接客に地雷はつきもの、三十六計逃げるに如かず

 お客様から、「足の疲れを取る貼る物を」とのご注文。
 ひとまず鎮痛効果が大きく分けて三段階あることを説明したうえでパップ剤を紹介したうえで、マッサージを兼ねて塗り薬も選択肢にしてはどうかと提案した。
 また、体内から筋肉の炎症を緩和する内服薬として『芍薬甘草湯』も案内してみた。
 そして、『サロンパス』と『サロンパスA』の違いを質問され、Aの方には局所麻酔として働くdl-カンフルが加わっていますと答えた。
 今回のように痛みではなく疲労回復が目的なら、不要ということ。
 という訳で、『サロンパス』を買っていかれた。
 それと、マッサージをする時には力を強く入れるより、掌の親指の付け根で優しく撫でるだけでも充分なことを伝えた。
 マッサージというと、つい強く揉むイメージになりがちだけど、力を入れて上手くできるのはプロの技なればこそ。

 いつもは頭痛に『ロキソニン』を使っているというお客様から、今回は効かなくて、友人からもらった『セデス・ハイ』が効いたとのことで、同じ物をと求められた。
 いや、まぁ、いいですけど……、気軽に人から薬をもらうのは危ないですよ(;´∀`)
 使ってた薬と同じというのならともかく、今回のように効かなかった薬の代わりに初めての物を使う場合は特に。
 ひとまず『セデス・ハイ』を案内しつつ詳しく症状を尋ねると、首の後から肩にかけて痛み、奥歯が浮く感じがするという。
 肩こりの延長や患部の周囲が延焼している可能性を考えると、『釣藤散』が使えるように思える。
 それに、『ロキソニン』が効かないというのは、以前の頭痛と原因が違う可能性がある。
 例えば、胃の不具合から起きる頭痛とかだと、胃に負担のかかる『ロキソニン』は効かないだろう。
 その場合は、水分代謝の改善が必要だから『五苓散』の出番。
 でも、そのお話をしてみたら強く否定されたうえ、「野菜とか食べてますから!!」と急に不機嫌になられた。
 うえっ、何か地雷を踏んだかしらん……。
 どこから野菜の話が出てきたのか、見当もつかない。
 さっきの「気軽に人から薬をもらうのは危ない」って話も、お説教と受け取られてお客様を不愉快にしてしまう事があるんで、今回は避けたんだけどな。
 仕事に真摯に向き合えば、「安全上の注意は必ずする」「安易な判断で薬を売らない」という職責もある訳ですが。
 何が地雷になるか分からないから、接客業は怖いわ~。
 ともかく地雷を踏んだら逃げるに限るので、話を打ち切り『セデス・ハイ』を会計してトンズラ( ・(OO)・ )ノシ

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