ちっとも本編に関わってこないヒロイン(笑)
     なんだか打ち切りドラマのようになってしまったが、久しぶりにバカなゲームをやってかなりリフレッシュした気がする。
     本当はそのまま撤収作業をして反省会までいたかったのだが、今日は別な用事があり、早めに辞去した。手伝いをせずに申し訳ない。
     別な用事とは、地元で某同窓会があるのだ。
     メンバーが一同に介するのは約10年ぶりくらいになる。
     ほぼ全員が出席するという連絡をもらっていたので、行かない訳にはいかない。
     会場には、1時間遅れで到着。
     まだ食べ物が残っていた。良かった(⌒▽⌒)
     SちゃんやMちゃんやKちゃんなどが、飲み物と食べ物を揃えてくれる。
     みんな、少女からイイ女になったねぇ。
     まずは一杯飲んでから、少し食べ物をお腹に入れて、他のメンバーに挨拶回り。
     誰だか思い出せないカッコイイ男がいて、さりとて本人には訊きにくいので、同じくメンバーの1人であるT姉に尋ねたら、なんとTくんだとの事。私の記憶の中では、チョロチョロと落ち着きの無い男の子だったのだが、女性陣と同じく、少年からイイ男になったようである。
     最後に会ったのが確か中学生くらいだったKくんが「ボクの事分かります?」
    と尋ねてきたが、こちらは成長しても昔と印象が変わらない。昔から落ち着きのある男の子だったからか。
     Kくんに名刺を渡すと、「自分、こういうのもらった事ないんですよ。どうしたらいいんですか?」と訊いてきた。
     なんでも就職の内定が決まったらしい。それはメデタイ。
     まぁ、ビジネス書にも書いてある事だが、受け取る時には両手で受け取る事、必ず名前と役職を声に出すなど確認をして相手の事を覚えようとしている姿勢を示して、目の前で名刺入れなどに仕舞う事で大切に扱うという態度を見せるように言った。
     そして、自分も名刺を渡す時には必ず相手が出した時よりも低い位置から差し出し、関係者間ならばお辞儀の角度は30度、お得意先ならば45度と伝えた。
     もっとも、最近ではそんな“シキタリ”を守る人の方が少ないかもしれないが。
     しかし驚いた事に、Kくんはすぐさま言われた通りにやってみせて、「どうですか?」と確認してきた。ううむ、立派なヤツ。もとより誠実な人柄だから、先輩や上司に可愛がってもらえるだろう。いや、できすぎてかえってイジメられるか(苦笑)?
     Fくんからは、「結婚したなんて知らなかったよー」と言われた。私が結婚した事が不思議で仕方ないらしい。私も同感(笑)。
     結婚前に付き合ってた女性たちはどう整理したのかと聞かれたので、「まったく整理しなかった」と答えたら、「ええー!?」とまた驚かれた。
     するとそこへT姉が割り込んできて、「Fくんは純粋なんだから汚れた大人の恋愛なんか教えちゃダメ」と言う。
     私よりも輪をかけて汚れてる人がナニを言う(笑)
     そう言えば、今日のメンバーの中の男性陣をつまみ食いしていたT姉も、このFくんにだけは手を出さなかったな。純朴すぎて少ない理性が働いたか。
     そのFくんは今は、大手パソコンメーカーに就職していると聞いて、今度はこっちがビックリ。私の弟と同じ会社である。大きいから顔を合わせる事は無いだろうが。
     1次会がお開きになって、2次会のカラオケ屋に向かう途中で帰るメンバーがいるという事で揃っているうちに記念撮影をしようという話になった。
     それはいいのだが、全員が写真に入るために、なんとゲームセンターの店員にシャッターを切るのを頼んでしまった。そのゲームセンターで遊ぶ訳でもないのに。これだから、酔っ払いは(苦笑)
     そしてカラオケ屋では、最初は普通にJ-POPなどを歌っていたのだが、誰が始めたのか(私もその1人なのだが)、途中からアニソン・特撮ソングが混じりだしてしまった。女性陣が引くんじゃないかと心配したけれど、まぁ女性陣は女性陣で会話が盛り上がっていた模様。
     私としては、心の師匠である山本正之御大の歌を一緒に歌えるメンバーだったのが良かった。なにしろマイナーな歌手なので滅多に歌う機会が無い。
     http://www.bellabeaux.co.jp/yamamoto/
     1次会ではもっぱら男性陣と話をしていたのだが、ここでは歌っていない時に女性陣ともお話をした。
     K子ちゃんから、結婚したと聞いてビックリ。
     いやぁ、中学時代のツライ恋愛を経て結婚しましたか。おめでとう。
     と思ったら、すっかりヤサグレていた(笑)
    「ねーねー、男を紹介してよ~」などと言う。あんなに一途な女の子だったのに(p_;)
     なんでも旦那さんはものすごい心配性で、今日の飲み会に参加するのも10年ぶりの友達と会うからという事で許してもらったらしい。
     で、旦那は旦那として愛しているけど、男遊びをしたいと。
    「浮気を許してる奥さんなんてできすぎー。バチ当るよ」と言われた。
     そうでした、コチラがK子ちゃんの過去の恋愛遍歴を知っているように、K子ちゃんも私の恋愛遍歴を知っているんでした(^_^;;;
    「小学生から女子大生まで揃えてるなんて贅沢よ」と言われたので、それには反論。「今はフラれ続けて1人しか残ってない」と。ん? 反論になってないか?
