薬は季節や環境での使い分けということもあります

 常連のお客様から受けた相談は、ご主人が初期は鼻水とクシャミで『小青龍湯』を用いて治まったものの、出張してからぶり返し、今は鼻づまりになっているとのことだった。
 暖かくなってきたから、上半身を温める『小青龍湯』が合わなくなってきていると考えられるため、『葛根湯加川きゅう辛夷』への乗り換えを案内したところ、家に以前に病院で処方されてた物が残っているそうなので、使うよう勧めた。
 また、出張以来、疲れが抜けないみたいというお話があり、『柴胡桂枝湯』を案内すると、お買い上げ頂けた。
 漢方薬に限った話じゃないけど、薬は体質や症状だけじゃなくて、季節や環境での使い分けということもある。
 特に「風邪には葛根湯」と思い込んでいると、夏場の風邪には対応できないケースが有る。
 『葛根湯』は上半身を温めるから、夏場に使うと胃が温まって気持ち悪くなったりしてしまうのだ。
 そして夏場の風邪というのは、夏バテと同じように胃腸の調子が悪くなって、抵抗力が落ちたところでということが多いため、通常は風邪の後期や胃腸炎に用いる『柴胡桂枝湯』を最初から使ったり、胃腸の風邪に特化した『かっ香正気散』の出番となる。
 もっとも、夏場でもエアコン冷えや雨に濡れてといったような場合の風邪には、『葛根湯』が適応する。
 そんな訳で、夏場の風邪の対処は案外と難しいので、「前に効いたから」と思い込まずに、店頭で相談して下さいな。

 お客様から、日光皮膚炎の相談を受けた。
 顔だけが赤味を帯びて痒くなり、昨年も同様だったという。
 今回訪れたのは、病院で処方されていた塗り薬を使い切ったからというのだけれど、肝心の処方されていた薬の内容が不明。
「白くて、チューブに入っていたんだけど」と言われても、たいていの塗り薬は白くてチューブに入っていると思います(^_^;)
 一方、そもそもの原因としてはピーリングの化粧品を使っていたのが思い当たるそう。
 そして、その化粧品の内容も不明。
 ……名探偵でも、手掛かりが無いと解決できないと思う。
 顔に塗れる皮膚炎の薬として『コートf ATクリーム』と、内服に上半身の炎症を抑える『黄連解毒湯』『消風散』を紹介したけど、受診勧奨した。
 使ってる薬が分からない段階で、店頭ではお手上げなので┐(´~`;)┌

 高齢の母親の肘の痛みについて、お客様から相談を受けた。
 病院を受診していないそうで、お客様は「年だから、軟骨でしょ」と言われる。
 ひとまずお話を聞いてもらうために、要望に沿って『コンドロイチン』や『キューピーコーワコンドロイザー』や『アクテージ』などを紹介。
 そのうえで、軟骨ばかりでなく血行不良などでも痛みがあることを説明した。
 例えば、栄養は血液で運ばれるけど、血行不良で局所的に栄養不足に陥ると、その部分から「栄養が来てないよー」ということを痛みとして脳に信号を送って、救援要請をしてくるのだ。
 そして詳しくお話を訊いてみたら、本人は動かなくてもジンジン痛むと訴えているとうお話。
 それは、やっぱり血流不足が起きてるんじゃないですかねとお話してみたけど、関節のイラストの入っているパッケージの物の話以外については聞いてもらえず、『キューピーコーワコンドロイザー』を買っていかれた。
 う~む、お金を出して買うのはお客様だけど、患者さんのことを考えると、これで良いのかどうか……(´ヘ`;)
 『疎経活血湯』も、紹介したかったんだけどなぁ。

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