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  • うがい薬は必要最低限の運用で

     『パブロン鼻炎カプセル』を購入される、やや高齢のお客様に鼻水の状態を確認すると、透明でサラサラとのことだったので、内臓が冷えている可能性を伝えた。
     そして、部屋ではなく体を直接温めることが必要なので、長めの入浴や温かい物を飲食する他に、下半身を厚着するよう勧めた。

     うがい薬を求めて来店したお客様に、現に喉が痛むときには避けるようお話したところ、痛むとの事だった。
     うがい薬は、いわば消毒薬で粘膜を刺激するし、予防としても喉を守る常在菌まで洗い流してしまうから、実のところ勧めにくい。
     職場など人の集まる所で発症者がいるとか、家族が発症しているとか、限定的な運用が望ましい。
     そう説明したうえで、喉が痛むときには、喉の痛み止めを効能とした薬を使うよう勧めると、実際は痛いというところまではいっておらず、違和感がするだけだそう。
     そして、寒気がするというので、それは『葛根湯』が家にあれば適応するタイミングであることを伝えた。
     家にあるという事から、ますばそれを使うよう勧めて、本日は何も買わずにお帰りに。

     閉店作業をしてシャッターを下ろしているところに、お客様が来店して、うがい薬を求められた。
     でも、厚生労働省のインフルエンザの予防方法の項目には、手洗いはあっても、うがいについては無いことと、体を守る常在菌まで洗い流してしまうため、身近な周囲で風邪が流行っているということが無ければ、不要と考えられることを説明した。
     また、喉が痛いとしても、悪寒や頭重感など他の症状が無い場合には、風邪とは限らず、胃炎のケースもあることをお話した。
     今回は、予防にと思って買いにいらしたらしく、特に起きている症状も無いということで、そのままお帰りになられた。

     

  • ちょっとした情報が大切です

     お客様が来店し、ご主人が口内炎で飲み薬を希望しているというため、『トラフル錠』を案内したうえで、スプレータイプの『のどスプレー アズリースロート』を紹介した。
     要するに口内の炎症を抑えるのが基本なので、抗炎症剤のトラネキサム酸やアズレンが入っていれば構わないので。
     炎症が強い場合には、ステロイド剤のほうが良いけど。
     漢方薬では、原因となることが多い神経性胃炎の『半夏瀉心湯』を基本に、炎症が強い場合の『黄連解毒湯』を使う。
     今回の患者さんは、口の中を噛んでしまったのがキッカケらしい。
     それなら神経性胃炎は関係無さそうに思えるが、実は寝ていて筋肉がビクッと動くのと同じように、疲労などによる自律神経の失調で、口の筋肉が動いしてしまった可能性も考えられる。
     だから、ストレスの軽減に努めるよう伝えた。
     今回は、『トラフル錠』をお買い上げ頂いた。

     『インドメタシンローション』と『スキュータムA』を見比べているお客様がいたので声を掛けたところ、打った覚えは無いのに、お尻に青痣ができていて痛むとそう。
     原因は不明なれど急性症状でもあるから、鎮痛効果の高い物のほうが良いかな。
     そう思いながら、鎮痛効果としては『スキュータムA』はサリチル酸で一番弱く、フェルビナク製剤がその上で浸透力もあり、インドメタシン製剤は市販では強い部類であることを説明した。
     すると、当初はお客様本人の話のはずだったのに、鎮痛剤の説明をしているうちに、患者が第三者のような話になった。
     どういうことなのか(^_^;)
     なんだか患者さんの特定をできないまま、鎮痛効果が高くて浸透力もあるジクロフェナクナトリウムの『ボルタレンローション』をお買い上げ頂くことになった。
     でも、1週間ほどして改善しなければ、病院を受診してくださいねと伝えた。
     ああ、打撲の内服薬として『桃核承気湯』を紹介し損なったな。
     まぁ、患者さんを特定できないことには勧めにくいけど。

     やや高齢のお客様から風邪薬をと求められたけど、主訴を確認すると喉の痛みだけで他に症状は無いというため、扁桃腺炎に用いる『駆風解毒湯』を案内した。
     しかし、さらに詳しく症状を訊くと、痛いところまでもいってなくて、喉に違和感を感じる程度だそう。
     ふむぅ、それは体の中が乾燥してるのかもとお話して、『麦門冬湯』を紹介した。
     すると、いつもは喉が痛むときには扁桃腺が腫れて、外側からも分かるほどだと言われた。
     むむっ、それは重要な情報。
     つまり今回は、そうなっていないのだから扁桃腺炎ではないということ。
     そんな訳で、『麦門冬湯』を使って頂くことになった。

     