     逆に「それは、釣った魚に餌をあげないアンタが悪い」とお説教された。やっぱり強くなったなぁ(笑)
     カラオケの方は延長に次ぐ延長で、終電はとっくに過ぎて始発を待った方が早いくらいの時間になってしまった。
     私を含めて明日も仕事があって近場のメンバーは、始発待ちの3次会には出ずに帰る事にした。と言っても、私はちっとも近場じゃないのだけれど、始発まで待っているよりは歩いて帰った方が早く寝られる。
     そう判断して歩き始めたものの、さすがに4駅分は遠くて60分ばかりで着くと思ったのに90分もかかってしまった。やや、足が痛い。
     しかし、歩こうと思えば歩けるもんだなとも自分で感心。
     中学校時代に学校行事で『夜行軍』があったせいかもしれない。
     『夜行軍』というのは、22時から翌日の6時までの間に山を歩いて越えるという“遠足”みたいなもので、登山を趣味にしていた担任教師の発案で行われた。なにしろ、「登山するため」という理由で有給休暇で学校を休むような人だった(笑)。
     あまりにも過酷ということでPTAから反対の声が出て1回限りの行事のはずだったのだが、生徒の間からはまたやりたいという声が上がって翌年も、その次の年も行われた。
     しかし、私たちが卒業した後はやらなかったそうだから、後輩たちには不評だったのかね。不評だろうなぁ、夜通し歩き続けるんだから(笑)。
     とにもかくにも明け方近くに家に着いて、お風呂に入ってグー( -.-)zzzZZZ。
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    ◆11月9日(日)/2003年◆
     昨日の無理が祟って、体調は極めて不良。
     地竜(ぢりゅう)を飲んでみたがどうか。
     風邪をひいたまま長引いているという患者さんが来店。
     咳も出ているようなので、体力をこれ以上消耗させないために柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)と、咳を抑えるために麦門冬湯(ばくもんどうとう)を勧めた。
     替わって、鼻風邪をひいたという患者さんが来店。
     鼻水が出るという事で、ひとまず小青龍湯(しょうせいりゅうとう)を飲んで様子を見てもらう事に。夜になって寝る頃になると鼻が詰まるという人もいるので。その場合は、葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)を併用する事になる。
     
     咳が止まらないという患者さんが来店。
     痰のからむような「ゴホンゴホン」という咳なのか、それとも「コンコン」というような乾いた咳なのかを尋ねてみたが、こちらの説明が悪いのか良く分からないという。
     それでは咳が出るのは体が冷えた時か、それとも温まった時なのかも尋ねてみたが、やはり良く分からない模様。
     さてどうしたものかと思ったら、目の前で患者さんが激しく咳き込んだ。
     お店の中は外よりも暖かい。そして咳の方は咽喉に痞(つか)えるような咳だった。
     となると、肺の潤い不足が原因だろう。例によって、体内の水分が上手く体を巡っていないという事だ。こういう時には麦門冬湯(ばくもんどうとう)が適応するはず。
     こうやって目の前で咳をしてもらえると一番良く分かる。
     簡単なメモでも良いから、症状がひどくなる時の条件、気温の変化や時間帯などを記録しておくと、お店で相談する時の重要な情報となるので、ぜひやって欲しい。
     子供が風邪をひいたという事で葛根湯(かっこんとう)を求めにお客さんが来店。
     葛根湯は風邪の初期に用いると効果的だが、よほど虚弱な子供でなければ、早々に体温を上げて熱を出させてしまった方が早く治ってしまう。見分け方としては、食欲があるか、目に元気があるかなどが指標となる。
     その辺りを尋ねてみたところ、本人は元気に遊んでいるそうなので、麻黄湯(まおうとう)を勧めた。
     今日は日曜日の割りには、よくお客さんが来てくれた。珍しい事もあるもんだと思ってハッと思い出した。衆院選の投票日である。どうりで、人通りがあるはずだ。
     慌てて公民館に投票に出向いた。
     19時の時点で投票率は40%を越えたところだった。いいのかね、こんな事で。
     投票に行かなかった人は、次の選挙まで政治に愚痴をこぼす資格を失う事になると私は思うのだけれど。
     友人たちとは、昔から選挙には行こうと約束していたものである。
     前回の衆院選の時だったか、遊びに行く約束をしていて、選挙に行ってから集合という事にしていたのに(しかも、選挙に行くのならば遅刻可)1人が投票に行かずに来た事が判明。
     車で、彼の選挙区の投票所まで乗り付けて投票させた。
     悪口を言うためには義務を果たさんと(笑)
     
     テレビで選挙速報を見てみると、戦後2番目に低い投票率だったらしい。
