服薬ゼリーの使い方に注意

 お客様から、小学生の子供に病院から処方された漢方薬があり、それを服薬ゼリーで飲ませて良いかと質問された。
 子供がしもやけになりやすく、今回初めて内服薬として漢方薬が処方されたらしいのだけれど、お薬手帳も持参してなくて漢方薬の名前は覚えていないという。
 ううん、それだと判断が難しいなぁ。
 誤解されがちだけど、服薬ゼリーはどんな薬にも無条件で使える訳ではない。
 特に子供向けの服薬ゼリーは、果物味やチョコレート味などがあり、実はそれによって判断が分かれる。
 例えば、薬の注意書きにグレープフルーツジュースで飲ませては駄目と注意書きがある薬は、やはり果物味の服薬ゼリーは避けなければならない。
 理由は2つあって、一つは薬の成分の変化で、これは効能にも影響する。
 簡単に言えば、酸性の物と混ぜると変質してしまう。
 もう一つは味で、例えば苦味は酸味のする物と混ぜると、かえって苦味が強調されてしまうのだ。
 以前に、別な患者さんから漢方薬を果物味の服薬ゼリーで飲んだら、ものすごく不味かったと教えてもらった事もある。
 それらかすると、案外と無難なのはチョコレート味だったりする。
 そして今回の件で言えば、漢方薬だからといって不味いとは限らない。
 甘草が入っていれば、字面の通り微かな甘味がある一方、甘草程度では他の生薬の味を抑えきれず、一般的にイメージされる漢方薬の不味さは身近なところで『葛根湯』だと思うのだが、あれは苦味と辛味が混在しているから。
 咳止めの『麦門冬湯』などは、甘みの多い生薬構成なので、子供でも大丈夫なんじゃないかと思う。
 そのような説明をすると、本日のところは服薬ゼリーを買わずにお帰りになられた。
 ちなみに、うちの子の場合は2歳頃から解熱と栄養補給にミミズの粉(地竜)をお湯に溶いて飲ませていたお陰か、これまた苦味がある『柴胡桂枝湯』なんかでも「ウマウマ(゚∀゚)」と飲んでいて、小6になった今では顆粒のまま飲んでいる。
 私なんて、高校生くらいまで袋オブラートに包んで飲んでたのに。(その後、包むのが面倒になって顆粒のまま飲めるようになったけど)
 『龍角散』の『漢方薬用ゼリー コーヒーゼリー風味』は、「漢方薬の苦味を活かす」というコンセプトで、上手いなぁと思った。
 でもうちのお店では、売れなかった……(´・ω・`)

 『葛根湯』を購入されるお客様に、咳のある風邪や発熱してしまってる風邪には適応しないことを伝えたら驚かれた。
 別に驚かせるために言ってる訳じゃないけど、普通に声を掛けただけでは「大丈夫です」と案内を断られることが多いから、購入するタイミングとなってしまう。
 でもって、驚いてもらえると大抵は症状のヒアリングができる(笑)
 少し咳はあるものの、悪寒がするそうなので、『葛根湯』を使うタイミングとしては『今がその時だ』(作詞:工藤哲雄/作曲:千沢仁/編曲:岩崎文紀/ 歌:水木一郎)というところ。
 適応することを強調してお買い上げ頂き、『葛根湯』は家に置いておくより持ち歩いて、早め早めに服用するよう勧めた。
 飲料水を持ち歩いていたら、それこそ今この場で服用してもらいたいくらいで。

 成人の息子さんに頼まれて水虫の薬を買いにいらしたお客様、本人は病院を受診したことがあるのかを尋ねると、無いとのこと。
 足の小指が痒いらしく、お客様は本人に「靴のせいでは」と言ってみたそう。
 ふむぅ、水虫の見分けは難しいんだよねぇ。
 感染ルートからするとお風呂の湯上りマットとかを介している場合なんかは、家族も同様に発症していたりするのが参考になるんだけど。
 湿疹の薬の主な成分は痒み止めなんで、水虫に湿疹の薬は大丈夫なものの(長期連用して真菌の繁殖を見逃す危険はある)、その逆の湿疹に水虫の薬を使うと、殺菌成分が過度な刺激となり湿疹を悪化させてしまうケースがあるため、私は一度は皮膚科を受診するのを勧めている。
 そう説明したうえで、比較的刺激が少ない『ダマリンL』を案内してお買い上げ頂いた。
 あと、水虫の場合は薬用石鹸を使ったほうが良いか尋ねられた。
 これも、本当に水虫ならその通りではありますが、違う場合は皮膚を守る常在菌を倒してしまい、同じく皮膚を守る皮脂を洗い流して防御力を低下させてしまうため、やはの確定することが重要と伝えた。

以下の記事も読まれています。


 
登録販売者から一言 壱の巻 登録販売者から一言 肆の巻「おくすり手帳と個人情報の使い方」 市販薬購入前チェックシート