  • 現代の日本で漢方薬を使う難しさ

     『コルゲンコーワIB透明カプセルα』をレジに持ってきたお客様から、以前に買ったパッケージの違う物は無いかと尋ねられた。
     銀色のパッケージのかな?
     確か、すでに終売になっている物と思われ。
     そうお話しつつ症状を詳しく訊いてみると、喉は痛いというよりカサカサする感じで、他には症状は無いそう。
     そこで、体内が乾燥している可能性を説明したら、病院で抗生剤を処方されているとのこと。
     抗生剤を処方されているのに総合の風邪薬を使うのは体への負担が大きいうえ、抗生剤はなおさら体内を乾燥させてしまう。
     すると急にお客様の態度が変わって、『コルゲンコーワIB透明カプセルα』を置いて帰られてしまった。
     あうっ、何か怒らせてしまったか、面倒くさいと思われたのか、不要と考えたのか……。
     何も言わず、顔色も読めなくて、よく分からなかった(;´Д`)

     『ストナアイビージェル』を購入されるお客様に症状を確認すると、喉の痛みと発熱ということで、そのままお買い上げ頂いた。
     ただ、「いつも喉から風邪がくるの。扁桃腺持ってるから」と言われたことには、原因のウイルスによって発症する部位が違うことと、扁桃腺炎が風邪とは限らないため、総合の風邪薬を使うのも気をつけるようお話した。
     いや、ホント、この辺のことは難しいんだよねぇ。
    「英雄色を好む」のが事実だとしても、「スケベ者が英雄になる」とは限らないように、喉の痛みは風邪の症状の一つであって、喉が痛くなったら風邪の前兆とは限らない。
     だから、喉が痛むだけとか扁桃腺炎のみなら『駆風解毒湯』や『ペラックT』で充分だし、先のお客様のように体内の乾燥による喉のカサカサ感には上半身に保水する『麦門冬湯』の方が適応する可能性が高い。
     今回のように発熱があるのだって、「風邪を治す」という観点で見れば、実のところ風邪を治すのは自身の体だから、一番苦しい症状、喉の痛みや咳だとか鼻炎だとか、症状の一部だけ抑えて、ただひたすら体を休め、「体が風邪を治すのを邪魔しない」のが一番治りが早い。
     でもそれを、「薬を買う気になってる」お客様には話しても通じないし、それはいわば「目的外」だから、言うことすら憚られるというジレンマ。

     以前にビロリ菌が原因の胃炎を患ったことがあるというお客様から、ゲップの相談を受けたので、最初の候補として『半夏瀉心湯』を案内した。
     『半夏瀉心湯』の瀉心というのが「胸のつかえを下ろす」という意味で、「上がってくるモノ」を下ろす時に適応する。
     しかし以前に『セルベール』を使ったことがあり効いたという話が出たため、『六君子湯』も候補にした。
     『セルベール』は弱った胃の働きを助ける健胃剤で、『半夏瀉心湯』が過剰に働き過ぎる胃を抑制する制酸剤の働きをするのに対して、『六君子湯』は健胃剤でありながら『半夏瀉心湯』と同じように逆流性食道炎にも使えて、応用範囲が広いため。
     ただ今回は、そのあたりも説明したうえでお客様が『半夏瀉心湯』を選び、試して頂くことになった。
     本来なら漢方薬は、患者さんの体質などを考慮した証を読むことが大事なんだけど、実のところ試してもらうしか無いんだよね。
     いや、私も中医学は少し齧ってはみましたが、前提となる昔の中国と日本の風土が異なるし、さらに冬でも温かい環境や夏でも温かい環境で生活し、常時冷たい物を飲む機会が多い現代では、原点における証の読みだけでは対応できないのですよ(´・ω・`)

     お客様から『ゼナジンジャー』を風邪に使えるかと質問され、総合風邪薬を使うよりは有益だと思いますが、症状はどうでしょうと確認すると、主訴は鼻水で、その鼻水は透明なサラサラタイプだという。
     花粉症などでなければ内臓の冷えが原因だと思われますから、『葛根湯』で温めてみてはと提案すると、『葛根湯』の方を購入された。
     まぁ、温めるのには『ゼナジンジャー』でも良かったんだけどね。
     ただ、温めるのには色々と余計な物が入っていて穏やかすぎて、主訴の鼻水を抑えるまでにはいかないだろうから。
     ふむぅ、鼻水をピタリと止めるには『小青龍湯』の方が良かったかな……。
     胃への負担が『葛根湯』より掛かるから、個人的には勧めるのを躊躇しちゃうんだよね。
     自分が証で云えば虚証だから、余計にそう考えてしまう。
     とある漢方薬に詳しい薬剤師さんからは、「そんな弱いのを勧めても効かないよ」と言われたことがある。
     その薬剤師さんは、もっと患者さんの証を読み込んで、ガンガン攻めていくスタイルで、私には、とうてい真似できないσ(^◇^;)。