     確かに今回は、党のマニフェストと候補者の公約が一致していないなど“ネジレ選挙”と言われているが、それならそれで白票を投じてくれば良いのに。
     妙に冷めて「どうせ誰がなっても同じ」と言い訳する前に、自分の意思を示しておくべきじゃないのかね。
     それこそ、投票率が90%を越えて白票(無効票)が半数を占めたりすれば、政治への関心が高いのに信頼できる政治家がいないという事を突きつける事になると思うのだが。
     選挙速報、自民党の圧勝とならず面白い感じではあったが、昨日の不摂生を引きずった体力では眠気に勝てず没落、もとい脱落して就寝。
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    ◆11月10日(月)/2003年◆
     小雨が降っている中、市の医療センターへバスで奥さんと向かった。
     子宮筋腫の件で、担当のT医師から夫婦で出頭するように言われたのだ。
     産婦人科の待合室で待っているのは女性ばかりで、さすがに居心地が悪い。
     しかも、予約時間を過ぎてもなかなか呼ばれない。モニターには受付番号が表示されていて、そこに自分の番号が出たら、さらに奥の待合室に移動する事になっているのだが、肝心の担当のT医師の名前がモニターから消えてしまった。
     受付の人に尋ねてみると、緊急手術が入ったそうな。
     ううむ、それは大変だなぁ、待つ方の患者も、診察をしながら緊急手術をしなければならない医者も。
     午後にズレ込むかとも思ったが、しばらく待っていると手術が終わったのかT医師が戻ってきた。
     そして、お昼になる前に順番が回ってきた。
     基本的に産婦人科の診察室には男性は立ち入らないように注意書きがあり、まず奥さんが入っていった。しばらく待っていると、奥さんが出てきて手招きしたので私も中へ。
     回りくどい尋ね方をしても時間の無駄なので、単刀直入に現在の状況を尋ねると、CTスキャンの画像を見せられた。
     明らかに筋腫が大きくて、胎児がスミの方に追いやられている。
     そしてT医師の話では、「ひっそりと生きています」との事。
     普通ならば、「元気に」とか「スクスク」というところだが、「ひっそり」とはまた文学的な表現をするものである。
     などと感心している場合ではない。
     思っていた以上に深刻だ。
     T医師がすぐにでも入院をと勧めるのに、ウチの奥さんの方は今まで入院した経験が無いせいか、入院期間や入院すれば大丈夫なのかなどとあれやこれやと質問をして入院を回避しようと抵抗。
     T医師の方は、「強制はできませんから」とあくまで患者の自己選択に委ねる。それはそうだろう、医師は神様ではない。治療の結果を断定する事などできない。特に医療ミスが大きな問題としてマスコミに取り上げられる昨今の状況では、なおさら慎重な発言となるのも無理は無い。
     こういう時、本当は医師がビシッと「入院するべきです」と言ってくれた方が、逆に逡巡している患者にとっては良い事もあるのだが、そういう事は残念ながらマスコミや、純粋真っ直ぐな正義を振り回す輩は省(かえり)みない。
     奥さんの質問の仕方では埒が明かないので、現状から考えられる今後の状況を尋ねると、良くて流産か早産。また、筋腫が動脈と接していれば、今回流産したら次の妊娠は無いという事だった。
     事態は深刻どころではない。最悪である。入院を迷う選択など無い。
     しかし、奥さんの方は余計に動揺してしまい、ますます判断力を喪失してしまったようだった。
     しょうがない、このまま病院に放り込んでやりたいが、とにかく本人が入院する意思を固めない限りはそうもいかない。
     もう一度良く考えてみますとT医師に答えて、来週の月曜日に予約を入れて胎児の状態を詳細に検査してから入院するか決める事にした。
     結局帰ってきてしまったため、お母んには怒られてしまった。
    「医者が入院を勧めてるならアンタが入れてこなきゃダメでしょう」
     まぁ、そりゃそうなんですが、落ち込んだまま入院させると余計に気が滅入ってしまうだろうから、ちょっと元気づけてからという事で。
     お昼になったので、奥さんが以前から一度行ってみたいと言っていたレストラン『サザンクロス』に連れて行った。
     場所はJR東浦和駅を出て右に曲がり、さらに右に曲がってゆるい坂道を下ってイタリアレストランの『サイゼリヤ』を通り過ぎた先にある。
     お店の売りは、南欧の家庭料理のようである。
     家庭料理としては、やや値段が高い印象。
     私は上海蟹のパスタを食べたのだが、味と比べると特にそう思った。美味しいけれど、値段とは比例していない感じ。
     しかし、奥さんの方は満足したようで、やや気持ちも持ち直した模様。入院する事に決めた。
     となると、来週に診察の予約を入れたけれど、先に入院する手続きを取らなければ。
     私はお店に戻り、午前中に来ていた健康相談に返信したり、注文を順次処理していった。
     手が離せないので、奥さんに病院に問い合わせるようにメールで連絡。
     
