副作用がすぐに出るとは限らない

 夫婦で来店されたお客様が外用消炎剤の棚を眺めていたので声を掛け、鎮痛効果の強さを三段階と、浸透力の違いを説明しつつ、誰が使うのかと症状を確認すると、ご主人が肩こりで奥さんが腰痛だとのこと。
 夫婦共に病院を受診したことは無いそうなので、酷くなってから行こうと思うより、現状を把握するために一度は受診してみるよう勧めた。
 そのうえでインドメタシン製剤の『ハリックス55IDプラス』の購入を決められたけど、一応は薬は相性もあるため、同じ薬ではない方が良いかもしれませんとお話した。
 そして会計時に、肩こりには『葛根湯』を試してみるよう伝えたら、大変驚かれた。
 効能にも書いてあるし、病院で処方される事もあります。
 そういう情報を提供するためにも、訊いてもらえると良いんですけどね。
 声を掛けるのって心労が激しいから、自分からは避けたいので(´・ω・`)
 肩こりで痛みが強い場合には『独活葛根湯』を、腰痛が痛みよりも痺れ感や重い感じがする時には『疎経活血湯』をと付け加えておいた。

 『ガストール』と『スルーラックデトファイバー』を一緒に購入されるお客様に、念のため成分表示を確認させて頂き、問題の無いことを伝えた。
「最近、厳しくなった?」と訊かれたんで、特にそんなことはありませんと答えた。
 他のドラッグストアーでも用途を尋ねられたりしたそうなんだけど、それはその店員個人が基本に忠実な人か、店舗管理者の指導が良いのだと思う。
 ただ、お客さま曰く「いつもは別々に買っている」というので、薬を買う時には他に使う薬との相互作用に気をつけることと、市販薬もお薬手帳で処方薬と一緒に一元管理するように勧めた。
 一般的に、風邪薬や鎮痛剤は飲み合わせを気にする人がいるのに対して、胃腸薬は大丈夫だと思われてるみたいなんだけど、実は胃腸薬のほうが副作用が怖かったりする。
 というのも、鎮痛薬や風邪薬なんかは血圧に影響するとはいえ、こと血圧に関して言うなら服用を中止すれば元に戻るため、誤解されると困るが、その点においてむしろ心配は少ない。
 ところが胃腸薬は、体に蓄積される無機質が主成分だったりするので、服用を中止しただけでは副作用を解消できず、そもそも自覚症状が現れにくいから、気づいた時には事態が進行してるなんてことも。
 たまに電話で家にある薬を飲み合わせて良いか問い合わせが入ることがあるけど、そういう相談をするためにも行きつけのドラッグストアーの電話番号を電話帳に登録しておくのがお勧め。

 咳と喉の痛みと鼻水の相談を、お客様から受けた。
 3日ほど前からで、その間に37.5度くらいに発熱したとのこと。
 総合風邪薬を使うのが手軽ではあるけれど、風邪で3日というのは治りかけとも考えられ、そのタイミングでは無駄な成分が体に負担を掛けてしまう可能性がある。
 頼まれ物だと症状の詳細が分からないから総合風邪薬しか選択できなかったりするのに対して、本人が来店している時には、できるだけストライクを狙いたいところ。
 主訴の中で今一番つらい症状を尋ねると咳だそうで、再び発熱するのに備えたいというので、血管を広げて熱を放散させるアセトアミノフェンと体内の乾燥を取り除く『麦門冬湯』を合わせた『パブロン50』を勧めた。
 しかし、やはり鼻水も気になるというので『パイロンS』を案内すると、購入を決められた。
 お会計の段になって、実は初期の喉の痛みに『葛根湯』を使い、その時には鼻水に色が付いていたそうなので、その段階には『銀翹散』が適応したかもしれませんと紹介した。
 まぁ、鼻水があると『銀翹散』を使うかは迷うところなんだけど。
 上半身を温める『葛根湯』で熱を発散させて、『桔梗湯』に喉の痛みの面倒を見させるという方が使いやすいかもしれない。
 ただ、併用の組み合わせは、それこそ相談してもらわないと判断は難しいかも。

以下の記事も読まれています。


 
登録販売者から一言 壱の巻 登録販売者から一言 肆の巻「おくすり手帳と個人情報の使い方」 市販薬購入前チェックシート