     

  • 真実はいつもツマラナイ

     スキンケアの棚で商品を見比べていたお客様に声を掛けたところ、『メンソレータムAD』と『ムヒソフトGX』の違いを質問された。
     前者には局所麻酔が入っていて痒みが強い場合に向いてることを説明すると、強い薬は危なくないかと訊かれた。
     まぁ、確かに「強い薬」というのは副作用も強く出がちだけど、効果が現れやすいということは副作用が現れた時に分かりやすいという事でもあり、弱い薬を漫然と長期連用し続けて本当は副作用が起きているのに気づかないのと、どっちが怖いかと考えたら、私は「どっちも怖い」と思う。
     滅多に起きないけど起きたら大惨事の飛行機事故と、発生件数は多いけど助かる可能性の高い自動車事故と、どっちがマシかという不毛な心配でもある。
     いや、どちらにしても事故を防ぐことを考えるのは大事なことですが。
     薬の話に戻ると、痒みが強い時には薬も強いもので痒みを抑え、痒みが弱くなったら薬も弱い物へと乗り換えて、痒みが無くて乾燥を防いだり血行促進するのなら痒み止めの入っていない物に乗り換えるというように、「良く効いたから」といって漫然と同じ薬を使い続けないように気をつけるのが肝要です。
     というお話をして、今回は『ムヒソフトGX』をお買い上げ頂いた。
     あっ、あと局所麻酔が入っているのは、痒みを止めるためだけじゃなくて、血管を拡張して血流を良くするのが目的で配合されていることもあり、その辺りはまた他の成分との兼ね合いも考慮する必要があります。
     つまり、局所麻酔が入ってるから「強い薬」とも限りません。
     今回のお客様には、話が逸れちゃうからそこまで説明しなかったけど。
     お客様には、痒みが治まったら保湿クリームなどに乗り換えることと、豚汁などのように冬場にふさわしい食事をするように勧めた。
     冬場のメニューは、まさに皮膚の材料と保湿効果と血行促進のための物が多いので。

     お客様から風邪の相談を受けたけど、主訴は鼻水の他は喉の痛みと咳で、鼻水はサラサラの透明という話からすると、少なくとも鼻水は風邪とは関係無さそう。
     じゃあ喉にターゲットを絞ろうと思い『駆風解毒湯』を案内したが、詳しく訊いてみると喉の痛みが強くなるのは寝ている時だそう。
     そして、よくよく鼻を啜る音を聞いてみたら、どうも鼻汁が鼻の奥に溜まっているようだった。
     という事は、主訴は鼻水と聞いて勘違いしちゃったけど、本当は鼻づまりで口を開けて寝ているのが、喉の痛みと咳の原因なのだろう。
     咳の方も、どうやらそれほどではなく、喉の痛みは昼間は軽いというから間違いないと思われる。
     そのため方針を変更して、上半身を温めつつ鼻の通りを良くする『葛根湯加川きゅう辛夷』を勧め、お買い上げ頂いた。

     子供用の酔い止めを求めて来店したお客様に、今までに使ったことのある酔い止めがあるか尋ねると『チュロップ』だというので、『トラベロップQQ』も同じ成分であることをお話すると、今回は『トラベロップQQ』の方をお買い上げ頂いた。
     お客様には、乗車前には温かい食事をして、乗車してからは冷たい物を飲むよう勧めた。
     腸は体温より低いと正常に働かないため、冷たい物を飲んだり食べたりすると、消化が終わっても温まるまで腸に送り込まずに胃に溜めてしまい、酔いやすくなる。
     一方、胃は冷たい物を飲むと周囲の血管が縮こまり働きが鈍くなるので、酔いにくくなる。

     やや高齢のお客様から、人工甘味料の種類について質問された。
     しかし、人工甘味料による効果の違いというより、血糖値が心配で砂糖を摂らないようにした方が良いかというのが本題だった。
     となると、砂糖と人工甘味料それぞれのデメリットを理解する必要があり、これは一口で説明するのが難しい。
     例えば、1回1回の食事で考えれば人工甘味料の方が血糖値が上がりにくくて良さそうに思えるが、継続的に使用し続けて砂糖などの糖類を摂らないようにすると、今度は低血糖になって疲れやすくなったり、本物の砂糖を摂った時に体のほうが過剰に反応して血糖値の急上昇を招いてしまう。
     また、人工甘味料の中には腸で吸収できず、お腹を弛くしたり下痢の原因になる物もある。
     そういう意味では、砂糖の摂取量を抑えるために人工甘味料を一緒に使うという方法は理に適っているだろう。
     というか、人工甘味料の中には「砂糖を原料にしている」物もあるしね。
     そんな訳で、砂糖の怖さを過剰に訴えてる人や、反対に人工甘味料を過大に危険物と喧伝している人がいるけど、ツマラナイ結論としては「バランス良く使いましょうね」という話に落ち着いてしまう。
     SNSで、「砂糖が入ってる上に、人工甘味料まで入ってるなんて!!」と憤って菓子の成分表示を載せてる人と、その投稿に賛同するコメントが群がってたけど、要はそういうことです。

