塗り薬のクリームと軟膏の使い分けを知っていますか?

 お客様が『パブロンSゴールドW』と『バファリンA』を購入されるので用途を確認したところ、常備薬にするとのことだった。
 ただ、「いつも喉から風邪になる」と言われたけれど、喉の痛みがすぐに風邪とは限らないため、最初は『バファリンA』か『ペラックT』のような喉の痛みに特化した薬を使うよう勧めた。
 『パブロンSゴールドW』のような総合風邪薬を使うとすれば、メインの処方が咳止めなので咳が出てきてからの方が、体への負担が少ない。
 あまり知られていないけれど、気道と食道は隣り合っているため、逆流性食道炎でも近くの神経が反応して咳になったり、胃炎によって胃に覆いかぶさっている肺が乾燥して咳になることは少なくなく、咳で体力を失い風邪をひくのを、「いつも喉から風邪になる」と感じている可能性もあるのだ。
 風邪の予感の段階で薬を使うとしたら『葛根湯』をとお話すると、家にあるとのことだった。
 また、『バファリンA』は頭痛に使っているということで、 その頭痛は胃の不具合と連動するズキズキといった片頭痛ではなく、首の後ろから肩こりと連動するような緊張型頭痛らしいため、やはり上半身を温めて血流を良くする『葛根湯』が適応することを伝えた。

 お客様が『のどぬ~るスプレー』をレジに持ってきたけれど、現に喉が痛む場合には効果が弱いことを伝えると、病院で処方された解熱剤を使い切ったため買おうと思ったとのこと。
 ん?
 現在の主訴は発熱だけで喉は痛くないそうで、すでに7日ほど経っているとのことから、『柴胡桂枝湯』を案内したが興味を示さず、『バファリンA』を提案すると家にあるとのことでお帰りになった。
 熱が下がらないから、喉を殺菌すれば菌を倒せると思ったのだろうか。
 お客様は食欲はあるとのことだったが、消化をするのにもエネルギーが必要で、発熱したとなると内臓機能は低下したままのはずだから、内臓を休ませるためにも消化に良い食事を量を控えるようにと勧めた。

 やや高齢のお客様から『フェミニーナ軟膏』と『デリケアM’sクリーム』の違いを質問され、前者の方には局所麻酔が入っているので痒みが強い場合に適していることと、軟膏なため患部が布と擦れて悪化する可能性がある場合に適していることを説明したところ、前者を購入された。
 患者はお孫さんでお尻の痒みがあるらしく、布擦れのことを話した時に「そんなに酷くはない」と、意味を勘違いされた。
 ちなみにクリームの方はというと、人間の皮膚は皮脂などのバリアーで守られており、ちょっとやそっと体に毒な物が付着しても浸透することは無いので、主成分を浸透させるために体のバリアーを破るよう調合されている。
 だから、シャンプーやボディソープなどが体を汚染するとされる「経皮毒」などというのは、ありえない。
 なにしろ各製薬メーカーは、皮膚に浸透させるために研究を重ねており、そんな簡単に浸透するのなら苦労は無いのだ。
 ついでに言えば、「服にベトつくから」という理由で軟膏を嫌がる人がいるけれど、先にも書いたようにベトつくことで服と擦れないようにして絆創膏を貼らなくても患部を保護するのが軟膏の目的。
 でないと薬を塗ったところで、服が患部に擦れるたびに皮膚が治ろうとするのを邪魔することになってしまう。
 ジェルタイプも考えた方はクリームと同じであるものの、よりサッパリしたいというユーザーの要望に応えた物。
 それだけに、もし服の擦れる部分にクリームやジェルタイプを使うのであれば、上からガーゼなどを当てて服と擦れないように、ご注意を。

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