パッケージに「書かれていない情報」を読む

 やや高齢のお客様が『ブロン錠エース』を購入されるさいに痰の有無について尋ねると痰は出ず、いつも咳止めに使っているとのこと。
 喉が乾燥しやすいようだが、医師からは「年だから」と言われたというため上半身に保水する『麦門冬湯』を案内したところ、以前に処方されて効かなかったそうだ。
 しかし、年を取ってくると逆流性食道炎による咳も考えられ、その場合は『六君子湯』『補中益気湯』などが候補になる。
 いずれにせよ、咳は体力を奪うから咳がひどい時には有効ではあるけれど、『ブロン錠エース』のような神経に働きかける咳止めを繰り返し使うのも身体機能の低下を招くため、近所の漢方薬に詳しい病院を紹介した。

 子供に『ムヒのこどもかぜ薬PA』を持たせてレジを訪れたお客様に、この薬で良いか尋ねたところ、「それで良い」というお返事だったのだけれど、主訴は鼻水と咳で熱は無いということから『キッズバファリン鼻炎S』を提案してみた。
 パッケージにはdl-メチルエフェドリン塩酸塩の説明に鼻炎のことしか書いていないが、気管支を拡張して咳止めとしても働くからだ。
 すると、子供が酸っぱくて嫌だとのことだったので『ムヒのこども鼻炎シロップS』を勧めてお買い上げいただいた。
 よくパッケージに書いてあることを比較しているお客様を見かけるけど、パッケージの面積は決まっているから「書かれていない情報」というものがあるため、尋ねてもらうほうが情報を増やせる。
 今回の場合、最初の薬で良いか尋ねた時の「それで良い」という返事は、たぶん子供の味の好みという意味でだったんだろうけど、それでは子供の体のためにはなりません(^_^;)

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