咳止めを求めて来店したお客様に症状の経過を尋ねると、一週間ほど前に風邪で発熱し咳だけが残ったというので、体内の乾燥のお話をして『麦門冬湯』を紹介した。
でも錠剤を希望され、うちには『麦門冬湯』の錠剤が無いため、『ブロン錠』と『ブロン錠エース』を候補にした。
痰については出ていないそうなので、『ブロン錠』の方を勧めてお買い上げ頂いた。
痰が出るなら、去痰剤 L-カルボシステインの入っている『ブロン錠エース』の方なんだけどね。
これは普段でも結構、両方のパッケージを見比べて迷っているお客さんがいるんだけど、たぶん見分けはついてないんじゃなかろうか。
私も、メーカーの講習会に参加するまでは、区別ついてなかったし(^_^;)
迷う時には、訊いて頂けたほうが早いですよん。
そうそう、体内の乾燥の方は、風邪によって胃炎を起こして、胃にかぶさっている肺に余計な熱が伝わってるせいだと思われるため、消化に良い食事をするように伝えた。
ベビーカーに赤ん坊を乗せたご夫婦が来店し、奥さんが指に火傷をしたとのことで「火傷の薬を」と注文された。
患部には保冷剤を当てていた。
内心、「保冷剤はヤメて~(>_<)」と思いながら対応。
以前に女友達も、火傷して保冷剤を患部に当ててるとチャット中に言ってきたんで、「それは駄目」と言ったことがあるんだけど。
基本は、流水で冷やすこと。
軽度ならば患部に直接水を当てて、皮が捲れるくらいに重度の火傷なら患部が下流になるようにして流水に当てる。
そして、時間にして30分以上は冷やし続けて欲しい。
冷やすんだけから保冷剤でと考えちゃうんだろうけど、「冷たい」というのは「刺激」で、火傷はすでに熱で「刺激」を受けている訳だから、さらに「刺激」を追加してしまうのは適切ではない。
急激な冷たさで神経が麻痺して、早くに痛みを感じなくなるから、なおさら良く思えてしまうというのもあるのだろう。
でも、ドライアイスを触っても「火傷」するし、凍傷で起きる症状は「火傷」に似ている。
要するに、極端な温度変化で皮膚細胞が損傷を受けるのが「火傷」なので。
今回のお客様には、まず熱源に直接触れたのか、お湯などが掛かったのかを尋ねた。
すると熱源に直接触れたらしいのだけれど、明確には答えてもらえなかった。
ううん、火傷した経緯は火傷の具合を推し量るのに必要な情報なんだけどなぁ。
例えば、熱源に直接触れた場合は反射的に体は避けようとするから一瞬のことで火傷の範囲は狭いものの熱源の温度は高いかもしれないとか、お湯を浴びた場合は熱くても百度以下の代わりに広範囲に火傷しているかもしれないというように。
なのに、たいていの患者さんが火傷の原因を濁すんだよねぇ。
たぶん、火傷するのは「ついウッカリ」で、それが恥ずかしいのかもしれないけど、そういうのを気にしている場合じゃないですからね(;´・ω・)
今回は冷やすのは水道水で、30分ほど冷やしていたということで、保冷剤を当てたのはお店に来るのに出かけるためのようだったけど。
ただ、それで来て頂いて大変申し訳無いのですが、「火傷を治す薬」という物はありません。
こうお話すると、多くのお客様には「ショボーン(´・ω・`)」とされ、今回も例外では無かった。
もっと、言い方を考えろ自分。
で、まぁ充分に冷やした後には、雑菌による患部の感染を防ぐことを第一とし、皮膚のケアについては後から考える事になりますと説明した。
もし水ぶくれになったら、その水は透明な血液のようなもので、雑菌の繁殖を抑える作用があるので破らないようにして下さい。
という訳で、『テラマイシン軟膏』などの抗生剤を使うよう勧めたら、自宅に有るとのことだった。
そして、その後の患部のケアには『アピトベール』(紫雲膏)をと案内したら、それも自宅に有るそう。
………来る必要ありませんでしたね。
お客様も私も苦笑い(^_^;)
結果、絆創膏だけを購入された。
この時に案内し忘れちゃったんだけど、水膨れになってなければ『ケアリーヴ治す力』のような湿潤療法の絆創膏も有効です。
そうそう、余計かなともと思ったけど、なんだか申し訳ない気持ちになったので、もし赤ん坊が火傷をした場合には、患部の場所によっては流水に当て続けて体温が下がりすぎてもいけないから、例えば腕を冷やす時には体の方はタオルを巻いたりして保温するように伝えた。
かえって、心配させちゃったかなぁ。
でも、知ってるのと知らないのとでは、いざという時に行動を起こすさいの躊躇が事態の悪化を防げるかどうかが違うはず。
後でSNSで、他の医療関係者の人たちに火傷の対応を訊いて回ったら、色々と参考になるアドバイスを頂けた。
患部に痛みを感じない場合には、より深く火傷をしている可能性を指摘されたりとか、手のひらを超える範囲だったら同じく深刻なものとして病院への受診を勧めるようにとか。
あと、『メモA』には化膿防止の成分の他に局所麻酔のジブカインが入っているので、痛みを訴えている患者さんに有効とか。
アチャ~、そういえば今回のお客様は患部がジンジン痛むと言っていた。
治す以外に苦痛を和らげるという視点に立てば、『メモA』は紹介しておくべきだったかも。
これは、「火傷を治す薬という物は無い」と思い込んでいた、私のミス(´・ω・`)
他には、『ドルマイコーチ軟膏』が炎症を抑えるステロイド成分に抗菌作用の強い抗生物質が配合されていて、病院ではステロイドと抗生物質を混合して出すケースがあるから有効だということを知った。
ただし、効能書きには火傷は書いていないため、これは裏ワザのようなもので、店頭では勧めにくい。
というように、たぶん店頭で質問すると、薬剤師さんや登録販売者さんによって、提案される治療方法が違うと思われ。
私のように、あまり薬を使わない方針で、痛みは我慢という人に当たったらゴメンナサイ(笑)
……もとい、患者さんの方にも希望があるでしょうから、それはちゃんと伝えましょう。
もし近所にドラッグストアーが複数あるようなら、それぞれのお店で質問してみて、自分に合う店員さんを見つけておくというのも良いかも。
実際、それぞれに得意分野があったりするからね。
あっ、火傷に関しては「流水で十分に冷やす」というのは共通していたので、くれぐれもお忘れなく(・o・)ノ