「治療以外の相談をされる」というのを想定していなかった

 二日酔いにドリンクタイプの薬をお客様から求められ、『五苓黄解』を勧めようと思ったのだけど、すでに胃のムカムカは治まってるそうなので、普通に『液キャベ』を案内した。
 滅多に二日酔いになる事は無いというお話ではあったが、二日酔いになりにくい飲酒の仕方として、先に温かいお茶を飲んでおくよう伝えた。
 温かい物を飲んで胃に準備運動をさせておくのと、水分を摂っておく事で、飲酒後の脱水症状を軽減するためである。

 小学生の子供を連れたお客様から、「子供が日焼けしたから何かローションを!」とリクエストされたため、炎症を鎮める『桃の葉ローション』を提案したところ、「薬が欲しい訳じゃない!!」と怒鳴られ、帰られてしまった。
 ドラッグストアーに来て、薬が欲しい訳じゃないって、いったい……。
 ここのところ、日焼けの相談を受ける機会は多いのだけれど、男性客は10人が10人とも「じゃあ、それで」となる一方、女性客の半数以上の方からは「薬が欲しい訳じゃない!」「無いならいいです!」と、お叱りを受ける。
 だから、もう少し要望を詳しく尋ねようとしても、もうお客様の目が全力で質問を拒否しているため、それ以上訊けず、何が何やら。
 元々、長らく引き篭もっていて、「言われた事しかできない」「想像力が働かない」「人の気持ちが分からない」のナイナイ尽くしの自分。
 途方に暮れてしまい、同業者のSNSで間抜けを承知で質問してみた。
 「日焼けをした後」に、「治療以外の何を求められているのか」………と。
 そして各人から回答が寄せられて分かったのは、世の中には「ボディケア商品」があるという事と、治療を希望する人は別途そのように相談するでしょという事。
 ああ、そういえば確かに『シーブリーズ』とか『8×4』なんかがありました。
 担当していないから、仕入れ関係はノータッチで、棚に並べる機会も無いため、まったく失念していた。
 もっぱら、他の同僚から「薬のお客様でーす」とバトンタッチされるか、お客様から薬事相談をされるのが日常なので、「治療以外の相談をされる」というのを想定していなかった。
 お店のマニュアルでも、登録販売員の業務については、薬事相談と医薬品の販売についてしか書かれてなかったもの。
 ………やっぱり、この仕事は自分には向いていないんじゃないか(;´・ω・)?

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