驚いたり落ち込んだり自信回復したり躓(つまづ)いたり忙しい日

 毎週のように『スルーラックS』を購入していく、やや高齢のお客様。
 かれこれ二年越しの常連さんで、初見の時に症状を尋ねたら無言で睨まれ、「話しかけないでオーラ」を放っていたため、それ以来ずっと言葉を交わすことも無かった。
 そしたら今日、お釣りを渡す時に私が手を滑らせてレジ台に小銭を散らばらせてしまった。
 謝りつつ、お腹の調子はどうですかと尋ねてみたら、実は便秘ではなく、お腹にガスが溜まりやすいというお話が。
 ありゃまΣ(゚Д゚ υ)
 それで『ガスピタン』を候補に考えたのだけれど、食は細いそうなので健胃作用の生薬と現代薬を組み合わせた『スクラート胃腸薬S』を提案してみたら、一緒にお買い上げ頂けた。
 整腸剤についても話してみたところ、『ビオフェルミン』や『ザ・ガード』は効かなかったそう。
 それにしても、ここのところ常連さんからのカミングアウトが多いな。
 いや、こういう時にカミングアウトというのは誤用になるか。
 とにかく、患者さんと打ち解けて詳しい症状や経過などを聞き出すのは大変だとは思っていたけど、さすがに二年越しは長いやね……(;´・ω・)

 お客様から、『ニノキュア』と『ザラプロ』の比較を質問された。
 皮膚関連は苦手分野なので、頭の中の引き出しを焦って漁る私……。
 時間稼ぎに(←マテ)、症状の方を尋ねた。
 子供の頃から二の腕にブツブツがあり、痒みは無く、病院では遺伝性と診断され、治療するにはピーリングなどの美容整形しか手が無いと医師から言われているという。
 ……それは、ドラッグストアーの手に余る(^_^;)
 とりあえず質問の方の両者の違いについては、痒みが無い点からすると、どちらも抗炎症作用が主作用なため、『アットノン』のような皮膚の再生を促すものの方が良いのではないかとお話した。
 ただ、遺伝性ということは再生プログラムが破損している訳で、同じように再生されてしまうから現状なんだよね……。
 一方、『ハイチオールC+』のような内服薬は試したことは無いそう。
 かといって症状の変化に生理などの体調とは連動していないそうだから、『桂枝茯苓丸加よく苡仁』での血流改善じゃ効果は期待できないかも。
 なので病院を変えて相談してみるよう、お話するしかなかった。
 でも後で調べたら、『毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)』のようだった。
 あちゃあ、頭の中だけの検索に頼らず、その場で調べるべきだった………。
 それなら、『ヨクイニン』でいけたかも。
 ただし、一ヶ月くらいは集中的に服用しないと効果は得にくいだろうから、市販で購入するより病院で処方してもらった方が良いだろうけど。
 あのお客様、また来てくれないかな……。
 ううっ、ごめんなさい(´Д⊂ヽシクシク

 お客様から、『加味帰脾湯』『桂枝加竜骨牡蛎湯』の比較を質問された。
 子供の頃から不眠に悩まされてきた私には、こっちの方が得意分野。
 いや、皮膚疾患もアトピー性皮膚炎なら……、言い訳ですが。
 『加味帰脾湯』は、疲労し過ぎて神経過敏になっている場合に適応する。
 例えば、肉体的に疲労していると身体のセンサーは鋭敏になるので、自分の心臓の音でも雑音として不快に感じたり、それこそ心臓の鼓動を地震の揺れと勘違いしてしまうような時に用いると効果的。
 『桂枝加竜骨牡蛎湯』は、もともとが体質虚弱で食が細いような人向け。
 胃の弱さは不安感を増し、不安感は胃の働きを悪くする。
 ちなみに、肝臓の働きが悪くなると怒りっぽくなり、怒りっぽい人は肝臓を悪くしやすいので注意。
 胃が悪くなってもイライラするけど、その場合はイライラだけではなく不安感とセットだったりするから、不安感よりはイライラが募るようであれば、肝臓を助ける柴胡剤の『柴胡加竜骨牡蛎湯』の方が適するだろう。
 今回のお客様は、寝ても途中で目覚めがちな中途覚醒という事から、『加味帰脾湯』の購入を決められた。
 ところが、お会計の段になって排卵障害による不妊症治療薬の『クロミッド』を病院から処方されていると話された。
 自信を回復したところで、またやっちゃったよ。
 服用している薬が無いかの確認を、怠ってしまった……orz
 調べてみた限りは相互作用の心配は無さそうだけど、中途覚醒が『クロミッド』の副作用と関係あるのではというのは今度は考え過ぎか。
 いずれにしても、『加味帰脾湯』を使ったことを担当医には報告するよう伝えてお買い上げ頂いた。

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