セルフメディケーションと家庭の事情

 高齢のお客様からマウスピースの洗浄の相談を受け、『キッチンハイター』で洗っても汚れが落ちないというため、部分入れ歯用の『ポリデント』を案内し購入を決められた。
 その後に、病院から肩こりに『釣藤散』『葛根湯』が、ドライアイに『白虎加人参湯』が処方されてるというお話があった。
 また入眠困難なため、ベンゾジアゼピン系の安定剤も処方されているという。
 しかし、頭痛に『ロキソニン』や『イブ』だけでなく『プレミアムバファリン』なども効かず、『ケロリン』を常用していて、漢方薬は効いてるかどうか分からないから飲んでいないというお話だった。
 ん?
 『ケロリン』が効いてるなら、『バファリンプレミアム』じゃなくて『バファリンA』が効くんじゃないかな。
 『バファリンA』に胃薬になる桂枝が入ってるのが『ケロリン』で、効かなかったという薬に共通するのはロキソニンと、化学構造式の似ているイブプロフェンが入っている点。
 アセチルサリチル酸、いわゆるアスピリンが効くということなのではあるまいか。
 それと、『ケロリン』には無水カフェインが入っていて、それが睡眠を妨げている可能性が考えられるから、それなら『バファリンA』の方が向いているはずだ。
 『バファリンプレミアム』は名前が豪華だけど、『バファリンA』の上位版という訳ではなく成分違いの別物である。
 それらを説明し、お客様の頭痛は朝方に後頭部が痛むというお話だったので、『釣藤散』を先に使ってみるよう勧めたところ、家に余っているというのに『ズッキノン』(ズッキノン)を購入された。
 担当医や薬剤師が話を聞いてくれないという不満を述べていて、それを私が聞いていたことのお礼のつもりで購入されたのかもとも思った。
 『ケロリン』を勧めたのは息子さんとのことで、息子さんは調剤薬局に勤務している薬剤さんなのだとか。
 ただ、その息子さんにはあまり自分の症状や薬の話を訊かないようにしている模様。
 この辺りは複雑ですな。
 家庭の事情には立ち入りにくい。

 親子のお客様が来店し、母親が『エスタックイブ』をレジに持ってきたけれど、患者は高校生の娘さんの方で主訴は鼻づまりとのこと。
 本人にヒアリングしてみると他に症状は無いと言うので鼻炎薬を提案したところ、母親が割り込んで「花粉症じゃない」「風邪だと思う」と代弁された。
 市販の風邪薬はどれを選んでも咳止めが入っていることが多く、咳が出ていないのに服用すると体の負担になって、本格的な風邪に進行してしまう可能性がある。
 また、鼻炎は花粉症とは限らないことを説明し、『パブロン鼻炎カプセルSα』や『ストナリニS』などを紹介すると、母親から「分からないからお勧めを選んで」と言われ、本人に確認したうえで『パブロン鼻炎カプセルSα』を使っていただくことになった。
 『葛根湯加川きゅう辛夷』も提案したのだけれど、母親が漢方薬を嫌いらしく却下された。
 娘さんを大切にしているのは分かるものの、娘さんの話も聞かず、娘さんに判断させることもしないというのは、余計なお世話なれど、なんだか心配である。
 本人には、鼻づまりは上半身に熱が篭って循環していないのが原因と考えられることを説明し、普段はシャワーだと言うので入浴して下半身を温めると熱が循環して鼻づまりが少しは楽になることを伝えた。
 どうにも家庭の事情には立ち入りにくい。
 でもそれが、今後の健康に関わってくるんだよねぇ( ´Д`)=3

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