ヤケドをしたら薬を買いに来るより患部を冷やすのが最優先

 子供を連れたお客様が『ムヒパッチA』を購入されるさいに、パッチにも薬の強弱があることを伝えると興味を持たれたので、『マキロンパッチエース』にはステロイド剤が入っており、より患部の炎症が強い場合に向いていることを説明した。

 やや高齢のお客様がヤケドの薬を求めて来店したけれど、ヤケド痕を目立たなくしていく薬はあっても直接的にヤケドを治す薬は無いことを説明し状態を確認すると、カーラーで額をヤケドしたとのこと。
 患部を冷やしたか尋ねると10分くらい氷で冷やした程度というので、最低でも30分は氷水で冷やすよう勧めた。
 そのうえで痛みがあれば弱い局所麻酔の入った『メモA』などを、大丈夫なら髪や手が触れないように『ワセリン』か『オロナインH軟膏』で保護するようお話したところ、『オロナインH軟膏』をお買い上げいただいた。
 ヤケドをして慌てて薬を買いに来る人は少なくないですが、ヤケドをしたらまず冷やす。
 今回は患部が額だったため手軽さで氷水を勧めたけど、理想としては患部に直接かからない少し上の位置からの流水が良い。
 氷の冷たさも、皮膚への刺激になってしまうから。
 そういう意味で、氷を直接患部に当てるのも駄目。
 反対に、『冷えピタ』や『熱さまシート』などは気化熱を利用しているから冷却効果は弱いし、製品によっては冷感を高めるために刺激物のメントールが入っているので避けてもらいたいところ。
 そして、流水で冷やすのは最低でも30分以上。
 たいてい訊くと、5分程度とか今回のように長くても10分くらいしか冷やしていなくて困る(;´Д`)
 それから、ヤケドが皮膚の深くまで及んでいそうな時や、患者本人の掌を開いたよりも広範囲の場合は、迷わず救急車を呼んで下さい。
 そのさいも、救急車が到着するまで患部を流水で冷やし続けること。

 『バファリンルナJ』を購入されるお客様から、子供がもうすぐ15歳なので他の鎮痛薬も使って良いか質問された。
 薬の年齢制限には大きく分けると3パターンあって、脳への影響が懸念される物、内臓や代謝機能に影響する物、剤形による飲みにくさが関係する物である。
 脳には毒物を遮断する機能があるのだけれど、年齢とともに完成していく機能であり、成長速度は人によって違い、安全な目安として年齢制限が設けられている。
 同様に内臓の機能が未発達だと、代謝が上手くされずに悪影響が出る可能性があり、それを見込んで年齢制限が設定されている。
 この二つのパターンの場合は、もう満年齢になるからとか、体格が大きいから大丈夫という判断は難しく、専門医の指示を仰いだほうが良い。
 剤形に関しては、錠剤が飲み込めないかもということで年齢制限がされており、同成分の散剤の方は年齢が低くても大丈夫だったりするから、危険は少ないと云えば少ないものの、やはり自己判断は避けたほうが無難である。
 というようなことを説明し、鎮痛薬は脳に影響するため特に安全を優先した方が良い事をお話した。
 主訴は頭痛で、ズキズキするタイプは胃の不具合、締め付けられるタイプは肩こり、頭重感は血圧が関係することを伝えた。
 また、薬の購入は自分の症状を説明する練習にもなるので、本人にさせてみるよう勧めた。
 自分の症状を人に説明するというのは案外と難しく、そうそう練習する機会は訪れないから、体調が悪いときにはそれをチャンスとして生かしてもらいたいところ。
 特に大病に気づくキッカケは、患者さんの「症状の伝え方」にかかっているので。

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