痛い時に鎮痛薬を使うのは悪いことではない

 お客様が『イブクイック頭痛薬』を購入するさいに、朝方の頭痛と疲労感、そして中途覚醒してしまうことについて相談された。
 そういう相談は、お会計をする前にしてもらいたいところ(^_^;)
 職場に着いて仕事を始めると治るというので、『ズッキノン』(釣藤散)を案内すると肩こりも思い当たるようだった。
 しかし、他に服用している薬があるというので病状を尋ねると言いにくそうな素振りだったため、お薬手帳を拝見させてもらった。
 すると、抗うつ薬などが5種類ほど処方されていて、そのうちのひとつはSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)だった。
 この処方内容からすると、おそらくパニック障害なのだと思われる。
 こうしておくすり手帳見せてもらえれば、お客様が言いづらい治療の内容でも推察できるので助かる。
 さて、そうなると店頭で安易に薬を売ることはできない。
 本当のところ、『イブクイック頭痛薬』の購入も取りやめてもらいたいところなのだけれど。
 ううん、そのために先にお会計してから相談してきたのかしらん。
 睡眠自体は短時間ながら眠りは深く感じるようなので『加味帰脾湯』が使えそうではあるため、 担当医に相談してみるよう勧めた。
 また、『イブクイック頭痛薬』のような市販薬を購入したさいには、担当医にも使ったことを報告するように伝えた。

 『小児用バファリン』を求めて来店したお客様に棚を案内したところ、鎮痛薬に頼らない方が良いかと質問されたので「その通りです」と答えたうえで痛み方を確認するようお話しした。
 誤解のないように付け加えると、痛い時に鎮痛薬を使うのは悪いことではない。
 痛みに耐えることで体力を消耗すると、病状が進行してしまったり他の病気を併発することも考えられるから。
 あくまで、鎮痛薬に「頼ってしまう」ことで、治療の機会を逃したり症状の改善を検討しないのが好ましくないという話である。
 今回、患者は11歳の子供で、主訴は頭痛とのこと。
 ズキズキする痛みなら血管の収縮と拡張によるもので、胃の不具合とも関係することを説明し、他に肩こりと連動して起きる頭が重いような頭痛もあることを説明した。
 すると、本人は吐き気を訴えることもあるそうで、今回も吐き気止めを頼まれたというので水分代謝を改善して吐き気のある頭痛に用いる『呉茱萸湯』を紹介したが、粉が飲めないということで『小児用バファリン』のみをお買い上げいただいた。
 ただ、本当に粉が飲めないかどうかは本人でないと分からない。
 私も子供の頃は、粉が苦手でオブラートに包んで飲んでいたが、そのうち病気での苦しさと天秤にかけて気にならなくなった。
 それもあって、本人に薬を買う練習をさせてみてはとお話しした。
 そもそもの頭痛の状態も本人でないと分からないわけだし、自分の体に起きていることを人に伝えるというのは、案外と練習しないとできないもんである。

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