薬を買うのが本人でなければならない理由

 お客様から、成人の娘さんの鼻炎に『パブロン鼻炎カプセルSα』と『コンタック600プラス』のどちらが良いか訊かれ、以前は『コンタック600プラス』を使っていたそうなので、その時の使用感がどうだったか尋ねると分からないとのことだった。
 両者は成分が全く変わらないものの、製造工程の差などによる体内での吸収のされ方や、相性でも効果の現れ方が違うことをお話したところ、両方を購入された。
 同じ薬を使っても家族間で効き方が違うことや、価格と効き目は関係無いことを伝えておいた。
 いずれにしろ薬を買うというのは、本人でなければ選ぶのは難しい。
「どちらが良いか」と訊かれても、それは効き目の強さなのか副作用の少なさなのか使用感という感覚の話なのか、選ぶ人の優先順位に掛かっているから。

 お客様が成人の娘さんから『ロキソニン』を頼まれたとのことで来店したが、うちのお店に置いていないことを伝えると、近所のドラッグストアでも薬剤師は帰っていて断られてしまったという。
 娘さんの主訴は右肩前方から背中側の痛みだそうで、保育士のため仕事が思い当たり、『ナロンエース T 』を服用してみたものの効かなかったといい、インドメタシン製剤のパップ剤も同様だったそうだ。
 内服薬に『バファリンプレミアム』を案内し、患部の状態からすると浸透力のあるジクロフェナクトリウム製剤かフェルビナク製剤をと勧めたところ、本人に電話して子供たちを抱く関係上、匂いのするパップ剤は避けたいとのことで『バファリンプレミアム』のみ購入された。
 一応、フェルビナクやジクロフェナクトリウムは臭わないはずであるものの、メントールが添加されているとその匂いがする可能性はある。
 先のお客様同様、薬を買うさいに何を優先するかは、やはり本人でなければ分からない。
 せめて、本人と連絡を取れるのが望ましい。
 ちなみに、『ロキソニン』は知人から勧められたそうだが、お客様自身は怖がっていたので痛みを伝える信号をブロックする作用機序を説明し、濫用しなければ怖い物ではないことを伝えた。

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