山登りは気軽なレジャー?

 腰痛のためにと、湿布を求めてお客様が来店。
 いつもではないものの、割と繰り返しているというお話も。
 毎日使う訳では無さそうなので、フェルビナク製剤を勧めてお買い上げ頂いた。
 ただ、今まで病院に行ったことが無いというお話に、一度は受診するよう勧めた。
 悪くなったら病院に行こうと思う気持ちは分かるけれど、現状を知るのが大事なので。

 お客様から外用消炎剤を求められて、患部の状況を尋ねると、山登りで他の登山者とぶつかり転倒したとのこと。
 冷やすのと温めるのとどちらが良いか訊かれたものの、初日は冷やすとしても、後は鎮痛成分が入っていれば、あのり関係無いですと説明した。
 いや、まぁ、厳密には温めて血行を良くした方が、損傷した細胞の修復は早まると云えないこともありませんが、体感できるほど違うかというと、それも断言できず。
 科学的に厳密にと考えると、曖昧にならざるを得ない。
 いずれにせよ、急性症状には短期決戦で鎮痛効果の強い物がお勧めですと、インドメタシン製剤を案内してお買い上げ頂いた。
 ところで、私は好んで山登りはしない家に篭ってゴロゴロ派なんで分からないんだけど、山登りに行く時って応急キットは持っていかないのかな?
 いや、案外と山登りで足を痛めてとかで外用消炎剤を買いに来るお客様が多いんだけど、初歩的な打ち身の知識を持ち合わせていなかったり、家に消炎鎮痛剤を常備していなかったりで、たいてい棚の前で迷っているのが気になって。
 これが例えば、プラモデルの作成を趣味にしている人なら一通りの道具は揃えてるはずだし、今ではパソコンを使うとして絵を描くのを趣味にしている人は道具類に一家言持っていたりするため、店員への質問も専門的になりがち。
 ところが、山登りを趣味にしているらしいのに、湿布の違いはおろかテーピングの使い方も知らなかったりで、どうもよく分からない。
 それこそプラモデルの作成なら溶剤として使うシンナーは有毒だから部屋の換気を良くするとか、油絵を描く人は溶剤が発火しやすいから火の気に気をつけるとか、安全面の知識は技術と同じく基礎知識。
 なのに、山登りなんて危険と隣り合わせの趣味なのに、どうして応急処置の知識が不足しているのか分らない。
 家でゴロゴロ派の私でさえ毎年、次郎と日帰りでスキーに行って滑るのに、カイロとペットボトルとチョコレートは標準装備。
 リフトに乗ってる時に止まって数時間取り残されるかもしれないし、滑ってる時にコントロールが効かなくなってコースを外れ身動きがとれなくなることも有りえるので。
 好きで行なう趣味ならば、なおさら怪我の手当ての基礎知識は必須かと思われ(・o・)ノ

 『マグネループ』を買いにいらしたお客様から、使用期限があるか尋ねられた。
 永久磁石だから無いはずだけど、勘で答えちゃマズイのでメーカーに問い合わせてみた。
 窓口の人も苦笑していたけど、もしかすると同じ質問は多いのかも。
 やはり永久磁石なので使用期限はないものの、リングの部分のシリコンゴムは経年劣化するため、製品としての寿命は一年くらいという回答を得て、お客様に伝えた。
 ただ利用状況を訊いてみたら、奥さんが足の骨折で入院しており、同じ姿勢でいるためか肩こりを訴えていて、頼まれたとのこと。
 そして、骨折した患部が化膿して抗生剤を足から直接投与しているため、飲み薬を避けようと考えて『マグネループ』を選択したらしい。
 いやぁ、入院しているのでしたら『葛根湯』を処方してもらったらどうでしょうか。
 抗生剤に影響することも無いはずですし、と話してみたら、肩こりについては担当医に話していないという。
 えっ、なんで(^_^;)?
 お客様は『葛根湯』が肩こりに使えるということに驚いた様子だったけど、入院しているのに相談しないことには私のほうが驚いた。
 骨折で入院したから、肩こりについては別物と考えたらしい。
 薬によっては副作用で思わぬ症状が出ることもありますし、入院中に具合が悪くなった時には、関係あるか無いかは担当医に話してみないと分かりませんから、ちゃんと伝えるようにとお話した。
 ひとまず頼まれ物ということで、『マグネループ』は購入された。

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