     先日、咳止めに麦門冬湯を渡した患者さんが来店。
     麦門冬湯だけでは咳が止まらなかったようなので、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)を足すことにした。
     服用しすぎると体を冷やしすぎてしまうが、夜になると、つまり体が温まると咳がひどくなる場合に有効である。
     病院からFAXで入った処方箋に、在庫の無い薬があった。
     問屋さんに頼めば、夜までには届けてもらえると思って値段を確認したら、1錠で360円もする薬だと判明。
     100錠単位で注文するとなると、ちょっと在庫を抱えるのは怖い。
     なので、必要な分だけ備蓄センターに貰いに行くことにした。その備蓄センターは医療センターの隣にある。
     もっと早くFAXが入っていれば、奥さんの診察の時についでに貰ってきたのに(苦笑)。
     家に帰って病院に電話したか奥さんに尋ねたら、明日にでもどうぞと言われたのに断ってしまったらしい。
     入院するための準備が必要だからと答えたのだとか。
     準備なんて、いらんわ(^_^;)
     どうもまだ、自分の状況が分かっていないようである。それとも、無意識に理解するのを拒否しているのか。マッタク=3 
     テレビでは、昨日の選挙結果について特集を組んで放送していた。
     ウチの方の地元では、自民党の新藤義孝氏が落選したようだ。比例名簿に載せていなかったらしい。絶対に受かると思っていたのか、名簿に載せてもらえなかったのか。
     だいたい新藤氏の場合、地元に後援会を持っておらず、複数の団体の組織票に頼っていた。それでいて地元には1回も挨拶に来なかったのだから、落ちて当然という気もする。
     マスコミはやたらと自民党の辛い勝利、民主党の躍進という捉え方をしているが、それを小泉首相の選挙に強いという神話が崩れたという方向に持っていこうとするのは、やや違和感を感じる。
     確かに小泉首相の盟友である山崎氏は落選したが、どちらかというと本人の責任で、地方の当落結果を見てみると郵政民営化を反対している人など反小泉といえる人たちがかなり落選している。
     これは、小泉首相があえて応援に行かなかったからだとも言えるが、代わりに安倍幹事長が駆けつけたりしているのだから、投票には直接は関係無いだろう。
     自民党は議席を減らしたが、小泉首相自身は改革をやりやすくなった訳で、下手に改革の足を引っぱるような事をしたら、次の参院選でさらに民主党の支持を得るというのは難しいのではないか。
     小泉首相の改革が上手くいけば自民党の株が上がり、邪魔をすれば改革が遅いのは民主党のせいという事になって、どっちに転んでも苦しい事になるように思える。
     一方、社民党と共産党は、自民党vs民主党の対決のあおりを食って大幅に議席を減らした模様。特に社民党は土井たか子氏が小選挙区で落選し、比例区でなんとか生き残るという散々たる結果だった。
     私はマニフェストなんて、現実路線で考えれば確約できるはずもないと思っていたから投票の参考にはしなかったが、社民党と共産党が共に議席を減らしたのは、戦後50年を過ぎて変わらず掲げている“護憲”と“平和”に関してマニフェストを示す事をしなかったからではないか。
     連立政権がイラク特措法に基づいて自衛隊を派遣するのはアメリカに恩を売っておくためだし、多額の援助金を出すのは日本の安全を金で買うためである。
    自衛隊の派遣時期については未だに決まっていないが、アメリカに擦り寄る事で安全を確保しようという姿勢はハッキリしている。
     だが、社民党も共産党も日本の平和を守るためにどんな手段を講じるのかは今まで一切語っていない。
     敵が攻めてきたら、両手を挙げて降伏しますと言うのであれば、それこそ国民の合意が必要だろう。
     それに憲法9条については、重大な見落としがある。
     http://www.9joren.net/
     条文によると、「国権の発動たる戦争」と明記してある。そして、「国の交戦権は、これを認めない」とある。
     つまり、あくまで第2次世界大戦当時の“国同士が戦う”という戦闘を想定しており、現在の“国ではない相手”、すなわちテロリストやゲリラとの戦闘をまったく考慮していないのだ。こと国家が相手ではない現状では、それこそ自衛隊は合憲ということになる。現在の9条の規定では、相手が国家でなければ武器を持って戦っても憲法に違反しないのだ。
     平和憲法の理念を尊守し、より恒久的かつ崇高な人類史上の理想となるものにするのであれば、“護憲”はむしろ共産党や社民党の掲げる“平和”の実現を阻むモノでしかない。
     ああ、難しい事を考えたら知恵熱が………(#-_-#)
     奥さんの入院までの顛末は、次号に続く。(←日記で「つづく」ってなんだよ。)
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  • ≪通巻34号≫