    Screenshot of yuchrszk.blogspot.jp

     

  • 紹介されると緊張します

     常連のお客様が、友人らしき人の手を引いて来店。
    「良く効くのよ~」と私を紹介され、嬉しいやら恥ずかしいやら、恐縮です゚+。(〃ノωノ)。+゚
     てか、日々「当てずっぽう」なんて言えない………。
     その連れられてきた人の主訴は咳と喉の痛みで、一週間ほど前に風邪をひき、微熱があったとのこと。
     もともと体温は高めらしく、体内が乾燥している可能性をお話し、喉の痛みはそれほどではないということから、『麦門冬湯』を案内してお買い上げ頂いた。
     それと、仕事で声を使うというお話があったため声嗄れに使う『響声破笛丸』を紹介し、症状に合わせて乗り換えていくのが効果的なことを伝えた。
     喉のケアのためも血流が大事だから入浴を勧めたけどシャワー派だそうなので、首周りに重点的に浴びるよう勧めた。

     お客様から、成人の息子さんが疲労と喉の痛みを訴えているという相談を受け、まず疲労に『柴胡桂枝湯』を案内したうえで、喉の痛みについては、元々お腹が弱いというお話から冷やす力の強い『桔梗湯』は避けて、『駆風解毒湯』を勧めた。
     しかし、本人は粉薬が苦手らしく、体の土台を支える『柴胡桂枝湯』はなんとか飲ませてみるが、喉の方は錠剤をと希望され『ペラックT』に変更してお買い上げ頂いた。
     息子さんは帰りが遅くシャワーで済ませてしまうという話だったから、睡眠時間を削ってでも入浴したほうが睡眠の質が上がることを説明した。
     ただ、どうしても入浴を嫌がるようであれば、首周りや膝の裏など、皮膚が薄くて太い血管が通っている場所に重点的にシャワーを浴びるようにと伝えた。
    「お風呂を沸かし直すと光熱費が上がるからねぇ( ´Д`)=3」と言われたけど、それが薬代に変わるだけですとお話した。

     

  • 料理のレシピを確認するように薬の成分も確認を

     『ルキノンエース』をレジに持ってきたお客様に症状を尋ねると、現在の主訴は喉の痛みと鼻水で、すでに発症して3日ほど経過しており、初期に鼻水だったのが喉に降りてきた感じがするという。
     その間に発熱は無く、鼻水については解消されつつあるらしい。
     当初は鼻水に色が付いていたそうだから、その時点では体が外敵と戦っていたのは間違いないだろう。
     しかし、その際の炎症で体内が乾燥してしまい、喉が痛くなったのだと思われる。
     そう説明すると、乾燥感はあるとのこと。
     そのため上半身を保湿する『麦門冬湯』を案内して、喉の痛みが強いようであれば『駆風解毒湯』をと案内した。
     しかし、現代薬を希望されたため、無駄に広範囲な症状に対応する成分が入っている『ルキノンエース』より、処方がシンプルな『ルルアタックEX』を勧めて、お買い上げ頂いた。
     鼻水については、すでに透明になっていることからすると、下半身を温めれば充分に対応できるはずなので、ゆったりと入浴をして特に下半身を温めるよう伝えた。

     バップ剤を求めて来店したお客様に症状を尋ねると主訴は膝の痛みで、たまになるだけというお話。
     今まで使っていたというバップ剤は、どうやらサリチル酸グレコール製剤のようだったので、同系統の『サロンパス』や『トクホン』を案内して、中でもバップ剤の真ん中に切れ込みを入れて伸ばすと膝を包むように貼れる『のびのびサロンシップ』を勧めた。
     でも、価格が高いと思われている様子だったため、『アスコラルL』を紹介して、お買い上げ頂いた。
     予算のことは、つい忘れちゃうんだよねぇ(^_^;)

