風邪薬の棚で『ベンザブロックL』を選ばれたお客様が、その後も電話をしたり『葛根湯』を見たりしていたため声をかけたところ、妊娠中の奥さんが鼻水と喉の痛みと咳があるとのことだった。
鼻水は黄色いそうだから、総合的に見て風邪と考えて良いだろう。
3日ほど前からだというから、すでに『葛根湯』を使うには遅いことと、そもそも妊娠中は薬を使うのは避けた方が良いこと、そして漢方薬だからといって安全ではないことをお話した。
そのうえで、鼻の症状に合わせた場合には『葛根湯加川きゅう辛夷』を紹介してみたら、家には以前に処方された『小青竜湯』があると教えられた。
もちろん、咳には『葛根湯加川きゅう辛夷』は適応しないし、鼻づまりに『小青竜湯』は合わない。
ただ、家にある薬の情報というのは大事なので教えてもらえると助かる。
風邪自体は放っておいても治るため、高熱でなければ自然治癒を待つのが最善なれど、咳は抑えておかないと体力の低下につながるため咳止めに『麦門冬湯』と、今後の体力の維持に『柴胡桂枝湯』も考えられるが、咳はそれほどでもないようなので、喉の痛みと鼻づまりに合わせて今回は『銀翹散』を提案し、お買い上げいただいた。
それにしても、奥さんが妊娠しているのにどうして相談もせず自分で薬を選んで買おうと思ったのか。
もっとも、『銀翹散』にしても妊娠中の服用は医師や薬剤師そして登録販売者に相談をすることとなっており禁忌ではないものの、相談されたらされたで困ってしまうのだけれど。
それだけに、妊娠中の奥さんに使わせる薬を安易に選んで買うのは避けてもらいたい。
奥さんを愛しているのなら。
……( ゚д゚)ハッ!!
特に奥さんを愛していない私は?
お客様が『葛根湯加川きゅう辛夷』と『チクナイン』(辛夷清肺湯)を見較べいたので声をかけたところ、鼻づまりでスッキリしないとのことだった。
そこで『荊芥連翹湯』も候補に加えて、体を温めると症状が楽になる場合『葛根湯加川きゅう辛夷』を、冷やすと楽になるのなら『荊芥連翹湯』、そして鼻汁が喉に落ちる場合は胃を悪くしている可能性があり『辛夷清肺湯』が適応すると説明した。
今回は『葛根湯加川きゅう辛夷』辛夷をお使いいただくことになったので、のぼせないように気をつけつつ入浴時間を長くし、温かい物を積極的に飲むよう勧めたところ、「聞いて良かった」と言っていただけた。