幼児連れのお客様が来店し、頬が腫れて耳たぶから出血していた。
どうやら、虫刺されらしい。
高齢の母親から『オロナインH軟膏』を買ってきたらと言われたようだが、出血しているところは抗生物質の軟膏を勧めた。
患部を保護するという意味では『オロナインH軟膏』も悪くはないけれど、単なる消毒薬で傷を治すわけでもないから、それなら水道水で消毒して絆創膏を貼るのでも構わないくらい。
それよりは、雑菌による感染を防いだほうが良いだろう。
子供は、すでに痒みを感じていないようなので、患部を水洗いして清潔にし、絆創膏で触らないように保護しておけば十分なことを伝えると、本日のところは買うのを取りやめてお帰りになった。
やや高齢のお客様が睡眠薬をと来店され、『ウット』と『ドリエル』を案内しつつ、他に服用している薬があるか尋ねると、おくすり手帳を持っておらず、病院の何科にかかっているのかも教えてもらえなかった。
市販の睡眠補助剤を使うのであれば、現在服用している薬の情報を元に、使える薬を選択することになる。
そうお話すると、「医者に聞けばいいんだな?」と訊かれたから、もちろん担当医に尋ねるのが一番で、調剤してもらっている薬局の薬剤師に相談してみるのも良いですよお話すると、「悪かった悪かった、もういい!!」と怒って帰られた。
もしかすると、店頭では言い難い疾患だったのかもしれないが、それならばなおのこと、おくすり手帳を見せてもらえれば病状を察することも出来るのだけれど……。
あの怒りっぽさ自体が、病気の影響かもしれず、普通の接客業と違って「態度が悪い」とか「高圧的」とか「怒りっぽい」というのを、性格で片付けることもできないんである。
それこそ、発熱して頭が朦朧としている患者さんだったら、判断力が低下していることも考えられる。
症状が苦しければ、普段は温厚な人でも気が短くなることがあるだろう。
だからこそ、もし病院で処方された薬を使っているのなら、なおさらお薬手帳は患者と医療関係者とのコミュニケーションを補助する重要なアイテムなのだ。