お薬手帳は患者さんのための物だけど使うのは患者さんじゃない

 外用消炎剤の棚を眺めているお客様に声を掛けてみたら、小学生の子供の筋肉痛に使えるシップを探しに来たとのこと。
 今まで『ボルタレンテープ』を使っていたそうで、「これ良くないんだよね?」と訊かれた。
 そうですね、主成分のジクロフェナクナトリウムは15歳以上という年齢制限がありますから(^_^;)
 年齢的にはインドメタシン製剤が使えるため案内しつつ、子供がスポーツをしているという話から、常用することを考えると強い物は打撲などの時にして、普段はサリチル酸メチルの『アンメルツヨコヨコ』でも良いのではと提案すると、『バンテリンEXゲル』と一緒に購入された。

 以前に痔の疼痛の相談を受け、うちのお店には置いていない『レンシン』の取扱店を案内したお客様が来店。
 『レンシン』は良かったらしいのだが、服用をやめるとまた痛み、幾つかの病院を回っても改善せず、今度は県をまたいだ病院に検査入院することになったそう。
 で、その病院で処方された薬を服用したら、これまで他の病院では治まらなかった痛みが止んだという。
 不躾ながら、後学のために教えてくださいとお願いすると、現物をパンパンに膨らんだウエストポーチから出して見せてくれた。
 それが、『リリカ』という神経障害を改善する現代薬と一緒に、関節痛に使う漢方薬の『麻杏よく甘湯』でビックリ。
 えっ、どうゆうこと?
 実は、痔じゃなくて神経痛ということなのか。
 それとも、痔にも効果があるということなのか。
 確かに『麻杏よく甘湯』には、皮膚の材料になるヨクイニンと抗炎症の甘草が入っていて皮膚炎に使う事もあるけれど、この場合の麻黄と杏仁の効果が分らない。
 熱を散じて潤すのが、関係するのかな。
 それとは別に、やっぱり神経痛として効果を発揮しているのかな。
 これはまた、迷惑でなければ診断結果や治療の過程を教えてもらいたいところ。
 ああ、そうだ、それはともかく………、お薬手帳は持ち歩きましょうね。
 そうお話したら、薬局でも薬の一覧を貼りますと薬剤師さんに言われたのに断ってしまったのだとか。
 薬を全部、持ち歩くようにしてるからと。
 いや、あの、そうじゃないんですよ、お薬手帳の目的は……。
 今使っている薬だけじゃなくて、どんな薬を継続しているのかとか、治療中の病気は無いかとか、以前に発症した病気はなんなのかとか、そういう情報の継続性が大事なんで。
 それこそ今回のように、処方された薬の意図が分からない場合なんかには、それまで処方されていた薬から、その時々の医師の治療方針なんかも読み取れるので、次に治療に当たる医療関係者の参考になり、時には担当医や調剤した薬剤師に問い合わせるという事もある。
 つまり、お薬手帳は患者さんのためにある物だけど、それを使うのは患者さんではないんです。
 いわば、連絡ノートとか引き継ぎノートみたいなものでして。
 そこのところ、どうか一つよろしくお願いしますm(_ _)m

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