心配な気持ちは分かるけど薬選びは慎重に

 やや高齢のお客様が自分の頻尿のためにと『レディガードコーワ』を手にレジにいらして、ご主人の頻尿に使っている薬も探していると注文された。
 しかし、ご主人に飲ませている薬の名前が思い出せない様子で、漢方薬の名前を挙げると「違う」ということだったが、『ハルンケア』(八味地黄丸)と並べて、『ユリナールb』(清心蓮子飲)を出すと当たったようだった。
どちらも中身は漢方薬だけど、変に現代薬っぽい名前を付けていて困る。
 ところで、『清心蓮子飲』は全身倦怠感があり胃腸が弱い人向けであることを伝えると、ご主人は飲食店を経営しており体力は充分というお話で合わないように思われた。
 そのため『八味地黄丸』の方が適応しそうなことをお話ししたところ、飲酒されることと食事の後に入浴するというのが分かり、それ自体が頻尿の原因になっている可能性を説明した。
 食事の後に入浴をすると消化のために胃が働くのに血液が必要なところを、体表部に血流が取られてしまって胃の機能が低下し、かつお風呂から上がった後に当然喉が乾くため、そこで水分を一気に取る形になってしまい頻尿を招くのだ。
 よしんば風呂上がりにあまり水分を摂らないようにしていると、 今度は水分不足により心臓に負担がかかってしまうので、 もちろん水分は摂った方が良い。
 ただトイレに起きるのを嫌って寝る前に水分を控えるという人は結構いるが、 一気に多くの水分を摂ることで体が処理しきれず排尿しようとしてしまうから夜中にトイレに起きることになるので、こまめに水分を分けて摂っていれば、それほどトイレに行くということにはならない。
 そして今回のお客様は、ご主人が困っているというより、お客様が心配して『ユリナールb』を与えていたらしく、病院も受診したことはないという。
 すると今度は『桂枝加竜骨牡蛎湯』が目についたらしく、自分に合いそうと話され、病院では抗不安薬を処方されているというので、調べてみると確かに適応する可能性があるため、保険の適用薬であることを伝えると購入を決められた。
 ありゃん、私としては担当医に相談をして処方してもらってくださいという意味のつもりだったのだけど(;´∀`)
 ただ、お客様はお薬手帳を持ち歩いてるので(だから調べることができた)、それは良いことですと伝え、市販薬を使ったら担当医に報告するようにお話しした。
 ひとまず、ご主人への薬を購入するのは取りやめ。

 やや高齢のお客様が、服薬ゼリーを求めて来店し、案内すると病院で処方された『麦門冬湯』を飲むというので、お湯に解く方法を提案すると一度は乗り気になったが、やはり「めんどくさい」となり服薬ゼリーを購入された。
 『麦門冬湯』は漢方薬の中では甘味がする方とはいえ、粉を飲むのは高齢になると誤飲しやすいからねぇ。
 それに、お客様は他にも多くの薬を処方されているらしい。
 となると、服薬ゼリーに混ぜて飲むのも大変そう。
 服薬ゼリーは素晴らしい商品だけど、何もっと違う形で薬を飲む方法は開発されるのだろうか。
 天才のひらめきか研究者の努力に期待したい。

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