“胃腸(急性)”
梅雨どきや夏になると多くなる「胃腸のトラブル」は、身近な症状であるだけに市販薬もたくさん出回っています。
しかし、合う薬がなかなか見つからず、症状が慢性化してしまっている人も多いようです。
漢方薬には「主に症状を除くもの」と「主に体質を改善するもの」の2タイプがありますが、今回は「主に症状を除くもの」を中心に解説します。
【原因・治療】
1.「胃の症状(寒熱)」と「下痢(湿)」が両方ある方
湿熱タイプ
※主に胃に熱があるかたです。
お酒の好きな方、ストレスの多い方、暑がりの方に多いです。
漢方薬:半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
「冷え腹」の効能があり、お腹が冷えて下痢をするかたに効果があります。
内から胃腸を温め、腸間の水分を血中に吸収して小便として排除します。
寒湿タイプ
※主に腸が冷えるかたです。
冷たいものをよく飲む方、胃腸の弱い方、寒がりの方に多いです。
漢方薬:胃苓湯(いれいとう)
飲みすぎ食べ過ぎによる下痢に効果があります。
胃苓湯は、飲みすぎに使う五苓散(ごれいさん)と食べ過ぎに使う平胃散(へいいさん)を一緒にした処方です。
2.「胃の症状(寒熱)」だけの方
胃熱タイプ
※お酒の好きな方、ストレスの多い方、暑がりの方に多いです。
胃に熱を持ったため具合が悪くなっているのです。
漢方薬:黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
「二日酔い」による胃の灼熱感や体の熱感に(暑苦しく動悸がして寝られない方、口臭がひどい方にも)効果があります。
処方中の4つの生薬のすべてに冷やす働きがあります。
胃寒タイプ
※冷たいものをよく飲む方、胃腸の弱い方、寒がりの方に多いです。
胃が冷えたため具合が悪くなってるのです。
漢方薬:安中散(あんちゅうさん)
冷たい物の飲みすぎで胃を冷やした場合の食欲増進薬として効果があります。
安中散は胃を温めて緒症状を改脅します。
処方の中に牡蠣が含まれていて、牡蠣のカルシウムが神経性症状を緩和します。
★薬局での質問のポイント
夏は暑いので、どうしても水分の摂取が多くなります。
「どこが悪い」のか「何が原因なのか」が分かれば、最適な漢方薬を選べますし、服用後の効果も抜群です。
1.「病位」の特定
「胃だけ」か「胃と腸の両方」か?
2.「寒熱」の特定
「冷たいジュース、熱いお茶のどちらが飲みたいか?」
「最近、冷たい飲料をたくさん飲んで食欲が落ちてないか?」
「昨晩、アルコールをたくさん飲んだか?」
※いろいろ考えたけど、自分でもよく分からない場合は?
半夏瀉心湯を相談してみましょう。
半夏瀉心湯は、病因・病位を選ばない便利な処方です。
胃熱を冷ます黄苓・黄連、弱った胃の働きを改善する半夏、そして冷えた胃腸を温める生姜、弱った腸の働き(漢方用語では脾(ひ))を改善する人参・甘草・大棗(だいそう)という合理的な配合により、消化器症状全般に効力を発揮します。
※必ず薬局で“ご相談”のうえ、お求め下さい。