お客様から咳が止まらないと相談され、酷くなる時や楽になる時があるか尋ねると、そういう区別が無いくらいらしい。
痰は出ないそうなので、神経に作用して止める『ブロン錠』と、乾燥した体内を潤す『麦門冬湯』を説明しながら案内したところ、この時期に毎年なるという話があったため、季節変化によるストレス性の咳に用いる『半夏厚朴湯』も紹介した。
でも、梅雨の時にはならないそうなので、今回は『麦門冬湯』を試して頂くことになった。
喉の痛みで薬を買いに来たというお客様から『のどスプレー』を希望され、声を使う仕事をしているというお話もあったため、抗炎症のアズレン系を案内した。
そして、確かに声嗄れが酷いようだったため、同じくアズレン系のトローチである『パブロントローチAZ』も勧めると、病院から何かトローチが処方されたそう。
でも、お薬手帳も現物も無くて内容が不明。
「薬じゃない」とお客様は言うけど、処方されたなら何かしら薬のはず。
ただ、医師からはしばらく声を出さないようにと指導されたらしく、しかし幼稚園の先生だからそういう訳にもいかないという事が分かった。
職業も、薬を選ぶうえで重要な情報なので、早い段階で教えてもらいたいところ。
まぁ、病院で処方された薬があれば、それこそ最初に言ってもらいたいんですが(;´Д`)
もちろん職責上、こっちから訊くべきなんですが、最初に質問に質問を重ねるようなことも難しいから……。
ともかく事情が分かったから、内服薬も検討するようお話して、炎症している患部を冷やしつつ熱を発散する喉の痛み止めの『駆風解毒湯』と、患部を冷やしつつ潤して声嗄れを緩和する名前が効き目の『響声破笛丸』を案内した。
そして順番としては、喉の腫れを解消するのを優先するのが良いでしょうと『駆風解毒湯』の方を推し、お買い上げ頂いた。
あと、幼稚園の先生だと講習を受けた事があるかもしれませんが、と前置きして喉に負担の掛からない声の出し方を教えた。
最初は「知ってる」みたいな素振りだったけど、説明してみたら知らなかった模様。
具体的には、息を前歯の裏側に当てるように意識する。
そして声を自分の頭蓋骨で響かせると、少ない声量で良く通る声が出せる。
舌で上顎の内側を撫でると奥が柔らかくて、前歯の方にいくと骨で固いのが分かると思うけど、その柔らかい部分と硬い部分の境目より少し前辺りに声を反響させるのだ。
要するに、口からだけで声を出そうとすると喉に負担がかかるので、頭蓋骨をスピーカー代わりにすることで喉の負担を減らす。
と言っても、実際に頭蓋骨に反響させるには相当の練習が必要。
それを簡易にしたのが、先の前歯の裏側に息を当てるよう意識するという方法である。
一時的であれば、これでも充分なはず。
子供の頃、教科書を読み上げる時とか発表なんかの時に、よく学校の教師から「もっと大きな声で!」と注意された人もいると思うけど、あれは教師が馬鹿。
………おっと、つい恨み節を込めてしまったヽ( ´ー`)ノ
いくら大きな声を出せと言われても、その声の出し方をちゃんと教えてくれないのは、筆使いを教えないで「もっと綺麗に色を塗れ!」と言ってるようなもんで、声を出すというのは一種の技術なんだから、しっかり教えてやって欲しい。
しかも、そんな注意の仕方をされては、緊張して喉が締まってしまい、なおさら声が出なくなる。
正しく、「もっと声を響かせる」方法を教えてくれないと。
そういえば、やたら店員に大声を出させる居酒屋チェーンがあるけど、ただの大きな声って喉に引っ掛かってて聞くと不快なだけだから、あれもちゃんと声の出し方を教えてあげれば良いのに。
私が身につけたキッカケは某演劇人に教わったからだけど、これができると色々と応用が効く。
私なんかは、子供たちのキャンプの指導をやっていたため、集合の呼び掛けなんかで役に立った。
他の人が声を張り上げても遠くまで届かないのが、この発声法を使うと遠くまで良く通るのだ。
災害時に救助求める際に笛があると良いと言われているものの、笛を携帯している人は多くないだろうから、そういう時にも使える。
そして、今回のように喉が痛む時や声が嗄れてしまったという時にも便利なので、ぜひ練習をしてお試しあれ(・o・)ノ