    浮浪者も大事/国政選挙で地元から推す意味/子宮筋腫発見!/風邪の患者さんが次々と

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      ★彡☆-=★彡  それさえもおそらくは平凡な薬局  ★彡☆-=★彡
                       ≪通巻34号≫
      提供 : まぐまぐ http://www.mag2.com/
      発行 : 北園薬局 http://plaza2.mbn.or.jp/~kitazono/
      編集 : 北村俊純
      窓口 : kitazono@a1.mbn.or.jp
      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※11月4日(火)……浮浪者も大事
        
    ※11月5日(水)……国政選挙で地元から推す意味
    ※11月6日(木)……子宮筋腫発見!
    ※11月7日(金)……風邪の患者さんが次々と
    ************************* 先週の平凡な日記 ***************************
    ◆11月4日(火)/2003年◆
     病院からの処方箋を持ってきた患者さんの薬で在庫に無い物があったので備蓄センターまで取りに行く事に。
     注文してお店を出ようとしたら、お母んに「たまには運動しなさい」と言われて、自転車で行くことにした。確かに。
     天気も良くて、土手沿いに行くと風が気持ち良く、土手の斜面に咲いている花も綺麗で心が和む。
     ………って、これってマズイんじゃ(^_^;
     花粉症になるぞ俺(苦笑)
     
     原沢製薬の営業マンが来店。
     たまたま近くに来たので立ち寄ったとの事。
     『アスタロン』を立て続けに発注しているので、どうしたんですかと尋ねられる。
     どうしてなのかは、コチラも謎(笑)
     あ、いやいや、固定客がついてくれたお陰で入荷をすると右から左へと売れていくのだ。
     医薬品ではなくあくまで健康食品なのだが、飛蚊症(ひぶんしょう)が軽減したり、目の疲れが改善したりと結果を実感できるらしく、試した人がほとんど継続してくれるうえ、どうやら人にも勧めてくれているようなのだ。
     一方で、なかなか売れないのが『ネオレバルミン』
     国内の薬局で販売できる肝臓疾患の薬としては効果も相当に期待できるものの、いかんせん肝臓疾患はちょっとやそっと改善しても自覚できない。なにしろ、自覚するくらい症状が悪化していたら入院しなきゃならないくらいだし、血圧のように日常的に肝臓の働きを測定できる訳ではないから、客観的な判断ができないのが、今ひとつ購買につながらない要因だろう。
     “肝臓病を治す奇跡の薬!!”とか宣伝したら売れるのだろうか(^^ゞ
     お店に近所の人から電話が入った。
     商店街のシャッターの下りたお店の前に浮浪者がいるという。浮浪者がいるのが不安なのだろうとは思うが、なんでわざわざウチに電話してくるのか。
     しばらくすると、やはり近所のお店の主人がウチに来て、浮浪者がいて不安だと漏らす。さらに、警察を呼ぼうかとまで言い出した。
     何をそんなに騒いでいるのかと思って、その浮浪者を見に行ってみたら、なんの事はない。以前から、この辺りで寝泊りしている人だ。
     近所の人たちも知っているはずである。商店街の方に来るのは珍しいが、夕方から雨になったから、雨をしのぐために軒先に屋根があるお店の前に来たのだろう。
     誰かが本当に警察に連絡したらしく、パトカーが来て、浮浪者はどこかへ行ってしまった。
     呼んだ当人かどうかは分からないが、警官に「来るのが遅い」と文句を言っていた。
     しかし、浮浪者がいて何が悪いのかね。
     そりゃあ確かに気味悪いとか不潔そうだとかは思うが、別に実害がある訳でもなし。
     それどころか、実は浮浪者は大事な存在なのだ。
     例えば空き巣や泥棒が入るのは、“人目(ひとめ)”が届かない所だろう。閑静な住宅街が狙われるのは周知の通り。
     浮浪者がいるという事は、人目がある訳だから空き巣や泥棒はまず避ける。
     また、警察官の友人に聞いた話だと、事件や事故の目撃者捜しの時に、浮浪者は重要な情報源になるのだとか。
     実際、深夜など人通りが少ない時間帯の場合には、屋外で寝泊りしている浮浪者ならば見ている場合があるし、毎日同じ時間帯に通りがかる人の顔を覚えていたりするため、見知らぬ人がいたり、いつも見かける人が違う時間帯に通ったりすると良く覚えているのだとか。
     いわば、浮浪者が監視カメラと同じ役割を果たす事があるのだ。
     だいたい、日々の事件のニュースを見れば、浮浪者が被害にあったり、浮浪者同士の喧嘩などはあっても、浮浪者による凶悪犯罪というのはあまり無いはず。それなのに、どうしてそんなに警戒するのか。
