患者さんの要望にどこまで寄り添おうか

 ご夫婦のお客様が来店し、防水ガーゼを注文された。
 用途を尋ねると、ご主人がヤケドをしたそうで、水疱を破り患部を乾かすよう努めているというお話。
 ズゲッ∑(゚ω゚ノ)ノ
 湿潤療法が提唱されてから、もう十年以上経ってると思うんだけど、まだまだ浸透していないのね……。
 それと、防水ガーゼを求めているのは患部を乾かすためだけでなく、お風呂やシャワーのたびに貼り替えるのが面倒だからだという。
 ええと、どこから指導すれば良いんだろう?
 地雷を踏むと嫌だなぁ、と恐る恐る腫れ物というか、それこそ熱い物に触れる時のような慎重さで言葉を選びながら、衛生面では頻繁に貼り替えるほうが望ましいことと、現在は患部を乾かすよりも体液の働きを活かして皮膚の再生を早める湿潤療法が主流なことを説明した。
 ご主人は、「ちゃんと冷やしたよ」と言うのだけれど、その方法は水で濡らしたタオルを患部に当てていたそうな。
 目玉ポーン(  Д )⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒…。….。コロコロ
 冷却シートや冷却材というのは良くあるけど、濡れタオルで済ませたというのは初めて聞いた(汗)
 どうも、奥さんの方はその冷やし方では駄目だという事も、水疱を潰してはいけないという事も、湿潤療法が適切だという事も理解しているらしく、ご主人が言うことを聞かないようだと分かってきた。
 となると、一方的な提案は聞き入れてもらえず、やはり不機嫌になられる可能性もありそうだ。
 そのため、昔ながらの『紫雲膏』を塗ったガーゼを患部に当てる方法と、塗り薬を使わずに『キズパワーパッド』を使った湿潤療法でのケアを提案した。
 あくまで、選択するのは患者さん本人という体裁を整えながら、その実、最初の「患部を乾かす」という目的を外したのだ。
 一種のトリックだけど、文字に書き起こさなければ気づかれないはず。
 すると、『キズパワーパッド』の方を購入された。
 意気揚々(?)と帰ってくご主人と、その後ろで振り返った奥さんに頭を下げられた。

 『プレコール持続性カプセル』と一緒に『ヴイックスドロップ』を購入されるお客様に症状を尋ねたところ、クーラーのせいか喉が可怪しいとのお話。
 その場合、室内だけでなく体内が乾燥している可能性があるため、上半身を潤す『麦門冬湯』をと紹介してみた。
 鼻炎や発熱が無いのに、『プレコール持続性カプセル』では疲労を呼び込んでしまうかもしれないし。
 でも本日のところは、そのまま先の商品を購入された。
 ただ、体内の乾燥を防ぐためには、温かい物を飲んで保温するよう勧めた。
 喉の不具合には、温かい物を飲むほうが乾燥を防いで炎症を抑える。

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