正直、舐めてた。
名作であるアニメ版を実写化しても、無残な作品になると。
しかしこれが嬉しい誤算。大当り。
舐めててゴメンナサイ。
傍若無人な、しんのすけの役どころが分別のできる良い子の小学生になってしまったため、前半は少々怠い物語りの進行だったが、後半にかけては抑えた演出が、ありえない突飛な設定を見事に地に足が着いた少年の成長物として昇華させていた。
特に合戦のシーンは、歴代の戦国物の映画作品に引けをとらない、屈指の名シーンだった。
とにかく泥臭く、ちっともカッコ良くない。
物の本に依れば、当時の戦は現代の感覚からすると、道具を使った殴り合いの喧嘩みたいだったという。(もちろん命懸けであったが)
それを、あえて映像的な派手さに走らず、地味に描いたことで、むしろリアルな殺し合いを再現してみせたのだ。
それでいて、子供の視聴を考慮して血潮きを避けることでファンタジーに落とし込んでいるさじ加減に感心した。
角川映画の『天と地と』が、派手なだけの凡作に思えるくらい。
この作品は今後の戦国物に、一石を投じる作品になったのではないだろうか。
全裸侍大将は、やっぱり「いいひと」だったけど(笑)