「体に良さそうな物を食べれば良い」とはならない

 ご夫婦で来店の常連のお客様が雑貨を購入される際の会計時に、旦那さんが何度も咳払いをしているのが気になり声を掛けてみた。
 すると、数日前に鼻炎になり、一時は鼻汁に色が付いていたという。
 そして今は鼻水になり、喉がイガラッぽいそう。
 アレルギーはあり春には花粉症になったらしいので、ウイルスによる侵害と一緒に、秋の花粉症を併発したのではないかと推測。
 『小青龍湯』を候補に考えたものの、鼻汁が喉に落ちているという話からすると胃が弱っている可能性があり、『麦門冬湯』を案内すると、パッケージに咳と表示されているため、「咳は無い」と強く否定された。
 しかし、こうして話している間にも咳払いは繰り返していたため、痰が絡んでいるのではと訊くと、それはその通りというお返事。
 だから、パッケージの表記は販売上、売りやすくするためのメッセージにすぎないことをお話して、『麦門冬湯』は上半身を潤すことで痰の滑りを良くして出しやすくすることを説明すると、試してみるという事になった。
 ただ、旦那さんは体格が良いので標準の用法・容量だと効きが弱いと考えられ、多めに調整するよう伝えた。
 それと、胃を悪くしている可能性があるため、食事は消化に良く冬場の料理をと勧めた。
 一番分かりやすく手軽なところでは、胃薬になる大根と粘膜の再生になる人参と豚肉の組み合わせ、つまり豚汁である。
 牛蒡については迷うところで、カルシウムやマグネシウムといったミネラルが豊富なうえ、アルギニンが血流改善になり、植物繊維は当然便通を良くするし、イヌリンによる利尿作用は水分代謝の改善に役立つのだけれど、根菜にしては珍しく体を冷やす方に働くんだよねぇ。
 熱性の咳であるのならともかく、今回のように上半身が乾燥している時には適さないし、消化も良くない。
 ただし、それを人参が補い、消化は大根が助けると考えれば問題は無いとも云える。
 食養生というのは、単純に「体に良さそうな物を食べれば良い」とはならない難しさがあるのだ。
 それゆえアドバイスをする際には、ある程度の情報は削ぎ落とさなければ、かえって分かりにくくなってしまうだろう。
 という訳で、その辺りのことは説明しなかった。
 もっと勉強しておきます(u_u;)

 子供の酔い止めを求めて、お客様が来店。
 本人は必ず酔うものの、薬を使わせるのは初めてというお話で選定において参考となる情報が無いため、親しみやすいデザインと甘い味の『トラベロップQQ』を案内して、お買い上げ頂いた。
 そして、出発前の食事は温かい物にするよう勧めた。
 温かい食事をすることで、消化が終わり次第すぐに腸に送られて胃に余計な物を残さないから、酔ってしまっても吐き気を軽減できる。
 一方、乗り物に乗ってからは胃を麻痺させたほうが吐き気を抑えられるため、冷たい飲み物を用意しておくと良い。
 

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