喘息で息苦しい時の寝方

 喘息だというお客様から、市販薬の相談を受けた。
 病院からは吸入器が処方されているものの、短時間に繰り返して使うことができず、咳よりも息苦しいのがツライという。
 今はどうか知らないけど、私が小児喘息で使っていた頃の吸入器の注意書きには、「まれに心臓が止まることがあります」みたいなことが書いてあったと記憶している。
 さて、お客様は現代薬での咳止めを考えていたみたいだけど、吸入器と併用するには神経に作用するのはどれも危険だし、そもそも市販されている現代薬には呼吸の苦しさを助ける物が存在しない。
 そのため、『半夏厚朴湯』を案内した。
 『半夏厚朴湯』もまた神経に作用するものではあるけれど、それは神経をリラックスさせて気道を開くという遠回しなもので、呼吸が苦しいことからくる精神不安も緩和される。
 お客様は大人になってから喘息を発症したというから、子供の頃から息をするのは大変なものだと認識している私と違って、余計に息が苦しい状態というのは不安であろうと思う。
 『半夏厚朴湯』は保険の適用薬なので、病院で処方してもらうよう勧めたけど、すぐには行けないとのことで購入された。
 そして、息苦しさで寝にくいのではないかと思い、仰向けにならずに横を向くことと、それでも苦しい時には敷布団の3分の1を壁に立てかけて、枕を腰に当てて、丸めた掛け布団を抱くようにして寝る方法を教えた。
 これは、私が子供の頃によくやっていた寝方。
 なにしろ気道が狭くなっていて、特に吸った息を吐けなくなるのが喘息の苦しさなので、横になって肺を自重で圧迫してしまうよりは、よほど楽だし、ウツラウツラながら寝た感じがするため気持ち的にも安らぐはずである。

 以前に咳止めに『麦門冬湯』を使って頂いたお客様が再訪し、今回は喘息と鼻水づまりのダブルパンチで苦しい模様。
 先のお客様のこともあるので『半夏厚朴湯』を考えたけど、鼻づまりの方も放置はできない。
 喘息は当然のごとく気管支と肺の疾患でもあるため、鼻と肺の面倒を見てくれる『辛夷清肺湯』も候補として検討した。
 効能に「蓄膿症」と書いてあることから当てはまらないと思われがちだけど、中身は胃薬を兼ねた咳止めの『麦門冬湯』で、『麦門冬湯』自体が喘息に用いられる物である。
 そして、鼻づまりというのは胃の働きと密接な関係があり、清熱効果とあいまって蓄膿症に適応するから、喘息と鼻づまりを併発している時に応用できる。
 その辺りも説明したが、お客様自身が今回は鼻づまりよりも喉の詰まり感の方を先に治したいと要望されたため、『半夏厚朴湯』を購入して頂き、先と同じように息苦しい場合の寝方を教えた。
 さて閉店作業をという時間になってから、ハッと気がついた。
 今日の喘息の二人のお客様に、『柴朴湯』のことを案内し忘れたよ……orz
 『小柴胡湯』『半夏厚朴湯』を合方した処方で、喘息における最後の砦みたいな漢方薬。
 『半夏厚朴湯』だけで楽にならない場合は、肉体的な疲労により衰弱してしまい、肺機能だけでなく肝機能の低下まで招いてしまうから、喘息の患者さんには常備しておいてもらいたかったのに、店頭では扱っていないから、すっかり忘れていた。
 子供の頃当時は1日分が千円くらいしたもんだから、親からは「お金を飲ませてるみたいだ」ってよく言われた(´・ω・`)

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