イメージが先行する薬

 高齢のお客様が来店し、ご主人が退院してきて口内炎のようだというお話で相談を受けたのだが、どうも舌が乾くか炎症している模様。
 本人は唾が出るように「ガムでも」と頼んだらしいのだけれど、入れ歯だという話なので抗炎症剤であるアズレンの『のどスプレー』を提案してみたものの、病院から処方されている薬が多いようなので、お薬手帳を見せていただくか病院に市販薬で使って良いものがあるかを問い合わせてみるよう勧めた。
 ところが、処方された薬をお薬手帳には一切記入していないようだった。
 お薬手帳に記載しないと点数が付かず、それにより料金が少し安くなるということの弊害。
 本日のところは、お買い上げなし。

 『セイロガン糖衣錠A』をレジに持ってきたお客様に、『正露丸』との違いを説明したところ、下痢止めと考えているようだった。
 『セイロガン糖衣錠A』は、『正露丸』から抗炎症の成分を抜いており、シクシク痛むような場合には効果が弱いと考えられる。
 『正露丸』は基本的に飲む消毒薬みたいなもので、食中りの場合には腸を消毒しつつ下痢は止めずに原因となった菌やウイルスを体外に排出するほうが良い。
 もし、あくまで下痢止めとして『正露丸』を使うのであれば大幸薬品ではなく、ロートエキスが入っているイヅミの『正露丸』の方が向いていることを説明した。
 本日は、そのまま『セイロガン糖衣錠A』をお買い上げ。
 別に大幸薬品の『セイロガン糖衣錠A』のネガティブキャンペーンをしている訳ではなく、あまり知られていない話題を振ることで、神経性の下痢など本当に『正露丸』が適応しない症状の患者さんを見つけたり、他の相談をしてもらえるようにするための演出みたいなもんである。

 お客様から、最初に「リコリスある?」と訊かれて、「花の名前ですよね」とボケた返答をしてしまった。
 全薬工業の液剤の風邪薬である『新リコリス』だと分かり、置いていないことを説明し用途を尋ねると、主訴は咳と疲労というお話だった。
 そこで、胃薬も兼ねているから疲労にも対応できる『麦門冬湯』を紹介すると、「薬は嫌」というお返事。
 どうやら『新リコリス』は液剤なので、栄養ドリンクと考えていたらしい。
 試しに、成分に麦門冬が入っている栄養ドリンクの『新ヒストミンゴールド液』を案内してみたら、まとめて購入された。
 一応ドリンク剤も、薬なんだけどね。
 咳については、体内が乾燥している可能性を伝え、胃炎が原因かもしれないというお話をして、消化の良い食事をするよう勧めた。

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