『独活葛根湯』と『疎経活血湯』を見比べているお客様に声を掛けてみたところ、以前に『独活葛根湯』を肩こりが酷くて痛みが強かった時に使ってみて良かったとのお話。
温めて症状が緩和するようであれば、『独活葛根湯』を継続してもらって良いだろう。
そう伝えると、病院からは鎮痛剤に『ロキソニン』が処方されているそうで、飲み合わせについて相談された。
直接的には問題ありませんが、『葛根湯』は胃に負担が掛かる漢方薬の一つで、『ロキソニン』も胃に良い物ではないため、併用するというより、『独活葛根湯』を普段使いにして、ツライ時に『ロキソニン』というように使い分けるよう勧めた。
『独活葛根湯』を購入されたけど、痛みが無く肩こりだけな度合いには『葛根湯』でも良いことを伝えた。
ちなみに、坐骨神経痛や筋肉痛に使うことが多い『疎経活血湯』を上半身の症状に使うとすれば、やはり血行不良が疑われる痺れ感がある時です。
高齢のご夫婦が来店し、奥さんから油分の多いシャンプーをと注文された。
詳しく話を訊いてみると、3日に一度頭を洗っていて、洗った翌日に痒くなるということで、本人としては乾燥によるものと考えているらしい。
ううん、この判断は難しい。
シャンプーで洗うことで皮脂を失ってしまうことが痒みの原因とも考えられ、油分の多いシャンプーを使うくらいなら、洗髪する前にブラシで髪の表面の汚れを梳(す)いて、いっそお湯だけで頭皮を洗ったほうが良い。
そうお話してみたけれど、どうしてもシャンプーを使いたいと言われるので、『コラージュフルフルネクスト』と『ミノン薬用ヘアシャンプー』を案内して、後者をお買い上げ頂いた。
一応、頭皮が赤くなったりはしていなかったけど、痒み止めに『ムヒHD』を紹介しておいた。
あと、複数の病院に通っているそうなので、科目が違っても頭皮の痒みについて相談してみるよう勧めた。
やや高齢のお客様が『ワダカルシューム』を求めて来店したけど、うちには同じブランドの『ワダカルシュームエース』しか置いてないため、『ワダカルシューム』と違って炭酸マグネシウムやコレカルシフェロール(ビタミンD3)が加わっていることを説明した。
そのうえで、他に服用している薬が無いかなどを確認したかったのに、「同じならいい」と言って、それ以上の話を聞いてもらえず購入されてしまった。
実は主成分のカルシウムの種名も違うし、炭酸マグネシウムは他の薬の吸収や排泄に影響を与える可能性があるから、ちっとも「同じじゃない」のですが……(;´Д`)
そもそも、カルシウムについては多くの誤解がある。
カルシウムを多く摂ることで骨が丈夫になると考えられているけど、事実関係はちょっと違う。
カルシウムは血圧の調整や、感情の抑制あるいは緊張の緩和などに関係し、それらに使う時には骨から供給される。
つまり、骨というのはカルシウムの貯蔵庫なのだ。
この辺が人間の体の面白いところで、体を支えるために強固な支柱が必要、そして身体機能を調整するのにはカルシウムが必要、だからカルシウムをその支柱に保管しておこうという、なんという合理性。
でもって問題なのが、栄養素というものは摂取した物が「その物」になる訳ではない点。
どんな栄養素も、いったん分解されて他の栄養素と組み合わさることで再構成される。
その意味において、カルシウムを摂ったからといってカルシウムに成る訳ではなく、どのように活用されるのかは現代医学では解明されていない。
一方で、紛れも無くカルシウムを摂取することで、カルシウムが貯蔵されることは分かっている。
それでいて、消費されるから供給が必要で、そのバランスは極めて巧妙かつ微妙。
つまり、多く摂ったからといって骨が丈夫になるとは限らず、消費を抑えるためには血圧に気を使った食生活が必要であり、感情も自らコントロールしなければならないため、その摂取方法は自らの生活環境を顧みなければならない。
だから、食事からにしろサプリメントからにしろ医薬品からにしろ、栄養の摂取方法というのは、個別に検討を重ねないと有効性が損なわれてしまう、大変難しいことなんである。