     私はまだ浮浪者になった事はないけれど、浮浪者の側からしてみれば居場所を転々とするよりは、落ち着ける場所は大事にしたいと思うのではないだろうか。初めて見る顔ならば警戒する必要もあるだろうが、いつも見かけるのならば気にする必要は無いようにも思う。
     奥さんが珍しくお寿司を食べたいと言うので、JR東浦和駅の近くの『赤坂』に行く事にした。
     場所は、JR東浦和駅を出て左に曲がってまっすぐ行くと、ゆるい下り坂の左側にある。
     一応ここは回転寿司なのだが、いわゆるチェーン店の回転寿司とは違い、日本料理屋の隣、と言うより一部のようなお店で、ネタの味がかなり良い。
     行った時間が21時を回っていて遅いためかコンベアーには何も乗っておらず、食べたい物を順次注文していく。
     まぁ、この方が握りたてを食べられるので不都合も無い。
     笑ったのが、イクラやウニなどの高めのものを注文すると職人さんが「少々お待ち下さい」と言って姿を消し、隣の日本料理屋から運んで来た事。
     ネタを日本料理屋と一緒に仕入れているのだろう。ウニは、たまたま一切れ分が余るという事で、通常は2個のところを3個にオマケしてくれた。
     そして、甘エビを尾頭付きで出されて、身の部分を寿司として食べた後に、頭を食べたそうにしているのを見て取ったのか(どんな顔をしていたのかは謎だが)、「頭を焼きましょうか」と言ってくれたので、お言葉に甘えて焼いてもらった。
     家でも甘エビの刺身を焼いてお酒のオツマミにしたりしているが、さすがにネタの鮮度が違うのと、プロの職人さんが焼いてくれただけあって抜群に美味しい。
     奥さんは「いらな~い」と言っていたけれど、こんな美味しい物お前にはもったいなくてあげられんわ(笑)。
     美味い美味いと、ずいぶんと食べたつもりだったが、2人合わせて5千円に収まったのは安かったからなのか、私たち夫婦が小食だったからなのか。
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    ◆11月5日(水)/2003年◆
     目薬を欲しいというお客さんが来店。
     製品名を指名されたもののウチには置いていないので問屋さんに注文が必要。
     指名された目薬が抗菌目薬なため症状を尋ねたところ、人に頼まれて買いに来た模様。
     抗菌目薬ならば、特に使用感が変わるわけでもなく同じような成分の別製品がある。すぐに必要ならば、その方が良い。
     そうお話をすると、携帯電話で依頼主に電話してみたようだが、無ければいらないとの事。
     何故に製品を限定しなければならないのかコチラとしては謎だが、好みだかなんだか拘る事柄があるのだろう。
     とりあえず買いに来たお客さんには、症状に合わせて選ばないと、目薬のように数社から何種類も同じような商品が出ているのを指名で捜すのは難しいと伝えておいた。
     風邪が治らないという患者さんが来店。
     何か薬を飲んでいるのかを尋ねたら、葛根湯(かっこんとう)を飲んでいるとの事。
     しかし、風邪の方はもう一週間ほど経っていて、咳も続いているらしい。
     それならば、もう葛根湯の適応ではない。激しい咳や咽喉の痛みは引いて、最後の後押しが必要な感じだったので、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)の方を勧めてみた。
     今日はお店を早くあがって出かけなければならない。
     行きたくはないのだが、選挙の応援である。
     川口市には医師会・歯科医師会・薬剤師会からなる『川口三師連盟』というのがあり、今回の選挙では自民党の新藤義孝氏を推すと言う事で、その集会があるのだ。ヤレヤレ=3
     http://www.sainet.or.jp/~shindo/
     集会の便宜上のタイトルは『より良い医療を求めて! 川口市民の医政を語る会』となっていた。
    「なっていた」というのは、全然そんな話など無かったから(笑)
     開会の挨拶を歯科医師会会長が、主催者挨拶を医師会会長が、〆の挨拶を薬剤師会会長が行ったのだが、それぞれ挨拶と共に“自分の主張”を唱えていた。肝心の新藤氏は、それらに「必ずやります」と言っていたが、どれを実行するんだよ(笑)
     しかも、新藤氏は堂々と小泉首相の改革に反対する姿勢を示している。
     以前から私は、「反対するなら力の無い野党より政権政党の中でやるべき」と思っているので、それ自体は良い。
     しかし、自分たちの既得権益しか考えていないように思える集会を票集めのために利用するという姿勢はどうか。
     今日の集会にしても集まり具合は7割以下で、とても組織票は望めない。小泉改革の是非は別にして、小泉首相が言ったように特定の組織に頼らずに選挙運動をするべきではないのか。
     そして、そのような特定の組織における集会だからなのかもしれないが、やたら川口市のためという利益誘導の発言も、私は国政選挙という事を考えれば納得できない。
