市販薬を特定の銘柄にこだわって探すのは難しい

 やや高齢の常連のお客様が『新コンタックかぜ総合』を持ってきて、「いつも買ってるのと違うけど、パッケージが変わったのかな?」というので詳しく訊いてみたところ鼻炎に『新コンタック600プラス』を使っていたと分かった。
 同じブランド名で統一するのはメーカーとしては顧客に浸透させたいからなんだろうけど、紛らわしくて困る。
 主訴は鼻炎だそうで、『新コンタック600プラス』と他に『ストッパEX』を購入されたため、併用しないように伝えた。
 というのも『新コンタック600プラス』のような抗ヒスタミン薬が入っている物の副作用は便秘であり、『ストッパEX』と併用すると余計に便秘してしまう可能性があるからだ。

 お客様から口唇ヘルペスの薬を銘柄指定で求められたのだけれど、薬剤師のいるお店でないと取り扱っていないことを説明して、近所のドラッグストアーを紹介してみると、既に行ってみて置いてなかったという。
 あそこのお店には口唇ヘルペスの薬自体はあるから、市販薬を特定の銘柄で探すのは難しいため成分で探した方が同じような物が見つけられることをお話してみたのだが、納得してもらえたようには思えなかった。

 『ガスター10』を求めて来店したお客様に、薬剤師のいない店には置いていないことをお話して症状を尋ねてみると、胸焼けと胃痛だという。
 繰り返し使うのは好ましくないことをお話すると、棚にあった『太田漢方胃腸薬2』に興味を持たれたので、ストレスが思い当たるんだろうと思い『爽和』と『大正漢方胃腸薬』を比較して説明した。
 基本の処方は『大正漢方胃腸薬』で、胃の働きを安定させる『安中散』に鎮痛鎮痙攣の『芍薬甘草湯』が入っている。
 『芍薬甘草湯』は単独では、こむら返りや下痢を伴わない急な腹痛などに適応する。
 その『大正漢方胃腸薬』から『芍薬甘草湯』を抜いて、水分代謝を整える茯苓を足したのが『太田漢方胃腸薬2』の『安中散加茯苓』であり、これは「起きてもいないことを悩んだりする」ような内面的なストレスに適応する。
 そして『大正漢方胃腸薬』から同様に『芍薬甘草湯』を抜いて、代わりに『四逆散』を加えたのが『爽和』という胃腸薬で、こちれは「職場が変わった」とか「人からガミガミ怒られた」というような対外的なストレスによる胃腸障害に向いている。
 四逆とは手足が冷えることで、緊張すると指先の血管が収縮して血行が悪くなり、それを改善するのが『四逆散』という訳だ。
 そ説明するとお客様は、『爽和』をお買上げになった。

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