お客様から「のど飴を」と求められて『ヴイックスドロップ』のある棚を案内したものの、症状を尋ねたら患者さんは10歳の娘さんで、喉が赤く腫れているのを視認しているという。
ありゃん(^_^;)
それなら消毒薬もどきじゃなくて、炎症を抑えるアズレン系の『パブロントローチAZ』の方が良いかと。
そうお話をしたら、薬を使うのを躊躇された。
他に服用している薬があるのか尋ねるも、それは無いというお返事。
それじゃあ、薬でアレルギーを起こした事でもあるのかと思ったけど、それも無い模様。
結局、薬を避けようと思った理由は分からずじまい。
それでいて同じアズレン系の『マードレトローチ』に興味を持たれたが、こちらは15歳以上という年齢制限がある。
一瞬、年齢制限を見落としそうになった。
アブねぇアブねぇ(;´Д`)
15歳以上に制限されているのは、アズレンの他にクロルヘキシジン塩酸塩が入っているからだろうか。
後で調べたら、アナフィラキシーショックの事例があるらしい。
『パブロントローチAZ』を購入して頂いたものの、喉が赤く腫れているのを確認していながら薬の使用を避けようと思った理由が分からないままで、なんだかスッキリしない。
そういう思考というか、気持ちというか、そういうモノに寄り添わなければならないのだけど、言ってもらわないと理解できないのは、私の方の技能不足か人間的欠陥かと悩み始めると止まらないんですよ……。
外用消炎剤の棚で、成分の区別無く選んで迷っている様子のお客様がいたため、声を掛けてみた。
自分自身はパソコンを買うにもパーケージングされた商品の外箱に書いてあるようなスペックではなく個々の部品、つまり薬でいうところの個々の成分を調べて、備わっている機能と自分の使用目標や目的と照らし合わせて、購入する物を選んでいる。
いわば、素人ながらも少しばかり勉強してからパソコンを選んで、分らないことは店員さんに尋ねて教えてもらうようにしていた。
だから、お客様が薬の外箱に書いてある少ない情報だけを見比べて、どういう判断をしているのかが、サッパリ分らない。
効能として書いてあるのはメーカーが治験データに基づいて申請した物だけだから、実は効能があっても申請していないため書いていないケースもあるし、逆に効能には書いてあっても効き方としては弱い事がある。
分かりやすい例だと、炎症を抑えるトラネキサム酸は、喉の痛み止めの薬に入っているかと思えば、口内炎の薬にも入っていたりする。
でも、喉の痛み止めの薬の効能書きに「口内炎」とは書いていない商品があり、口内炎の薬に「のどの痛み」とは書いていなかったりする。
同じ成分で、炎症を抑える効果は当然同じでも、メーカーが申請していない効能は書けない決まりだから。
もちろん原則として、薬の使用の際には用法・用量は守らなければならないけど、考え方の一つとして「トラネキサム酸の入った喉の痛み止めが手元にあれば、口内炎の時にも使える」というのはある。
逆に、アレルギーなど体質の関係で避けなければならない成分がある場合はどうか。
これも例えば、鎮痛薬でアスピリンを使えない人は『バファリンA』も駄目なのだけれど、『バファリンA』の成分表示にはアスピリンとは書いていない。
しかし、主成分のアセチルサリチル酸がアスピリンなんである。
この辺はややこしくて、『アセチルサルチル酸』を開発したドイツのバイエル社が『アスピリン』の名前で商標登録したため一般名詞としては『アセチルサルチル酸』なのに、第一次世界大戦でドイツが敗戦した時に連合国が『アスピリン』の商標を取り上げ、それをまた第二次世界大戦後にアメリカのスターリング社からバイエル社が買い戻すという数奇な運命を辿っていて、何故か日本薬局方では『アスピリン』が『アセチルサルチル酸』の正式名称になっている。
それをどうしてまた、『バファリンA』を製造販売しているライオン社が成分表示にアセチルサリチル酸の名称を用いているのかは謎。(今度、営業さんが来たら訊いてみようかな?)
そんな訳で、効果的な薬を選ぶにしても、避けるべき薬を確認するにしても、外箱に書いてある内容は情報不足な訳で、お客様がそれを手掛かりに何を基準にして選んでいるのか、それが分からないから、私としては戸惑うばかり。
で、逸れた話を戻すと今回のお客様は、成人の息子さんが、ここ数日ほど両足とも腓返(こむらがえ)りを起こしているというお話だった。
そして、高齢の母親が病院で処方された湿布薬を使ったというのだけれど、その内容が不明のうえ、実際に使ってみての効果については、本人から聞いてきていないそう。
あうっ(・_・;)
案内する手掛かりが無い……。
安楽椅子の名探偵だって、ヒントが無ければ推理できないと思うの。
他に情報は無いかと息子さんの仕事について尋ねてみると、営業職で車の運転が多いらしい。
同じ姿勢による筋肉の疲労と、営業職としてのストレスの混合が原因かも。
湿気と暑さも、当然考えられるしなぁ。
推理の範囲を狭めるつもりが、広げてしまった……。
無難なところで、外用消炎剤としては中程度で浸透力のあるフェルビナク製剤にしておきましょうかね。
ということで『ほぐリラ 冷感』をお買い上げ頂き、本人はシャワー派だというので血流改善のために入浴するよう伝えてくださいとお話した。
あっ、そうそう。
家族でも、内容を理解しないまま薬を融通するのは危険だし、飲み薬と比べて貼り薬だから安心ということは無いので、やめて下さいね。
そして帰られてから、ハッと気がついたΣ( ̄□ ̄;)
内服薬に『コムレケア』(芍薬甘草湯)を紹介し忘れたことに。
いつもなら、むしろ内服薬のことを先に考える私なのに、処方された湿布薬を流用したという話に気を取られ過ぎたか……。