以前に漢方薬の相談に応じたお客様が、再訪。
遠方に住んでいる高齢の母親から、浣腸の購入を頼まれたとのこと。
便秘で通院しており、別々の科から、便を柔らかくする薬と、腸の働きを助ける薬が処方されているものの、便の最初が固くて出にくいからという。
老人性の腸の機能低下が考えられるため、『小建中湯』と『桂枝加芍薬湯』を紹介したのだけれど、担当医は漢方薬を出してくれない、というか漢方薬に懐疑的であるらしく、処方してくれ無さそうだとか。
なんだそりゃ?
懐疑的なのは悪く無いとしても、れっきとした保険適用薬。
重篤な副作用が懸念されるならともかく、効能に適応する物くらいは処方してくれても良さそうなのに。
まぁ、中には更に、薬剤師や登録販売者に口を出されるのが嫌だという御仁もいるらしいが。
「それなら、今すぐ全ての患者を完治させてみせろ( ̄^ ̄)」(シャア・アズナブル風に)
どうしても駄目なら、大きい病院の場合は担当医を変えてもらえるよう事務に申し出てみるか、他の病院を頼ってみてはと提案した。
私の旧友は、最初の医師が漢方薬が全く分からないってんで、担当医を変更してもらったそうだし。
と、偉そうに書いておいてなんですが、今になって『潤腸湯』の存在を思い出した。
しまったーーーーーーーーーーーー(;´Д`)
老人性の便秘を疑った時点で、最初に思いつくべき処方を忘れるとは、なんたる失態。
店頭に置いてない処方だから、スポーンと頭の中から抜けていた。
ちゃんと、漢方薬一覧に目を通してから、案内するべきだった………。
『コッコアポEX』を購入されるお客様に、使用経験があるか尋ねてみたところ、以前に『コッコアポG』を使って効果が無かったという話だった。
『コッコアポEX』は『防風通聖散』で、『コッコアポG』は『大柴胡湯』である。
ちなみに、『コッコアポL』は『防已黄耆湯』です、念のため。
ポッチャリした水太りタイプで、色白で汗をかきやすく、腕を触るとプルプルした脂肪の人に適応します。
そして、『ナイシトール』も使った事があるというので、同じく『防風通聖散』ですと教えたら、ビックリされた。
一応、パッケージにも小さく書いてあるんだけどねー。
『大柴胡湯』は、のぼせや常習便秘があり、イライラしやすくて寝付きが悪い人向けなので、該当するか尋ねたら一つも思い当たらないらしく、それでは適応しないのも当然。
ただ、『ナイシトール』を使った時には、少し効いたことがあるとのことで、同じ処方でもメーカー違いで効果も違うケースが有るため、このまま試してみるのも良いでしょうと伝えた。
医師は、まだ自分が経験したことが無いので、老人性便秘をどうしても軽く見る傾向がありますね。病院がそこまで考えて処方しているとは思いませんが、センナ由来の便秘薬は小腸下剤に近いので、栄養物も出してしまいますから、高齢者向きではありませんね。