花粉症

 花粉症はI型(いちがた)アレルギーに分類される疾患の一つで、植物の花粉が、鼻や目などの粘膜に接触することによって引き起こされます。
 主な症状は、鼻水、鼻詰まり、目の痒みなどですが、より体の奥へ入って咽喉違和感や炎症を起こすこともあり、熱などが無いのに咳が止まらない場合には、風邪ではなく花粉症の可能性があります。
 また、体の表面、すなわち皮膚の炎症を起こすこともあり、「花粉症は、鼻水、鼻詰まり、目の痒み」だけだと思っていると、実は花粉症を発症しているのを見逃してしまうということもあるので、注意が必要です。
 花粉症が発症するメカニズムは、複数の説がありますが、もっとも有力な説としては、本来は体内に侵入した病原細菌や毒素などの異物を排除したり無害化するために働くIgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5つの抗体のうち、IgEが1度接触したことのある花粉と結合することで花粉を「異物」と認識するようになり、その後は排除するために過剰な攻撃を行い、それが症状として現れるというものです。
 この、発症するまでの期間は人によって異なり、コップに水が少しずつ溜まる様子として例えられます。
 それはコップのサイズは様々であり、たとえ同じ量の水を少しずつ入れたとしても、満杯になる期間は異なり、満杯になって水があふれる時が、発症する時とされます。
 そのため、発症するのは突然であり、昨年はなんともなかったという人が、何の前触れも無く発症し、かつ、一度発症しますと、自然治癒することは困難とされます。
 なお、先にも書きましたとおり、花粉症は「異物に対する攻撃」であるため、一般的な疾病と違い、不摂生や体力の低下などは関係無く、むしろスポーツ選手など基礎体力の充実している人ほど激しい症状が現れることがありますので、「自分は健康だから」といって安心はできません。
 そして、花粉症というとスギ花粉によるものが大々的に報道されますが、これは杉木が多いということの他に、背が高く花粉が遠くに飛びやすいため同時多発的に発症するためであり、背の低い草花の花粉においては、半径数十メートルというごく狭い近所でのみ花粉症が流行るというケースがあります。
 これはすなわち、学校や職場などでの花粉症の流行るタイミングとズレるということですので、寒気や熱などが無いのに、鼻や咽喉に違和感を感じたり、クシャミや咳が出るという時には、風邪よりも花粉症である疑いがあります。
 世間的に花粉症が騒がれない時期に発症していて、近所はもちろん、通勤、通学の途中に、土手や公園、神社など草木の多い場所があるようでしたら、特に注意しましょう。

 漢方では、体の多くが水で構成されていることから(成人女性で55~60%、成人男性で60~65%、高齢者の方では50~55%)、栄養を全身へ運んだり、老廃物を回収している物として水分の代謝を重要な働きと考えており、花粉症などのアレルギー反応は、水分代謝の異状として捉えます。
 例えば、水分を多く摂っても体に吸収できないまま排泄してしまう頻尿、体内が乾燥して水分が不足するため便が硬くなって便秘がち、あるいは上半身に熱が篭る一方で手足や内臓などが局所的に冷えて下痢を起こしやすいなども、花粉症を起こす原因と関連があるものとします。
 そのため、花粉症の現れている症状や体質に合わせて、漢方薬の種類を変えていくことが重要となります。
 前に飲んで効いたから、前と同じ物をと服用しても効果が無いことがありますので、ご注意下さい。
 例えば、後述しますように、鼻水が出る場合は小青龍湯を、鼻がつまる場合には葛根湯加川きゅう辛夷を服用するとありますが、鼻水と鼻づまりが交互に起きる場合には、その時々の症状に合わせて、服用する漢方薬も変えるのが効果的です。
 また、漢方薬は「眠くならない花粉症の薬」として使えますので、仕事などの時には漢方薬、寝る時には現代薬といったように、現代薬と上手に併用するのも良いでしょう。
[:○:]鼻水が垂れてきて、クシャミを伴う場合。
 例年繰り返す場合には、症状に関係無く、症状の起こる約2週間前~1ヶ月前の期間から、通常量より少ない量を服用して予防薬とする。
 小青龍湯
[:○:]鼻がつまり、上半身に熱が篭る場合。
 葛根湯加川きゅう辛夷
[:○:]鼻づまりが酷く、慢性的な蓄膿症の場合。
 荊芥連翹湯
[:○:]高齢者の花粉症で、主にクシャミと鼻水が出る場合。
 麻黄附子細辛湯
[:○:]鼻水やクシャミがあり、胃腸が弱く、食の細い人の場合。(小青龍湯を服用すると胃が重く気分が悪くなる人など)
 香蘇散
[:○:]鼻がつまり、鼻汁が咽喉の奥に垂れてくる場合や、鼻が詰まって喉に異物感がある場合。
 辛夷清肺湯
[:○:]鼻には異常が無く、発熱も無く、咽喉に異物感があったり、痰が絡みやすい、または咳き込みやすい場合。
 麦門冬湯
[:○:]鼻がむず痒く、目の痒みが顕著な場合。皮膚の痒みがある場合。
 十味敗毒湯

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花粉症への2件のコメント

  1. 風邪治りません・・・

    つよしがペットリンクを運んでくれました。

     
  2. 酸で細菌による動脈硬化を予防する

    細菌による動脈硬化を防ぐために・より効果的な酸っぱい食品は・・ 酸味成分・『酒石酸(しゅせきさん)』を多く含む『ブドウ』