酔い止めを求めて来店されたお客様から「使ったことがある」と示された薬は、名前からしておそらく、そのドラッグストアーのプライベートブランドのようだった。
内容を調べてみて、同じ成分の『乗り物酔い止めQD錠』を案内した。
案内してみて分かったけど、製造メーカーは同じだった。
薬にはこういうことがあるので、やっぱり成分表示を取っておくのは大事。
「この薬効かなかったから、違うのにしよう」と選んだ物が同じ処方というのは良くあること。
今回のように、同じメーカーが同じ処方の薬を銘柄だけ変えて他社に販売を任せていたりとか、他社の処方を借りて自社名義で販売したり。
理由はいろいろあるけれど、数億円かけて開発した薬が売れないリスクを負うより、遥かに少ない金額を支払って処方を借りたり買ったりするほうが経営が安定するし、処方を貸したり売ったりする方は自社製品で在庫を抱えるより現金収入を得られる方が、新製品の開発に投資できる。
それはともかく、お会計をしようとしたら、実は病院で処方されている薬があると言われ(何故それを先に言わないのか(^_^;)、お薬手帳を持参しているというので(偉いのに、何故それを先に〆)、確認させてもらったら、緑内障の治療に『コプト』という目薬を使っていることが分かった。
どうやらお客様は処方されている薬と併用しなければ大丈夫だと思っていたらしい。
いえいえ、薬との飲み合わせどころか、『乗り物酔い止めQD錠』の主成分であるメクリジン自体が眼圧を上げてしまうため、緑内障の人の使用は好ましくありません。
そう説明して、緑内障の人でも使える酔い止めに『苓桂朮甘湯』を紹介してみたけど、海外旅行に持っていくつもりらしく、効果に不安があるようだった。
ううん、そうなるともう、処方された病院か調剤した薬局に問い合わせて、市販薬を紹介してもらうしかありません。
たぶん、緑内障の人が使える酔い止め薬は、現代薬には無いと思うけど……。
ちなみに、酔い止めに使える漢方薬には、同じく水分代謝を調整する『五苓散』がある。
ただ『苓桂朮甘湯』の方が、上がってくるモノを下ろす効果があるので、『五苓散』は緊張すると喉が渇きやすいとか、胃に水がチャポチャポと溜まっている感じのする胃内停水の人向け。
『コンドロイザー』や『ナボリンS』などを眺めていたお客様に声を掛けてみたら、案内を断られた。
最近ようやく、断られるのにも慣れて気がする。
引きこもり体質のコミュ障なんで、一度断られると、その後数人はお客様に声を掛けるのを躊躇ってしまっていたんだけど、一人のお客様に断られたからといって、もし次のお客様が情報を必要としていたら、迷惑するのは断ったお客様じゃなくて、必要としているお客様の方だからと自分に言い聞かせて。
しばらくしてお客様が、『ユンケルB12アクティブ』を選ばれてレジに持ってきたところで改めて症状を尋ねてみたら、主訴は肩こりに背中の張りと腰痛だそうで、以前にヘルニアを患っており、何を使おうか迷っているそう。
それなら先に言ってくださいよ~、と素の私が心の中で囁き、職務上の私の方は、さっきはまだ相談したい気分じゃなかったんだろうなと分析。
マッサージには通っているらしく、背中の張りは、かなり固いと指摘されたとかも話してくれた。
そこで漢方薬を案内しようとすると、初めは嫌そうな感じだったけど、それもよくよく訊いてみたら、継続しないと効かないと思っているからのようだった。
そのため、「風邪には葛根湯」と云われるように、急性の症状には早く効きますし、体質改善はまた別な選択を候補にしたりしますと説明し、『独活葛根湯』を紹介したら購入して頂けた。
ちなみに、腰痛には『疎経活血湯』を考えていたけど、今回の話では腰痛については、あまり気になるようでもなかったようだったから省いた。
いっぺんに、あれもこれもと候補にすると、かえって漢方薬は難しいと思われてしまうかもしれないし。
………しまったぁ!!
『ユンケルB12アクティブ』は売れ残り気味だから、在庫を減らしておきたかったんだよねぇ。
そのまま売ってしまえば良かった(´・ω・`)←素の私
『ジキルとハイドと裁判員』みたいに、病気の原因とか特殊能力で見れたら良いんだけどなぁ。
あっ、でも寿命が減るのは嫌だなぁ(´・ω・`)←素の私