     バップ剤を求めて来店したお客様に今まで使ったことがある物を尋ねると、サリチル酸グレコール製剤を使っていた模様。
     シップの匂いが気になるというので、成分によって匂いが違うことと、浸透力や鎮痛効果も違うことを説明した。
     よく「サロンパスの匂い」と言われるのはサリチル酸グレコールで、サリチル酸メチルのほうが匂いは弱い。
     あと、匂いは添加物によっても変わるから、やはり成分表示は取っておいた方が良い。
     私としては、気に入るにしろ気に入らないにしろ、成分表示を取っておかないのが不思議なんだけどね。
     料理なんかは、レシピで材料やら調味料とか調べるはずなのに。
     薬の「処方」は、まさに「レシピ」と同義だし。
     ……と思ったら、グーグル翻訳で「Recipe」を日本語に翻訳したら「レシピ」って表示された(^_^;)
     いや、そりゃ確かに薬の処方は英語では「Prescription」だけどさ。
     歴史的には、医者からが薬剤師への材料の指示が「レシピ」で、それが料理用語になったのに。
     面白いのは、「レシピ」というのは「受け取る」というラテン語の「レキピオ」から派生して、命令語としての「レシピ」になったそうな。
     こういう語源は、調べだすと止まらなくなって困る(笑)
     ああ、話が逸れた。
     今回のお客様、成分の違いを説明したところで症状を尋ねたら、「肩が~」とか「背中が~」と患部も状態も曖昧にされ、上手く説明できないのかなと思い訊き方を変えようかと思うと、今度は皮膚のかぶれについても心配された。
     確かに、かぶれを心配されることは多いので、改めて使っていたバップ剤を絞り込もうと見憶えのある物は無いとか尋ねたら、面倒に思われたのか、それとも何か治療中の疾患を隠しているのか、「分らない」というより「答えまい」としている感じになっていった。
     そして、浸透力があり鎮痛剤としては中等度ですと案内したフェルビナク製剤を買っていかれた。
     ううん、面倒がられたなら私の反省だし、何か隠してて上手く聞き出せなかったのなら、やっぱり反省(´・ω・`)
     ところで、『ルートビア』って『サロンパス』の匂いがするよね。
     友人の一人がえらくお気に入りで、会うたびにプレゼントしてくれるんだけど困る(笑)

     

  • 風邪で重要なのは体力の温存

     お客様が『新コンタックかぜEX』の空箱を持ってきて、中学生の息子さんに3日ほど飲ませて効いたから、「あとどれくらい飲ませ続ければ良いか」と質問された。
     しかも、また同じ物を買おうと思っている模様。
     詳しくお話を訊くと、一時期は38.5度まで発熱して今は下がったものの、咳と頭痛が残っているという。
     そして試験期間中で、まだ2日ほど続くから早く治してあげたいとのこと。
     ええ、親心は大変分かりますが、総合風邪薬は風邪を治すわけではなく、あくまで症状を抑えるだけで、その分体への負担は掛かるから、できるだけ服用は短期間にしないと余計に本人は苦しいことになります。
     そう説明して、風邪の後期に用いる『柴胡桂枝湯』を勧めた。
     現代薬には、解熱後の回復期に使える物は無いので。
     まぁ、咳が残っている点からすると『竹じょ温胆湯』も候補になるんだけど、試験でゆっくり休めないとなると胆力に影響する胃と肝臓を助ける必要があるだろうと判断した。
     咳には代わりに、発熱による体内の乾燥を補う『麦門冬湯』を案内してみたけど、咳き込むほどではないそう。
     そして、お客様は早く体力をつけさせるために普通の食事に戻そうと思っているというようなお話があったが、内臓の方はまだ弱っているだろうから消化に良い食事にして、これまた代わりに『新ヒストミンゴールド液』を提案した。
     『新ヒストミンゴールド液』には、保湿する麦門冬湯と炎症を抑える甘草が入っていて、咳による体力の消耗を防ぐことができる。
     一応、再びの発熱を心配したお客様は『新コンタックかぜEX』と一緒に、『柴胡桂枝湯』と『新ヒストミンゴールド液』を購入された。
     まぁ、この辺は親心ですな。
     そうそう、症状をヒアリングしている時に「本人じゃないと分からないわね」と言われた。
     まさにその通りで、寝込んでいるのでなければ、将来のためにも本人に薬を買わせる練習をさせた方が良いですねとお話をした。

     高校生の娘さんを連れたお客様が来店。
     娘さんが風邪薬の棚で迷っている様子だったから声を掛けてみたけど、案内は断られた。
     そして『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきて症状を尋ねたところ、主訴は喉の痛みで他に症状は無いというので、起きていない症状の成分まで入っている総合風邪薬では、それらの成分を処理する過程で体が疲労してしまう可能性を説明した。
     ごく初期の喉の痛みであれば、『葛根湯』でも対処できることをお話すると、家にあるというので購入は取りやめとなった。
     親御さんが風邪をひき、自分の風邪が娘さんに移ったのかと心配していたけど、喉の痛みは必ずしも風邪の兆候ではないことを説明した。
     特に試験期間中ともなれば、ストレスで胃炎を起こして、それを喉の痛みと感じることもあるので。
     もし本当に風だとすれば、そのまま『葛根湯』が適応するから、オカシイと思ったら早めに使う方法を勧めた。
     空振りだったとしても、『葛根湯』は栄養剤になるし。
     一応、喉の痛みが強い場合には、患部を冷やす『桔梗湯』か、熱の発散と冷やすのとを一緒に行なう『駆風解毒湯』をと紹介した。

