≪第1回≫麻黄附子細辛湯

漢方薬症例クイズ≪第1回≫

 実際の症例を元に、患者さんの症例データーを提示します。
 “書いてある内容”から推理して、適応すると考えられる漢方薬の名前を当てて下さい。
 基本的に当店で扱っている漢方薬としますが、解答としては必ずしも限定しません。「なるほど、その方法もあるか」と思われる解答であれば、正解とする事があります。(生薬のみや民間療法などは除外します。)
 正解者の中から、抽選で2名様に『サトちゃんチョークバック』を進呈いたします。
 絶対の正解というものはありませんのであくまで、“あそび”として楽しんでいただければと思います。
 皆様の参加をお待ちしています。(終了しました)

サトちゃんチョークバック

porch01.jpg (79273 バイト) porch02.jpg (81108 バイト)
表側       裏側

 ベルトなどに取り付けるチョークバックです。
 写真では、350mlのペットボトルを入れてみました。
 結構便利に使えます(⌒▽⌒)

募集期間:2月14日(土)~29日(日)
正解発表:3月3日(水)

問題
 65歳、女性。身長150cm、体重50kg。
 主訴は、クシャミ、鼻水、鼻づまり、悪寒。
 顔色は蒼白く、舌はやや白い程度。悪寒が背中から全体にかけてするという。
 咽喉(のど)の痛みは無く、食欲は少ないが、熱はあまり高くないとの事。
 季節は冬。関東地方の平野部に住んでいるが、雪が降った日の翌日から症状が始まった。


正解
 
正解麻黄附子細辛湯です。
 正解者の中から抽選でという事でしたが、単品で正解した方が2名のみでしたので、そのまま当選者といたします。
 当選したのは、以下の2名の方です。おめでとうございます。
PzGr様…選んだ理由:悪寒、鼻水、顔色悪いかな?
アヤ様…選んだ理由:悪寒がひどく風邪に似た症状もあるので。

解説
 通常、上半身が冷えるとクシャミや鼻水となり、上半身に熱が篭ると鼻づまりとなります。
 この時点で主に候補となる物としては、クシャミや鼻水には葛根湯小青龍湯、鼻づまりには葛根湯加川きゅう辛夷辛夷清肺湯などがあるでしょう。実際、解答の中では葛根湯が一番多く、次いで小青龍湯となっていました。
 ここで迷うのは、患者さんは鼻水と鼻づまりの両方の症状がある事です。対処療法としては、それぞれの症状ごとに小青龍湯葛根湯加川きゅう辛夷を交互に飲むという方法もあります。
 しかし、問題の中ではさらに悪寒があり、雪が降った翌日からという注目するべき点があります。つまり、“冷え”が強いという事です。
 もう1つ気になる事としては、熱はあまり高くないという点です。葛根湯を推す人の中には「風邪の初期のようだ」と予想した人もいましたが、すでに鼻に症状が出ており、食欲が少ない事、年齢が年寄りという程ではないものの中年以降である事から体力的な衰えを考慮すると、これから熱が出る初期というよりは、体力的に“熱を出す事ができない”と考えられます。
 以上の事から、この患者さんには麻黄附子細辛湯を用いました。

補足
 温めるという目的で麻黄附子細辛湯小青龍湯を併用するという解答もありましたが、今度は温まり過ぎて気分が悪くなるかもしれません。まずは、どちらか一方で様子を見るというのが良いでしょう。
 また、風邪の中期から後期ととらえて柴胡桂枝湯小青龍湯を併用するという解答もありました。胃腸や肝臓を養いつつ温めて体力をつけさせるという着眼点は良いと思います。
 今回のクイズでは生薬の成分には触れませんでしたが、麻黄附子細辛湯小青龍湯の組み合わせでは麻黄(まおう)という生薬が、柴胡桂枝湯小青龍湯の組み合わせでは柴胡(さいこ)が重複してしまい、あまり好ましくありません。漢方薬を複数用いる場合には、この生薬の“重複”に気をつける必要があります。逆に生薬を重複させて特定の効果が高まる事を期待するという使い方もあるので、その辺りはお店で相談するようにしましょう。
 真武湯柴胡桂枝乾姜湯という解答もありましたが、今回の場合は問題の中でそこまでの衰弱や胃腸虚弱である事を示すものはありませんので、残念ながら除外となります。
 それと、解答で多かった葛根湯は「風邪の初期には葛根湯」というイメージが定着しており、それ自体は確かなものの、この“風邪の初期”というのがなかなか曲者です。ウチのお店にも「風邪のひき初めで」と言う患者さんが来るのですが、大抵は鼻に症状が現れていたり咳が出ていたりして、すでに初期を過ぎているという事が多くあります。
 定まった説がある訳ではありませんが、葛根湯の効力から考えると「頭が痛い……ような気がする」とか「寒気がする……かな?」という状態を初期と考えて、その段階で服用する方が効果的です。風邪の治療として使う場合は、症状が出てからでは葛根湯は遅いと思っておいて、風邪をひいた気がする段階で服用ようできるように普段から持ち歩いておくのが良いでしょう。

解説:北村俊純


参加者コメントより
 犬山しんのすけ:どうしても小青龍湯に目が行ってしまいまし。また、紫胡桂枝湯には、悪寒を抑える働きがあるとの事ゆえ、併用で。うぅん、やっぱりお薬の道は深い(^^;
 一度目につくと、ついつい捕らわれてしまうんですよね。私も「コレにはコレ」という癖がつかないように気をつけたいと思っています。(北村)

 morikawa:漢方薬の名前を漢字で入力しようとしたが挫折しました。ひらがなで入れるのもひと苦労。このHPを作った人はすごい! どう入力すればみたことない漢字をあんなに並べられるのだろう。
 日本語入力のユーザー辞書に地道に登録していきました(^_^;)(北村)

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