     企業誘致や、今回の集会で言えば川口市の医療行政に関して何かをやるのは地方選挙で選ばれた議員たちがやる事で、国会議員がやる事ではない。
     川口市民の国政への意見を国会に“持っていく”のが国会議員の仕事であって、別に国から地元に“持ってくる”必要は無い。
     いくら良い事だとしても、国から何かを地元に持ってくるというのは、とかく悪く言われる建設業や道路行政と根っこが同じで、私は推す気になれない。
     国会議員に地元への利益を期待する有権者の方も問題かもしれないが、だからこそ特定の組織の票に頼る事を新藤氏にはやめてもらいたい。
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    ◆11月6日(木)/2003年◆
     朝早くに病院の検診に出かけた奥さんから電話。どうやら、子宮筋腫が見つかったらしい。それも、かなり大きいようである。
     お店に来たので詳しく訊くと、妊娠できたのが不思議なくらいの状態らしい。
     しかし、半分は自業自得である。実は以前から奥さんは生理の時の出血が多く周期も安定していないため、体質的に子宮筋腫になる確率は高いと思っていた。そこで予防のために当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を渡しておいた。
     ところが、3日も飲まずにそのまま服用をやめてしまったのだ。
     他にも、病気をした時にはすぐに薬をあげるのに、大抵は勝手に使うのをやめて、症状が重くなってから大騒ぎする“常習犯”なのだ。悪い患者の見本である。
     言うこと聞かない患者さんの事なんて知りません(・_・)
     そして医療関係者は、身内には冷たい(笑)
     赤の他人である患者さんには親身になって治してあげなければと使命感に燃えるが、身内だとよほどの大病でもなければ「まぁ、大丈夫でしょ」となる。
     なので、お母んも「大騒ぎするんじゃないの」と、奥さんを嗜(たしな)めた。
     私は私で、「これはメールマガジンのネタになるかも」とヒドイ事を思う。
     とはいえ診察した医師からは、出産するまでの入院を勧められたというから楽観はできないようだ。
     もとより、通常は流産の確率というのは一般に思われているよりも高い。一説には、3割近いという。
     それが現在、一般的に「妊娠したら生まれて当たり前」というように考えられるようになったのは、医療技術の発達と日本の生活水準が向上したからにほかならない。
     国生さゆりが離婚した原因の1つとして、2度の流産の事が報道されているが、本来ならば2度の流産も珍しい事ではないのだ。
     同じく子宮筋腫も珍しい病気ではない。子宮筋腫自体は多くの女性がなる病気であり、そのほとんどは小さくて検査でも分からないか、出産後の子宮の収縮と共に筋腫も小さくなって治癒してしまう。
     だから、子宮筋腫ができている事を医師から告げられたとしても、そう驚くことはない。まずは落ち着いて、冷静に医師の話を聞く事が大事だ。
     奥さんの方は、来週の月曜日にもう一度診察をするという事で、「旦那さんも連れてくるように」と言われたらい。
     ガーン!!Σ( ̄□ ̄;)
     いや、癌だったら来週なんて悠長な事は言わんか。
     しかし、メンドクサイな。 
     病院でもらっている薬が無くなったから分けてくれという患者さんが来店。
     しかし、処方箋の無い患者さんに薬を渡す訳にはいかない。
     本人は薬をもらうだけで診察を受けるのは面倒だと言う。診察に行っても、特に調べられたりする訳でもなく、二言三言話すだけで意味が無いと思っている模様。
     確かにそう思うのは仕方の無い事かもしれないが、お医者さんとは顔を合わせるだけでも大事なのだ。
     診察に来た患者さんと挨拶するだけで、医師は患者さんの肌の状態や目の色などを観察していたりする。それで症状が安定していると判断できれば、とりあえず症状に変化は無いものとして患者さんを帰す。
     中には、本当に“なんにも診ない”医師もいるようだが、それはまた患者さんの方で医師を観察して、信頼できないと思えば病院を変えれば良いだろう。
     診察はメンドクサイと言わずに、まずは病院で医者と顔を合わせるように伝えた。
     私も、奥さんからの又聞きでは良く分からないから、行かねばならんか。
     大阪府河内長野市で起きた男子大学生と女子高生による家族殺傷事件に絡んで、またぞろマスコミでは“心の闇”という言葉を使い始めた。
     この“心の闇”という言葉は、私には言外に「端(はな)から理解するつもりはない」というニュアンスを含んでいる気がして嫌いである。
     女子高生が公開していたというホームページの日記を取り上げて、「親がうざい」と書く一方で親と旅行をして楽しかったと書いていた事に対して、“複雑な心境を覗かせている云々”と論じていたが、そんなに奇異な事だろうか。
     時に親に殺意にも似た感情を抱き、同時に親愛の情を抱くというのは、それこそ多くの人が思春期に通る道ではないのか?