     

  • ほぼ栄養が全部入りだから玉子を食べれば完全食という説も

     『パブロントローチAZ』をレジに持ってきたお客様に症状を尋ねると、喉の痛みが結構長く続いているそう。
     そして逆に、内科と咽喉科のどちらを受診したほうが良いか質問され、どちらでも診てもらえるはずと答えた。
     そのうえで、体内が乾燥している可能性と、喉の痛みは胃炎とも関係する事があることもお話して、『麦門冬湯』を紹介した。
     頭重感や肩と張りといった複合的な症状が無ければ、喉の痛みも必ずしも風邪とは限らないので。
     すると、今回『パブロントローチAZ』を選んだのは、『新コルゲントローチ』が効かなかったからだとか。
     消毒系の『新コルゲントローチ』が効かなかったのなら、抗炎症系の『パブロントローチAZ』の方が向いていると思われるため、そのままお買い上げ頂いた。

     喉の薬の棚を見ていたお客様に声を掛けると案内を断られたけど、『桔梗湯』をレジに持ってきた際に症状を尋ねると、喉の痛みが1週間くらい続いてるという。
     比較として、患部を冷やす処方の『桔梗湯』とは別に、患部を冷やしつつ炎症の熱を発散する『駆風解毒湯』を案内しつつ、胃炎の可能性もお話して上半身を潤す『麦門冬湯』も紹介した。
     急に寒くなってきたのに対して体が変化に耐えられず、胃の不具合を起こす人は多いのだけれど、あまり知られてないんだよね。
     そもそも、胃を悪くして喉の痛みや咳になるということが知られていない。
     胃には痛覚神経が無いから、胃炎を起こしていても自覚症状が無く、だけど多くの人が胃に不具合があれば胃痛や熱感といった自覚症状が必ず現れるもんだと思ってる。
     実際には胃痛などは、胃の周囲の神経が胃に代わって「具合が悪いみたいだよ」と教えてるので、自覚症状が現れるのは、だいぶ悪くなってからの話。
     そして胃炎を起こすと、その熱で胃に覆いかぶさるようにある肺が乾燥したり、胃の炎症が食道を傷め、近くの気道にまで炎症を及ぼし、それを喉の痛みと感じるケースでは、胃を治すことで喉の痛みや咳も治まる。
     これから春を迎えるまでには、喉の痛みが風邪かどうかを見分けるのは大変に難しい。
     そうは言っても、扁桃周囲炎にしろ胃炎にしろ風邪にしろ、喉が痛む時の養生は基本的に同じで、体を温めること。
     体を温めて血流を良くなれば患部の再生のための材料が運ばれ、免疫力も高まり、いずれの原因にしても回復を早める。
     今回のお客様は鼻水が無く、お腹も弱くないそうなので、『桔梗湯』で冷やしても差し支えはないため、そのまま購入して頂いた。
     ただ、患部は冷やしても体自体は、やはり温めるよう勧めた。
     というのも、患部が炎症を起こしているのは、やはり体自身がウイルスを倒すために戦うか、血流を良くして患部の再生を促そうとしているからで、外気が寒くなってきていて、でも家の中では冷たい物を飲みがちな現代においては、体の方は「もっと頑張って熱を出さなきゃ!」と、より炎症を起こそうと躍起になってしまう。
     だから、温かいお風呂に入り、部屋の中でも厚着して(下半身)、温かい物を飲むことで、「あっ、頑張らなくてもイイんだ(*´∀`*)」と体に分からせるのが重要なのだ。

     お客様から、サプリメントの『ヒアルロン酸』と『コラーゲン』の有効性について質問されたけど、評価が難しいとお茶を濁すしか無かった。
     まずサプリメントという物は、効果が期待できる物も出来ない物も玉石混交。
     はなから効果を確かめていない物もあれば、効果があると評価できても医薬品として許可を得るには莫大な費用を掛けて治験を行わなければならず、経営判断としてサプリメントに留めて販売しているケースがある。
     そして、特定の成分を摂取したとしても、それは消化吸収される際に分解されてしまい、他の栄養素と合わさることで再構成されたり別な物に合成されたりするため、望む場所で活かされるとは限らない。
     軟骨に行ってほしいのに皮膚の材料になってしまうかもしれないし、その逆もしかり。
     カルシウムなども、骨の材料になってるのは間違いないものの、摂取したカルシウムが直接的に骨になる訳でもない。
     動物の脳を食べても、それが人間の脳の材料にはならないように。
     じゃあサプリメントはどう使うべきなのかといえば、一つの指針として考えられるのは、あまり食べない食材に含まれる栄養素に狙いを絞る方法だろう。
     私は、鶏の軟骨や豚足が大好きだけど、奥さんは大嫌いなので、そういう積極的に食べない人は、サプリメントで摂るのは有効だと思われる。(ただし、前述のように特定の部位には行かず全身に散らばると考えられる)
     また、トマトのように栄養豊富で大好きであっても、トマトを始めとした夏野菜は体を冷やしがちで、人によってはあまり食べるのが好ましくない場合がある。
     そういう時には、トマトに多く含まれるリコピンなどをサプリメントで補うという使い方が有効だろう。
     というお話をして、今日のところはお買い上げは無し。
     売場の一部に、野菜や肉類もあるので、美味しい物で摂取するほうが楽しいかと思われ(´∀`*)ノシ

