持病や常用している薬をプロフィール欄に書いておくというのはどうか

 成人男性からの頼まれものという事で、喉の痛み止めの薬を求めてお客様が来店した。
 本人が症状を感じたのは今朝かららしく、頭重や悪寒などの症状は無い模様。
 頼まれ物の場合、確認した情報がどこまで正しいのか判断がつきかねる。
 厳密に言えば、売っちゃいけないんだろうなぁ。
 という訳にもいかないので、適応しそうな薬をチョイスする訳ですが。
 お腹は丈夫らしいので『桔梗湯』を候補にしたが、一緒に『駆風解毒湯』も案内したところ、買いに来られた方の判断で『駆風解毒湯』をお買い上げ。
 どんな判断が働いたのかが不明で、やっぱり戸惑ってしまう。
 人に頼む時も、人から頼まれる時も、最低限「現在一番苦しい症状」と「それは何時からか」の2点と、プラスアルファで「以前に同様の症状で使用した薬の成分」はチェックしておいて欲しい。
 まぁ、覚えておくのは難しいだろうから、最近ならSNSをやっている人は、使用した薬と状況を投稿してみると良い。
 後で自分の投稿を検索したりして調べられるし、親しいフォロアーさんが覚えておいてくれるかもしれないので。
 よほど隠したい持病でなければ、公言しておくのは自分の安全対策の一つとして有効でしょう。
 例えば、誰かと一緒に出かけた先で救急車で運ばれるような事態になって、自分の意識が無い時には、相手が救急車に同乗して救急隊員から、色々と質問を受けるというケースは、現実的にありえる。
 持病や、常用している薬のことなどは重要な情報だ。
 ……ああ、プロフィール欄に書いておくというのもアリかもしれないな。
 悪用されるケースは、どうなんだろう?
 悪意を持った相手から、アレルゲン物質を食事に盛られるとか?
 無くも無いだろうけど、公言していれば他の人たちが気をつけてくれるかもしれないし、私はメリットしか考えられない。

 高齢のお客様が、膝の痛みの相談で来店。
 コレステロール値が高くて通院しており、『グルコサミン』を紹介してほしいという。
 うん?
 膝の痛みでの通院ではないので?
 そう尋ねてみたら、病院からは『加味逍遙散』が処方されている事が分かった。
 コレステロール値が高いのと、どう結びつくのか分からない。
 更年期障害や、不安神経症で通院しているとかではないのか。
 こういう時、どこまで突っ込んで尋ねて良いのかも迷いどころ。
 ひとまず措いておいて、膝の痛みについての方を詳しく尋ねてみる事にする。
 すると、「温めると楽になる」という事と、「座る時がツライ」という事が分かった。
 即座に頭に浮かんだのは、『桂枝加朮附湯』だった。
 ただし、『桂枝加朮附湯』は血流の面倒までは見てくれないだろうから、患部に痺れ感があれば『疎経活血湯』も候補になるものの、痺れ感は無い様子。
 温めて楽になるというのだから、冷えが原因と考えれば、高齢者でもあるし『牛車腎気丸』という手もあるか。
 いずれにしても、『グルコサミン』を必要とするかどうかは、担当医に相談した貰った方が良さそうだ。
 漢方薬を処方してもらっている事だし。
 ここで最初の話に戻って、どうして担当医に膝の痛みの相談をしていないのか確認したら、「内科だから」との事だった。
 いえいえ、科が違っても具合の悪い所があれば、遠慮せずに伝えた方が良いですよ。
 たまたま得意分野の科を掲げているだけかもしれませんから、もしかすると分かるかもしれないし、分からなければ他の病院を紹介して貰えるかもしれませんし。
 こういう、「科が違うから相談しなかった」っていうケースは、患者さんとお話していると、わりとある。
 ドラッグストアへの買い物だと、目的の薬以外の症状については言っていただけないケースも多いんだろうなと想像。
 頭痛の原因が胃の症状と関係していたり、足の症状が心臓と関係していたりと、「症状の出ている患部だけが悪い状態」とは限らないから教えてもらいたんだけどねぇ。
 これもまた、聞き出す技術が必要で。
 ひとまず今回のお客様には、膝の痛みの漢方薬も一緒に処方してもらえるかもしれないので、担当医への相談を第一に勧めた。

 高齢の母親から膝の痛みにと、使い捨てカイロを頼まれたというお客様がいらしたのだけれど、店舗としては本部からの指示で全部返品してしまった。
 というのは、昨年までの話。
 昨年も、梅雨の今頃の時期に使い捨てカイロを求めてお客様が何人かいらした。
 それを見越して、今回は全部を返品せずに残しておいたのだ。
 上司からは嫌がられたけど(;´Д`)
 本部指示に従わないと本部のマネージャーさんからお小言を頂戴するのと(上司が)、在庫を抱えると予算との兼ね合いで店長から責められるので(上司が)。
 本当は、真っ当に説得するのが社会人というものなんだろうけど、なにしろ大型店は融通がきかない。
 花粉症関連の薬も、本部からの返品指示があり、その際にまだ残しておいた方が良いと提案したのだけれど、こちらはパート、上司は社員だから、指示に従わないという選択が無いもんで各商品を一品づつのみ残して返してしまい、翌日からのアレルギーの患者さんへの対応に苦労した。
 なにしろ1個売れたら、在庫切れなんだもの( ̄▽ ̄|||
 まぁ、漢方薬だけは返品リストの対象外だったから、漢方薬が嫌というお客様以外には困らなかったけど。
 とにかく、大型店は商品の取り扱いがシーズンごとに極端すぎる。
 で、今回は使い捨てカイロの一部をケースに片付けて上司の目につかないように倉庫に保管し、そのまま返品せずに「忘れてました、テヘッ(*ノω・*)」と返品期日の締め切りが過ぎるのを待つという、社会人にあるまじき方法で確保した次第。
 そしたら、今回のお客様に在庫を買い占められてしまった。
 あうっ……ヽ(´Д`;)ノ
 患者さん本人は膝の痛みに他にビタミン剤を服用しているらしいのだけれど、やはり患部を温めると楽になるという事で、『桂枝加朮附湯』か、血流の面倒も見る『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介した。

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持病や常用している薬をプロフィール欄に書いておくというのはどうかへの1件のコメント

  1. アバター はぐれ薬剤師
    はぐれ薬剤師 コメント投稿者

    聞き出す技術 難しいですね。質問質問では警察の事情聴取。そこで高度ですが、お客様の望診が出来れば、例えば便秘なら、便秘ありますかとは聞かず、初めから、お客様の今の便秘は で始まります。かなりインパクトありますから、あとは、なんでも話してもらえます。