     それが本当に殺人に結びつく事は稀だろうが、自分を振り返ってみれば、絶妙のバランスで自分はやらずに済んだというだけだと安堵するのは私だけではないと思うのだが。
     それとも、“複雑”とか“心の闇”としてこの事件を捉えようという人たちは、純粋真っ直ぐになんの迷いも無く生きてきたとでもいうのか。
     ただ興味深いのは、同世代の人たちも「理解できない」と取材に答えているらしい事。
     確かに実際に殺すところまでいくというのは理解できないかもしれないが、家族への殺意も理解できないというのは私には不可解。自分の価値観の型にはめようとする親が最近は少なくなったのかな。
     もしかして、“親に反発しながら子供は育つ”という私の考え方が、すでに古いのかもしれない。私まだ30代なのに(苦笑)。
     
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    ◆11月7日(金)/2003年◆
     サトウ製薬の営業マンが来店。
     来週の木曜日に新商品の説明会が、さいたま市のワシントンホテルであるので出席してもらいたいとの事。
     う~ん、タダメシをいただくのになんだが、ワシントンホテルの料理って美味しくないんだよなぁ(苦笑)
     先日、雨が降った時にお客さんに傘を差し上げたら、お礼にお菓子をいただいてしまった。
     一応、傘を渡す時に、以前にプレゼントキャンペーンをやった時の余り物ですと申し添えたのだけれど。
     プレゼント用の傘でお礼をもらってしまった。かえって申し訳ない。
     風邪の患者さんが立て続けに来店。これで全員に総合感冒薬をポンと渡せば簡単ではあるが、それでは自動販売機と同じ。
     風邪が長引いて食欲が落ちているという患者さんには、風邪の後期に用いる柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)と、食欲が落ちていて栄養不足になるのを防ぐために地竜(ぢりゅう)を渡した。
     風邪は治って食欲なども回復したものの、咳だけが残った患者さんには、咳止めとして麦門冬湯(ばくもんどうとう)と、風邪をぶり返さないために地竜を合わせて勧めた。
     風邪をひきそうだという患者さんにはまず葛根湯(かっこんとう)を案内した。しかし、すでに吐き気がなんとなくするそうなので、小柴胡湯(しょうさいことう)のドリンク剤を合わせて使う事を勧めてみた。
     総合感冒薬は、症状が多岐にわたって判断がつかない時や、旅行などに手軽に持って行くのに便利ではあるが、できれば症状に対してピンポイントで使う漢方薬を選ぶ方が治癒も早くお金もトータルで安くつく。
     国連平和維持活動(PKO)のため10月に東ティモールに派遣された陸上自衛隊員約400人が、9日の衆院選挙での投票が不可能だというニュース。
     海上自衛隊員は公職選挙法で“船員”扱いとなるため、護衛艦や補給艦内で不在者投票が可能なのに対して、陸自隊員は帰国して住民票がある自治体に戻らなければ投票できないのだとか。
    「3カ月以上の現地滞在」などを条件に、海外の日本人有権者に衆・参比例代表への投票を認める在外投票制度もあるものの、今回は10月からの派遣で「3カ月以上」の条件を満たしていないため、投票権が発生しないという。
     10月には衆院選の予定が立っていたんだから、先に手を打っておいてやれよ、小泉さん(^_^;←なぜ親しげ。>俺
     遅まきながら、防衛庁は選挙権が行使できるよう総務省に相談しているそうだが、さすがに今回は間に合わない模様。
     自衛隊を容認している政権政党が気づかないのもマヌケだけれど、二大政党制を叫んでいる民主党もこういうところから突っ込めば選挙を大事にしているというイメージ作りができるのに、このネタを使わないんだからもったいない。
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