     『メンソレータムAD』をテレビCMで見たとのことで買いにいらしたお客様から、『ユースキンI』との比較を尋ねられたため、基本的な処方は同じで、『メンソレータムAD』には局所麻酔成分が配合されているため、より痒みが強い場合に向いていますと説明した。
     すると、子供も一緒に使わせようかなというお話があったため、痒みの程度で使い分けたほうが良いことを付け加えた。
     特に肌の乾燥が原因の場合には、痒みが治まったら痒み止めの入っていない保湿クリームなどに乗り換え、痒みがでた時にまた痒み止めの入った物へと行き来するほうが良い。
     どうしても、「コレ一つで全て解決したい」と考えがちだろうけど、やはり痒み止めは神経に働きかける物でもあるので、あまり神経を騙し続けるのは好ましくない。
     特に、同じく乾燥が原因のようでも、体の仕組みが未熟で保湿できないのと、体の機能が衰えてきて保湿できないのとでは、やはり対処が違う(笑)
     子供の場合は、成長とともに機能が整っていくからワセリンやアロエ軟膏なんかで表面を覆って保湿すれば充分で、体の機能が衰えてきたら尿素入りのクリームなどで皮膚の中に水分を留めるような保湿が必要。
     だけど今回はそこまでお客様には、説明しなかった。
     なんかホラ、説明しにくいじゃないですか。
    「老化現象」と言うようなもんだから(^_^;)

     

  • 粉薬の飲み方どうしてます?

     やや高齢のお客様が『銀翹散』を買いにいらして、鼻水の有無を確認したところ、頼まれ物だとのこと。
     『銀翹散』『葛根湯』とは反対に、上半身を冷やすことで風邪を治すことを説明すると興味を持たれたので、頼んだ人の症状を詳しく訊くと、1週間ほど前から喉が痛むらしい。
     他の症状は無いそうだから、『駆風解毒湯』『桔梗湯』を紹介しながら、胃炎の可能性もあることをお話したところ、その時期には食欲が落ちていた模様。
     そしてその時には咳もあったというから、そういう時に適応する物として『麦門冬湯』も紹介した。
     本日は、そのまま『銀翹散』をお買い上げ。
     使い分けについてのメモを希望されたため、汚い字で書いてお渡し。
     恥ずかしい(u_u;)

     『ロキソニン』を求めて来店したお客様に、うちのお店には置いていないため『イブA』を提案したところ、以前にイブプロフェンが処方されて効かなかったそう。
     ただ、主訴は肩の痛みで、処方されている『ロキソニン』にしても効いていないらしく、別に座薬の鎮痛剤が処方されており、それは夜には効いているものの朝には痛むという。
     でも、その座薬の内容は不明。
     病院では、自律神経失調による疼痛と診断されているというのだけれど、これまた詳細が不明。
     せめてお薬手帳があれば、他に処方されている薬とか、これまでの履歴で、関連する病状や担当医の治療方針を類推することもできるんだけどなぁ。
     お話を聞く限りでは、頓服に『芍薬甘草湯』を用いて、『釣藤散』を併用するのが良いように思える。
     『釣藤散』はパッケージに「高血圧」と書いてあるのもあって、血流を改善するのが主な効能だけど、案外と神経性の症状を緩和する生薬が入っているので。
     一応はお話をしてみると、帯状疱疹に『十味敗毒湯』を処方されたことがあり、そのさいに血圧が高くなったため服用を中止したという。
     なんだろう、甘草のせいなのかな。
     『十味敗毒湯』の含有量じゃ、ちょっと考えにくいけど。
     甘草が原因だとすると、『芍薬甘草湯』も使えなくなってしまうのだが、その『芍薬甘草湯』を試してみたいと買われてしまった。
     ありゃん(^_^;)
     お客様には、お薬手帳を持ち歩くことと、購入した市販薬も一元管理するよう勧めた。

