常温で飲む意味は吸収を早めるため

 やや高齢のお客様が、『OS―1』と『経口補水液』を多く購入されたので、念のため、熱中症対策のために飲む場合には、常温で、小分けにして飲むよう勧めたら、「えっ? そうなの?」驚かれた。
 売り場では便宜上、冷やして販売しているものの、それは冷やしていないと売れないからで、体に吸収されやすいのは常温の方。
 最近では、常温で飲んだ方が良いと知っている人もいるようで、コンビニなんかで常温のまま販売しているケースもあるものの、どうして常温の方が良いのかまでは知られていないみたいだけど。
 簡単に説明すると、腸が体温より低い水分を吸収できないからで、冷たい物を飲むと、しばらく胃に溜めておいて温かくなってから腸に送り出す。
 つまり、熱中症対策のためにと飲んでも、冷たいとすぐには腸に送られないため体を巡るまでに時間的なロスが生じる。
 そのロスしている間に、熱中症になってしまうかもしれないのだ。
 とはいえ、冷たい方が喉越しが良いのも事実。
 冷たい物を飲むのは、気持ちが良い。
 体温は、下がるしね。
 でも、冷たい物を一気に飲むと、今度はお腹を壊しかねない。
 そこで、体に早く吸収されるように、先に常温の物を飲み、少し間を置いてから冷たい物を飲んで満足感を得るのが最善。
 とくに高齢者は、内臓の機能も低下しているので、この二段構えの方が体への負担も少ない。
 あと、「水分を多く」は、量じゃなくて回数なので、そこのところもお間違いなく。
 最近は、マスコミでも「水分を小まめに摂りましょう」と言うようになったけど、以前は「水分を多く摂りましょう」って報道してたから、未だにそう覚えている人もいるらしく、「毎日2リットル飲んでる」とお客様から言われて面食らうことも(;・∀・)

 腰痛で『バンテリン』(インドメタシン)を使ってみたものの効果を感じられなかったとお客様に相談され、ジクロフェナクナトリウムが『ボルタレンEX』より濃い『フェイタスZジクサス』を案内して、お買い上げ頂いた。
 ただ、どうしても湿布が欲しいと要望されたから案内したけど、一度も病院には行っていないというので、やはり受診するよう強く勧めた。
 酷くなってから病院に行こうと思うより、今の状態を知るのが先決ですとお話して。
 う~ん、行ってくれるか心配……。
 でも、売らなきゃ売らないで、よそのお店で買うだけかもしれないし。
 それなら、効くにしろ効かないにしろ、また来て頂けるかもしれないから売るけど。
 来てもらえれば、また病院へ行くよう説得する機会はあるはずなので。

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