各種の『のどスプレー』を次々と手にしているお客様がいたので声を掛けてみると、ヨード系を避けたいというお話。
詳しく訊いてみたら、高校生の子供が『橋本病』だそう。
となると、アズレン製剤以外はポピドンヨード製剤だから、どれを選んでも同じこと。
そう説明したうえで症状について確認したところ、喉の痛みではなく咳払いが多いという。
橋本病自体は「慢性甲状腺炎」だから、抗炎症のアズレン製剤が無駄になることは無いだろうけど、同時に「慢性」に繰り返し使うのも問題がある。
細菌などと戦う甲状腺炎と違い、自己免疫の異常によるものだから、炎症で体内が乾燥しているようなら『麦門冬湯』で上半身を潤したほうが良いし、自己免疫の異常はストレスとも関係しているため『半夏厚朴湯』で気道を開いたほうが咳払いも抑えられるのではないか。
両方を紹介して、担当医に相談してみてはと提案してみたけど、「漢方薬は駄目だと思う」という返事。
これが、「漢方薬は効かないと思う」という意味なのか、それとも「子供が漢方薬は嫌がる」という意味なのか、ちょっとニュアンスが掴めなかった。
結局、「自分も使うから」とアズレン製剤の『のどスプレー』を購入。
仮にも、ノズルを口の中に入れて使う物を共有するのは避けて欲しいんだけどなぁ(^_^;)
あまり深くまで立ち入って地雷を踏むのみも怖いから引いてしまったけど、やはりその点は注意しておくべきだったかも。
できれば、本人が直接店頭に来てくれると良いんだけどねぇ。
漢方薬に限らず、「粉は駄目」とか「錠剤は駄目」といった剤形ですら、本当に本人がそうなのか、親の思い込みなのか分からないし。
そもそも今回も、主訴の咳払いについての薬を、本人が望んで親が買いに来たのか、本人の意志とは関係無く親心で買いに来たのかも分からないもの。
以前に、病院で処方された『柴胡加竜骨牡蛎湯』が合わないというお話に『十全大補湯』を紹介して試して頂いたら適応したらしく、それから何度か買いにいらっしゃるお客様から、今日は『ドキシン錠』が鎮痛剤として使えるか質問された。
あれ?
デジャヴ?
と思ったら、確かに数日前に他のお客様からも訊かれていたのを後で日記で確認した。
主成分のメトチカバモールは筋弛緩剤で、配合されているエテンザミドが炎症を抑えるものの、鎮痛剤として考えていると期待した効果は得られないかと思われますと説明したうえで用途を尋ねると、椎間板ヘルニアと診断されていて、病院からは鎮痛剤が処方されているそう。
そして担当医からは、自然に治るのを待つしかないと云われているらしい。
ふむぅ、そういう事でしたら担当医に『ドキシン錠』を使って良いか相談してみてはいかがでしょう。
鎮痛剤と併用しても悪くないはずで、もしかすると同じような別な薬を処方してもらえるかもしれませんし。
もし相談されるなら、『疎経活血湯』もどうですかねと紹介したら、そのまま購入されてしまった。
あうっ(;´∀`)
信頼していただけるのは有り難いですが、あまり簡単に飛びつかれると、それはそれで困る……。
お客様から、「インフルエンザの予防になる物を」とリクエストされて答えに窮する。
インフルエンザの予防は一般的には、うがいと手洗いという事になるけど、実は厚生労働省では手洗いは推奨していても、うがいは推奨していない。
うがいが無駄というよりは、実際に効果的に運用するためには1時間ごとにうがいをしなければならず、実用的ではないというのが理由の一つらしい。
それならマスクで、感染する機会を減らし、かつ口の中に湿度を保って体温でウイルスの活動を抑制するほうが効果が期待できる。
そういうお話をしてみたら、そういう予防ではなく、もっとダイレクトな内服薬での予防を求められた。
あうっ、なおさら無理ですよぅ(;´Д`)
じゃあね、あくまで効くとは言えません。
効能として、明言できません。
ただ、人間の免疫機能の約6割は腸が担っているとされています。
そして、肝臓が解毒作用を司っています。
だから、病気への抵抗力を高くするという考え方の一つとして、胃腸と肝臓を助けるというのがあります。
そこから、『柴胡桂枝湯』を常備しておき、疲労を感じたときに体力の低下を防ぐのを目的として使うという方法がなきにしもあらずです。
それ以上は……、ムニャムニャ(´~`)
胃腸炎にも使えるという点を伝えて、お買い上げ頂いた。
ことに現代薬の風邪薬には、「吐き気」に対応した物は存在せず、ほぼ『柴胡桂枝湯』一択なので常備薬として手元に置いて損は無いという話を付け加えた。
対抗は、『かっ香正気散』かな。
『かっ香正気散』は、夏バテで胃腸が弱った時の風邪に向いているのに、マイナー過ぎて売れた試しが無いけど。