     やや高齢のお客様が『八味地黄丸』を眺めていたので興味が有るのかなと思い声を掛けたら、病院で処方されていて、効能を確認していたとのこと。
     『八味地黄丸』に限らず、漢方薬には一読しただけでは繋がりが分からない効能が書いてあって混乱するとこがあるんだけど、お客様もそう思われたらしい。
     そのため、血流が滞ると体の材料が行き渡らなくなり痒みを感じたり、腎臓の機能が低下すると目の機能も低下することなどを説明し、体の各部は相互に関係していることをお話した。
     そして、病院で処方されているのが顆粒で、喉に引っかかり声嗄れしてしまうというお話があったため、水を少し口に含んでから薬を口に入れ、追加で水を飲んでみるよう提案した。
     そういうや、粉薬が苦手という人に話を聞くと、たいてい粉だけを先に口に入れて水を後から飲んでたりするんだよね。
     そりゃ、確かに苦しいわと思ったけど、どうしてそういう飲み方をするのか分らない。
     他には、先に水を口に含んでからだと粉薬が飲めないという人もいたけど、先にめいいっぱい水を口に含むから開けられなくなる訳で、水を2回に分けるというのは思いつかないらしい。
     そういう私も子供の頃は粉薬は、袋状のオブラートに包んで飲んでたんだよねぇ。
     だけど、ほぼ毎日飲み続けるのに面倒になって、粉薬を直に飲むようになった。
     その時にやったのが、先に少し水を口に含んで薬を口に放り込み、追加の水で飲み下すという方法。
     誰に教わった記憶も無いから、たぶん自然にやってたんだろう。
     しかしまぁ、人が薬を飲むところをマジマジと観察する事は無いから、意識しないと自分の飲み方が唯一の方法と思ってしまうかも?

     

  • 「風邪には葛根湯」という思い込み

     カップルと思われる若いお客様が、風邪薬や咳止め薬の棚を行ったり来たりしていたので声を掛けてみたけど、案内は断られた。
     しばらくして『ブロン錠エース』をレジに持ってきたため、痰が出ているのかを尋ねたところ、出るというお話だったので『ブロン錠』の方を勧めようと思ったけど、重ねて痰の状態を確認してみると、痰が切れにくいと分かり、そのままお買い上げ頂いた。
     これは、私の訊き方が悪かったな。
    「痰が出る」のと「痰が切れにくい」のは別物だから、そこを区別して質問しないと。
     患者さんからしたら、「痰が切れにくい」のも「痰がある」ことには変わりないから、痰が出ているか尋ねたら「痰が出る」という返事になってしまう。
     咳をした拍子に痰が出るようなら『ブロン錠』を、痰が喉に絡んで切れにくいなら『ブロン錠エース』をと覚えておいても、質問する段階で失敗していたら世話ない(´・ω・`)
     しかもこの2つの薬、どちらもパッケージに「せき・たん」と書いてあるから紛らわしく、今回のお客様は偶然に手にしたらしい。
     一応、お客様にも似ているようで効果が違うことを説明した。
     それから、咳をするのは気管支にも負担を掛け、喉の炎症が胃にも及ぶことがあるため、消化の良い食事をして胃を守るようにお話した。
     胃に影響が及んで弱ると、免疫力の低下につながって、風邪に進行してしまうというので。

     『ルルアタックEX』を服用していたものの効かなかったというお客様に、主訴を尋ねると喉の痛みと鼻水で、鼻水はサラサラの透明とのこと。
     発熱や頭重感は無いそうだから、それは風邪ではないのではとお話した。
     風邪でなければ、風邪薬が空振りしてしまう。
     そして、鼻水はそれほどではないといので体を温めるよう勧めて、喉の痛みには『駆風解毒湯』を案内した。
     『桔梗湯』もお客様の目についたけど、鼻水は内臓の冷えが原因と考えられ、炎症を冷やして治す『桔梗湯』は今回は避けたほうが良いことを説明し、『駆風解毒湯』をお買い上げ頂いた。
     『駆風解毒湯』は、冷やす生薬と熱を発散させる生薬の混合で、体を冷やし過ぎることがないから。

     『桔梗湯』の液剤をレジに持ってきたお客様に、念のためお腹が弱くないことと、鼻水の症状が無いことを確認した。
     選んだ理由は「効きそうだから」という事だったので、確認したことが注意点であることを説明。
     そのままお買い上げ頂いたけど、喉が痛くて鼻水が出る時には『葛根湯』と併用するよう伝えた。
     喉が痛いのに「風邪には葛根湯」という思い込みで『葛根湯』を買っていく人が多いから、この『桔梗湯』との併用は知っておいてもらいたいところ。
     上半身を温める『葛根湯』単独だと、喉の痛みは余計に痛くなるので。