タウリン入りドリンクをレジに持ってきた、やや高齢のお客様から『アリナミン』の場所を尋ねられて売り場をご案内したところ、『アリナミンEXプラス』を常用されているようだったので、同じ処方内容で価格が安い『新パワーアクトEX』を紹介した。
主訴は首の筋が痛むとのことで、別件で内科に通院しているそうだが、首の痛みが気になり検査設備のある整形外科の病院に行き特に問題は無かったとのこと。
病院で薬が出されなかったことに不満があるようだったが、それは悪いことではないとお話しした。
それに検査のために行ったのであるから、治療の薬はまた別の話である。
外用消炎剤を試してみる方法を提案してみたが、内服薬を望まれて『新パワーアクトEX』の購入を決められ、他にタウリン入りドリンクのような栄養ドリンクを飲む方が効果的か尋ねられた。
それほど必要ではないとお話ししたが、これから地元のお祭りの準備で疲れそうと言うので、『ユンケル』や『ハイクタンD』といった生薬系のドリンクを紹介した。
『リポビタンD』に代表されるようなタウリン含有の栄養剤は、疲労することで体内で消費してしまうタウリンを補給すれば、疲れが取れるだろうという理屈で、最後のもうひと頑張りとか、これを乗り切れば後は倒れるだけという時に使うのに向いている。
一方、『ユンケル』などの生薬系は体に燃料を補給するだけではなく、血流を整えたりと体の各部のメンテナンスもしてくれるので、これから先がまだ長いとか、これから何かを始めるという時に適している。
もし毎日のようにタウリン系のドリンクを飲んでいるのであれば、その費用を3日分くらいにまとめて生薬系を使う方を私ならお勧めする。
そんなお話をしたら、当初のタウリン入りドリンクの購入をやめて、『新パワーアクトEX』のみをお買い上げいただいた。
あと、成人の娘さんからは『外郎(ういろう)』を貰ったものの、体に合わなかったため飲んでおらず、さりとて薬を人にあげる訳にもいかず、娘さんにも言えなくて溜まる一方というお話。
『外郎』は、小田原の株式会社ういろうで売られている『透頂香(とうちんこう)』のことで、古くは万能薬のように言われていたけれど、「万能」なんて薬は無い。
効能に多くのことが書いてあるのは歴史があるから、『オロナイン軟膏』のように効能の取得が現在よりも容易であった頃に許可を受けたためなのだろう。
生薬構成を調べてみると、「麝香、桂皮、丁香、甘草、樟脳、人参、連砂、薄荷、阿仙、縮砂」で、体を温めつつ清熱して血流改善と補気を行ない、鎮痙攣作用があることが分かるから、効果範囲は広そうではある。
ただ、やや興奮作用もあるように思えるので(昔は気つけ薬としても使われていた)、お客様にはそれが合わなかったのかも。
むやみに薬を人にあげたりしないのは良いことであるとはいえ、何かのおりに娘さんには体に合わなかったということは伝えなければならないだろう。
繰り返すけど、この世には万能薬などは無く、薬には相性というものがあるんである。
『外郎(ういろう)』をお土産として家族などに買う人もいるらしいけど、お菓子の『ういろう』ではないので、薬を人にあげることには責任があり慎重を要することを肝に銘じてもらいたい。
ちなみに私、『外郎売』の口上をそらで言えます(`・∀・´)エッヘン!!←役には立たない
やや高齢のお客様が『ガスモチン』を求めて来店されたが、市販薬ではないことを説明すると、ご主人がお腹にガスが溜まりがちということで、息子さんがネットで調べて買うように勧めたそうな。
代わりの物をと希望され、『ガスール』や『ガスピタン』を案内しようと思ったが、詳しく訊くとご主人は胃がんを患い、多数の薬を服用してると分かり、お薬手帳も持ってきていため、まず担当医に相談するよう勧めた。
『ガスモチン』自体は消化管運動賦活調整薬だが副作用に不整脈がある『シサプリド』の近縁薬剤のため、気軽に使える薬ではない。
息子さんとしては親が困っているからという気持ちで勧めたのかもしれないけど、そうであればより慎重にしてもらいたいところである。
ネットで個人で調べられるようになったのは便利なことではあるものの、もう一歩踏み込んで副作用などを確認することもできるはず。
そして同時に、一歩引いて考えてネットで調べただけで即実行に移さず、専門家に相談してみる一手間を惜しまないことが望ましい。